第41話:宝物がいっぱい(一ノ瀬保奈美)
――胸がいっぱいになった。
直也さんが差し出してくれた、小さな箱。
その中に収まっていたのは、一点もののシンプルで可憐な星型のペンダントだった。
派手すぎないけれど、ひと目で「素敵だ」と思えるデザイン。
「これ、義妹ちゃんに、アメリカに来た記念のプレゼントだ」
ほんの少し照れたように言う直也さん。
一瞬、頭が真っ白になった。
――え? 私に? わざわざ?
「……ありがとう」
胸の奥から自然に言葉があふれた。
声が震えてしまったのは、嬉しすぎて抑えきれなかったから。
箱を大事に両手で受け取りながら、心臓がドクドクと跳ね続けていた。
(どうしよう……嬉しいな。嬉しすぎる……!)
気づけば、口が勝手に動いていた。
「直也さん……あの……ペンダント、つけてもらえますか?」
自分で言ってから、頬が一気に熱くなる。
(な、なに言ってるの私! でも……でも、直也さんにお願いしたい……)
直也さんは一瞬驚いた顔をしたけれど、すぐに真剣な眼差しに変わった。
「……うん。いいよ」
そっとペンダントを取り出し、私の背中に回る直也さん。
耳元に触れるか触れないかの距離で、金具を留めてくれる。
その一瞬――鼓動がいっそう激しくなった。
カチリ、と音がして、ペンダントが私の胸元に収まる。
「……すごく似合ってる」
低い声でそう言われた瞬間、もう全身が真っ赤になっていた。
「……っ、ありがとう……!」
声が裏返りそうになるのを必死で抑えながら、私は笑顔を作った。
けれど、ここで終わらないのが私の試練(?)だった。
頭の片隅に、友達からの“ミッション”が浮かぶ。
――「直也さんともっと仲良い感じで写真撮ってきなさいよ!」
思い切って言葉を口にした。
「あの……もう一つ、お願いしてもいいですか?」
「ん?」と直也さんが首を傾げる。
私は意を決して言った。
「I♡LAのTシャツ、一緒に買って……二人で着て、ツーショット写真撮りたいんです!」
その瞬間、直也さんの顔が固まった。
後ろで見ていた亜紀さんと玲奈さんが同時に「はぁ!?」と声を上げた。
でも私は引かなかった。
「友達からも頼まれてて……すごく大事なミッションなんです」
両手を合わせてお願いポーズ。
直也さんはしばらく沈黙していたけれど、結局は苦笑して言った。
「……分かった。サイズ合うやつを探そう」
そして――観光客向けショップで、赤いハートが真ん中にどーんと描かれた「I♡LA」Tシャツを二人分購入。
私の胸はもう、ペンダントの輝きと同じくらいに高鳴っていた。
「ありがとうございます、直也さん!」
自然と笑顔が溢れて止まらなかった。
――これでまた一つ、宝物が増えた。




