転々転生終わりを決める
人生に絶望した俺は、負け犬らしく人生を終わらせることにした。
もしも生まれ変わることができるなら、今度こそ間違えないようしよう。
俺は心に深く刻みつけ、屋上からダイブした。
目を覚ますと、知らない天井が見えた。窓ガラスに映った自分の顔を見ると、俺の顔ではなくなっていた。
しばらくして、見知らぬ男たちが入ってきて、俺が起き上がったことに驚愕した。
どうやら俺は死んだ際、別の人間の体に乗り移ったようだ。
老けた顔、デブい体……。少し理想とは違うが、「生まれ変わった」ことには間違いない。俺は新たな人生を大切に過ごすことを決意した。
リハビリを続けていくこと一ヶ月。俺の体は歩けるまで回復した。医者が言うにはもう退院してもいいくらいらしい。
だが問題があった。俺はこの体の持ち主のことを何も知らなかった。
見舞いに来るのはむさい男たちばかりで、親らしき者は来たことがない。
俺から俺のことを訊くのもおかしいので、けっきょく俺は自分の名前が「安藤辰治」というくらいしか分からなかった。
まあ過去なんてどうでもいい。幸いなことに、安藤辰治は貯金をたんまり持っている。俺はこの金を使って海外に飛び、自由気ままな生活を送ることにした。
そして、退院当日。出迎えてくれたのはむさい男たち……なのだが、初めて見る顔ばかりだった。
「安藤辰治だな?」
一番前にいた男が、一枚の紙を俺に見せる。
「――逮捕する」
明らかにカタギの人間じゃないということは分かっていたが、まさか犯罪者とまでは思わなかった。俺は為す術なく、手錠をかけられた。
そしてあっという間に取調室。
そして、安藤辰治が犯した罪を聞き、俺は腹をくくった。
自ら「負け」を認めるようなことはもうしない。
だから俺は、今度こそちゃんと「人生」を終わらせることにした。




