89話 魔法学園入学式典
皆様、いつもありがとうございます。
少し長くなりました。
私は部屋で複数のメイドやシャーリーに身支度をされている状態だ。
いつもと違い髪型も変える為、時間がかかり身動きを取れない事から目を閉じて独り言を言わない様に気を付けている。どうやら私は無意識に何やら呟く事がある様でシャーリーに注意をされた為だ。
様々な事で驚いたけど、一番はローランの強さに再度驚いた。マリーも相当強いはずなのに模擬戦ではマリーは勝てなくなった事や単騎で大型の魔物を倒したり、私が渡したアイテムポーチに食料を詰めて短い古代遺跡を一人で楽々踏破したりと元の強さも不思議に感じてたけど、雷水晶の適応を身体に取り込んだ為、人の域から外れかけてるようにも感じたね。腕も治さずに受け入れると言っていたし、今では短時間だけど、風の上位属性となる雷を使いこなしてる。悪影響が無ければ良いんだけどね。力を得た代わりに失う力もあり、白銀剣や鎧が上手く使えないと言っていた。左手で白銀剣の力を解放しなければ振るえるようだけど、右手だと使うだけでも痛みがあると言って、私とウィンディーネで調べてみたけど原因不明だった。あくまで私の勘だと白銀の力は特別な力じゃないかと思っている。
「アニエスお嬢様、後少しで終わりますので、起きて下さい。アニエスお嬢様、聞いてますか?本日は大切な日ですから、しっかりしてくださいね」
目を閉じている私にシャーリーはそう言った。
式典に参加をした後、領地に帰ることになる。式典には入学する関係者や王族、貴族、様々な分野の偉い人が来るようで、それを聞いた私はやんわり断りたかったが、リディアは私がいないと耐えれないと懇願した事で参加を決意したのだ。
「そうだね!シャーリー!私頑張るよ!」
やる気を出し、こぶしを作りそう言葉にすると、シャーリーは「前向きになるのは良い事ですが、騒がず見た目相応の子供になりきってくださいね」と言うのだ。
私を知っている人達だけなら気楽だけど、式典には他国も参加するらしい、それで、目立つ事は禁止と言われたのだ。
アルテアとラキアの設計で、色々な防衛機能は設けているので大丈夫と言う。私の魔導銃が間に合えば良かったが、色々な面倒が発生した事や試作魔導銃の悪い点を直さない限り運用できない為、仕方がなかった。
「アニエスお嬢様、終わりました。何処から見ても可愛いですよ!」
「か、揶揄わないで!!」
ハイテンションのメイド達がそう言う為、私は恥ずかしくなってしまった。
私は式典用の服装と髪型に変えられ、あまり好きではないフリフリ、ヒラヒラ多めの服に装飾も付いて、髪にもアクセサリー、靴も可愛さ重視の物に変えられた。メイドは似合う服を用意したと言っていたが、出所を問い詰めると、どうやら色々な人に仕組まれた結果のようで、目立たない事を祈るばかりだ。
「そう言えば、シャーリーも今日はメイド服じゃないんだね」
改めてシャーリーに聞いてみると、シャーリーは「本日は一応公式の場ですから、メイドの身分で参加は難しいのです。それで護衛という名目で参加いたします」と答えた。
よく見ると確かに護衛としては完璧な装備で、騎士甲冑も似合っている。腰には魔法剣ではなく、二本の短い剣を装備している。正直カッコいいと思った。
「ちなみに式典って、何か起きる可能性あるの?」
「今まで一度も問題は起きた事がないはずですね。王国の敷地内ではありますが、魔法教会は管轄が特殊で何か起こせば大変な事になると誰もが分かっているからでしょうね。今回は直近で起きた事があり警備を強めてるのと、魔族領の方々が力を貸してくださり仮に竜が現れても対処可能でしょう」
シャーリーの話を聞いて納得しつつ、よくある展開のフラグにも聞こえたが、それはゲームならばの話で、シャーリーが言う様に直近の出来事を考えれば他国が集まる中、何か事を起こす者はいないと思う。
そもそも基本的に何かをするわけではなく、話を聞いているだけとお父様は言っていたので緊張はしない、式典よりもリディアに渡すタイミグがなかった本をどうするか考えてしまう。お別れするときに渡すのでいいかなと考えていた。
コンコン
扉がノックされ、外のメイドがお父様の到着を知らせた。私は入ってもらうように伝えるとメイドが扉を開けて、お父様が部屋に入ってきたのだ。
「ほう、本当に可愛らしい服を着ているな、いつもその姿ならアンナも喜ぶのだがな」
部屋に入って最初の言葉がそれとは、私は少しテンションが下がった。軽く挨拶を交わして、言われた事のお返しとして「本日着る以上、次着るのはいつになるかお約束できないですね」と言ってみたが、すぐ着ることになるだろうなと言われてしまった。
馬車の用意が終わったらしく、お父様はそれを知らせに来たと言う。既に国王陛下やフレデリカ様が待ってると言う為、それを早く伝えてくださいと返し、急いで向かう事にした。
長く滞在していた事で慣れてしまった王城、国王陛下が伝えた私の話は子供という事もあり、皆はあまり声をかけてくれなかったが、慣れてくると話ができる人も増えていた。毎回、王城から外まで付き添ってくれる騎士やメイドも友達のような話をしたりした程だ。
「あっ!お父様、アルテア様は参加するのですか?」
気になっていた事だが、聞くタイミングがなかったので、聞いてみた所、アルテアは念の為参加せず、王城から万が一の時は対応できるようにするらしい、異界の敵側でもある忌龍、そして配下となった悪魔、原典も含めて用心するに越したことはないと言ったようだ。
ラキアは未だに魔法剣改を調べている。途中報告では属性珠の代わりに制御道具を取り付けて力を弱める事を考えているようで、その製作を行っていると聞いた。鞘の問題も同時に解決できるようで、異界にある黒曜石を利用した鞘を作っているので、思った通りラキアに頼んで良かったと思っている。
私達は騎士に囲まれながら王城を進み、正面入り口まで向かうと、外に大きく豪華な馬車が止まっていた。王城に繋がる橋のサイズを考えるとギリギリな気がする馬車、金の装飾だけではなく、宝石も付けられて、それを引く馬も私が知る馬とは違い、足の数が多かった。
お父様に聞いてみた所、王族用の馬車らしく、引く馬は魔獣扱いの馬という事や周りについている装飾は目立つためではなく、金を使い魔力抵抗を高めて魔法攻撃に耐えれるように付けられている事や宝石は魔法が込められているらしく、割れたら攻撃者に魔法が飛ぶと教えてくれた。
「アニエスお姉様!お久しぶりです!お会いできて嬉しいです!」
「フレデリカ様、私もお会いできて嬉しいです。とてもよく似合って美しいですよ!」
私達が到着した事に気がついたフレデリカ様は馬車から降りると走って近寄り、そう言うのだ。私も同じように言葉を返し、いつもより更にお姫様の姿をしている事や煌びやかに光る服は素晴らしく、美しいと言葉にした。フレデリカ様は恥ずかしいらしく、両手で頬を抑えて「アニエスお姉様の方が可愛いです!」と言うのだ。
「あれ…意味が違ってない?」
美しいと伝え、返ってきた言葉は可愛いと意味が変わっていた。悩んでいた私にフレデリカ様は駆け寄ると、私の姿を様々な角度で見て「素晴らしいです!可愛いです!似合ってますわ!お父様も早く来て見て下さい!」とハイテンションで時折その場で飛んだりしながら国王陛下を呼びつけたのだ。
私は流石にと思い、フレデリカ様を落ち着かせようと言葉を言うが、やたらテンションが上がったままのフレデリカ様には聞こえてないようだ。
「今日はすまんな、堅苦しいと思うが我慢してほしい、それにしても見違える程だな…」
降りてくる必要はないはずの国王陛下は馬車から降りると、フレデリカ様が呼ぶ私の所に歩きながらそう言った。私は頭を下げて挨拶を行い、ふと先程言われた言葉が気になった。
(見違える程って…どういう意味なのかな…普段私ってどう思われてるの?)
「国王陛下、そろそろ向かわないと遅れてしまいます。ロビン辺境伯もお乗りください」
収集がつかなくなったこの場を収めて馬車に乗るよう言ったのはアルデアル公爵で、公的な場以外では会う事も少なく話をする機会も殆どなかった。本来は簡単に合ったり話したりできる方がおかしい、国王陛下に代わり王国の様々な事を担い実質動かしている人とお父様から聞いている。そして同時に油断できない人、私の事はある程度しか伝えてないらしく、アルデアル公爵の前では迂闊な力は使うなとも言われている。
豪華な貴族服に見えるけど、よく見ると何か鎧を着ているようで、気になり魔力眼で見ようとした。その瞬間、鋭い目線を向けられヒィッと声が出そうになってしまう。
「どうされました?お二人も早くお乗りください」
国王陛下に話しかけた時と同じ口調なのに冷たく感じる言葉、たじろぐ私だったが、フレデリカ様が「今向かいます、アニエスお姉様、行きましょ!」と私の手を握り引っ張ってくれた。フレデリカ様の手は温かく、内心ホッとしながら足を動かして、すれ違う際に挨拶を行い、フレデリカ様と同じ馬車に乗り込んだ。
リディアが謁見した時怖かったという意味がわかった気がする。お父様が言うには昔から冷徹で無情、必要ない事や者は切り捨て、身内であっても悪事を行えば処刑する人と聞いた。お父様の話は間違いないだろう、あの鋭い目は何か本質を見抜く感じがする。それと、魔力眼を使い見た時に睨まれたのは偶然だろうか、いずれにしても気をつけなければならない。
「アニエスお姉様!聞いてますか?」
フレデリカ様が声と共に私の身体を揺らした事で我に帰り、いつの間にか王城の橋を渡り終え、王都を馬車は走っていた。
「フレデリカ様、お、お願いします!揺らさないでください!」
揺らされ続けると気持ちが悪くなるので、止めてもらい考えをしていた事と謝罪を伝えた。するとフレデリカ様は「むすっとしたお顔で考え事をすると折角可愛い服が台無しになってしまいます!」と注意を受けた。その言葉からもしかしてと思い、この服はフレデリカ様の選択なのかと聞いてみると「はい!似合うと思い前もって作らせた服です!思った通り、可愛らしくお部屋に閉じ込めておきたいぐらいです!」と目を輝かせて言うのだ。
フレデリカ様もリディアと同じぐらい可愛くて好きだが、時折見せる触れてはいけない言動は恐ろしく感じてしまう。更に怖いのはリディアと気が合い、時折私の話を二人でしている事を知っている。それもフレデリカ様は部屋に呼び長時間話すことも知っている。最初は身分の違いで萎縮していたリディアも回を増すごとに打ち解けて今では友達のような感じだ。せめてリディアは清らかなままで居てくれる事を私は願うしかなかった。
「もう!また聞いてなかったですよね!今日は私が代表で話をするのと魔法を使うので、しっかり見ていてくださいね」
再度揺らされ、私は必死に見る事を伝えた。
「式典ってどんな感じなのですか?お父様から話を聞いていれば良いとしか分からないので、教えて頂けますか?」
折角なので、予め行う事が分かっていれば振る舞い方も考えやすいとフレデリカ様に聞いてみた。
「そうですね、私が知っている範囲でしたら、お父様のお話から始まり、魔法学園長のお話、私のお話で魔法使う流れのはずです。目的はお話より、入学生同士の交流やお父様達が他国の方とお話しする事ですね。料理が置かれているので、食べたりするのも楽しみでしょうか」
フレデリカ様は私の質問に答えてそう教えてくれた。話が長いのは退屈かもと思ったが、どうやら長くはないらしく、目的は交流らしい、会食目的の集まりは王城で一度だけ行ったが、確かに美味しいものが並び楽しかった。自分で食べるものを選ぶ事があまりできない為、新鮮さがあると言う方が正しいのかもしれない、それはフレデリカ様も同じようで、楽しみにしていると言った。
この後の楽しみからか、テンションの高いフレデリカ様とお話しをし続ける事にした。フレデリカ様が楽しそうに話すのを聞いているだけで声が特別なのか私も楽しく感じるからだ。お父様に聞いても分からないと言われた初等部の入学生、どんな人が来るのかとか、フレデリカ様は王城から通うのかとか様々な話を聞いたのだ。
お母様は守秘義務という事で話してくれなかった初等部の入学生、今回はリディアも入る事もあり、かなりレベルが高くなるらしい、本来は入学する事が少ない中央教会からも一人来るようで、それを聞いた時、魔族なのだろうかと思った。軍事国家は今年入学する人が居ないらしく、あの騒動を考えた上での対応なのかとも思った。冒険者が多く冒険者組合の本部がある共和国からはそこそこ入学するようで、既に冒険者として活動してる者もいるらしい、そんな話を聞いていると楽しく思え私も入学したくなってしまうほどだ。
魔法学園内に寮もあり、基本的には外出は申請が必要となる。その代わり敷地内は街が存在するような生活に困らない充実した店があり、学生寮は生徒なら無料で使えるので、大抵の者はそこに住む事になる。フレデリカ様は王城から通うのかと思ったが、距離の事や寮での生活に憧れてるらしく、皆と同じように敷地内の寮に住むと言う。魔法学園は身分による差別は禁止なので、フレデリカ様は大丈夫だろうかと少し心配になった。
「敷地から簡単には出れないなら冒険者の依頼って、どうやってやるのかな?」
ふと疑問に思ったので口にした。リディアは確か、当初はその間のお金稼ぎで冒険者をやりたいと言っていた。今ではもう稼がなくても良いほどあるが、お金というより人助けをしたいらしく、入学しても行うと言っていた。私の疑問にフレデリカ様は「簡単ですよ、敷地内に冒険者組合があるのです。討伐系はありませんが、採取などは受けれますね」と教えてくれた。更に私が聞くと思ったのか、付け足すように「一応、冒険者の銅ランク以上なら申請なしで王都の冒険者組合を利用できます。あくまで冒険者組合に向かう事が許されてるだけなので、他の場所に行く事や門限を超える事は許されてません。魔物の討伐依頼を受ける際は必ず学園内の管理者に許可をもらう必要もあるのですよ」と教えてくれた。
どうやら私が知っている以上に魔法学園は暮らしやすくなっているようで、成績によりお金が貰えたり、学園内の冒険者組合は生徒なら誰でも使える専用で、広大な敷地ゆえ、採取依頼や各店の手伝いが依頼になるようだ。既に冒険者の者で、今後の為に本来の依頼を受ける者は王都の冒険者組合に行く事が許される仕組みは抜け穴が多いと思う。とは言っても魔物討伐は許可制としても依頼は様々あるので、王都を利用する人は多いように思う。
「アニエスお姉様が入学する時には強く言われると思いますが、魔法教会内にある古代遺跡は生徒の探索が禁じられてます。授業で数回使用するとは聞いてますが、危険な場所なので通常時は禁止されているのです」
フレデリカ様は私をどう思っているのだろうか、確かに探索してみたくなる気持ちもあるけど、生徒が行くのは危険だし、寮に門限がある事を聞いてるから普通は行かないと思う。
それにしても聞くたびに魔法教会は色々な意味で驚かされる。目で見るまでは少し大きな敷地と思っていたが、実際目で見ると王都と変わらないほどの大きさが隣接している。一度敷地内を案内してもらった時は移動に馬車を使っていた事や歩いた時もかなりの距離を移動した。大半は研究や実験に使われる場所だが、小さな街があるように店が並び、寮以外にそこで働く者が住む家もある。人工的に作られた森や泉、作物を育てる畑、極め付けに古代遺跡も存在する。まるでゲームの中にある都合の良い設定と思ったほどだ。ゲームを世界として現実化させたからそう言う意味では普通なのかもしれないが、不思議な感じには変わらないだろう。
王都を馬車で移動して、揺られながらお話や窓から外を見たりと時間が過ぎるのが勿体無いと思う一時だった。
フレデリカ様がもう少しで着くと言うと、景色も違って見える。研究棟が立ち並ぶ姿や堅牢な塀、周囲には常に警備を行う者がいる。敷地内には魔法騎士が警備を行い、他国から来る者に万が一がない様にと安全さが追求された結果だ。
魔法教会に入る正面入り口になるだろうか、大きな門がある場所に近づくと既に様々な馬車が止まっているのが見えてきた。中には豪華な物や反対に本来の普通な馬車もある。入学する者はお金持ちや貴族だけではない為だ。
馬車の進み方がゆっくりになり、少しすると止まった。外から騎士が出迎えて、フレデリカ様は「アニエスお姉様、降りましょうか」と微笑み私も頷いた。窓から見るのと違い、入り口は大きく、前回はゆっくり見てなかったことも含めて改めてすごいなと思った。
「それではアニエスお姉様、私は入学生の集まる場所へ向かいますので、行ってきますね」
「頑張ってください!あ、それとリディアを宜しくお願いします!」
今生の別ではないのと、今日はあくまで入学式典で本当の入学は少し後だが、手を握り合い応援をする事にした。
握り続けるわけにも行かないので、離して手を振り見送り、フレデリカ様は優雅にスカートを持ち上げて仕草で返す。周りから気品ある姿から姫様という事がわかっている様で、様々声が上がり、手を握り会話をしていた私に注目が集まる。その視線から逃げる様にお父様の近くに向かった。
国王陛下やアルデアル公爵は既に王族用に用意された席へ向かったらしく、姿は見えなかった。お父様は私がフレデリカ様と別れるのを待っていてくれた様だ。お父様にリディアはもうついたのか聞くと、お母様と共に既に着いている事を馬車を指差し教えてくれた。入学生は先に集まり、何やら話があるらしく、早く到着している様だ。それを聞き、フレデリカ様は遅れているのではと焦ったが、王族だから大丈夫だろうとお父様は軽く言うのだった。
魔法教会は身分の差がないと言っても王族用の席があったり、一部の貴族は身支度を整えるメイドを連れて行けたり、王都に邸があれば、通う事が許されたりと優遇されている気がする。権威に屈しないとはいえ、色々難しいのだろう、だからこそリディアは心配で、フレデリカ様にお願いしたのだ。
リディア本人に対して何かされる事は心配していない、リディアは下手な大人より強いからだ。それに付人でローランが滞在する。本人に聞く所、魔法とはかけ離れてるのに臨時講師をするとか言っていたので問題ないはず、もしリディアに何か手を出す者がいるなら、私の代わりに防衛装置が許さないだろう。私の心配は友人ができるかどうかで人付き合いの方が心配なのだ。
「う〜、リディアには色んな人と仲良くなってほしい反面、リディアに合わない時間が長いと私の事忘れちゃわないかと心配だよ…」
無意識に声として出していた様で、それを聞いたお父様は「アニエス、お前は何を言っているのだ…」と呆れ顔で言うのだ。
「シャーリーは何処ですか?」
こんな時はシャーリーが直ぐに私に対して何か言うのだが、改めて辺りを見てもシャーリーの姿がなく、お父様に聞いたのだ。
「シャーリーは式典の守衛室に向かい話を聞いてくると言っていた。今日は気を張る必要がないと言ったのだが、念には念をと警備を確認するそうだ」
シャーリーらしい行動に思えた。周囲を見渡しても確かに見知らぬ人や他国の人も多いので、シャーリーの気持ちも分かるが、魔法教会の敷地に近づいた時から感じていた何かの魔法で覆われている事や堅牢な城壁と間違える外壁は常に人が立ち周囲を見渡し、疎らだが大型の矢を放つ兵器や弓を持つ者もいる。それに魔法教会である以上、魔法を使えるはずなので何が事が起きるものなら大変な事になるだろう、そもそも魔法騎士も居るので、そんな気を起こす者は居ないはずだと思った。
お父様は挨拶に来る人をある程度対応すると「そろそろ向かうとするか」と私に言いながら、「ああそうだ、私の側を離れるなよ、知らない人について行く事や何か聞かれても安易に答えない事だ」と半分揶揄い、半分注意する事を付け加えた。
「流石に子供じゃないので、大丈夫です」
「子供だが…更に言うと心配だから言葉にして伝えたんだぞ」
うがーっと声を出したい気持ちだが、周囲の目もあるので堪えて「こ、子供じゃないので反論しません!」と私が言うとお父様に「都合のいい時だけ子供と主張するよな」と言われたのだった。
お読みいただき、ありがとうございます。
少しでも流れが伝われば良いのですが、正直自信がない今日この頃です。




