レイドと最後の決断㉔
「えー、では……乾杯っ!!」
「「「「「「「「「「乾杯っ!!」」」」」」」」」」
音頭を任された俺の一言に合わせて皆が杯を上げて、中身を飲み干していく。
俺もまた既に用意されていたお酒の注がれた杯を持ち上げて、一気に飲み干した。
(うぐぐ……ま、またこんなきついお酒を用意するなんて……はぁ……もっと早く戻って口出しすればよかったかなぁ……)
アリシアと共に居城へと戻ったところ、中庭には既に祝宴の準備がしっかりと出来上がってしまっていた。
当然この時点でお酒も揃っていて、もはや俺は言われるままに開始を宣言するしかなかったのだ。
「うへぇ……な、ナニコレぇ……すっごいきついよぉ……」
「確かにな……これを用意したのは誰だ?」
「お、俺じゃねぇからなっ!! フローラかミーアか……」
「にひひぃ~、さぁてどうかねぇ~」
同じく乾杯に合わせて杯の中身を飲み干したアイダが一気に顔を真っ赤にしてふら付き始める。
アリシアもまた珍しく顔をしかめながらもアイダの傍に立ち、万が一の際に支えられるように配慮しつつ犯人探しをしていた。
元々が端正な顔つきなだけに睨みつけるような眼差しで周囲を見回すアリシアは妙な迫力があり、思わず目が合ったトルテが慌てて手を振って見せる。
それに対して名前を出されたミーアはどこ吹く風とばかりに、にやにやと笑いながら二杯目に手を付け始めていた。
(確かにお酒を用意するとしたら主導したミーアさんか、予算を把握していて物資の調達に一日の長があるフローラさんしかいないだろうけど……まさか常識的なフローラさんがこんなお酒を用意するわけが……)
そう思いながらチラリとフローラの方を眺めようとすると、その前に俺の元へやってきて……とてもいい笑顔を浮かべながら寄りかかってきた。
「あぁ~、レイドさぁん……あんまり強いお酒だから私酔ってしまったみたいですぅ~……お部屋まで連れて行って介抱してくださいませんかぁ~?」
「えっ!? えぇっ!?」
「ちっ、いきなりかよ……あぁ~ん、あたしもなんか急にふらふらしてきたわぁ~ん……体も熱いのぉ~……レイドぉん、あたしをお部屋まで連・れ・て・行・っ・て・♪」
「ぜ、絶対嘘ですよねミーアさんっ!? あっ!? ちょ、ちょっとぉっ!?」
「むむぅっ!? ま、真似しないでくださいよぉっ!!」
そこへミーアもまた反対側から露骨に胸部を俺の右腕に押し付けるように寄りかかってきた。
それを見たフローラも同じように俺の左腕を自らの胸元に抱きしめて、完全に動きが拘束されてしまう。
「あぅぅ……だ、駄目ぇレイドはぁ……うぇぇ……」
「だ、大丈夫かアイダ……ほら、いつも通り背中に捕まれ……そしてそこの二人もいい加減にしておけっ!! レイドが困っているのが分からないのかっ!?」
「あららぁ~、嫉妬しちゃってんのぉアリシアちゃぁ~ん?」
「ふふふ、早い者勝ちですよぉアイダちゃん……それに選ぶのはレイド様ですよぉ……ねぇ?」
そんな俺を助けようとするアイダだが、余りにも強い酒だったからかもう既にフラフラで立っているのも辛い状況のようだ。
だから代わりにアリシアが彼女を背負いながら二人を一喝してくれるが、ミーアとフローラは悪戯っ子のようにニヤニヤと笑うばかりだった。
(ど、どうしたんだ二人とも……ミーアさんはともかくフローラさんはこんな意地悪なこと言う人じゃないはずなのに……ひょっとして本当に酔ってるのかっ!?)
確かにお酒が強かったことは事実だがそれでもまだ一杯目でしかなく、俺ですら正気を保てている。
だから俺よりお酒に強いこの二人が酔っぱらっているわけないのだが……普段の二人と比べると何か違和感を感じてしまう。
「そ、それはぁ……うぅぅ……れ、レイドからもはっきり言ってやってよぉ……」
「れ、レイド……確かにレイドの気持ちが全てだが……ど、どうなのだレイド……?」
「あ……い、いやそれはその……え、ええと……お二人は本当に酔っぱらってるんですか?」
しかしその違和感を深く考える前にアイダとアリシアに詰め寄られてしまった俺はしどろもどろになって、何故か逆にミーアとフローラに尋ねてしまう。
(うぅ……こ、これは我ながら情けなさすぎる……素直に俺にはアリシアとアイダが居るからって言えばいいだけなのに……皆だって本当はわかってくれてるはずなのに……)
自分で口にしておいて自己嫌悪がわき上がってくるが、どうしても俺はそれを口に出来なかった。
まだ二人のどちらを異性として愛しているのかはっきりしていない負い目もあるが、それ以上に俺は他人からの好意を否定するのが苦手過ぎるようだ。
まして何せかつての街から追い出された果てにようやく生まれて初めて得た大切な仲間が相手だと絶対に嫌われたくないという思いが先に出てしまう。
だからこういうあからさまな揶揄いであったとしても、どうしても八方美人というか優柔不断な答えを返すことしかできないのだ。
(だけどそれで一番大切にしなければいけない二人を傷つけたら……一番なのに二人って言う時点で矛盾してるよなぁ……はぁ……俺はこの点だけは本当にどうしようもない奴だなぁ……)
実際に俺の返事を聞いたアリシアとアイダは呆れたような目で俺を見つめてきていて、何やら居たたまれない気持ちになってくる。
逆にミーアとフローラは笑みを絶やさぬまま、更に俺の両手を強く抱きかかえて来る始末だ。
「酔ってますよぉ~、バリバリ酔ってますよぉ~」
「そうだぜぇ~……滅茶苦茶酔っぱらっててぇ体が熱くてぇ……ああ、服でも脱ぎたい気分だなぁ~」
「ちょっ!? さ、流石にそれは不味いでしょっ!?」
「いいやっ!! 何も不味くないぞレイド殿っ!! これこそお酒というものだっ!! この味が分からないということはまだまだ飲み足りない証拠だともっ!! さあもっともっと飲みたまえっ!!」
そこへ今度はお酒の瓶を複数抱えているマキナが割って入ってくる。
(う、うわぁ……このきついお酒を瓶から直接ガバガバ飲んでるぅ……うぇ、お酒臭ぁぁい……)
「んぐんぐっ!! ぷはぁっ!! ふはははっ!! どうしたレイド殿っ!! 飲まないというのならば私が口移しで飲ませてやっても構わないのだぞっ!!」
近づいて語りかけてくるマキナの吐息が余りにもお酒臭くて、少し気持ち悪くなりそうなぐらいだった。
それでも何とかマキナを見返して、こればっかりは否定しようと口を開いた。
「ま、またそんな事言い出してぇ……勘弁してくださ……っ!?
「マキナ先生それいいですねっ!! 私達が抑えておくからやっちゃってくださいっ!!」
「んだなぁ……レェイド君はちょっと理性が残りまくっちゃってるからねぇ~……もっとベロベロに酔わせなきゃ本心が見えてこなさそうだからなぁ~……」
しかしミーアとフローラが逃すまいと俺の両腕をしっかり固めて、マキナを急かし始めてしまう。
「だ、だから駄目ぇ……そ、そんなのぉ……うぇぇ……あ、アリシアぁ……」
「くぅっ!? そ、そのような真似を認められるはずが無かろうっ!! レイドも嫌がっているではないかっ!!」
「……それは違う……レイドが本気で嫌がって抵抗したら振り払えるはず……本当はレイドも望んでる……」
「ま、マナさんっ!? な、何を言ってるんですかっ!?」
流石にこればかりは見逃せないとばかりに慌てて間に入ろうとするアリシアだが、そこへ今度はマナが口を挟んでくる。
(そ、そりゃあ確かに本気を出せば振り払えるけど……向こうも結構本気でしがみ付いてるっぽいからそんなことしたら怪我させかねない……だから抵抗が出来ないのはマナさんが理解できないわけないはずなのに何でこんな……ま、まさかマナさんも酔っぱらってるっ!?)
パッと見は淡く肌が赤く染まる程度で立ち振る舞いもしっかりしているように見えるが、言動の可笑しさからそう判断した俺は慌てて弁解しようとする。
「お、俺は……っっっ!?」
「ふふ……黙り込んだ……やっぱりレイドもそう思ってる……間違いない……」
「ほほうっ!! それは言い心掛けだっ!! では早速私が飲ませてしんぜようではないかっ!!」
「決まりだなっ!! マキナが飲ませたら次はあたしの番だっ!! レイドが酔い潰れるまで飲ませて……にひひっ!!」
「なら私はその次に口移しでレイドさんに飲んでもらいますぅ~」
しかし口を開いたところでマナが無詠唱な上に余りにも自然な動作で麻痺魔法を掛けてきて、俺は避けることも敵わずに動けなくなってしまう。
それをいいことに好き放題行ってくるマナとマキナ……更に痺れて身体から力の抜けている俺を支えているミーアとフローラまでもが便乗して来る。
(ちょ、ちょっと何でっ!? マキナ殿はともかく俺が魔法で痺れてるだけだって掛けたマナさんと支えてる二人は気づいてますよねっ!? ほ、本当に酔ってるのかっ!?)
何やら普段とは違う皆の態度に俺は驚きを隠せなかった。
少なくともこんな風に力づくで強引に迫られるのは初めてだし、俺はなおさら皆の立ち振る舞いに違和感を覚えてしまう
「うぅぅ……み、皆急にどうし……れ、レイドも何で何も言わないのぉ……?」
「れ、レイド……そ、それに皆もどうしたのだ……?」
「……っ!!」
俺は痺れて喋れないだけなのだが、アイダやアリシアはその事実に気付けていないようであった。
恐らく彼女達も他の皆の態度と俺の返事に意識が剝いてしまっていたがために、マナが魔法を放ったことに気付けなかったのだろう。
(ま、不味い……このまま誤解されるわけにはっ!!)
不安そうにしているアイダ達を見て、俺は胸を突かれるような痛みを覚えて……無我夢中でこの状況の改善を試みた。
無詠唱魔法を応用して、痺れる身体で必死に魔力を練って状態異常回復用の魔法を自分自身に掛けて自由を取り戻そうとする。
「……はぁっ!! さ、流石に皆……んぅっ!?」
「れ、レイドさぁああんっ!! ちょ、ちょっと助けて下さぁああいっ!!」
「レイド殿っ!! 少し酔ってしまったので背中を貸していただきたいっ!!」
しかしそこで今度は後ろからエメラとアンリが飛びついてきた。
そのままエメラは俺を強く抱きしめて身体を密着させてきて、アンリの手がわざとらしく俺の口を塞いでしまう。
(う、うおぉっ!? せ、背中に柔らかい物が当たって……じゃ、じゃなくてこの二人までっ!?)
「え、エメラさんまでぇ……ドラコ達を放っておいていいのぉ……?」
「ぱ、パパドラさんが凄い目で睨みつけて来るんですよぉっ!! ただちょっと美味しくお酒を飲みたいから口移しでってお願いしただけなのにぃぃぃっ!! 何か言ってやって欲しいのでぇえええすっ!!」
「あ、アンリ様まで……その様な真似をなさっては周りへの示しが……」
「ふふ、酒の上の戯れであるよ……何より仲間である其方らの前で何を繕う必要があろうか……」
アイダとアリシアの問いかけに当然のように言い返す二人だが、やはり常識的とは言い難い振る舞いに思われた。
(いやエメラさんだけは正常運転だけど……アンリ様までこうだとするとやはり何か……ま、まさか残りの面子もっ!?)
これ以上、攻め寄せられたらどうなることか……そう思って傍にいるトルテを見たが、彼は申し訳なさそうにしながら距離を取るばかりだった。
(と、トルテさんは正常みたいだけど止めてはくれないのかぁ……だけどトルテさんが正気ってことはやっぱり他の皆は酔ってるわけじゃな……んん?)
去り際にトルテが軽く片目を瞬きして見せて、何かを伝えようとしているように見えた。
そして同時に口を小さく動かして声にならない声で……頑張れと伝えてきているように思われた。
(そう言えばトルテさんはこの状況を見ても何も突っ込んでこないし、違和感を感じているようでも無い……な、何か知ってるのかトルテさんっ!?)
そう思うけれど完全に拘束されている俺では追求することは出来なかった。
またアリシアとアイダに至っては、俺の方から目を離せないらしく、結局そのままトルテは遠くへと行ってしまう。
そんな彼を目で追いかけていたところで、交代するようにトテトテと歩いてくるドラコの姿が映った。
「レイドお兄ちゃぁん……私ねぇなんか酔っちゃったみたいで身体が熱くてね……それで、えっと……うぅんと……何だっけル・リダお姉ちゃぁん?」
「あ、あはは何を言ってるのドラコちゃんたらぁ…………ぼそぼそ……っ」
彼女もまた俺の前に立つなりお酒に酔っ払ったと言い出したが、そこで小首を傾げながら後ろの方に居たル・リダへと声を掛けた。
するとすぐに駆けつけて来たル・リダは笑ってごまかそうとしつつ、ドラコに何かを耳打ちする
「……そうだったぁっ!! レイドお兄ちゃんっ!! 酔い気覚ましに私とチューしてほしいのぉ~っ!!」
「……あちゃぁ」
果たしてそれを聞いたドラコは思い出したとばかりに手を打つと、甘えるような声でそんなお願いをしてくる。
しかし一連の動作を見て何となく事情を察した俺はそこで聞こえて来たミーアの声で確信する。
(や、やっぱりわざとかっ!! 皆して何か企んでこんな真似してるのかっ!?)
恐らくミーア辺りが皆に声を掛ける最中にでも話を持ち掛けたのだろう……いや、下手したらこの飲み会自体がこの為に行われたのかもしれない。
そしてその目的も想像はつく……俺とアリシアとアイダ抜きでの共謀の上に、やっていることが俺への誘惑染みた行為なのだから。
(お、俺があんまりにも決断を先延ばしにするから……それにアリシアとアイダもそんな状況に甘んじて関係を進展させようとしなかったから……皆の方が焦れて実力行使に出て来たのかっ!?)
尤もその真意が俺達の関係を進ませることにあるのか、或いは強引に割り込もうとしているのかはわからない。
(……いや仮に皆が本気で俺と結ばれたがってるとしても、こんなだまし討ちみたいな形にするわけがない……俺達の関係を間近で見ているはずだし、何よりお互いに相手を大切な仲間だって思ってるんだからな……それでもと思い詰めてたとしても、その場合は最低でもアリシアとアイダには事情を話すはずだ……)
そこまで考えたところで、俺のヘタレさのせいで皆にここまでやらせてしまったことに気付き、申し訳なさと情けなさを抱いてしまう。
「……ふぅん……そぉいうことかぁ……もぉぉっ!! ミーアの馬鹿ぁっ!!」
「なるほどな……凡その察しはついたぞ、ミーアっ!!」
「な、何で二人してあたしを名指しすんだよっ!? つ、つうか何を言ってるかさっぱりだしっ!!」
「はぁ……これじゃあ失敗ですねぇ……」
アイダとアリシアもドラコの態度から何が起きているのか事情を察したようで一瞬安堵したように胸を撫でおろし、その後凄まじい勢いでミーアへと詰め寄っていく。
それを見て他の皆も駄目だとばかりにため息をついて離れ始めていき、目の前の状況が理解できていないドラコだけが不思議そうにしていた。
「あれ? 私、何か間違えた?」
「ど、ドラコちゃんは何も間違えてませんよぉおおっ!! むしろ私が酔い気を覚ますために沢山チュッチュチュバチュバしてあげますからこちらへ……っ!?」
「こちらへ……何だエメラよ? 我の前だろうと遠慮せず続きを言うがよい」
ドラコに迫ろうとしたエメラだが、そこでやってきたパパドラにとてもにこやかな笑顔で睨みつけられると、顔全体で汗を流しながら必死で首を横に振って見せた。
「な、ななななんでもありませぇえええんっ!! わ、私はドラコちゃんを純粋に妹のように思っていて……」
「えぇ~、どっちかと言えば私がお姉ちゃんだよぉ……エメラは妹ぉ~」
「はぁああっ!! わ、分かりましたよドラコお姉ちゃぁあんっ!! エメラたっぷり甘え……や、やっぱり何でもありませぇん……」
「ふん……全く貴様は……まあいい、それよりも目論見はどうなったのだ?」
「誠に残念であるが失敗と言わざるを得まい……実に惜しいところではあったのだが……」
呆れたような口調で呟きつつエメラをじろりと睨みつけたパパドラだが、彼の問いかけにアンリが口惜しそうにそう答えた。
「パパドラさんも知ってたんですね……」
「無論知っておるぞ、貴様の優柔不断さも含めてな……だからこそ我が娘の協力も許可したのだ……貴様はこのままではいつまでも伴侶を決めれず仕舞いになりかねぬ……仮にも恩人である貴様とその仲間が不幸になるのは見過ごせぬからな……それで、答えとやらは決まったのか?」
「うぐっ!?」
こちらをまっすぐ見ながら直球で尋ねて来るパパドラの言葉に俺はたじろいでしまう。
「も、もぉっ!! パパドラさんまで止めてぉっ!! 僕たちは僕たちなりに……うぇぇ……」
「ま、全くだっ!! 私たちは今の関係も含めてそれなりに満足しているのだっ!! 気持ちはありがたいが余計な干渉は止めていただきたいっ!!」
「……やれやれ、当の本人らがこの調子では答えが出るのはいつになるのやら」
代わりに言い返してくれるアイダとアリシアを見て、パパドラは呆れたように……だけどどこか楽しそうに笑いながら呟くのだった。
そしてそれを聞いた皆も同じように頷いてきて、俺は何だか居たたまれなくなってしまう。
(あぁ……皆にここまでさせて……その上でアリシアとアイダにここまで言わせちゃうなんて……本当に俺はヘタレだなぁ……)
「ええいっ!! こうなりゃ自棄だっ!! 泥酔するまで飲んで本気で絡んでやらぁっ!!」
「そうだともっ!! 皆ももっともっと飲むのだっ!! ほらレイド殿もアイダ殿もアリシア殿も全力で飲んで本音を曝け出したまえっ!!」
「うむうむ、確かにレイド殿は滅多に羽目を外さぬし……こういう機会にあえて泥酔して心のままに行動するのも一つではないかな?」
「ふふふ、それがいいですよっ!! ここにあるお酒は私が全力で伝手を使って集めた強いお酒ですから沢山飲めばアリシアさんでもきっと酔っぱらえますよっ!!」
「そうそう……たくさん飲んで酔っ払って……それで本性を出す……そうでもしないと三人とも奥手すぎて先に進めない……決まり……」
「私もドラコお姉ちゃんに飲ませてもらいまぁああすっ!! だからワカ……口移しでいいので飲ませて下さぁい……」
「い、良い直してそれなんですかエメラさん……ああ、でも私もドラコちゃんの口移し……はっ!? だ、駄目よそんな真似しちゃ……でもぉ……」
「ええい、エメラよっ!! 貴様のせいでル・リダまで悪影響を受けているではないかっ!! 我が娘よ、エメラには近づかずレイド殿達と共に……」
「やぁっ!! エメラとル・リダお姉ちゃんと一緒にのむぅっ!! 意地悪言うパパはあっちいってぇっ!!」
「あ、あはは……困ったなぁ……」
「あぅぅ……そんな飲め飲め言われてもぉ……」
「うぅむ……とにかく酒宴は続けるということだな……仕方がない、二人が酔い潰されぬよう私が多めに飲むとしよう……」
*****
「うぅぅ……れ、レイドぉ……アリシアぁ……ぼ、僕もうフラフラぁ~……」
「し、しっかりしろアイダ……くっ、しかし私も少し飲み過ぎたな……レイドは大丈夫か?」
「え、ええまあ何とか……うぷっ……」
アイダとアリシアと俺で、互いに支え合うようにして自分たちの部屋まで何とか戻ることができた。
(ま、まさか本気で俺達を酔わせようとしてくるなんて……うぷっ……き、気持わりぃ……目のまえがぐるぐる回ってる気がするぅ……)
あれからも続いた酒宴はどんどん盛り上がって行き、後半は俺達を本気で酔わせようと全員でコンビネーションを組んで襲い掛かってきた。
おかげでかなり飲まされてしまって、久しぶりに足元がおぼつかないほど酔っぱらってしまった。
それでも状態異常回復魔法を使えば治癒できるはずだが……これだけ泥酔している状態で、上手く魔法を紡げる自信はなかった。
「はぁぁ……ぼ、僕もう限かぁい……」
「アイダ、眠いのはわかるがその前にお風呂へ……ぅ……」
「む、無理しないほうが……明日朝一番で入ればそれで……はぁぁ……」
だから言葉通り限界が近そうなアイダが自分のベッドへと飛び込むのを見て、俺もまた同じように自分のベッドへと崩れ落ちた。
「し、しかし……はぁ……ならば私が二人の身体を洗って……くぅ……」
「うぅ……あ、アリシアもつらそぉじゃぁん……僕達のことは気にしないでいいか……はぅぅ……」
「あ、ああ……俺達は先に休ん……うぇ……」
「そ、そうか……わかった……だが何かあれば遠慮なく声を掛け……っ……るがいい……」
アリシアもまた足元をふら付かせながらも、彼女だけはお風呂場へと向かっていった。
元々が公爵家の令嬢として厳しく育てられてきたがために、どうにも融通が利かないようだ。
もしくは俺の前だから少しでも身体が汚れているところを見せたくないのかもしれない。
(はぁぁ……アリシアも辛いだろうに……本当にしっかりしてるなぁ……そんな子が俺なんかの為に国も家柄も捨てて付いて来てくれてるんだもんなぁ……)
お風呂場に消えていくアリシアの後姿をぼんやりと眺めながら、ふとそんなことを思う。
ファリス王国に居たガルフ国王の態度が余りにも酷かったというのもあるし、御両親からも許可を貰って俺のところへ来てくれたことは知っている。
しかしその両親もまた国外へ亡命したために、アリシアの家は公爵としての地位を完全に失ってしまった。
(家名も地位も身分も……それまでに築き上げた名声やあの国の人達からの信望すら投げ捨てて……なのに俺は……)
責任感の強いアリシアにとってご先祖様から受け継いだ家名を守れず、あんな国の人々からとは言え寄せられている信頼を裏切るのは心苦しかったに違いない。
それでもアリシアは俺の元へと来てくれた……まだ自分が選ばれると決まったわけでもないのにだ。
(そこまでの覚悟を持ってアリシアは行動してる……多分アイダも同じぐらい……それなのに俺はいつまでこんなヘタレているつもりなんだ……?)
今までもこうして横になるたびに何度も同じことを考えては自己嫌悪に陥ってきた。
そして毎回今度こそ答えを出そうとして、結局出せないまま眠りに落ちてしまっていた。
しかし今は酔いすぎて気持ちが悪いせいか……或いは仲間達があんな方法に出るほど焦れていると知ったためか、どうにも今日は寝付けそうになかった。
「……俺は……」
「俺は……何なの、レイド?」
「えっ!? あ、アイダぁっ!?」
モヤモヤする感情にたまりかねて呟いた言葉に予想外の返事が聞こえて来て、慌ててそちらを向けばいつの間にかアイダが俺のベッドに入り込んでしまっていた。
先ほどまでの態度とは打って変わって、ニコニコと微笑みながら吐息が掛かりそうなほど顔を寄せて来る。
(あ、あれ……さっきまであんなに苦しそうにしてたのに……それにお酒臭くない……な、何で……あっ!?)
「解呪……ふふ、どうレイド? 楽になったでしょ?」
「あ、アイダ……いつの間に無詠唱魔法を……」
「ふふぅん、僕だってアリシアに毎日訓練してもらってるもんねぇ……こういう回復魔法系なら暴発前提でれんしゅーできるから、それで頑張って覚えたんだぁ……また魔王みたいなのが現れた時に少しでも皆の力に成れるようにって思ってたから……」
「そ、そうなのか……じゃ、じゃなくて何であんなに酔っぱらってたのに魔法を使えて……い、いやそもそも回復できるならどうしてさっきまであんな辛そうな態度を……っ!?」
そこでふと気づく、アイダは最初の一杯を飲んだ時点で異常なまでにフラフラな状態になっていたことに。
確かにあのお酒は強かったが、それでも流石に最初の一口であそこまで酔ったりはしないはずだ。
(ほ、他の皆があんな演技してたから疑わなかったけど……ひょ、ひょっとしてアイダのあれも演技だったのかっ!?)
果たして俺の前でアイダは悪戯っ子のような笑い声を洩らし始めた。
「ふふふ……ごめんねあんな真似して……実はね、今日の飲み会は僕がミーアに頼んだんだぁ」
「えっ!? そ、そうだったのか……じゃああの謀も?」
「うん……お酒の力を借りてでもレイドの本音を知りたかったから……本当にごめんね、勝手にこんな真似して……」
「あ……い、いや俺は良いんだけど……というかむしろ俺のせいみたいなもんだし……」
事情を説明して謝り出すアイダに俺は本心からそう告げる。
実際に俺がいつまでも決断を先延ばしにしているのが全ての元凶なのだ……それにアイダがしびれを切らせたとしても責められるはずがない。
「そんなことないよぉ……って言ってあげたいけどねぇ……まさか魔王を退治してからくにのふっこーが終わってもなお告白してこないなんて流石にびっくりだよぉ……」
「ほ、本当にごめんアイダ……こればっかりは何も言い訳出来ないよ……ごめんなこんな情けない男で……」
「ふふふ、だけどそんなところも可愛くて……好きなんだけどね僕は……」
「あ……っ」
申し訳なくて俯きそうになる俺の顔を両手で支えて、まっすぐ目を合わせて来るアイダ。
穏やかに微笑む彼女の顔は本当に可愛らしくて、いつまでもこのまま見て居たい気持ちになってくる。
「……」
「……ねぇレイド……このまま……キス、したいと思う?」
「っ!?」
しかしそこでかけられた言葉に、俺は胸がドキリとして動揺してしまう。
全くそんなこと考えていなかっただけに意表を突かれてしまったためだが、そんな俺を見たアイダはほんの少しだけ寂しそうに笑った。
「……ふふ、そんなこと考えても居なかったぁって顔だねぇ」
「あ、ああ……このまま見て居たいとは思ったけど……その、まだ告白もしてないのにキスとか……」
「僕はしたいけどねぇ……アリシアには悪いと思うけど、このままレイドのファーストキスを……初めてだよね?」
「えっ!? あ、ああ多分そうだけど……」
「多分って……ふふ、変なレイドぉ……」
少なくとも意識のある時点で誰かと口づけを交わした記憶はないが、魔獣との戦いではほぼ毎回ズタボロになっていたから人工呼吸などを受けている可能性はある。
そう思っての発言だったのだが、アイダは何やら楽しそうに……だけど儚げに笑い続けた。
「あ、アイダ……?」
「本当に……レイドは変だよねぇ……他のことは鋭いのに……ううん、優しすぎるのかな……だからあえて……自分の気持ちに気付かないふりしてるでしょ?」
「えっ!?」
アイダのことばに驚く俺だが、そこでアイダが俺の身体に抱き着いてくる。
そして胸に顔を埋めながら……静かに呟き始めた。
「僕はレイドのこと好きだよ……大好き……愛してる……だからキスしたいし、もっと言えば先の関係にもなりたい……ずっとそんな想いを抱いてるよ……今だって……」
「っ!?」
「だけどレイドは僕を相手だとそう思わないんだよね……だったら多分それって……恋愛感情とはずれてるんじゃないかなって思うんだ……」
「そ、それは……そんなことは……俺はただ二人の性格に……心に惚れているから……だから……」
「それは嬉しいけどさ、逆に言えば女として魅力は感じて貰えてないってことなんじゃないかなぁ……そう言うのだって一つの愛の形のはずなのに……」
表情が見えないせいでアイダがどんな顔でこの言葉を発しているのかはわからない。
だけれどもその声は真剣で、俺には何も言い返すことはできなかった。
「……もう一度聞くよレイド……今僕とキスしたいって思う? それ以上の事、したいって思える?」
「あ、アイダ……俺は……」
そしてゆっくりと顔を上げたアイダの瞳は今にも涙が零れそうなほど潤んでいて、それでもまっすぐ俺を見つめて来る。
だけど俺はその顔を見続けることが出来なくて……そっと視線をずらしてしまう。
「……ふふ、やっぱりかぁ……そうだよねぇ……」
「……ごめん、俺はアイダの事大切だからそう言う目で見れない」
「うん、わかってた……わかってたけど……やっぱり、辛いなぁ……」
「……っ」
もう一度俺の胸に顔を埋めてしまったアイダだが、そこから服が濡れる感触が僅かに伝わってくる。
だけど俺には何も言う権利はなかった……泣かせてしまったのが俺なのだから。
「うぅ……ご、ごめんねレイド……ぼ、僕が下手に告白したもんだから……前に僕がどこにもいかないでって……傍にいて欲しいって我儘言ったから……ず、ずっと意識してくれてたんだよね……」
「……違うよアイダ……俺は本当に……」
「ううん、違わないよ……だってレイドはずっと……初めて会った時からアリシアのことが忘れられないって……未だに愛してるって言い続けてたもん……ぼ、僕だって本当はわかってて……あ、アリシアにも悪いって……だ、だけど僕これが初恋だからどうしても諦めきれなくて……っ」
「もう良いよアイダ……ごめん、本当にごめん……もっと早くに気持ちを伝えれなかった俺が悪いんだ……本当に情けない優柔不断な男でゴメン」
俺に出来ることは自らの情けなさを謝罪し続けることだけあった。
(何やってるんだ俺は……自分の気持ち一つ決められず、アイダにここまでさせて……結局、初めて会った時から最後までアイダに頼りきりじゃないか……せめて俺の口から言うべきだったのに……っ)
「ううん、レイドは悪くないよぉ……うぅ……レイドが答えを出すまで待つって約束してたのに我慢できなかった僕が悪いの……だ、だけど僕どんどん三人でいるのが楽しくなってきて……ど、どうせ振られ……ぐらいならいっそこのまま三人でって思っちゃいそうだったから……っ」
「アイダ……」
「ごめんねレイド……勝手な事ばっかり言ってごめんねぇ……うぅ……っ」
正直なところ俺も同じようなことを考えたことはあった……もし許されるならアリシアとアイダの二人と共にいつまでもと。
だけどアイダはそれを良しとせずに、勇気を出して最後の一歩を踏み出した……やはり尊敬できる人だと心の底から思った。
(そうか……俺はアイダのことを尊敬できる素晴らしい人だと思ってた……男女間の感情を越えた最高の……仲間だったんだ……)
初めて俺に出会った時から仲間としてずっと俺を支えてくれて自信を取り戻させてくれたアイダ。
そんな彼女を俺はずっと尊敬していて、傍で成長する俺を見て貰って認められたいと思ってしまった。
多分それが……勘違いの始まりだったのだろう。
「……アイダ、本当にごめん……最後の最後まで面倒を掛けて……そして……ありがとう……」
「うぅ……お、お礼なんか言わないでよぉ……ぼ、僕が好きでしたことなんだからぁ……グス……っ」
俺の胸元に顔をグリグリこすりつけて涙を拭い去ったアイダは、そこで改めて顔を上げて真っ赤に染まった目で俺を見つめて……それでも微笑んで見せてくれた。
「そ、それよりレイドぉ……こうなったらちゃんとアリシアには告白して見せてよ……」
「ああ……わかった……見ててくれアイダ……」
「が、頑張ってよ……ぼ、僕何だかんだでアリシアのことも大好きなんだからね……も、もしレイドが告白し損なったり、またアリシアを傷つけて泣かせたりしたら……奪っちゃうんだからねっ!!」
「大丈夫……もう二度とアリシアを泣かせたりしない……約束するよ……」
そんなアイダの言葉に俺ははっきりと頷いて見せて……アイダを残してベッドから起き上がった。
そのままアリシアが姿を現すのを待っていると、少しして相変わらずフラフラとした足取りで寝間着に着替えたアリシアが姿を現した。
しっかりと温まってきたためか、或いはお酒の酔いのせいかその白く美しい肌が赤く火照っていて……妙に色っぽく映った。
(ああ……本当に綺麗だなアリシアは……だけどそれ以上に何というか……魅力的だ……)
先ほどのアイダとの会話で色々と意識してしまっている俺は自然とそんなアリシアの顔に意識が集中していき……その魅惑的な唇に吸い寄せられていく。
「ふぅぅ……お、起きていてくれたのか……すまない遅くなって……アイダはもう寝て……」
「アリシア……少しいいかな?」
「あ、ああ構わないが……何……くっ……はぁ……」
そんなアリシアに気持ちを伝えようと近づいたところで、向こうは不意に苦しそうに呻き始めた。
(そうか、まだ酔っぱらって……ちゃんと素面の状態で伝えないとな……)
「解呪……どう、アリシア?」
「あ……流石だなレイド……あれほど酔っていたというのに無詠唱魔法を使いこなすとは……私にはできなかったことをどうしてこうも容易く……」
「いや、これはアイダのおかげで……まあそれより酔いは覚めたみたいだね……」
「アイダが……確かに酔いは覚めて頭はすっきりしているが……一体何がどうしたというのだ?」
不思議そうに俺と俺のベッドに横になっている間を交互に見つめて、首をかしげているアリシア。
そんな彼女の顔に、アイダがしたように両手を伸ばしてまっすぐ視線を合わせるようにする。
「あ……っっっ!?」
「アリシア……」
じっとアリシアの顔を見つめていると、俺は胸が妙にざわついて落ち着かなくなってくる。
そして……キスして抱きしめたいという思いがわき上がってくるのをはっきりと感じた。
(こんな簡単な事にどうして今まで気づけなかったんだ……それともアイダが吹っ切らせてくれたからなのか……どっちにしても、自分の気持ちがはっきりした以上は……やることは一つだっ!!)
自らの気持ちが定まった今こそ、最後の決断を下す時だ。
だから俺は真っ直ぐアリシアを見つめたまま、ゆっくりと口を開いた。
「アリシア……俺は君が好きだっ!! 愛しているっ!!」
「っ!?」
ようやく俺は自分の気持ちを口にすることができたが、それを聞いたアリシアは目を見開き……何やら困ったような様子で俺ではなくベッドに居るアイダの方を見つめようとする。
それでも俺がアリシアの顔を見つめ続けると、今まで以上に顔中を真っ赤に染めながら瞳を潤ませていく。
「やっと気づいたんだ……アイダが気づかせてくれた……俺は君のことを俺は君のことを一人の女性として愛している……初めて会った時からずっと……この気持ちは変わっていなかったんだ」
「れ、レイド……レイドぉ……だ、だけど私は……あ、アイダ……私は……っ」
「……アリシア、気持ちにショージキにならなきゃ駄目だよ」
しかしアリシアは弱々しく首を横に振りながら何かを呟き始めて……そこでベッドから上体を起こしたアイダが優しく諭すように話しかける。
「し、しかし……アイダは……っ」
「ふふ、僕はもう振られちゃったからね……だけど百パーセントあきらめたわけじゃないからね……もしもアリシアがちゃんとレイドの答えを受け止めなかったり、また前みたいにレイドを傷つけたりしたら……その時は奪い取っちゃうんだからね」
「っ!!?」
そしてアイダは俺に言ったのと同じようなことを口にして、それを聞いたアリシアはまたしても驚いたように目を見開いたかと思うと……こくりとアイダに頷いて見せた。
「……わかった……済まないアイダ……そしてありがとう」
「ふふ、ほんとぉにそぉゆうところは二人ともそっくりなんだからぁ……それより早く答えないとレイドが待ちくたびれちゃうよぉ?」
「い、いや散々待たせたのは俺の方だから全然かまわないんだけど……」
「そんなことはない……むしろレイドは幼い頃からずっと好きだと言ってくれていた……答えてくれていた……むしろ返事をしてこなかったのは私の方だ……ずっと待たせてしまって済まない」
そう言ってアリシアは……俺が初めて見惚れた時と同じ、とても素敵な笑顔を見せてくれるのだった。
「アリシア……」
「レイド……私はあの日のことをずっと後悔していた……あんな酷いことを言って……本当に可愛げのない女だと気づかされて……幾ら謝罪してもしきれないと思う」
「いや、もうそれは……」
「だからこそ戒めとして今度こそ私が……謝罪ではなく行動で示そう」
「えっ!? あ、アリシ……んぅっ!?」
そしてアリシアはそっと俺の頭の後ろに両手を回すと、自らの顔を近づけて……唇を重ねて来るのだった。
その柔らかくも心地よい感触に酔いしれてしまった俺は、もっと密着しようと両手をアリシアの背中に回して強くその身体を抱きしめた。
(アリシア……俺のアリシア……ずっとずっと、初めて会った時からこうしたかったような気がする……もう二度と離すものかっ!!)
改めてアリシアの魅力に惚れ直した俺は、そう強く決意しながら……こんな素敵な女性との縁を運んできてくれた顔も知らない曾祖父に感謝するのだった。
【読者の皆様へ】
これでこの話は終了となります。
途中でデータが一度飛んだこともあって終わらせ方がグタついてしまって本当に申し訳ありませんでした。
ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。
感想やブックマーク、評価等すべて嬉しかったですっ!!
またいつか番外編など書きたいところですが、とりあえず今のところはこれで終了です。
改めまして、最後までお付き合いいただき本当にありがとうございましたっ!!