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第43話:一ノ瀬保奈美

――撮影が終わって、直也さんと並んだ写真をスマホで確認した瞬間、胸がいっぱいになった。

青空に映える「I♡LA」のTシャツ。手で作ったハート。隣には、少し照れくさそうな直也さんの笑顔。


(……すごい。本当に“奇跡の一枚”だ……)


心臓がどくんと高鳴る。

これは、絶対に友達に見せなきゃいけない。いや、見せたい。


私は指先を震わせながら、グループチャットに画像を送信した。


※※※


数秒もしないうちに、スマホの画面が吹き出すように光った。


《ぎゃああああああ!!!!》


《なにこれ!? 映画のポスター!?》


《保奈美遂に、LAでデビューしたの!?!?》


《いやいや!彼氏と新婚旅行感出てるんですけど!?!?》


通知が止まらない。

文字通りお祭り騒ぎ。


《うそでしょ……これがお義兄さん!?》


《お義兄さんどころじゃない!完全に旦那枠じゃん!!》


《ちょっと保奈美、説明して!?!?》


私は慌てて入力する。

《ち、違うよ!みんなから頼まれたから……兄妹っぽく撮ろうとしただけで……!》


けれど、火に油を注ぐだけだった。


《兄妹でこの距離感は無理ですー!!》


《むしろこっちが心臓止まるわ!!》


《はい、義妹無双。鑑賞…いや完勝。》


スマホを握る手が熱くなる。

頬も真っ赤で、息が詰まりそう。


――そのときだった。


《ねえ、待って。》

と、一人の友達が冷静に画像を拡大してスクショを送ってきた。


《これ……首元のペンダント……》


《……新しいの、つけてない?》


「!!」

ペンダントがバレてしまった。


《やっぱり!つけてる!》


《どこで買ったの!?!?》


《もしかして……直也さんから!?》


指が止まる。

……ごまかせない。


《……はい。直也さんが、プレゼントしてくれました》


一瞬の静寂。

そして。


《ぎゃああああああああ!!!!!!!!》


《死んだ。完全に死んだ。》


《義兄からペンダントとか、もはやプロポーズじゃん!?》


《I♡LAのペアルックでペンダントプレゼントとか韓流ドラマも超えたんですけど!?》


《炎上炎上炎上――!!!!》


画面が光りっぱなし。

手が震える。


でも――胸の奥は、苦しくなるくらい幸せでいっぱいだった。


(……直也さん。ありがとう。本当に、ありがとう)


私はスマホを胸に抱きしめながら、小さく呟いた。

「……私、幸せすぎるよ」


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