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集合・対決⑩

 アイダが寝付いてからも俺は彼女から言われた言葉と……二人への想いについて頭を悩ませていた。

 そこへ不意にばさりと毛布が跳ねのけられる音と共に、苦し気な吐息が漏れるのが聞こえてきた。


「……っ……ぁ……っ!?」

「っ!? あ、アリシアっ!? 起きたのかいっ!?」

「……っ……レ……ィ……っ!?」


 彼女もまたアイダと同じ様に、軽く身構えながら周りを見回して俺と目を合わせると驚いたように目を見開いた。

 そしてそのまま俺の傍に近寄ると何度か口を動かし……声を出せないながらも必死に何かを訊ねようとしてくる。


「ぁ……ァィ……っ……っっ!!」

「お、落ち着いてくれアリシアっ!! ここはもう安全だからっ!! アイダもそこで眠ってるからっ!!」

「っ!!?」


 ここまで取り乱しているアリシアは再会した時以来だったが、その様子は先ほどのアイダの反応に似ている気がした。

 何よりも不安そうにしている彼女を安心させてあげたくて、口の動きとアイダとの会話を参考にそれらしい答えを返してあげた。

 果たして予想通りアリシアは俺の言葉を聞いて息を止めてすぐにアイダの眠るベッドを確認して……毛布をずらして露わになったアイダの無事な姿を確認して安堵したように胸を撫でおろした。


「……ィ……ド……っ……あ……りが……ぁ……っ」

「無理しないでいいから……ほら、メモ帳渡しておくよ?」


 俺に頭を下げながら喉を押さえ、絞り出すように声を出そうとするアリシア。

 どうやら無理をすれば声を出せるようになってきたようだが、それでもそんな苦しそうな様子を見ていられなかった俺はメモ帳を手渡した。


『ありがとうレイド やっぱり助けに来てくれたのだな 貴方が来なければ私もアイダも死んでいた』

「大げさな……って言いたいところだけど、確かにあの三つ首の化け物はヤバかったもんな……間に合ってよかったよ……」

『ああ まさかあれほどだとは思わなかった 多混竜と言う化け物が居ることにも驚いたがな どちらも魔獣など比べ物にならぬ強さだった あそこまで苦戦したのは初めてだ 恐怖を感じたのもな』


 戦っていた時のことを思い返しているのか、アリシアは軽く身震いして見せる。

 今までどんなことでも当たり前のようにこなしてきた彼女が初めて見せる態度だった。


(いや、違うな……俺と再会した時もこんな風だったよな……)


 三つ首の化け物との戦いでは命の危機を感じたであろうに、それと同じぐらいアリシアは俺に嫌われていると思っていた時が辛かったのかもしれない。

 そう思うと今更ながらに当時あんな態度を取ってしまった自分に対する自己嫌悪と……そこまでアリシアに想われているということに喜びを感じてしまう。


「……そうだよなぁ……俺もあいつに睨みつけられたときは死を覚悟したよ……本当に桁が違いすぎる」

『やはりレイドもか しかしここはファリス王国の首都にある王宮の一室なのだろう? この場所が安全だということはレイドがあの化け物をどうにかしてくれたのだろう? 私ですら逃げ惑いながら身を守るので精いっぱいだったのに 凄すぎる どうやったのだ?』


 心底不思議そうに俺に尋ねてくるアリシアだが、彼女もアイダと同じ様にあの化け物の実力を知っていながらも俺の言葉を疑ってすらいないようであった。


(本当に信頼されてるんだな俺って……だけどごめんアリシア……俺の力だけじゃ君たちは守り切れなかった……守り切れなかったんだよ……)


 俺の力ではどうしようもなく、仲間になったル・リダを犠牲にして何とか生き延びただけという事実が彼女たちの信頼を裏切るようでどうしても彼女の目をまっすぐ見つめることができない。


「……詳しくは他の皆と合流してから説明するけど、三つ首の化け物は魔獣達の本部のある場所に追いやったよ……そしてあの化け物は全部で六体居た多混竜の内の三体がくっついた奴だから残りは三体だけど、うち二体は俺がやっつけたよ……アリシアの倒した分と合わせれば全部始末できているはずだ……だからもうこの領内は今のところ安全なんだよ……」

「っ!?」


 ごまかすように簡単な説明で済ませる俺だが、実際問題明日になって他の人達と合流したらドラコとの兼ね合いもあり嫌でもル・リダを含む細かい話をする羽目になるだろう。

 だからこそ二度手間にならないようにしている面もある……尤も自分で理由を並べ立てておいて自分の不甲斐なさを隠そうとする言っておいて言い訳にしか思えなかった。

 それでもアリシアはむしろ俺の言葉に驚いたように目を見開くと、何やら尊敬したような目で俺を見つめてくるのだ。


『レイド凄い 本当に凄い 多混竜を二体も倒してしまうなんて 私ですら隙をついて何とか一体倒せただけなのに それにあの三つ首の化け物への対処も 私も転移魔法は使えるのにそんなやり方思いつきもしなかった』

「いや俺は転移魔法は使えな……いや、この辺りも後で話すとして今は……とりあえず、食べて休んでくれアリシア……」


 称賛の言葉を並べ立てるアリシアだけれど、むしろ余計に罪悪感と虚しさが増すばかりで俺は今度こそ強引に話題を打ち切るとアリシア用の食事を手渡した。


「もう魔力殆ど残ってないんだろ? ちゃんと食べて休んで体調を完璧にしてくれ……多分またあの三つ首の化け物とは戦うことになるだろうからこっちの態勢は万全にしておかないと……」

『そうだな その通りだ あのような生き物を放置しておいたら世界の終わりだ 何としてでも倒さなければな』

「ああ……そしてその為には……悔しいけど俺の実力じゃどうしようもないんだ……俺たちの中で一番強いアリシア……君に頑張ってもらうしかないんだ……本当は俺が守ってあげたかったけど……」

『もう十分助けてもらっている ずっと守ってもらっているよ だからこそ、そう言ってくれて嬉しい レイドの役に立つためなら私はいくらでもがんばれる レイドが傍にいてくれるのならばあの化け物との戦いとて ああ、もうひと踏ん張りしてみようじゃないか』


 俺に微笑みかけたアリシアは、思い出すだけで身体が震えるほどの相手との再戦を力強く頷いて受け入れたかと思うと、英気を養うかのように食事をとり始めた。


(強いなぁアリシアは……はぁ……俺ももっと強くなりたい……せめて大切な人達を……仲間を守り抜ける程度には……)


 既にル・リダを犠牲にして生き延びてしまった俺としては、今度こそ誰の犠牲も出さずにあの化け物との戦いを乗り越えたいと強く思う。

 だけれどもやっぱり俺では立ち向かいようがなくてアリシアに頼らざるを得ない現実に、何やら情けなさが込み上げてくる。


(多混竜ぐらいなら隙を付けば俺でも何とか出来るし、魔獣に至ってはもう敵ではない……だけどあの三つ首の化け物だけはなぁ……俺では隙を作るのも難しそうだ……)


 正確には隙を作るだけならそれこそル・リダと共同したときのように意識を引くことでほんの一瞬ぐらいなら何とか出来るだろう。

 ただしその後にくるあいつの攻撃を防ぐことは不可能だ……つまり間違いなく俺は死ぬことになる。

 それでは意味がない……そんなことになったら俺が一番守りたくて泣かせたくないアリシアもアイダも……他の仲間達も悲しむだろうから。


 俺がル・リダの犠牲を未だに引きずっているようにだ……こんな気持ちを他の人には味わわせたくなかった。


『レイド 何を悩んでいる?』

「あ、アリシア……食事はもういいの……凄い食べたなぁ……」


 そこで差し出されたメモを見て、慌てて顔を上げると既にアリシアは自分の分を完璧に平らげた後であった。

 それどころか先ほどから残っていた手つかずであった俺たちの食事も綺麗さっぱり無くなっている。


『ああ、少しでも多く栄養を取って少しでも早く体調を治したかったから この後もまた朝までひと眠りさせてもらうつもり だけどその前にレイドの悩みを聞いておきたい』

「そんな大したことじゃ無い……いや大事な内容ではあるんだけど……あの三つ首の化け物を退治する際に俺なんかが出来ることはあるのかなと思ってね……」

『不安なのか?』

「……ああ、正直凄く不安だ……アリシアが居てくれるのに……信じてあげたいのに……情けない限りだけど……」


 アリシアに問いかけられて、自分の情けない気持ちを曝け出すべきか一瞬迷った。

 しかしかつてのようにすれ違わないためにも俺は見栄を張ったりせずに、正直な自分を曝け出そうと思い素直に口にした。


(さっきアリシアは俺が居てくれれば戦えるって言ってくれたのに……本当に情けない奴だな、俺は……だけど不安で仕方がないんだ……自分だけならともかくアリシア達の命が掛かってるから……)


 この二人が死んだら俺はもう生きていけない……それは助けに来る道中で何度も想い、痛感した事実だ。

 だからこそアリシアの強さを信じてあげたいのに、俺は不安が次から次へと湧いてきて止まらなかった。


(アリシアだって不安に違いないのに……こういう時こそ隣で笑顔を浮かべて安心させてあげなきゃいけないのになぁ……はぁ……全く、まだまだ俺は成長が足らないな……)


 未だに自分がアリシアに能力面だけではなく精神面でも劣っているのだと悟らされて、久しぶりに劣等感までもが湧きあがりそうになり俯いてしまう。


「……っ」

「え……あ、アリシアっ!?」


 そんな俺をアリシアは後ろから優しく抱きしめてくれた。


『ありがとう正直に言ってくれて それが嬉しい そして格好つけずに自分の弱いところも曝け出せる貴方は決して情けなくなんかない』

「だ、だけど俺は……ずっと君に並び立てるように……支えられるように頑張ってきた……つもりだったんだよ……だけどこんな事態になって、それこそアリシアだって心細いだろうに……こんな肝心な時に安心すらさせてあげられないなんて……」

『十分安心できている 聞いて、私の胸の鼓動』

「あ……っ?」


 そう言ってアリシアは気絶する前から来ていたボロボロになった鎧を脱ぎ捨てると、その下から露わになった軽装の衣服越しに俺の耳を自らの右胸に押し当てた。

 女性特有の柔らかい感触が顔越しに伝わってきて物凄く心臓が跳ね上がりそうになるが、アリシアの体内から聞こえる心音は穏やかな物だった。

 一定のリズムに沿って静かに動いているその音はアリシアが本当にリラックスできていることを如実に表しているようで……またそれを聞いている俺にも伝わるかのように気持ちが落ち着いていくのを感じた。


『貴方が傍にいるだけで私はこんなにも安心できている いつだってそう 婚約者時代からずっとレイドは私を支えてくれていた だから自信をもって それに貴方はあの化け物はともかく、私が一体しか倒せなかった多混竜を二体も倒している あんなことできる人世界中探してもどこにもいない 本当に凄い』

「いや……それはアリシアがくれたこの剣があったから……ううん、この剣があってなお使いこなせなくて俺は一度死に掛けた……多分アリシアが使っていたら多混竜なんか目じゃなかったはずだ……」

『だけどちゃんと生き抜いてる それにレイドはいつだって格上の相手と何度も戦いながらも 自分の全力を出し切り、出来ることを組み合わせて乗り越えてきた 本当に凄いと思う 私は今まで格上と戦う機会がなかったから知らなかったけれど、レイドはあんなプレッシャーを何度も跳ねのけて勝利を掴んできた 私にはそれは出来なかった 新しい魔法の開発だってそう それが必要ならレイドはどんな難しい事でもこなしてしまう 私に出来ないことですら そんなレイドを私は愛しているし、尊敬もしている』

「っ!!?」


 ずっと憧れて尊敬していて、その背中を目標に追いかけてきた……そんな理想の女性から認められていたことを知り、俺は先ほどまで考えていた不安も一時的に忘れるほどの喜びを感じてしまう。


(あ、アリシアが俺を尊敬してっ!? ああ、だけど思い返せば再開してからずっと似たようなことを言ってくれていた……なのにこうして直接言われるまで気づけなかった……そうか……俺は……俺の努力は無駄じゃなかったのか……)


 既にコンプレックスは吹っ切っていたつもりでいた俺だが、アリシアの一言を聞いてようやく心の奥底に僅かに残っていた何かが払拭されたような気がした。

 だからだろうか、自然と俺の身体からは力が抜けていきアリシアに身を委ねるように寄りかかってしまう。

 そんな俺をアリシアは優しく受け止めてくれた。


「アリシア……凄く気持ち良……心地いいよ」

『そう、それはよか』「っ!!?」


 正直な気持ちを呟いたところで、アリシアが微笑みながら文字を書き……途中でその手が止まったかと思うと息を詰まらせるのが伝わってきた。


(し、しまった……変に意識させないように言い換えたのに、逆に意識させてしまった……あっ!?)


 どうやらアリシアは自分がどんな行為をしているのか気づいていなかったようで、今更ながらに自らの胸を俺の顔に押し当てている事実に気付いたらしい彼女の心臓の鼓動が一気に高鳴っていく。

 そして顔中真っ赤に染めながら慌てて俺から距離を取ろうと……せずに、むしろ何か覚悟したかのようにギュっと力いっぱい抱きしめてくる。


「あ、アリシアっ!?」

『良い レイドなら構わない  何ならばこの先に進んだとしても私は 私はレイドが相手なら全てを捧げる覚悟は出来ている』

「っ!?」


 ドキドキと心臓を高鳴らせながらもアリシアが書いて見せてきた文字を読んで、俺もまた心臓が壊れそうなほど跳ね上がるのを感じた。


(な、な、何っ!? 何を言ってっ!? あ、アリシアがこの先ってっ!? と、というか全てを捧げるって……えぇっ!?)


 興奮と混乱で訳が分からなくなりながらも慌ててアリシアの顔を見上げようとして……潤んだ瞳で俺を見つめるアリシアから視線を反らすことができない。

 かつては誰よりも凛々しくて格好良かったアリシアが、今俺の目の前で一人の少女のような顔を見せている。

 そのギャップがまた俺を魅了して……何よりも彼女も女の子なのだと……魅力的な異性だったのだと、改めて意識させられてしまう。


「あ、アリシア……い、いつからそんなに俺のことを……」

『ずっと前から だけど私は直接想いを告げるのが恥ずかしくてごまかして、挙句に偉そうに上からの目線で接していた レイドはちゃんと気持ちを口にしてくれていたのに 私のことをちゃんと見てくれて、笑顔が好きだって言ってくれて凄く嬉しかったのに だからレイド 貴方より告白する勇気すらなかった私の方がずっと情けない人間なの』

「アリシア……それは違……」

『違わない その証拠に私は、あの化け物と戦っている間 何度も死ぬかもしれないって思たら、そのたびにレイドにちゃんと告白しておけばよかったって後悔した 声に出して伝えておけば良かったって だからレイド 聞いて』


 そこでアリシアは少しだけ身体を離すと、まっすぐ決意を込めた眼差しで俺を見つめて深く深呼吸した。

 そしてゆっくりと唇を動かし、顔を苦しみに歪めながらもはっきりと声を出した。


「レ……イ……ド…………あ……い……し……て……る……っ!!」

「あ、アリシアっ!?」


 俺への愛情を告白し終えたアリシアは何度か咳き込みながらも、満足げな微笑みを浮かべていた。


『やっと伝えられた ちゃんと声に出して気持ちを伝えられた あの日貴方と別れてからずっと後悔してた もっと早く伝えていればって ああ、よかった ちゃんと伝えられた これでレイドが私たちにどんな答えを出してもきっと悔いなく受け止められる』

「……いや、やっぱり俺は情けないよ……こんなにも気持ちをぶつけられて、それでまだ答えが出せてないんだから」


 アリシアがここまでして自らの想いを伝えて来て、アイダからも純粋な気持ちをぶつけてもらって……それでも俺は何も答えることができない。

 しかしそんな俺にアリシアはむしろ嬉しそうに首を横に振って見せると、そっと顔を寄せてくる。


『大丈夫 レイドが私たちのことを想ってくれて考えていてくれるから簡単に答えを出せないことはわかってる そんな真面目なところも愛しているから そうやってレイドが真剣に出してくれた答えの方がきっと私もアイダも納得できる それに私もアイダも今の状況が嫌いじゃない レイドが答えを出すまでこの三人の関係を維持できるのも悪くないって思ってるから』

「そうか……」


 アリシアの言葉に先ほどアイダも似たようなことを言っていたことを思い出す。


(こんな素敵な女性二人を待たせて……俺もこんな状態がずっと続けばと思ってしまう……ズルい奴だ俺は……だけどちゃんと答えは出すから……だからもう少しだけ付き合ってくれ二人とも……)


 チラリと眠っているアイダに視線を投げかけると、アリシアも合わせるように其方に顔を向けてクスリと微笑んだ。


『だけど一つだけ抜け駆けさせてもらおう この後の戦いに備えて英気を養いたいから』

「えっ!? そ、それって……っ!?」


 そしてアリシアは改めて俺に顔を近づけると、頬に優しく唇を押し付けてきた。

 頭の中が真っ白になりそうなほどの衝撃と、柔らかいアリシアの唇が頬越しに触れる感触に感動して声も出せなくなる。


『しまった これは不味い 幸せすぎる アイダに悪い事をした』

「あ、アリシアっ!?」


 少しして唇を離したアリシアは顔中、それこそ耳まで赤く染め上がった状態で緩む頬を押さえるように両手をあてがったかと思うとさっと俺から距離を取ってしまう。


『ごめんなさいレイド これ以上傍に居たら私は何をするかわからない 一旦寝て、頭と身体を休める 魔力も含めて朝までに体調を整えておくから』

「ちょ、ちょっとっ!?」

『レイドも明日に備えて休んだ方がいい 絶対に勝利しなければいけないのだから 私たちの幸せな未来のためにも』


 そしてアリシアは逃げるようにベッドへと向かうと、最後に真剣な口調で呟いたかと思うとそのまま毛布を頭まで被ってしまう。

 果たしてアイダの時と同じように俺が見つめる中で、アリシアはすぐに安らかな寝息を立て始めた。


(アリシアも疲れが残ってたのかな……全く、誰もかれも俺をこんな気持ちにさせて……眠れそうにないじゃないか……)


 尤も右手の指輪が魔力を回復させてくれるから軽く体を休める程度でも相乗効果で魔力の補充はなされるだろうし、その魔力を利用して回復魔法をかければ多少の寝不足はごまかせる。

 だから焦ることなく気持ちが落ち着くまでもう少し、皆の様子を窺って回ることにするのだった。


(ドラコもよく眠ってるな……ベッドが離れてるから気づかれなかったけど、この子のことも紹介しないと……アイダも良い顔で寝ちゃってまぁ……ふふ……アリシアも心地よさそうに……あれ? 髪の毛の根元が何か……い、色が戻ってるっ!?)


 声も髪の毛も段々と元の状態を取り戻しつつあることに気付いた俺は、アリシアが先ほど言っていたように今の状態を心地よく想ってくれているのだと改めて悟るのだった。


(……守らなきゃな……この笑顔を……どんなことをしても……守り抜いて見せるっ!! もう失ってたまるものかっ!!)

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― 新着の感想 ―
[一言] アイダに続いてアリシアも。それも自分の口で。 多分心境は似たような感じなのでしょうけれど。
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