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前の世界で運営者に消されたNPC姉妹が新しい世界で生きて行く  作者: あいか
序章 この世界で妹と再会するまで
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80話 忙しい王城

皆様、いつもありがとうございます。


 王城での目紛しい日々が過ぎていく、フレデリカ様とお話をしたり、お父様に連れられて王都の修復と防衛強化の話をしたり、学園長に会ったり様々な日々だ。


 私の中ではゆったりと本を読みたかったが、自由な時間が殆どなく、お父様と行動をしない時はフレデリカ様の魔法講師を行っている。そして、今も講師の最中だったりする。


「フレデリカ様、魔法のコントロールだいぶ良くなりましたね」


「アニエスお姉様のおかげです!無詠唱もできたら良いのですが、そちらはまだまだです」


 フレデリカ様と初めて会った日、逃げ込むように部屋へ戻った時、相談を受けた。フレデリカ様は魔法のコントロールが上手くいかなくて、魔法学園に入る事を考える度、不安になると言ったのだ。私は魔法学園に入った後に覚えれば良いのではと言ったが、王族は周りの目があるので、それではダメだと、泣きそうな顔で教えて欲しいと言われてしまい、講師を行う事となった。リディアの時と同じで、魔法の基礎がこの国は間違っている為、そこから話して基礎の魔力移動からやり直した。王族の血なのか、私が教えた事はすぐ覚えて最初は初級魔法しか使えなかったのに中級魔法まで上手く使えるようになった。コントロールも良くなり、今では無詠唱を覚えようと必死な程だ


「フレデリカ様、焦る必要はありませんので、ゆっくり確実に繰り返し練習あるのみです。私がお話をした想像力を鍛えれば問題ないと思います」


「はい!しかし、魔法が精霊が手伝っているのではなく、自らの想像で具現化させるなんて、アニエスお姉様のお話を聞くまでは考えた事なかったです」


「本に精霊へ魔力を送り代わりに魔法を発動させるって書いてありますからね。学園長にも伺いましたが、学園も精霊が発動するって教えてるみたいですからね」


 リディアの時と同じで根本が間違っている。確かに一部の魔法や精霊魔法は力を借りて発動するけど、一般の魔法は関係ない、詠唱呪文が精霊に関する一節を含む為、誤って教えられているのだろう、魔法を使う時に都合よく精霊がいるのは少ないので、少し考えればわかるように思えたが、固定概念として覚えてしまった後は難しいのかもしれない、一応学園長にもその話をした所、授業の見直しを行うと言っていたので、少しずつは良くなると期待している。


 一通り、フレデリカ様の魔法を見た後、元々魔法のコントロールが上手くなるまでという約束で講師を受けた為、私の役目はここまでにしようと思った。弟子卒業として杖の指輪をプレゼントするつもりだ。


「フレデリカ様は四属性の初級魔法を全てコントロールできるようになりましたので、私の役目はここまでです」


「はい、そう言う約束でしたね…アニエスお姉様、身勝手な事と承知の上でお願いがあります。これからも私の専属講師を行なっていただけないでしょうか?」


「フレデリカ様のお気持ちはとても嬉しく思いますが、申し訳ございません…私にはやるべき事があるので、誰か特定の人のみをお教えする事はできないのです」


「そう…ですよね…申し訳ありません…アニエスお姉様を困らせるような事を言ってしまいました…」


 私の使命、あの世界で出来なかったマリエルとの暮らす日々を今もおそらく、これからもずっと夢見て考えている。フレデリカ様には申し訳ないけど、例え誰であってもマリエルが優先される。その事を話したかったが、マリエルはまだ生まれていないので今言うと、変に思われてしまう。


 おそらく拒否した事が原因でフレデリカ様の目から涙が流れ始めた。「ごめんなさい、勝手に溢れちゃって、ごめんなさい」とフレデリカ様は涙を拭い私に言う為、罪悪感が凄い上、誰かに見られたら私が泣かせた事になってしまいかねない。宥める為に約束はできないけど、機会があれば魔法の講師をすると伝えて泣き止んでもらった。


「フレデリカ様、落ち着きましたか?」


「はい、もう大丈夫です、泣いてしまった自分が恥ずかしいです。アニエスお姉様に拒絶されたと思ってしまい急に悲しくなって、思い出すだけで恥ずかしく思います…」


「私はフレデリカ様を拒絶する事はありません。それに誰かを思って泣く事は恥ずかしくないですよ。講師を終える証に、魔法武器をお渡しします」


 私は予定していた通りに杖の指輪をフレデリカ様へ渡した。フレデリカ様は魔法武器をもらう事に驚き、形が指輪という事にも驚いた。簡単に効果を説明すると、フレデリカ様は大喜びで指にはめた。そして目の前の高さに手を上げると眺めたのだ。


「とても嬉しいです!アニエスお姉様、ありがとうございます!!大事に使います!」


「私も使ってもらえると嬉しいですが、簡単には壊れないので、普段から杖代わりに使ってくださいね」


 魔法学園の授業では杖を使う事が多い、杖があれば魔力操作も楽になり、発動後のコントロールもしやすいからだ。入学して一年は学園支給の杖だが、二年目までに杖を用意する必要がある。各貴族は子供に良い杖を持たせて力を誇示させるらしく、見た目は指輪でも能力で負ける事はないと思う。


 ニコニコ笑顔でフレデリカ様はずっと指輪を見つめていた。その姿を私は眺める事で心の中にある言葉にしにくい感情が満たされるようだった。

予定の合間で講師を行なっている為、時間になり名残惜しいが、フレデリカ様と別れて部屋に戻った。


「アニエス、戻ったようだな?」


 部屋に戻り数分経過した時、お父様が部屋へ訪ねて来た。お父様は午前中に国王陛下や貴族が集まり、アルテアも交えて会議を行った。私も出席するかと言われたが、フレデリカ様の講師なのでお断りしたのだ。


「お父様、魔族領の話はどうなりました?」


「話すつもりで来たのだが、そんなに気になるなら出席しても良かったのだぞ」


 お父様はそう言うが、私の事を知らない貴族が多いはずで、そんな中で私は耐えれる気がしない場合によっては倒れてしまうだろう。


「お父様、私は表舞台に立つのは嫌って言いましたよね?」


「揶揄っただけだ、そう顔を膨らませて怒るな、手土産に菓子を持ってきたから機嫌を直せ」


 そう言って、私に袋を手渡した。開けて良いかと聞いて返答をもらい袋を開けると、キラキラと変わった形をした物が沢山入っていた。夜空に浮かぶ星のようなトゲトゲな物だ。


「お父様、このお菓子は何ですか?トゲトゲしい見た目ですが…」


「口の中に一粒入れてみるんだな、飲み込んだり、噛んだりするなよ」


 私は言われた通りに一粒手に取ると、口の中に入れた。すると口の中に甘さが広がり、幸せな気分になったのだ。


「すごく甘いです!!」


「気にいったようだな、金平糖という菓子で最近作られたそうだ」


 私はクッキー以外に美味しいお菓子があるなんて思わなかった。この国のお菓子というと甘味料が高価なので、味気がない物か逆に甘過ぎるかのどちらかだけど、これは丁度いい甘さだ。強いていうなら食べ応えは無さそうで、舐めているだけに思えたが、贅沢品として完成した一品だ。


「お父様ありがとうございます!甘い、甘くて美味しい!」


「アニエスの機嫌が直った所で話をするが、魔族領と王国は同盟を結び、お互いに今後は協力することになった。貴族の中には王国が立場として上になるべきという者もいたが、国王陛下が黙らせたから問題はないだろう。そして、決まっていた事だが、禁種の亡骸を提供する代わりに復興支援を魔族領が行うことになった。既にラキア殿が動かれているようで、数日中に魔族領から人手が来るようだ」

 

「会議を行う前にアルテア様と話していた流れで問題なかったのですね」


「円滑に行う為のすり合わせだからな、その場で話し始めたら、考えるだけで日が暮れてしまう。両国に利があるように纏まった事で他の貴族も納得した。そうでもなければ、怪しまれるからな」


 私はお父様の話を聞いて、貴族は難しいなと思った。普通なら助け合うだけの話も様々な条件や当人同士が納得していても周りを納得させる必要がある。今回も会議を行う前に結果を話し合っているので本来は無駄に思えるが、領地を持つ貴族を納得させないと、最悪の場合大変な事になるからだ。


「そうだった、アニエスに伝えなくてはならない事がある。何も言わずに邸を飛び出した件だが、アンナから伝言が冒険者組合に届いた。区切りがいい頃合いに謝りに戻るつもりだったが、その必要は無くなった。どうやら王都へ向かっているそうだ。アニエスとゆっくり話をしたいらしいぞ」


「えっと、私疲れてるみたいで、上手く聞こえませんでした…」


「そうか、ならもう一度言うが、アンナが王都に向かっているようだ。アニエスと話をするのを楽しみにしているらしいから帰る必要は当面無くなったぞ、良かったな」


 目の前が真っ暗になるとは、この事だろうか。お父様の言葉を理解した上で理解したくなかったバレる事は予想済みというより、私の偽物は数日で消えているはずだ。お父様と一緒に戻り、謝ると言う計画をしていたけど、お父様が忙しくすぐに戻れなかった為、日にちが経過している。それもあり、帰れない状態が続いていたけど、まさかこちらへ向かってくるなんて思わなかった。


「ああ、そうだった。アンナはリディアとリディアの母を連れてくる為、リディアにも会えるぞ」


「リディア?リディアも来るのですか?」


「今回の騒動がなければ俺が連れてくる予定だったが、身動きがとれないので代わりにアンナが付き添ってる状態だな、魔法学園に入学する為に一度試験を受ける必要がある。本来は領地でもできるのだが、リディアの母は身体がまだ完治していない事から魔法学園にいる間、王都に住んでもらおうと思っている」


 お父様の話を聞いて納得できた。リディアはお母さんが心配と言っていたから、離れて寂しい思いをさせない為の配慮と王都なら治療も受けやすい事からそうなったようだ。最初にその話をした時はリディアのお母さんが申し訳ないからと言ったようだけど、何度か話し合った結果、王都にリディアが在学中は住む話で決まったようだ。


「お父様、住む場所は決まっているのですか?王都は一部倒壊してる所もあるので、空いてる家は少ないように思えるのですが…」


「こんな事が起きなければ新たに家を建てる所だが、空き家も殆どない為、王都にある私の家に住んでもらう事にした」


「王都に家があるのですか…初耳です」


「普段は使用人しかいない所で王城の集まりがある時など長期間滞在する時に使う場所だな、領地にある邸に比べれば狭いが、魔法道具も揃っている事や使用人がいる為、無自由はないだろう」


 確かに数日から長いと一ヶ月程、滞在する時があるから、その時ように家があっても不思議じゃないけど、家って表現が正直引っかかる。場所を聞くと王城と行き来しやすいように上区画と呼ばれる王城付近にあるようで、その区間はお父様のような貴族や貴族ではないけど、裕福な者が暮らす場所らしい、ますます家を見てみたくなった。


「お父様、私も一度見てみたいです!」


「何を考えているのか知らないが、アニエスが考えてる事とは違うと思うが、アンナが到着したら行く予定だから安心しろ」


 お母様に会いたい気持ちと、怒られるの確定している怖さ、リディアに会える喜びが混じり合い何とも言い難い気分だ。お父様にお母様が来たら一緒に謝ってと再度頼む私だった。


 その後、暫くフレデリカ様の成長を話したり、現在王都の修復状況の話や私が辞退した功績に対する評価が宙に浮いたままで、国王陛下は事が事だから無かったことにはできないらしく、ローランを筆頭に褒美を与えるようだ。サーシャも一緒に行動したので、貴族の魔法教会に対するイメージを変えるチャンスらしく、サーシャは可哀想だけど、皆の前で勲章授与を行うようだ。そして、私は全てを断り、皆に口裏合わせを約束させて私は無関係という事にするつもりだ。問題は大勢の冒険者や騎士に目撃されているので、隠しきれない可能性があるけど、普通に考えれば、子供が行う範囲を超えているので、信じる人は少ないだろうとお父様や国王陛下は言っていた。私は勲章よりも書庫に篭って本を読み続ける時間が欲しいのだ。


 シャーリーは朝から夜まで王国騎士団の立て直しを手伝い、その間は王城のメイドが私の手伝いを行っている。一人の方が気楽なので、断ったけど、却下された。せっかくなので、色々話を聞いた所、戦いが得意とか、暗器を持っているとかは無いらしく、ハーヴィー領のメイドが特殊という事がわかった。


 お母様達が到着するまでの間で、驚いた事はラキアの準備していた魔族領の復興部隊が恐ろしい速度で商業街を直している事だ。私が見たわけではなく、アルテアを通じて聞いた話だけど、無属性の魔法と地属性の魔法を使って街を作り直しているらしく、終わったら王都も作り変えるようだ。魔族領では周囲に強力な魔物が活動している事から街を囲む壁は堅牢だけなく、攻撃もできる作りで、王都も同じように変える案が上がった。本来なら断られる話だけど、商業街の変貌を知った貴族は是非にと了承した上で各々が管理する領地も変えて欲しいと頼み込んだと言っていた。

 私が一番気にしていた魔族の角や羽はどうやら隠せるらしく、隠すと普通の人と区別がつかなくなる。アルテアも隠せるようで、隠したアルテアに話しかけられた時、一瞬誰この子と思ったほど、美少女に変わっていた角がある方が周囲の魔力を吸収しやすいのと翼があれば空を飛べる為、しまうと不便と嘆いていたのだ。


 いつもはフレデリカ様の魔法を見る時間がまるまる空いている。空いているのに部屋から出るなとお父様に言われている為、待機をしている間にリディアに渡す本を書いている。フレデリカ様と比べるのは良く無いけど才能的にはリディアの方が高いと思う。火属性中心に四属性と上位属性を含む中級魔法と使って問題ない上級魔法の詠唱呪文、魔法陣を書いている。読むだけで魔法を覚える魔導書にはならないけど、こんな魔法があるという事を知ることはできるだろう。問題は想像が文字ではできないので、魔法陣を使って発動させて覚えてもらうか、魔法名から予想してもらうしか無い事だ。


「むむ、コピーできたらいいのに…」


 手書きの限界を感じながら、私は呼び出しがかかるまで、書き続けたのだった。

お読みいただき、ありがとうございます。


流れは内容の通りで、サクサクと進ませる為に話が少しカットして飛んでますが、時間がある時に細かい話は投稿したいと思います。


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