78話 話し合い
皆様、いつもありがとうございます。
私は感動の再会を行った。
ここまでは良かったのだが、ここから先が問題だった。
「アニエスちゃん、よかったね!ボクも嬉しく思うよ!!」
テンション高めなアルテアは私に近寄り、頭を撫で回して、そう言ったのだ。
それにラキアも続くように「私達も嬉しい気持ちは一緒なのです」と言うので、私は何か意味がありそうに思った。
アルテアは父親を手にかけている事から私がお父様と無事に再会できた事が嬉しく思っている。ラキアも同じ考えなんだと考えを勝手にまとめて二人に「ありがとうございます」と伝えた。
「アニエスちゃん…約束忘れてないよね…」
アルテアの一言を聞くまでは私の中で美談として扱われていたが、その言葉を聞いた事で記憶が思い出されたのだ。
「あっ…わ、忘れてないです!!」
私は必死に答えたが、必死すぎて丸わかりになり、シャーリーは深くため息を吐いていた。
「アニエス、そろそろ、そちらの二人が何者か教えてくれないか?」
お父様がそう言うと、私は「ラルフから聞いてないのですか?」と答えた。
私は既にラルフが伝えていると思っていたからだ。
商業街の話をお父様に軽くしてると聞いて、アルテアとラキアの話抜きにするなんて考えてなかったからだ。
私はシャーリーを見ると、シャーリーは鬼の形相でラルフを睨み殺すように見ている。
「アニエスお嬢様、お二人の事は身分が違いすぎるので俺からは伝えてよいか分からず、シャーリーからも話がなかったので…」
頭を下げて必死にラルフは弁明しているが、途中からシャーリーの殺気を感じたのか口を閉ざした。
シャーリーは自ら「ご説明を致します」と言ったが、この場でそれは面倒な為、私が話すと言って、少し偉そうな効果音が付くなら、ふふーんと言いたげなアルテアを紹介する事にした。
「お父様、こちらの二人は驚くと思いますが、この世界の裏側にある異界の魔族領を束ねる魔王アルテア様とラキア様です。商業街で私を助けて頂いたり、王都や王城でも力添えを頂きました」
私は途中危なかったが、ちゃんと話せた事に心の中でガッツポーズをしてお父様を見ると、かなり真剣な表情をしていた。
(あれ…私やっちゃった?何か、これやったよね…)
焦る私にお父様は話し始めた。
「大変失礼致しました。私はロビン•ハーヴィーと申します。王国に力添えをいただいた事、感謝致します。本来、私がもっと早く気がつくべきでした。どうか、お座り下さい」
お父様の言葉は私の予想していた事ではなく、アルテアとラキアに対して頭を下げて、丁寧にソファーへ案内したのだ。
そう、私は薄れていたが、二人は国王と側近になり、この国で考えれば、国王陛下を連れ歩き、かつ立たせていたのだ。
お父様の対応で、私はこれは不味い、かなり不味いやつだ。と確信した。
「お気遣いありがとうございます。先程、アニエス様よりご紹介頂きました、ラキアと申します。聞き慣れないかと思いますが、魔族領では技術開発長を任されてます」
「丁寧な対応感謝するよ。ボクはアニエスちゃんの話した通りで、魔族領を治める魔王アルテアでアニエスちゃんのお姉ちゃん的な所だから気軽にしていいよ」
先にラキアが話して続くようにアルテアが話した。
アルテアは丁寧な喋り方をすると勝手に思っていたが、私の予想を超えた自己紹介を行い、胃が痛く感じた。
それはラキアもため息と共に「威厳は何処に無くしたのですか」と言うが「えっ、公式の場じゃないよね?アニエスちゃんのお父さん紹介じゃないの?」とアルテアは答えた。
「国の話に何か口出しをする訳ではないですが、アニエス様は立派に対応されました。私達の話も少々遅れただけで、特に気にしてません。ご配慮を願います」
ラキアは私の身に降りかかる厄災を感じてお父様に察するよう伝えたが、おそらく逆効果に思えた。
私は逃げる場所があれば逃げたい気持ちだ。
時間が巻き戻せるなら戻したい、しかし、現実は無情だった。
「アニエス、少し話がしたいのだが…」
「はい、お父様…」
私は確実に怒られるだろう、実際私が悪いのだ。
先に話を繋げなかった事もだが、入ってすぐに再会を喜ぶよりアルテアとラキアを紹介するべきだった。
冷静になれば分かったが、あの場では無理だった。
「御二方はこの場でお寛ぎ下さい。私とアニエスは少々、話し合いがありますので、シャーリー、飲み物と食べ物を用意してくれ、城の調理場は損害なく問題もないはずだ。」
二人をソファーに座らせて、お父様は私を見て隣の部屋にと目で合図を送ってきた。
シャーリーは指示を受けて給仕を行う為、助けてくれることもなく、ローランと肩に乗るマリーからは頑張れと言っている気がした。
部屋の中に部屋がある光景は中々少ないが、王城には必要なのかもしれない、音も遮断されるようで全く聞こえなかった。
そんな部屋にお父様と私は二人で入り「アニエス、座りなさい」とソファーへ座れ指示をされた。
立ったままかで怒られようと思っていた私だったが、言われたからには座るしかなく、ちょこんと反省を顔に出して座ったのだ。
「お父様、申し訳ありませんでした…」
「驚きはしたが、相手も怒ってる様子もなく、むしろアニエスと仲が良いように見えたぞ。異界と言うと悪魔が住む場所と以前聞いたが、魔族領とやらの魔王、つまり国王陛下と同じと言う事でいいんだな?」
私は怒られると思っていたが、どうやら違うようで、異界について私の知っている範囲で伝えた。
するとお父様は少し悩んだ表情を見せると「どうしたものか…」と口に出した。
「悪魔と敵対している事は分かったのだが、私達が住む世界の反対側となれば国王陛下にどう伝えれば良いものか、魔王つまりは魔族の王となれば国王陛下に会っていただく必要もあるんだが、手順と手段が飛び飛びで国は混乱した状態、頭が痛くなるぞ」
「お父様、国王陛下って厳しい方ですか?」
私は一度も会った事もなく、話を聞いた事もないので聞いてみると「アニエスは会うの拒んだからな」とお父様は言うのだ。
その言葉を聞き、少し思考が停止してしまったが、意味を考えた。
そもそも、国王と会う機会がある方がおかしい、それなのに拒むとは一体どう言う事なのか、いくら考えてもわからなかった。
「えっと、お父様、私断った事ありますか?そもそもそんな話聞いた記憶が無いですよ」
「毎年、アニエスに会いたい子が居るって話、アニエスに聞くと嫌だから断ってほしいと言っただろ?あれが国王陛下と第二王女の話だが、何度か伝えているはずだぞ」
私は記憶を辿ると確かに毎年、私に会いたがってる人がいて、一緒の年齢の娘がいると聞いていたが、国王陛下と王女と言われた記憶は無かった。
そもそも、辺境伯の娘に会いに来るって変だと思う。
王様なら無理やり会いに来る事もできるはずだし、王様の娘って姫って私が接するのおかしいと思う。
「お父様、確かに毎年断ってましたが、詳細を聞いたのは初めてです。というより、国王陛下の訪問を断ってよかったのですか…私の印象最悪なのでは…」
「ふむ、伝えてなかったか、私と国王陛下は昔からの仲だからな、公式の誘いなら断れないが、非公式の誘いだから問題はない、ちなみに病弱といつも言って断ってるから変な印象も無いはずだな」
お父様も考え方が変です。と言いたいのを私は堪えた。
「すまない、話が逸れたな、公式の場では厳しいやつだな、それ以外は私と変わらんな」
「お父様も分かったと思いますが、アルテア様はかなり際どい事を言います。それでも国王陛下と謁見するの大丈夫ですか?」
「ふむ、いやしかし、ここで合わせないまま帰らせた方が不味いと思うからな、それとアニエスが先程言った取引も私が決めれる範囲を超えている」
お父様は国王陛下に話す為、省かず話してほしいという事で、領地の出来事から話すことにした。
戦闘方法などは除き、それ以外を話していくと途中途中で止められ、禁域とは?深淵の落とし子の亡骸は大丈夫なのか?異界に渡してもいいのか?等質問責めされたが、持っていても良い程度しか思わなかった亡骸なので「この国の為に使って下さい」と私の失態を取り消す役目に使ったのだ。
「国に悪魔が現れた時に異界を調べたかったが、結局手がかりがなかった。国同士が仲良くなれば、異界を調べて次何か起きた時に対処がしやすくなりそうだな。それにしても魔導銃の面倒ごとに巻き込まれた気がするな、アニエスが御二方と仲が良いのは私としても国としても良い事だが、一つ間違えば大変なことになりそうだな」
「お父様の言いたいことは分かります。私も今回の出来事で様々気になることもあったので、娘として協力できる事は協力したいです!」
私がそう言うと、お父様は「なら頼みがあるのだが」と言ってアイテムポーチを要求された。
沢山あるので大丈夫だけど、アイテムポーチで国内の取引に利用したいらしく、アイテムポーチで深まる信頼度とは一体と思ってしまった。
「そうだった、アンナに謝る時、珍しい魔法道具や魔法を渡せば大抵大丈夫だから、用意しておくと良いぞ」
私が知りたかったお母様の怒り回避方を知れて嬉しかった。
お父様と話のすり合わせを終えて部屋に戻ると、アルテアが「アニエスちゃん怒られちゃった?よしよし!」といつも通り私の頭を撫で回したのだ。
「あ、ありがとうございます!もう大丈夫!!頭取れます!!」
「またまた、恥ずかしがって!それでボクのお願いした禁種の亡骸はどうなのかな?」
「アルテア様の要望通りになると思いますが、商業街に現れ街をほぼ崩壊させて死者が多いので、ほんの少し返答を待って下さい」
ウキウキのアルテアにそう言うと「えー」と言ってはいたが、渋々了承して「ボク達からすると年単位でもあっという間だし、お姉ちゃんは待つことにするよ」と納得してくれたようだ。
アルテアなら、きっと大丈夫…ラキアが何とかフォローすれば問題は起きないはず…後はお父様に委ねよう。
「アニエス、先に準備を行うぞ」
お父様は小さな声で、私にそう言うので「何の準備ですか?」と嫌な予感を感じながら聞くと「何を言っているのだ。国王陛下にお話を伝える必要があるだろ…」と言われたのだ。
私はお父様、アルテア、ラキア、国王陛下で話をすると思っていた。
えっ、嫌です。と言いたかったが、間違いなく言うと終わる未来が見えた為、「私はその場に必要ですか?」ともう一度考えて下さいを私なりに聞こえよく伝えた。
「その場の報告で事が決まる時もあるが、大抵は事前に話を通して流れを作る必要があるのだ。そもそも今回の中心に居たのはアニエスだぞ、私は親として立ち会うのだ」
「えっ、私、おそらく…多分…何か起きますよ…」
「アニエスの事だ。普通に話が進むとは思っていない、それに国王陛下はアニエスの事を伝えているので、畏まる必要は無いはずだ」
逃げ道を塞がれ、無理矢理でも連れて行く流れになり、何かやらかさないか不安に思っていたが、畏まる必要がないと意味がわからない事を言われて更に私は混乱した。
確か、昔ゲームで嫌な時はしっかり伝えて断ると誰かプレイヤーが話していた事を思い出し、お父様に「嫌です。行きたく無いです!」と混乱している私は言葉に出して伝えてしまった。
私の気持ちは考慮されないようで、両脇を持ち上げるように抱き上げて強制連行されるのだった。
ジタバタするも虚しく、「暴れると恥ずかしいのはアニエスだからな」とお父様は言うのだが、お父様も他の人からは変に思われているのでは?と思った。
行くので降ろしてくださいと伝えても「迷うと危ない、このまま連れて行ってやる」と王城内を恥ずかしい思いで移動する事になったのだ。
「私がこのままだと、他の貴族から変な目で見られるとか、お父様の評判落ちたりしませんか?」
「私にそんな事を言う貴族は逃げ出して今頃、今後の事を考えているだろうな、国王陛下を見捨てる行為に等しい為、どうなるか私は分からないが、よく無い事が起きるのは間違いないだろう」
えっ、何それ怖いと、私は話を聞いて思う。
よく考えれば、貴族の矜持を考えれば、国王陛下を守ったり、民を守る行動ができない時点で結果が決まるように思えるが、己の身を案じた行動も否定しにくく、貴族の話は難しいと思った。
あれ程の被害が起きた後なので、城内に人は少なく見られる事はあまり無かった。
そう考えると、早く何とかしたいと思い、手伝える事は行う事を決めた。
お父様が「アニエス着いたぞ」と言って立ち止まったのは、騎士が二人立っている少し大きな扉だった。
私はようやく降ろされて、床に足をつける事ができた。
お父様は騎士に話をすると、騎士が中に入り報告をしているようだ。
「私が先に話を進めるから、アニエスは呼ばれたら答えるようにな」
少し緊張をしながら「はい」と答えると、騎士が戻り「入って下さい」と言った。
私はこの場合、自分で扉を開けるのだろうか、とか考えていたが、扉は自動で開かれたので、驚いた。
「国王陛下、失礼致します。ロビン•ハーヴィー、アニエス•ハーヴィーと共に参りました」
お父様が頭を下げるのを真似するように私も頭を下げた。
「よく来たな、入口で立ち止まってないで、頭を上げて早くこっちに来るといい」
国王陛下の許可をもらい頭を上げると、入った時は余裕がなくよく見てなかった煌びやかな部屋が、私の目に入ってきた。
声を上げるのをぐっと堪えて、お父様に続いて足を進める。
ソファーがあり、どこに座ればと思っていると、お父様が「アニエスはここだ」と小さな声で教えてくれた。
「細かい礼儀作法はひとまず置いて、ロビン、お前がここに会いに来たって事は何かあるんだろ?」
「国王陛下、この度の王国各地の問題、王城内の魔物襲撃を解決した際に娘アニエスと共に協力した者の身分が特殊な為、お伝えする必要があると思い、参りました」
「そうか、話を聞くとしよう。そろそろ、話し方を戻せ、いつも通りで構わん」
私は二人の話を聞いて前にお父様が話したように仲が良いんだ、と思った。
お父様は「畏まりました」と言うと、国王陛下は「まだ硬いな、早く話を終えて、お前の娘の話を聞きたかったんだがな」と言うのだ。
私はえっ?と頭の中で思う、そして喋りたく無いです、と心の中で呟いた。
「その感じ長い話になりそうだな、なら先に娘同士で話でもして待っててもらうか」
国王陛下は少し考えた後にそう言うと、私は凄く帰りたい気分を感じながらお父様に助けてと目で合図を送ると、「アニエス、毎年お会いできなかったのだ。今回はわかるな?」と小声で言われて「はい」と言うしかできなかった。
ここも部屋の中に部屋があるようで、隣りにいるからと言われて、どうしようと言う気持ちの中、足を進めるのだった。
「あ、アニエス•ハーヴィーです!入ってもいいでしょうか?」
「はい!お待ちしてました!アニエスお姉様!!」
中に入る事を伝えて帰ってきた言葉は、私の想定外の言葉だった。
それだけではなく、その言葉が聞こえた後、扉は勢いよく開かれて、私の身体を引っ張るように引き込むと、扉が閉ざされた。
「毎年毎年、お会いする時に身体を悪くしていると聞いて、心配してました。そんな身体で無理を通してまで私を助けてくれた事は、嬉しくて嬉しくて!早くお会いしたかったです!」
私の両手を握り、若干早口で言っているのだが、どうすればいいか分からず困惑してしまった。
そんな私を察したのか、「私とした事が、さぁ早く、こちらへお座り下さい。お父様達がお話ししている間、アニエスお姉様の事を知りたいのです!」と興奮しているのか、やはり早口で椅子に座れと圧を感じた。
お姫様のはずだから対応に気をつけないとと思いながら、「失礼します」と椅子に座った。
相手は私の事を知っているのは間違いない、何故かお姉様とか付いているのは分からないが、分かっているのは、私はお姫様の名前を聞いてない事だ。
こんな事になるならお父様に聞くべきだった。
反対側に座るお姫様はとても綺麗で、服もそうだが、誰だどう見ても一目でわかる姿だった。
私は目を奪われて見ていると、お姫様は「ずっと見つめられるのは恥ずかしいです」と言ったのだ。
その声と仕草も含めて、私の口から勝手に言葉が出てしまう。
「綺麗で可愛い…」
ハッと思った時は口から出た後で、私はしまったと思いながらどうしようと一人焦った。
「わ、私よりもアニエスお姉様の方が可愛いです!聞いていた話以上で、お人形の様です!!」
焦る私が聞こえた言葉、それは何処かで聞いた事あるような趣向の言葉だ。
相手がお姫様なのに私は、この場から逃げ出したい気持ちだった。
お読みいただき、ありがとうございます。




