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前の世界で運営者に消されたNPC姉妹が新しい世界で生きて行く  作者: あいか
序章 この世界で妹と再会するまで
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77話 夢の出来事と再会

皆様、いつもありがとうございます。


 真っ暗な世界が広がる。

 私は夢を見る事はあまりなく、この暗い世界を寝ている時に見ることが多い。

 この暗い世界が夢と言うべきかもしれないけど、私は違うように思えるのだ。


 「えっと、ここにいるって事は耐えれず意識手放したって事だよね…またやっちゃったや…」


 私は最後の記憶を思い出し、ローランがディメンションイーターを倒した後に目の前が真っ暗になった事を思い出したのだ。

 皆を心配させないようにとなるべく耐えようと思っていたが、体は限界を超えていたようで耐えれなかったのだ。


 「まぁ、敵?を倒したはずだから大丈夫だよね。でも何回考えても変な敵だったかな」


 直前に戦った魔物もだけど、あの男も何というか、まるで実態がないような会話も行動も理解がし難いと感じた。

 情報が少ないけど、何でも屋と名乗った奴らや大規模な商業街の騒動、王都の理解を超えた事象、王城の出来事を考えると全てが無関係とは思えないから、繋がっていると思えてしまう。


 私は繋がりそうで繋がらない事にうがーっと叫びたい気持ちを抑えつつ、このままではダメだという事に気がついていた。

 実際、全てがギリギリの勝利、圧倒的な力があるはずなのに、まるで何か制限されてるよう力を使っても思うように戦いが進まないからだ。

 私の意思とは別に私を動かした者、あの時は力が溢れるように感じたが、私自身が魔法を行使してもあれほどは使えなかった。

 

 そんな問題があるというのに、更に私が知らない魔法や技術の存在、ゲームの世界と違って世界が生きている為、私が知らない事があっても不思議では無いが、あの時聞いた神様の話と違いすぎて、これでは十分に魔法が発達していると思えてしまう。

 気になるのは私が生まれた国の中だけ考えるなら、そんなに凄いと思ってなかったが、異界の魔族領、情報少ない他国は確実に発達していると思う。

 私の知ってる世界が滅びた後の世界、その後に何かあったと考えるのが自然だ。

 つまり、次神様に会うなら、聞かなければならない事が沢山あると言う事だ。


 「うー!私の知らない事多すぎてわからない事だらけだよ!!」


 『知りたい?』


 「えっ!!誰!?」


 『知りたくないの?』


 突然、声が頭の中に響き驚いたが、知らないはずの声は何処か私の中で知ってるように思い声に出すが、返答は誰かを示す言葉ではなく、知りたくないの?というモヤモヤする言葉だった。

 正体の分からない知らないはずが、気になる声に頷きながら「何か知ってるなら教えて!!」と真っ暗の世界で私は強く答えた。

 

 

 『傲慢なアニエス、知らない事を知りたいという傲慢な探求心は周りを不幸にする』


 頭の中で響く声に何処か聞いたことがあるような感じがした。

 私が傲慢?違うとは言いきれないけど、姿も見せない奴に言われる筋合いはないと思い、声に出した。

 この声は何処から聞こえるのだろうか、ここが夢の世界なら私の記憶が作った声だろうか、考えても答えが見つからなかった。


 『不幸を撒き散らす悪』


 「次は罵倒するだけなの?誰さんで何の用?私は誰かを不幸にしたつもりはないよ?」


 恐らく問いかけは無意味と分かっていたが、やはり気になり言葉にして発した。

 静まり返り、何も言わなくなったと思うと、空間の震えを感じた。


 『自覚なき悪、ならば垣間見て知るがいい』


 頭に直接ではなく謎の声は空間を震わせながら響き渡る。

 真っ暗な世界は、まるで声に反応するように崩れ、散りゆく空間は炎に飲まれる。

 

 私は、魔法も使えない夢の世界の中では身構えることしか出来なかった。


 「な、何が起きるか教えてくれないかな!?」


 謎の声は聞こえなくなり、正体がわかったら許さないと心に刻むことしかできなかった。

 崩壊する空間が燃え尽きると転移したかのように見覚えが場所に私は立っていた。

 「えっ?」と声を出してしまう程、一瞬の出来事に驚いてしまう。

 

 「夢の中なんだよね…でも、それにしても…」


 夢と分かっているはずが、空気感や靴を伝って感じる床の感触、壁まで歩き触ってみるが、触れた感触も本物のようで、夢ではないのではと思ってしまうほど違和感がなかった。

 私自身、夢をほとんど見ない為、夢は全てこんな風になるのかもしれないが、心の底では恐らく違うように感じている。

 

 「謎の声が見せてる夢なんだ…なら、奥に何か見せたい事があるんだよね…」


 私が今いる場所はそれ程争いの痕跡はないが、奥は違うと思っていた。

 何故なら、奥から漂う濃い血の匂い、そもそも王城の記憶は訪れた時、既に戦闘の跡があり、今見ている綺麗な光景はほとんど無かったはずだった。

 それなら、どうやって夢に再現したのだろう、そんな事を考えながら、進みたくない匂いがする奥へと足をすすめた。


 「国王を守るのだ!私に続き奮起せよ!」


 新たな部屋が見える直前、私の知っている声が聞こえた。


 「お父様!!」

 

 夢と知りつつ、聞こえた声に私は反応してしまう。

 広がる光景は中々辛いもので、倒れている兵士や騎士、一般の人だろうか、武装していない者も床に倒れたまま動かず、周囲に流れる赤い液体がその者の様子を物語っていた。

 お父様は後ろにいる人を庇うように見たことのない光を放つ剣を手に持ち襲う魔物を倒していた。

 鎧は見たことのないゴツゴツの装飾品がついた見た目呪われた装備だ。

 何か強力な効果があるようで、傷は付いていなかった。


 私はこのままだとまずい事になると思うと、夢、夢なんだ落ち着けと心の中で口にする。

 魔物の数が増えて、私はつい魔法を咄嗟に口にしたが、やはり発動はせず、走って近寄るが触れる事もできなかった。

 夢だから、夢だから仕方がないと言い聞かせて現状を把握すると、私の知る王城に現れた魔物ではなく、人型の不死系、アンデットの軍勢だった。


 私はこの光景を知らない、なら何故?夢で再現できるの?夢だから自由に作れるの?考えても答えはなく、見守ることしか出来ないのだ。


 シャーリーに以前聞いたような騎士は二人一組の陣形で攻撃と防御を分担していた。

 中々鋭い攻撃で魔物を倒し、攻撃直後の隙を盾持ちが守るという洗礼された動きだった。

 お父様の後ろでは王城で仕事をしてる者達が助けを求める言葉や絶望から出る言葉を口にしているが、微動だにせず真っ直ぐ見ている者もいる。

 身に纏う物から恐らく国王様だろうか、手に剣を持ち、いつでも戦えるような状態だが、逃げた方がいいのではと思ってしまう。

 

 「それにしても魔物の数が多すぎるよ。一体何処から現れてるの!」


 強く鍛え上げた人も人間なら限界があり、次第に疲れを見せた者から魔物の餌食になる。

 叫び声が聞こえると、一人また一人と床に倒れていくのだった。


 お父様は本当なら守りに行きたい所だけど、国王様を守る為に動けないんだ。

 

 「このままだと、国王陛下、この場は一旦後退しましょう」


 「ロビンよ、王都も死霊の群れに襲われ、生きた者も殆ど居ない、後退をすると言っても行き場がないのだ。それならば、この場で最後まで俺は戦うぞ、先程も言ったが、逃げたい者は逃げるがいい」


 お父様の言葉に対して国王様は逃げずに戦うと言ったが、他の者は「俺はもう逃げるぞ!」とか「もうおしまいだ」などと各々好き勝手に言っている。

 今の国王様が言った事、王都が死霊に襲われたって私の経験した王都はバグの群れに襲われたはず、何で襲った魔物が変わってるの?夢だから?

 それに生きてる人が殆ど居ないって、一体何が起きてるの。そんな事を考えながら気になる事があった。

 この夢の中では私はどうしているのか、私だけではなく、他の皆は何処にいるのかという疑問だ。

 例え、私が王都に到着しなくてもローランやサーシャ、知る限り強い冒険者も居るはずだ。

 この夢は様々変わっている点があり、それなら商業街の出来事や私が戦ったナイフ使い等はどう変わっているのか気になってしまう。


 『アニエス知りたいの?』


 聞こえなくなった事から居なくなったと思っていた謎の声が頭に響き、私は「この夢はよく分からないけど、皆が…違う、私が何してるのか気になる…」と答えた。

 

 『後悔しないでよ』


 意味深な声が響くと広がる光景が変わり、崩壊した商業街を真上から見ているような状態に変わった。

 宙に浮いている疑問より、私が実際に見て歩いた以上に壊れ、燃え、誰一人生きていないような地獄の図にドクンドクンと強く胸の鼓動を感じて身体が震えそうになった。


 残骸や動かなくなった人の影、宙に浮いている状態ではよく見えないが、誰一人として動く気配はなく、魔物の姿もなかった。

 

 「シャーリーは!シャーリーは無事なの!?」


 夢と分かっているが商業街に向かったシャーリーの事が気になってしまう。

 私が知る限りではシャーリーとラルフが人々を助けつつ冒険者や兵士と協力して、街長の邸に籠城していたはずだ。

 私が知っていた邸の場所は瓦礫に変わっている。

 焦りながら探すと見たくない状態のシャーリーを見つけたのだった。


 「うそ…いや、いやだよ…シャーリー!シャーリー!!」


 シャーリーは全身を棘に貫かれて動かなくなっていたのだ。

 夢と分かっていても大切な人が死んでいる姿は見たく無かった。

 涙が溢れて止まらず、悲しく嫌な気持ちになる。

 

 「何で、こんなことに…」


 『アニエスが知りたかった事だよ、シャーリーとラルフは孵化した深淵の落とし子に挑むが商業街含めて蹂躙された』


 「私はどうして…どうして来てないの…」


 『知りたいの?』


 怖い、知りたくない気持ちもある。だけど知らなければ、このモヤモヤする気持ちは治らないと思い「知りたい」と弱々しく答えた。


 辺りの景色が変わり、それは私がよく知る邸と街を真上から眺めていた。

 静かすぎる街並み、よく見渡すと街は至る所に霧が発生していた。


 「凄い霧だけど、どうなってるの…」


 人の気配がしない、と言うより空気も含めてまるで死んでいるように静まり返っている。


 『知りたいの?』


 「これじゃあ…分からないよ…」


 私がそう言うと邸の中に立っていた。

 いつも歩く廊下だったが、嫌な気配を感じたのだ。

 

 「血の匂い…なんで…」


 いつもは誰かしら廊下に居るのだが、誰もいない、大広間からは嫌な匂いが漂うのだ。

 見たくない、知りたくない、そんな気持ちを抱きつつ少しずつ足を進める。


 「弱イ!弱すぎるゼ!!舐めたクソガキ、もう終わりカ?威勢が良くなるように他のやつ殺した方がいいのかァ?」


 聞き覚えがある声、ナイフ使いが邸の大広間に居るあり得ない光景、そして床に倒れる私、微かに息をしているが流れている血から満身創痍なのは間違いない、そして見たくない状態のお母様達、倒れて動く気配がなかった。


 「何で…嫌ぁ!!」


 過呼吸になりそうだったが、夢、夢、夢と言い聞かせつつ心を落ち着かせようとした。

 それでも嫌な気持ちは溢れて止まらず、涙は流れ続ける。

 ナイフ使いへの怒りもだが、夢の私はどうして負けているのか、何故防げなかったのかという憤りが大きかった。


 『それはリディアが人質に取られたからだよ。そしてフィリスが無惨な死を遂げて、アニエスは怒り攻撃したけど、倒せなかった。ナイフで大切な人が的当てのように殺され、目の前でリディアも殺され、アニエスは心が壊れて倒れちゃったの』


 「何で、こんな酷い夢を見せるの!?」

 

 『知りたかったんじゃないの?傲慢なアニエス?その罪を不幸を振り撒く呪いを知りたかったんじゃなかった?』


 「意味がわからないよ!こんな…酷い夢作らなくてもいいでしょ!姿を見せて名を名乗れ!!」


 『私の事はアニエスがよく知ってると思うよ?それと最後に一つだけ夢であって夢ではないの、あり得なかったけど、あり得る事実なんだよ』


 何を言って!と言い返す前に夢が覚める特有の覚醒を感じたのだ。

 あの声の主にまだ言いたい事が!と何とか留まろうとしたが、叶うはずもなく、夢から現実に意識が戻り、勢いよく身体を起こして声が出てしまった。


 「まだ聞きたい事が!!あっ…」


 バッと勢いよく、そのまま止めれず口にしたが、周囲の目線を集めてしまった。

 恥ずかしさを感じつつ、視界にシャーリーが映り夢と知りつつも生きていてよかったと安堵した。


 「アニエスお嬢様、気がついたのですね!よかった、良かったです!」


 「シャーリー…」


 安心して涙が流れてしまい、シャーリーは心配したが、私は「ごめん、大丈夫だから…変な夢見ただけだから…」と言うしか出来なかった。


 夢は夢…本当だろうか、あれは夢の出来事、なのに心の奥底で感じる現実感、間違いないのは夢が現実にならなかった事だけだ。


 あの出来事がまるで実際に起きたような、目を閉じると思い出してしまい胸が苦しく、涙が止まらなくなる。

 優しく温かいシャーリーの手が私の頭を撫でると、心の奥の嫌な気持ちがスッと消えていくように感じた。


 泣き止み落ち着くとシャーリーに状況を聞くことにした。


 「アニエスお嬢様が玉座の間に入った所からですが、すぐに扉が閉まったのです。そして開かず、アルテア様が壊す勢いで攻撃しましたが傷一つ付かなかったのです。暫くすると後方から声がして王城内に応援の兵や冒険者が現れ、分担して奥の寝室に向かう方法を探しました。玉座の間に入る為に王族を探す目的ですね。しかし扉の行き先は直っていないので、難しく途方に暮れていた時、玉座の間が開いてローランに抱き抱えられアニエスお嬢様が出てきたのです」


 シャーリーは私にあの後から今までの事を教えてくれた。

 その後、扉は直りローランと他の者は先に王城の奥を目指して向かったようで、シャーリーは私の目覚めを待ち、待機していたようだ。

 アルテアとラキアは見回りをしているらしく、もう少し経てば戻るようだ。

 サーシャとラルフはローランと一緒にお父様や国王様を探しに向かったらしい、話を聞いてほっと安心した。

 あの時、あの男が皆には手を出していないと言っていたが、真実かわからなかったからだ。

 そうなると、眠らせたと言う事は嘘だった事になり、あの男の言葉は何処までが真実だったのか分からなくなった。


 「あっ!アニエスちゃん、目が覚めたんだね!」


 元気なアルテアの声が聞こえたと思えば私の方に向かって走ってきたのだ。

 そして、良かった良かったと言いながら頭を撫で回してきた。

 嬉しく思えるが、何でだろうか、勢いよく撫でるというより、擦られている気がする。

 シャーリーに止めてと見つめたが、目線を外されてしまい直接伝える事にした。


 「あ、アルテア様、ありがとうございます。とりあえず一旦やめてください、私の頭がすり減ります…」


 「またまた、遠慮しなくていいんだよ」と言いながら止める気がないのでラキアに助けてと目線を送ると「はい、ここまでです。アニエス様が困っていますよ」と暴走しているアルテアを止めてくれた。


 「ごめんね、アニエスちゃんが削れて小さくなるなるて思わなかったから、少し削れたかな…」


 ラキアに言われて気がついたのか、ションボリしながら言うのだが、私は「小さくなりません!削れてないです!」と自然に口から言葉が出た。


 「良かった、アニエスちゃんの内側から嫌な感じが無くなったね。やっぱり元気なアニエスちゃんは可愛いね」


 ニコッと笑いながら、そう言うアルテアに私は恥ずかしさを感じてしまい顔を赤くしながら、「ありがとうございます!」と強く言うと「照れてる照れてる」と弄られてしまった。

 

 (確かにアルテアの言う通りだね…心が軽くなった気がするよ)


 魔王の何かスキルで撫でた時に私の内側を覗いたのだろうか、口に出すのは恥ずかしいので、心の中で感謝をする事にした。

 あれ?あの夢ではアルテアやラキアは居なかったよね?やっぱり夢は夢なんだと思うのだった。


 「ま、待って!王城はどうなったの!」


 「ボクとラキアが調べた限り、魔物は全て居なくなってるから安心してもいいと思うよ。王城の事よりもアニエスちゃんが見た事の方が気になるけどね」


 見回りの時、確認したようで王城は安全になったようだ。

 アルテアが気になるのは玉座の間の出来事のはずだが、あの夢を見た後だと違うように感じるが、違うように思えてしまい「また今度話すね」と逃げたのだ。

 安全になったなら尚更お父様に会いたいと立ち上がるが、ふらついてしまいシャーリーは支えると「まだ疲れが抜けてないのでしょう、私がお運びしますので、ご安心ください」と言い抱き上げられて移動することとなった。


 王城内はいつの間にか兵士や騎士の姿が見えて事後処理を行なっている。

 扉は元に戻り、問題なく正常な道に繋がり、王城の奥へと進むと前方からローランの声が聞こえた。


 「アニエス嬢、目が覚めたみたいだな、身体大丈夫か?」


 ローランと一緒にフワフワとマリーの姿も見えて、「アニエスなら心配いらないって言ったでしょ」とマリーは言うのだ。


 私はそうだ!とローランに気になった事を聞く事にした。


 「ローラン、あの雷バチバチするの使って大丈夫だった?身体変な所ないかな?」


 「大丈夫だと思うが、腕がこんな風に変わったが問題ないよな」


 ローランはそう言って装備していた銀の鎧を解除すると袖を捲り腕を見せた。

 一瞬で鎧を脱いだ方が気になってしまったが、ローラン自身が言った通り、腕は青白く変わりじっと見るとパチパチ電気を帯びているように見えるのだ。

 痛くはないの?と聞くと問題ないと言うが初めて見る現象に判断しにくいが、本人が問題ないなら大丈夫だろうか、トニトリスに次あったら聞いてみようと思った。


 ローラン達はお父様や国王様と合流できたようで、寝室から移動したらしい。ラルフが付き添っているようで、その場所にローランは案内してくれた。


 ローランは言葉を正し、私を連れてきた事を話すと、中からラルフが扉を開けて、私は部屋の中に足を進めた。

 無事なお父様の姿を見ることができて、胸の内側から膨れ上がる様々な感情は私の目から涙となり流れ出した。

 

 「お父様、ご無事で…本当によかった…です…」


 「アニエス、少し見ないうちに泣き虫になってしまったな、心配させてしまったな、色々な話は簡単に聞いた。後で説明してもらうからな」


 お父様は近寄ると、私を抱きしめた。

 あまり着ない鎧を着ていたことでゴツゴツ装飾品が当たり痛かったが、嬉しさが勝り我慢した。


 「お、お父様、もうそろそろ私限界です…トゲトゲが痛いです!」


 最初は再会の喜びが勝っていたが、途中から装飾品の痛さが強まり、離れようとしても離してくれない腕の中で踠き、私は痛いから離れてと伝えたのだ。


 「すまなかったな、今回は私も本気で戦う必要があったので、昔の装備を借りたのだ」


 貴族用の服や騎士の鎧は知っていたが、お父様が着ている鎧は何というか、呪われてそうなゴツゴツトゲ付きの金属感が強い鎧だ。

 戦いの激しさは傷で現れ、所々に返り血も飛んでいる。

 それも合わさり、呪われた見た目だ。


 (あれ?この鎧って…)


 「再会を喜び、次は怒る番でよかったか?」


 「えっ、お父様?私も心配で必死だったのですよ!!」


 怒ると言われて、私は必死に弁明した。

 その必死な私を見て後ろから、笑い声が聞こえたのは覚えておくことにした。


 「すまないな、心配かけたことには変わらないからな、親の責任の一つだ。アンナはおそらく怒るだろうな、私も一緒に謝るとしよう」


 「お父様!!」


 心配をかけたことで反省させる演技だったようだ。

 お父様は怒らないと私は最初から思っていたので大丈夫だったが、問題はお母様だ。

 一緒に謝ってくれるようなので、私はお父様に身を委ねるしかないのだった。

 お読みいただき、ありがとうございます。

 今年もよろしくお願いします。


 同じような展開で申し訳ありませんが、色々片付いていきます。

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