↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
43/105

第41話:宝物がいっぱい(一ノ瀬保奈美)

 ――胸がいっぱいになった。


 直也さんが差し出してくれた、小さな箱。

 その中に収まっていたのは、一点もののシンプルで可憐な星型のペンダントだった。

 派手すぎないけれど、ひと目で「素敵だ」と思えるデザイン。


「これ、義妹ちゃんに、アメリカに来た記念のプレゼントだ」

 ほんの少し照れたように言う直也さん。


 一瞬、頭が真っ白になった。

 ――え? 私に? わざわざ?


「……ありがとう」

 胸の奥から自然に言葉があふれた。

 声が震えてしまったのは、嬉しすぎて抑えきれなかったから。


 箱を大事に両手で受け取りながら、心臓がドクドクと跳ね続けていた。

(どうしよう……嬉しいな。嬉しすぎる……!)


 気づけば、口が勝手に動いていた。

「直也さん……あの……ペンダント、つけてもらえますか?」


 自分で言ってから、頬が一気に熱くなる。

(な、なに言ってるの私! でも……でも、直也さんにお願いしたい……)


 直也さんは一瞬驚いた顔をしたけれど、すぐに真剣な眼差しに変わった。

「……うん。いいよ」


 そっとペンダントを取り出し、私の背中に回る直也さん。

 耳元に触れるか触れないかの距離で、金具を留めてくれる。

 その一瞬――鼓動がいっそう激しくなった。


 カチリ、と音がして、ペンダントが私の胸元に収まる。

「……すごく似合ってる」

 低い声でそう言われた瞬間、もう全身が真っ赤になっていた。


「……っ、ありがとう……!」

 声が裏返りそうになるのを必死で抑えながら、私は笑顔を作った。


 けれど、ここで終わらないのが私の試練(?)だった。

 頭の片隅に、友達からの“ミッション”が浮かぶ。


 ――「直也さんともっと仲良い感じで写真撮ってきなさいよ!」


 思い切って言葉を口にした。

「あの……もう一つ、お願いしてもいいですか?」


「ん?」と直也さんが首を傾げる。

 私は意を決して言った。


「I♡LAのTシャツ、一緒に買って……二人で着て、ツーショット写真撮りたいんです!」


 その瞬間、直也さんの顔が固まった。

 後ろで見ていた亜紀さんと玲奈さんが同時に「はぁ!?」と声を上げた。


 でも私は引かなかった。

「友達からも頼まれてて……すごく大事なミッションなんです」

 両手を合わせてお願いポーズ。


 直也さんはしばらく沈黙していたけれど、結局は苦笑して言った。

「……分かった。サイズ合うやつを探そう」


 そして――観光客向けショップで、赤いハートが真ん中にどーんと描かれた「I♡LA」Tシャツを二人分購入。

 私の胸はもう、ペンダントの輝きと同じくらいに高鳴っていた。


「ありがとうございます、直也さん!」

 自然と笑顔が溢れて止まらなかった。


 ――これでまた一つ、宝物が増えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。