94話 体調の不良と残酷な悪夢
皆様、いつもありがとうございます。
なるべく表現を抑えましたが、痛々しく生々しいような展開が一部ありますので、途中で嫌悪感を感じられた際は、2つ後の投稿をお待ち頂ければ幸いです。
そして長めになってしまいました。
行きは式典のテンションで感じなかったが、敷地が広すぎるせいで疲れを感じる。楽しく美味しかったが、気疲れ感は強く、大変だったからだ。
何か身体が変、明確な理由や答えは分からないが、一歩前に足を出すのが重たく感じる。それだけ疲れたと言うのだろうか、戦闘や鍛錬以外での疲労感は久しぶりに感じた。
「シャーリー、足が疲れたよ…」
私はシャーリーを呼び、両手を前に出す事で、連れて行ってとアピールしたが、シャーリーは「アニエスお嬢様、いつもの体力は何処で無くしてきたのですか?流石にこの場で抱き抱えるわけにはいかないので、後少し我慢してください」と恥ずかしい中の仕草を一蹴したのだ
「最近冷たい気がする…体調不良だけどダメかな?」
想像通りのダメを貰い、頑張って歩くしかなかった。
しかし、身体の重さは気疲れだろうか、アルテアが見つけた使役蟲の影響も考えられるが、魔力による疲労軽減が上手く働いていない気がする。
入り口の門が見えた事で、馬車が停められた場所まで近づくと、身体に力が入るように感じた。
「!!」
咄嗟に踏みとどまるが、一瞬世界が真っ赤に染まりズレるように感じた。立ちくらみに近い感覚だが、言葉に表しにくい私自身の感覚が滑るように地面へ倒れかけたのだ。
「どうされました?」
私が立ち止まった事で、シャーリーは何かあったのかと聞いてきたのだが、先程感じたズレは治った事もあり、心配させないようにと「大丈夫、少し躓いただけ…」と答えた。
「見えてきましたよ、馬車に乗れば休めますので、後少しです」
シャーリーの言葉で足を進める気力が増える。それと同時に馬車って行きは王族用、帰りは?お父様が使っているのでは?と焦りシャーリーに聞いてみた所、邸の馬車を手配済みらしく、既に待たせてあると言う。
(何か変、さっきよりも身体が重い…魔力で足を強化しないと…)
戦闘時に使う数段階強めた魔力強化を身体に施したのだが、効果が現れる様子もなければ、魔力を動かすだけで気分が悪くなった。
私の身体に何が起きているの?
身体が焼けるほど熱く痛い、違和感を感じるけど、正体が分からなかった。
私は余裕が無くなり、息切れしながら馬車に到着した。
「本当にお身体の調子が悪いのですか?」
「そう言ってたよ、怠い、足が重い、気持ち悪い…」
私がそう言うと、シャーリーは私を抱き抱え馬車に乗り込むと、私の額に手を当ててきた。
「熱い!」
「シャーリーの手は冷たくて気持ちいいよ」
シャーリーは「いつから…いや、私のせいだ…あの時、確かに仰っていた…」と自問自答して自らを責めるような表情をした。
「ごめんね。心配かけないように気をつけてたんだけどね、気疲れだから少し休めば良くなるから大丈夫、安心してね」
シャーリーは私の頭を膝に乗せると、王城に向かう予定から王都の邸に向かう事を告げて馬車が動き出した。
顔の上に手を持ってくると魔力眼を使い、私自身の魔力を見ることにした。
「なっ、なんで?おかしい、魔力が見えない…」
いつもなら魔力が流れれば淡く光り見えるのだが、全く見えない事で、急も含めた声が出てしまった。
「お身体を休めてください」
目線を少し動かすと心配して私を見るシャーリーの顔が映った。私はシャーリーにお願いをして、魔力移動を行ってもらう。それを魔力眼で見ているが、見えなかったのだ。
「ありがと、もう一つお願い」
私はシャーリーに対して感謝を伝え、次元収納から回復薬を取り出し、シャーリーに「二つ飲ませて欲しい」とお願いをしたのだ。
次元収納が魔力消費が殆どないので上手く発動できたが、取り出すのが精一杯になり、シャーリーに託すのが限界だった。
この行為は回復薬を取り出す以外に私の魔法が使えなくなっている可能性を払拭する目的もあったので、魔法が無力化しているわけではないようだ。
「この状態での回復薬はお身体に負担が掛かると思いますが…」
シャーリーはそう言い、私の心配をするが、私は大丈夫と伝えて、魔力回復に特化した特性薬を先に飲ませてもらう。私の身体を少し起こしてもらい、瓶の口を当てるとゆっくり口の中に流してもらった。
(うぇ…やっぱり苦い…)
効果は大きく、その分味は酷い、製法自体特殊な為、数も多くない回復薬、王城で軟禁されていた時に二本製造したが、すぐに使う事になるとは思っていなかった。回復薬の改良を考え試行錯誤しているが、優先順位がどうしても低く、薄めない原液はとても不味い味だ。
瓶の半分ほど飲むと全身が熱く感じた。
「!!」
目を大きく開き、シャーリーに向かい手を動かし、止めてと合図を送る。シャーリーに伝わったようで、瓶が離されると、力を振り絞り身体を起こし、グッと堪えた。
言葉を話す余裕もなく、熱く感じた直後に強い吐き気が発生した為だ。
両手で口を押さえるが、無理そうに思えた。その仕草で、シャーリーは察したらしく、馬車を止める指示を出し、すぐに馬車が止まると私を担ぎ、路地裏へ向かった。
「気持ち悪い…耐えれない…」
私は振り絞りそう言葉にすると、シャーリーに降ろしてもらい、這う体勢のまま、地面に戻してしまった。貴重な特製薬、勿体無いが止めれるはずもなく、何度も嘔吐反射を行う。その間シャーリーは背中を優しくさすってくれた。
ゴホゴホと呼吸のタイミングが重なり、咽せながらも地面を汚した。これ迄に様々な体調の変化はあったが、ここまで酷い事は初めてで、経験した事のない治らず、次々と吐いてしまうのは辛く苦しく、自然と涙が出てしまい様々な気持ちが溢れていた。
正直、自分自身でも驚く量を出せるだけ出すと、シャーリーは綺麗な布で口を拭ってくれたのだ。
「大丈夫ですか?気分は少しでも良くなりましたか?」
「ありがと…すっきりした…路地裏汚しちゃってごめんなさい」
自分が惨めに感じてしまい、涙が溢れてくる。王都の政策で綺麗にされた路地裏、それを汚してしまった事や体調が急に悪くなった事も含めて様々な感情が溢れてしまった。
シャーリーは早く邸に向かいましょうと私を抱き抱えようとするので「服、汚れちゃってるから、歩くよ…」とシャーリーに付いてしまわない様にと思い話したが、シャーリーは「気にしませんよ、嫌とも思いません、ですので、こんな時は私にお任せください」と優しい笑顔を見せてくれた。
シャーリーは抱きしめ、優しく撫でて「私が後で綺麗に致しますから、どうか、お気になさらないでください、今は体調を良くしましょう」と声をかけて、そのまま抱き上げると馬車に戻る。回復薬が原因ではなく、他が悪さをしていると思ったが、シャーリーに使用禁止と言われて、目を閉じ身体を少しでも休めることにした。
「あれ…私、寝ちゃった?」
いつの間にか寝てしまったようで、気がつくと真っ暗な空間、いつもの光景が広がっていた。夢の中ということで当たり前だが、身体の気怠さもなく、問題ない動きができることに喜びを感じたのだ。
そして、頭も働く今、原因を考えることにした。
「確か、急に体調が悪くなったけど、原因は思い当たらない。可能性はアルテア様が取り除いた使役蟲ぐらいだけど、あれに関して情報が無さすぎる…もっと詳しく話を聞くべきだったよ」
最初は魔力の枯渇を考えたが、リングへの魔力移動は念の為、昨日行っていないので違うと思う。王城に滞在する間、何度か気晴らしに魔物退治を行ったが、魔法はうまく使えた事や体力と魔力の回復速度を強化してるので、消耗の類ではないだろう。
いくら考えても使役蟲ぐらいしかない、色々な人と会った事も考えたが、身体の症状を考えると会うだけで発生したとは思えなかった。今後悔しても遅いのだが、アルテアに話を聞くべきだったと思った。
精霊召喚ができるならウィンディーネを呼び出す事で、身体の不調は確認できるが、次元収納とは違い、魔力を使う。そうなれば、今の私では上手く使えないだろう、体力面なのか、魔力面なのか、回復薬で少し良くした後に召喚を試みようとしたが、あの気持ち悪さは拒絶反応に近い為、自然治癒に任せた方が良いだろう。
「私の中に隠れてる人?何かしらない?」
偶に聞こえる声、本当に存在するか不明だが、何度かこの空間でも声を聞いた気がする。藁を掴む気持ちで声に出すが、分かっていた結果、無反応だった。
肝心な事を答えない声、勝手な事を私に言って身体を動かした事もある。勿論それは、私の中にいるとは限らない。実際に私の身体を調べたが、特に異変は無かった。干渉の可能性が高い事から声をかければ伝わり、反応があるのでは?と思ったのだ。
夢から覚める前兆の薄れ始める空間、覚醒を感じて身を任せた。
ほんの一瞬、暗い空間と現実の合間に異常な光景が見えた気がした。部屋一面が夕焼けのように赤く染まり、残酷な光景、辺りを確認する間も無く、現実の私は目を覚ました。
「うぁ…?ここは…?」
目が覚めて、見えた天井は王城ではなく、シャーリーの話を思い出すと王都の邸だと理解した。
「一瞬見えたのは何?考えると頭痛いし身体重いや」
仰向けの状態から起こそうとしたが、重く感じてしまい諦めた。熱さや息苦しさから寝ている間に少し回復したのではと思ったが、良くなったようには感じなかった。
扉が開くと、シャーリーが様子を見に来たようで部屋に入ってきた。私の目が覚めた事を理解すると駆け寄り声をかけてくれた。
「アニエスお嬢様!目が覚めたのですね!!良かったです…」
「また心配かけちゃったね」
シャーリーの悲しむ顔はあまり見たくない、すごく苦しそうで、私も苦しく感じるからだ。
「お身体はどうですか?」
シャーリーは私が答える前に到着した後、邸に治療院から人を呼び確認させたらしく、身体的な外傷もなく、様々確認したが、病気なのか、それとも違う何かなのかさえ、分からなかったと教えてくれた。
「吐き気はないけど、他は変わらないかな」
シャーリーが話をしている間に身体の調子を確認して、そう返した。シャーリーは「何かして欲しい事はありますか?」と言うので、私は汗が気になり、拭いて欲しいと伝えた。
「準備をしてまいりますので、少々お待ち下さい」
シャーリーは私の頭を優しく撫でると、そう言って部屋から出て行った。
「はぁ…何だろ…食べた物が悪かったのかな、呪術は…いや、あり得ない、食べ物関係なのか、使役蟲なのか、心当たりもなくてモヤモヤするよ…」
すぐシャーリーは戻ってくると、濡れた布で軽く身体を拭いてもらい、その後に乾いた布で拭いてもらった。
濡れた布は冷たくて気持ちが良く、サッパリした為、幾分か気持ちが晴れた。
「回復薬は絶対禁止、他に魔力を用いる事も良くなるまで禁止ですよ」
拭き終わると、シャーリーにそう言われて私は渋々承諾するしかなかった。その時ふと、気がついた事があり、あれから時間はどれだけ経過したのか、領地に戻る手筈だったはず、どうなっているのかと気になり聞いた。
「アニエスお嬢様はお身体を休める事だけに集中して下さい」
私の問いにシャーリーはそう答え、続けて私が寝た後、邸に到着して治療院の診察中にお父様やお母様には伝えたようだ。一度、二人共私の様子を見に来て、帰る日を変える話をしたのだが、今回戻ることになった理由、領地で発生した問題があり、どうしても戻らないと行けないようで、悔やみながら先に領地へ戻ったようだ。
(私より優先する問題って…何が起きているのか気になる)
シャーリーはアルテアにも話をしたようで、捕まえた使役蟲を調べるために魔王城のラキアの元へ向かったと言う。
私はアルテアが付いていかず、シャーリーもこの場にいる事から護衛面を心配したが、代わりにお母様は魔法騎士をお父様は冒険者組合から高位冒険者を雇って、出立したらしく、心配はせず、身体を休めて下さいと言われた。
それにしてもアルテアに使役蟲の話を詳しく聞こうと思っていたが、先に動いた事から、何かしらの関係がありそうに思えた。
「皆様、アニエスお嬢様が心配なのです。ですので、身体をよくする事だけ考えてくださいね」
シャーリーは私の頭を優しく撫でると、やる事があり少し離れると言って部屋から出て行った。その間、部屋の前にメイドを待機させ、三十分おきに様子を見てくれるそうだ。
いつもなら過保護すぎと言うのだが、今回は甘んじて好意を受けることにした。
「私の身体早く良くなってよ」
ポツリと口から溢れた言葉、自身の回復速度を信じて後は神頼みをしつつ目を閉じ休めることにしたのだった。
私は夢を見ているのだろうか、暗く窓のない部屋、辺りに夢の中でも濃く感じる血の匂い、目を背けたくなる人だったモノ、今の世界で見る事が無いような中が真っ赤に染まる大きな容器、ぼやけていた視界は鮮明になり、様々な匂いも強く感じ始めた。
「何かの実験場なの?」
夢のはずが、現実のように感じてしまい、残酷な光景に気持ち悪くなり口を手で押さえた。幸いな事は、やはり夢なのか気持ち悪さだけで、それ以上はなかった事だ。
しかし、夢は覚める気配がなく、感じる感覚も増えていき至る所から助けを呼ぶ声や何をされているのか想像したく無い叫び声が聞こえ始めて、身体の震えを感じると蹲り、両耳を抑え、早く覚めてと願ったのだ。
(何これ、怖い怖い、こんな夢見たくない、目覚めてよ!誰か助けて)
目を瞑り心の中でそう言い続けるが、一向に終わらない悪夢、夢なら違う場面に変わってと願うが、それも叶わなかった。
夢、夢のはず、しかし、足下に生暖かい感覚を感じると、閉じていた目を恐る恐る開いて自身の足を見る。私は靴を履いていない、それどころか気がつくといつの間にか衣服すら纏っていない、そして足下の生暖かい感覚は周囲を真っ赤に染めた液体が原因だった。
いつのまにか最初に見た石のような床は真っ赤な液体で満たされ、驚き姿勢を崩した事で、後ろに手を付いた。ぴちゃっと音と共に液体を触れた事で「嫌っ!」と声と共に震える身体で立ち上がり、逃げようとした。
真っ赤に染まった手、足下に感じる生暖かさ、逃げるために走ると感じる水音、周囲から聞こえる悲鳴、気が狂いそうだった。
「もうやめて!!」
いつの間にか泣いてしまい、走りながらやめて!夢から覚めて!誰か助けて!といいつつ少しでも悲鳴が聞こえない所にと走り続けた。
『次の処理だ!悪魔の娘、闇の泥を晴らす贄となれ、血の一滴まで供物に捧げる』
走る私の真横から恐ろしいような声が聞こえると腕を掴まれ、身動きが取れなくなった。そして、言葉の途中で聞こえた悪魔の娘、意味は分からなかったが、言葉の通りなら間違われているのだろうか、私は違うと伝える意味は無いと分かりつつ、逃げたい一心で必死に叫び伝えた。
「やっ!!嫌!離して!!私は悪魔の娘じゃない!人違いなの!」
『闇の泥を振り撒いた悪魔の娘、代償なしに逃れれると思うな、アンジェリカ、苦しみ懺悔するまで永遠に繰り返してやる』
聞いたこともないような悍ましい声、アンジェリカと呼び、私の腕を掴む手は真っ黒のまるで闇、その腕と繋がる身体は人とは思えない体格の男から、振り解こうとしても全く動かない、もう片手で掴む手を叩いたりするが意味はなく、赤い床を引き摺られて、痛みを感じながら連れていかれた。
「アンジェリカって誰!?人違い!私はアニエス!!痛い!痛い!!離せ!!離してよ!!」
夢の中で魔法を使えるはずもなく、唱えても何も起きない。それよりも痛みを感じた事で、私は血の気が引いてしまった。
「うそ…痛い!」
痛みを感じる夢、私は過去に経験があるので、夢でも痛みを感じる事が理解してしまう。この状況で、私を引き摺る男は処理と言った事を思い出すと、頭が真っ白になりかけた。このまま、何も考えずに目が覚める時を待つのもいいかも知れないが、引き摺られた事で周囲の光景は変わり、所々にあるモノが何か分かってしまい、一段と大きな声で叫び助けを求めた。
連れていかれる際、壁に突き刺さる剣が目に映る。その剣に反射するように映り込む姿、引き摺られる私の姿は知らない女性だった。
冷静になれば、自身の身長がいつもと違う事や姿を見なくてもある程度の違いも分かったはずだが、この状況では無理は話で、映り込む姿を見てようやく私ではない事を理解した。
夢が作り出した幻想、それとも無意識の間に何処かであった女性だろうか、夢である以上考えに意味はなく、分かっているのはこの後の結末だ。
終着点に着いてしまい、私は血生臭さが強い台に乗せられると、両手両足を固定された。その間も無駄と分かりながら暴れるように逃げようと試みた。器具で固定されると全く動かなくなり、震える声でやめてと言うしかできなかったのだ。
「やだやだ!!何考えてるの!」
震える声を威勢で隠し、限られた見える範囲に映るゲームで見た事がある武器、三叉槍を掌に突き刺そうとしていたのだ。
「ま、待って!そんなことしなくても動けないから!」
動きを止める目的ではなく、間違いないのは痛みを与える目的だ。
「ッ!!ぎぃッ!!」
勢いよく掌を貫かれ、鋭く激しい痛みと熱を感じる。叫び声すら出ない程、激痛を夢のはずなのに感じてしまう。そして、最悪で嫌な予感、片手だけのはずがなく、心構えをする前に反対側も貫かれてしまった。
「な…んで…こんな…酷い目に…」
理不尽を通り越えた夢、誰が何のためにと思える夢、私の深層心理が見せているのだろうか、それとも体調が悪いから?理解できず、理解したくない、もう嫌だ、誰か助けてと心の中から祈るしかなかった。
「怖い痛い怖い痛い…」
幻痛のはずが、夢のはずが、この実際に感じたような痛み、痛めつけている男の顔が見えたが、顔が黒く穴が空いたように見えた。それよりも視界に映った赤く染まる大きな刃物、それが見えてしまい声も出なくなると歯をガチガチ鳴らす事しかできなくなってしまった。
殺傷能力より違う目的に思えるギザギザの刃、手入れもされていないのか、赤錆も見えて目を離すと心が壊れる気がした。
それが徐に腹部の上に移動すると、勢いよく下に落ちた。
切れ味が悪く錆びている為、一瞬で終わらない痛み、明らかに長く苦しめる目的の動かし方、叫び続けるしかできなかった。
「ぎゃああああ!!」
大きく叫び、身体は跳ね上がり、目が覚めた。
「私だよね…ああ…戻れた…」
荒く呼吸をしながら周囲を見渡す、王都の邸に間違いはなく、安堵から涙が流れてしまった。
勢いよく扉が開いて、シャーリーは「アニエスお嬢様!!」と切羽詰まる表情をしながら部屋に飛び込んできたのだ。
「じゃありぃぃ!!ごわがっだぁぁ!!」
シャーリーを見た事で、泣きながら怖い夢を見たことを伝えると、シャーリーは少しホッとした表情で近寄り、身体を起こした私を抱きしめ頭を撫でながら「怖い夢を見たのですね」と優しく声をかけてくれたのだ。
シャーリーの温かさで気持ちは安らぎ、暫くすると涙も止まった。
「ありがと…すごく怖くて、取り乱しちゃったの…」
気恥ずかしさを感じながら、シャーリーに感謝を伝えた。
シャーリーはどんな夢なのかと聞く事はせず、私も思い出したくない為、二度と見たくない、早く忘れてしまいたいと夢特有の曖昧さから忘るることを願った。
思い返すのも嫌な夢、現実感が強くて気が狂いそうになる夢だ。
そんな事を自然と考えてしまい、頭を左右に振りダメダメ、忘れないとと思った。
「凄い汗なので、身体を拭いてお着替え致しましょう」
シャーリーの言葉で、汗がすごいことに気がついたが、それ以外に涙や様々な原因で濡れたように感じて、肌に吸い付く気持ち悪さもあり「うん…お願い…」とシャーリーに伝えた。
部屋の中に衣服はある為、シャーリーは用意するとベッドから私を移動させて、汗を拭い着替えさせてもらう。その後、シャーリーはベッドも汗で濡れている事から、違う部屋で寝ることとなり、移動させてもらった。
「私の側に居て…一人だと怖いの」
私自身、分からないまま気がつくと、そう言葉にしていた。
「何かあれば夢の中でも助けに向かいますので、安心してゆっくりお休みください」
シャーリーはそう言い、私は心が温かく感じると安心感から瞼が重くなり、すぐに目を閉じて身体を休めた。
そして、次に気がついたときは朝で、その間の記憶はなく、あの真っ暗な夢も見なかったのだ。
「アニエスお嬢様、おはようございます」
「シャーリーおはよう」
「顔色はだいぶ良くなってますが、お身体は如何ですか?」
私は腕を動かしたりするが、昨日の重い感じはなく、頭もスッキリした事で「良くなってる!」と声に出した。
あの夢は体調が悪いから見てしまったのだろう、発汗した事で体調も良くなったと考えれば、回復した理由も納得できる。普通の体調がこれほどまでに嬉しく感じたのは初めてだった。
お読みいただき、ありがとうございます。
表現を優しく変えたのですが、嫌悪感を感じる方が多ければ今後の流れを考え直します。
三叉槍は先が3つの槍です。釵でも良さそうな使い方ですが、少々訳ありなので槍です。
帰る予定が!!ですが、これは元々ある流れです。
現代と違い病気の種類は風邪以外、殆ど分からない世界です。
勿論、特効薬となる薬はありません…
身体の調子が悪いと気が弱くなり、この間はかなりおとなしく弱ってます。
一応ですが、状態異常と病気は扱いが違う為、効果ないです。ゲームに病気という設定がない為に機能してません。毒、麻痺、混乱等の異常効果で、既に防げない毒もありましたが、そういう処理がされる耐性とお考え頂ければ幸いです。




