7話 魔法特訓と服の仕立て
いつもありがとうございます。
長くなり読みにくい箇所あると思います。
細かく書いたのもありますが、細か過ぎて省略しました。
主人公視点となります。
リディアと出会った所からです。
予想外の出会いであったが、私は物凄く悪巧みをしてしまう。
つまり、利用し合えばいいのだ。
私は、この世界の魔法を使いたい。
リディアは、魔法を上達したい。
そして、その先に繋がる事も考え済みだ。
『マスター、凄い悪い顔してるよ。あの子、若干引いてる』
「きにしないでくださいね」
「え、ええ。それで私は、魔法教えて貰えるという事でいいのですか?」
「だいじょうぶ。おしえるよ」
私はニッコリと笑顔を作り答えた。
しかし、リディアは後退りをする。
なんで!
『マスター、時間大丈夫?もうすぐ夜明けだけど』
「ごめん。きょうはかえるから、またここにきて」
「えっ?はい。いつ来ればいいのでしょうか」
「3かご。じかんは、きょうよりはやくきて」
私はそう言うと、シルフを球に戻し杖を収納して飛行魔法で急ぎ戻る。
下でリディアが騒いでいたが、気にしてる場合ではなかった。
自室の窓に戻ると、中を覗き素早く偽物と入れ替わった。
はぁ、今日は色々あったな。
朝だけど正直もう眠い。
私はそのまま、眠りについた。
朝日が眩しい、もう朝か寝足りない。
「お嬢様、おはようございます。体調は大丈夫ですか?」
「おはよう。だいじょうぶ」
シャーリーは部屋に入ると、すぐ私の体調を気にしていた。
痛みはあの時しか感じないので、特に問題はなかった。
その後、お母様とお父様が部屋に入り、今日は一日念の為寝てなさいと言われた。
正直、眠かったので助かった。
「わかりました」
私がそう言うと、お母様とお父様は出て行った。
あれ?シャーリーは出て行かないの
「シャーリーは?ようじないの」
「お嬢様を見守りますので、ご安心して下さい」
シャーリーは椅子に座り、こちらをずっと見ていた。
まぁ、見守ってくれるのならいいかな。
私はそう思うと目を瞑った。
あの後は大変だった。
医療院の人が午後に来たり、お父様は仕事あるはずなのに1時間に一回は見にくる。
満足に眠らせてもらえない嫌がらせを夜まで受け続けた。
部屋で食事を食べていいらしく、シャーリーに食べさせてもらったのは楽だった。
翌日は行動を許されたので、目標の1つを調べる事にした。
魔法を発達させるには、前の世界のように魔法に特化したギルドや学園があれば進め易い。
そもそも、学園はないのだろうか。
お母様に聞いてみよう。
そう思うと、お母様の部屋へ行きノックをする。
返事があり中に入った。
「どうしたの?アニエス。」
「はい、おかあさま。がくえんってあるのですか?」
「学園ですか、王都にはあるわよ。私もその学園を卒業してるのよ」
お母様の話だと、7歳から初等部、10歳から中等部、13歳から15歳で高等部があるようだ。
その後は要職に就いたり、騎士団に入ったり、街で経験を活かして仕事についたりするらしい。
「もちろん、アニエスも通わせる予定よ。」
「えっ」
何だって!あの神の話だと私が5歳の時にマリエルが産まれる。
その2年後に王都に私が行くなんて嫌だ。
まだ、私だけとは限らない。
「えっと、みんなでいくのでしょうか」
「いいえ、学園には寮があるので、アニエスのみでシャーリーとも一旦離れることになります」
ダメだ。
学園にはあるけど行きたくない。
なんとか、考えろ私。
しかし、何も浮かばずに頭が真っ白になり、お母様の部屋を出ていくのだった。
そしてリディアとの約束の日が訪れた。
早めに眠り、夜中に起きるという成長に悪そうな事をするのだ。
偽物を設置して準備は完了。
同じ様に飛行魔法で、飛んでいくのだった。
空から地上を見るとリディアらしき人影があった。
そのまま降りたが、まずかった様だ。
「こ、こんばんは!アニエスさん!今、飛んでたよね。この前も杖が消えたり飛んで行ったり何なの!」
凄く興奮してるのか早口で喋られる。
私も答えたいが、まだ口が上手く喋れないのだ許してね。
「ひみつ」
「そんなぁ。私もできる様になれば、学園生活も楽になりそうなのに」
「がくえん?おうとの?」
「うん、7歳になったら学園に入る予定だよ。と言ってもまだお金が足りないから、それまではお手伝いでお金集めしてるの」
都合がいい。
学園に通う予定なら、リディアをまず強力な魔法使いにすれば、色々と話をしやすくなるはずだ。
「べんきょうとくい?」
「物を覚えるのは得意だけど、魔法は覚えたまま使っても上手く当たらないの」
魔法はイメージが大切だ。
この世界に伝わるやり方では、上手く行かないだろう。
「さっきのはなしは、またあとで。まほうつかってみて」
「わかったよ。それじゃあ、火の下級魔法使うね」
そう言うと姿勢を正しくして、掌を開き前に突き出す。
「火の精霊よ。熱き火で敵を燃やせ。ファイヤーボルト!」
そう言い終わると、掌の前に小さな火の矢ができて飛んでいくが、目標にした岩には当たらず、大分離れてしまった。
私が魔力感知を使えれば的確なアドバイスはできるが、経験と予測で話をするとしよう。
「まりょくがうまくまとまってない」
「え?ちゃんとやってるよ」
ふむ、どう言えばいいか…
あの世界だと魔法譲渡やスキル譲渡もできるけど、この世界で試す事はまだ出来ない。
背に腹は変えられないかな。
私は収納魔法から杖を取り出す。
存在が異質な杖だけど、便利なんだよね。
火の魔法は、火の精霊に聞くのが1番かな。
「な、何してるの。それ、この前の杖だよね」
『さぁ、創世の杖に宿る。我が、契約精霊よ。呼び声に答え顕現せよ。火の精霊サラマンダー!』
赤の珠が光ると辺りの温度が上がる様にも感じた。
姿が見えないのが残念ではある。
『我マスター、久しいな。話は大体、シルフから聞いている』
『話が早くて助かりますね。あの子がうまく魔法を使える様にしたいけど、良い方法ないかな』
「あの、今どうなってます?その光ってるのは何ですか?」
精霊の凝縮された魔力は、魔力感知がなくても一定の能力値があれば、ぼんやりとは見る事ができる。
「みえる?あかいの」
「はい。見えますけど見てるだけで、鳥肌が立ってきます」
『面白い嬢ちゃんだな。我マスター、我が少しの間なら見てもいいのだが、恐らく死ぬ。だが火の下級精霊なら問題なかろう。どうする』
サラマンダーが興味を持つのは意外だった。
精霊を体に宿せば魔力操作は上手くなるが、サラマンダーの言う通り体が耐えれなくて焼死するだろう。
下級精霊もリスクがあるので、保留する事にした。
その後、サラマンダーの助言を交えつつ私なりに頑張って伝えながら訓練をし続けた。
「まだ上手くいかないな」
「まほうはすぐうまくならない」
気がつくと時間がかなり経過していた。
時間が来た事を告げ、テキパキと精霊を戻し杖を収納した。
「つぎ、また3かごでいい?」
「ごめんなさい。来れるのが、翌日休みじゃないとダメです。お手伝いの日なの」
「じゃあいつならいい?」
「えっと、4日後なら大丈夫。」
「わかった。なんとかする」
別れを告げ飛行魔法で帰る。
私が何とかしようとしたのは時間の都合ではなくリディアの時間だ。
いい作戦があるのだ。
ニヤけながら部屋に戻って行った。
作戦は仕込みが必要なのでしばらく保留。
それまでは、少しづつリディアには成長してもらう事にした。
リディアの魔法を見てると、大体この世界の魔法についてもわかってきた。
そんな日々で時が過ぎて行った。
朝の朝食後にお母様から話があった。
「アニエス、もう少しで3歳の誕生日ですね。何か欲しい物とかないのかしら」
「お母様、服がほしいです」
私自身も正直忘れていたが、最近しっかり喋れる様になったなとは思っていた。
正直、服に興味はないが、仕立て屋にいる人に用がある。
リディアのお手伝い先が仕立て屋という事を本人から聞いていたからだ。
リディアは後1年で学園に行ってしまう。
時間がないからこその強硬手段でもあった。
「それなら、お買い物に行きましょうか」
「アニエスが服を欲しがるなんて沢山買おう!」
「お父様、沢山は必要ありません」
家族団欒で話すこの時間は楽しい。
シャーリーも家族団欒を見てニッコリとしている。
お母様も嬉しいのか、すぐ出かけようと準備をしていた。
お父様も一緒に出かけるというが、執務室に連行されて行った。
一部の貴族は移動手段に馬車を使うのだが、ハーヴィー家は使う事が少なかった。
距離が遠ければ使うが、近ければ使わないそれだけだった。
お母様は歩く事が嫌いではないので、お買い物に出かけよう。
根回しは完璧で、既にお母様の執事が服屋には通達済みである。
領民からの人気は高く歩いてるだけで声をかけられる。
通常はこの様な事を認めない貴族が多いが、両親は気にせず手を振ったり挨拶したりする。
前にお父様が言った言葉がずっと頭に残っている。
『領民を大切にしなさい。領民が笑って喜んで生活できる事が領地の繁栄にも繋がる。だからこそ領民の為には力を託す事を惜しまない』
貴族の矜持の話で付け足されたのだ。
他領も最近は同じ考えが増えつつあるが、まだ奴隷制度も残ってる隙を見せてもいけないのだ。
あー貴族って面倒だよ。
バカスカ魔法ぶち込んで世界征服もありかなと偶に考えたりもする。
もちろんしないけどね。
そんな事を考えてると仕立て屋に着いた。
店の前に店主が立っておりお母様が話しかける。
「お待ちしておりました。ハーヴィー辺境伯夫人」
「いつもありがとうね。今日は娘の服を10着ぐらい仕立てをお願いしたいの」
「えっ、1着で大丈夫ですよ」
「何を言ってるの。いつも服はいらないと言って全然少ないじゃないの、折角ですから仕立ててもらいましょう」
私の提案は却下されて何着も購入が決定した様だ。
仕立て屋なら呼べばいいじゃないと通常の貴族だとなるらしいけど、両親はそれを嫌うのでやらない。
でも、相手からしたらプレッシャー凄そうな気がする。
店主がドアを開けて中へ案内をする。
奥に貴族用の商談スペースがあるので、そちらへ案内された。
お母様が生地を見せてもらってる間に私は採寸されていく。
手際良く測り、記録していくのは凄いと思った。
「お母様、お店の中見てきてもいいですか?」
「いいですよ」
お母様は生地を見ながら答えた。
もう5着分ぐらいは選んでそう。
店内は生地が置いてあったり、完成品も売っていたりする。
私は完成品でもいいのだけど、それはダメと前に言われた。
お店の人が案内致しますと言ってきたので、歳が近い子でお願いしますと伝えた。
これで、第一目標はクリアされるはずだ。
「申し訳ございません。ここで働くのは皆大人の者のみでして…」
なんと、そうきたか。
確かにお手伝いと言ってたから、お店には出てこないという事なのね。
「あの、リディアという子、居ませんか?」
「えっと、生地を切る手伝い子ではおりますが、何かありましたでしょうか」
「その子呼んできてください。お願いします」
もう駆け引きは面倒になりそのまま伝えた。
私の笑顔付きで頼んだから大丈夫だろう。
暫く店の中を見ていると声がかかる。
「ご指名と話を聞きました。私がリディアと申します」
凄く不安そうに私に声をかけてくる。
「明るいうちに会うのは初めて?だね」
私は振り向きそう伝えた。
リディアはとても驚いていた。
あっ、私自分の事殆ど話してなかったや。
前もって伝えておくんだったと思った。
「な、な、な、なんでここに!あれ?領主様の娘ってもしかして」
「うん。前もって伝えるべきだったね。アニエス•ハーヴィーだよ」
「アニエス様、もっと早く教えてくださいよ!」
「2人の時はその呼び方やめてほしいな。敬語とかも私はいらないよ」
リディアはキョロキョロ辺りを見る。
「わかった。アニエス師匠、どうしてここに?」
服を仕立てに来た事を伝えた。
後私と正式に知り合った事も含めてだ。
「筋書きはここで私達が出会い。リディアは魔法がとても得意で頭もいい。私に勉強を教える目的で雇われる筋書きだけどいいよね」
「無理があるよ。絶対うまくいかない。」
「給金は1月金貨1枚だよ」
「そんなに貰えるなら学園に通うのも楽だけど大丈夫なの?」
「私のお小遣いから出すと、交渉するから多分大丈夫」
金銭感覚が狂ってるかもしれない。
でも今まで殆ど使ってないから結構溜まっていたりするのだ。
お金で釣ったみたいな感じではあるけど、リディアはがんばると言った。
そんな話をしているとお母様から声がかかった。
両手に生地を持ちこちらへ来る。
「アニエス、この生地とこの生地どちらがいいかしら」
「お母様、私だとこっちが好きです」
「わかりました。あら、そちらの方は?」
「ここでお手伝いをしている子で仲良くなりました。」
「お初にお目にかかります。り、リディアと申します。」
「私は、アンナ•ハーヴィーと申します。丁寧な挨拶でしたよ。」
ガチガチに緊張したリディアと、お母様の出会いはうまく行った様だった。
後は私が交渉するだけだ。
お母様も選び終わり店を後にした。
リディアと仲良いアピールも忘れずに行ってだ。
その後、私は疲れつつ邸に戻る。
はぁ、1人で自由に歩き回りたい。
でも、今投げ出すわけにはいかない!
頑張れ私!
後は食後に交渉しよう。
お読みいただき、ありがとうございます。
何か気になる事や、こうした方が良いのでは、とかここはダメという所など、あればコメント頂ければ幸いです。
サラマンダーは豪傑な感じです
3歳からは結構進む予定となります。
削った所は後日補完すると思います。
他の人の視点の話もあるので機会あれば書いていきたいです。
初製作なので、どうやるとわかりやすいのか試行錯誤してます。
次回は交渉予定です