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前の世界で運営者に消されたNPC姉妹が新しい世界で生きて行く  作者: あいか
序章 この世界で妹と再会するまで
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74話 敵対者

皆様、いつもありがとうございます。


 何だろう、心の底から嫌な気持ちが溢れてくる感覚、今まで感じた事がないほどの恐怖を感じた。

 急に現れた者、目視した途端全身がゾワゾワして気持ち悪くなってきたのだ。


 「ダメだ、皆アイツを視認したらダメだ!」


 アルテアは片目を抑えて、そう叫んだ。

 私はその言葉を聞きつつ、頭の中で嫌な感じを耐えながら皆を見ると、様子がおかしかった。


 「な、何が…起きてるの…」


 ラキアも含めて、蹲り頭を押さえているのだ。

 先程の言葉を話したアルテアは辛うじて何かに耐えてるようだが、かなり苦しそうだ。


 「遅かった、アニエスちゃん、体動かせるかな…」


 アルテアは苦しそうな声を出しながら、「目を瞑って…耳を塞いで!」と言ったのだ。

 それを聞いて私は理解する事は難しかったが、指示に従うことにした。


 「吹き飛べぇ!!」


 アルテアは更に辛そうな声で気力を振り絞り叫び、耳を塞いだ状態の私は辛うじて聞こえたので身構えると無理やり指を鳴らし魔法を発動させたのだ。

 目を閉じてるので、どんな魔法か見えない私だが、強い風が発生した事と、その風に吹き飛ばされて横に飛ばされた事は分かった。

 

 かなり強い風魔法、吹き飛び転がりながら若干の痛みを堪えると、感じていた嫌な気持ちは薄れていくのだ。

 アルテアが発動した魔法に何か別の効果があるのかと思うが、おそらく違うように感じる。

 大丈夫と思いつつ、目をゆっくり開けて耳を塞いだ手を離した。


 「皆、大丈夫?」


 周囲を確認して声をかけるが、悪夢に魘されるような状態のまま、アルテア以外は反応するしなかった。

 皆、同じ左側の端へ動かしたようで、微調整が大変だったのか、アルテアも肩で息をしながら答えるのが精一杯のようだ。

 

 「はぁはぁ、やられたよ…ボクも少し受けたけど、気がついたから、皆を視線外に飛ばしたけど、効果を強く受けてるみたいだね…」


 アルテアは自身も吹き飛んだ為、ゆっくり起き上がりながらそう言うのだ。

 私は、その言葉を聞いて急に発生した理由が分かった。

 怪しい者が現れて言葉を聞いた後に体調が悪くなった事から、魔法を使った可能性が高く、開いた扉から離れると良くなる事から視線を使った魔法だと思う。

 咄嗟に理解して動けたアルテアは流石、魔王だ。


 「まだ、頭の中で蠢いているよ、気持ち悪い…アニエスちゃんは大丈夫?」


 「他の皆よりは大丈夫だと思うけど、私も気持ち悪いです」


 頭を片手で押さえながらアルテアが話したので、私も今感じている気持ちを答えた。

 どうやら、頭の中を何かが蠢いて内部を食べるような感覚らしく、私の感じた嫌な感じとは違うようだ。

 倒れたまま魘されている皆もやめてとか食べるなとか言っている事から、アルテアの話と一緒のようだ。

 アルテアは「ふむふむ」と言いつつ皆を見た後、「眠らせた方が良さそうだね」と言うのだ。


 「とりあえず、皆の精神が危なそうだから、眠らせるけど、アニエスちゃん、体全体に魔力を流したままで動かないでね」


 私は、どうやってと聞く前に使う兆候を感じたので、言われるように体の内側を魔力が常に動くように集中した。

 もしできなかったらという事を考えてない発言は力を信じているのか、何も考えてないのか、分からなかったが、当の本人は指を鳴らして体から黒い輪のような物を出したのだ。

 それを受けた者から次々と意識が失うように頭を押さえていた腕は力を失い、そのまま眠ったようだ。


 「あっ、本当に耐えたんだね…」


 アルテアは取り繕うようにニコッと笑うが、最初に発した言葉から私は耐えれないかもと思っていたようだ。

 いろいろ言いたい事があるが、今はそれどころではないので、扉の前に立たないよう、端から動かずにアルテアと話すことにした。


 「何を使ったか、分からないけど、精神汚染に近い感じかな、ボクは近い事できるから耐性あったけど、無い人は耐えれなかったようだね」


 精神汚染と言われて思い当たる事はなかった。

 精神操作は知っているが、汚染はゲームで聞いた事がないからだ。

 簡単に教えてもらうと、悪い夢を見せる感じだと言われて少し納得したが、私の感じたものとは違うように思えたのだ。


 「発動条件が分からないと、対応ができないし皆がこの状況だと、引くほうがいいのかな…」


 私がそう言うと、アルテアは、「多分無理かな、何か特別な方法使えるみたいだから、逃げきれないと思うよ」と言うのだが、それなら扉から何故、出てこないのか、追撃を行わないのか気になった。

 その事を話すと、アルテアも同様に感じているようで、扉の端から覗く事にした。


 ゆっくりと頭を出して、何かあればすぐに引っ張れるように私の体をアルテアが支える状態のままこっそりと覗いた。

 私の視界には真っ暗な空間、最初に見た状態が見えたのだ。

 急に現れた椅子、そこに座る怪しい者は存在しないかのように居なかった。

 

 「誰もいない!!何処に行ったの!!」


 そう口にすると、アルテアも頭を出して見るが、私同様に何もいないと言うのだ。

 確かに居たはず、声を出して、私達を何かの魔法で攻撃した。

 あの時の言葉は問いかけるような言葉のはずが、返答を期待しない精神汚染をかけた事から、元々対話目的ではなく、違う目的があったのだろうか、考えると、深みにはまってしまうように思えた。


 「まって、確か何か言ってたよね…えっと…そう!何かやる事あるみたいな事!!」

 

 「確かに言ってたけど…」


 私もそれは聞いたが、そもそも扉の先は魔力が減衰する仕組みがあるので、急に現れた事も含めてあり得ないと感じていた。

 そもそも転移を使うなんて考えにくい、それに中から外まで魔法を使えるなら、その魔力で私達を倒してから行動する手もあるはずだ。

 

 「いやいや、お待たせしたよ。無事にやる事は終えたから、急いでおじさん戻ってきたよ」


 二人で真っ暗な空間を見ていると声が聞こえて、ハッと感じ声の先を見ると、先程と同じように無かったはずの椅子に座っていたのだ。

 いつの間に現れたという疑問より先に特異性を持つ空間で転移魔法を使えば、間違うと何処に飛ぶか分からず危険なはず、この男は確実に移動できる手段を持っていると言うことになるので、考える度に色々引っかかるのだ。


 私は身構えた事で足が下がり、それを指摘されてしまった。


 「表情、足の運び方、全身の筋肉、怯えているのか?怯えなくていいぞ、君達は興味の対象だから簡単には殺さない、折角だから実験をしようじゃないか、死ぬのが嫌なら必死に抵抗して耐えてくれよ」


 遠く表情がみづらいはずが、的確に今の状況を言われた事で動揺してしまう。

 更に口にした実験という言葉は嫌な予感がしてしまう、先程の行為とは別に実験をするなら、碌な事ではないからだ。


 止めたい、すぐに攻撃をしたいのだが、扉から一歩でも前に足を踏み入れると狭間の特異性は体を蝕む、そうなれば魔力を使った魔法の行使、それ自体できなくなると思った。

 どうしようかと考える私にアルテアは少し考えがあるようで話した。


 「扉の中から何かしてくるなら、視線外せば大丈夫だよね。中では普通に動けないなら出てくるの待って、攻撃するのがいいんじゃないかな?」


 先程の精神攻撃を考えればアルテアの言う通りだが、あれだけ余裕を見せている相手がそんな事をするだろうか、そもそもこちらからの攻撃がうまく効かないなら、相手の攻撃も同じ可能性が高い、それなら先程の攻撃は一体何だったのだか気になってしまう程だ。


 「あー、なんかさぁ隠れるとか、つまらない事やめてくれないかな?丁度良いのがあるんだ…楽しく遊ぼうじゃないか…」


 目視すると何か攻撃を受ける可能性があるなら、隠れるのは当たり前だが、どうやら相手を怒らせてしまったようだ。

 何かを行うような声が聞こえると、動作を見ないわけにはいかないので私は少しだけ顔を出して確認する事にした。


 「引き寄せろ、引力操作」


 何かを握り力強くそう言うと、強い力で身体が引っ張られるように感じた。

 これはまずいと思ったが、私の小さな身体では耐える事は難しく、宙に浮いてしまった。

 身体が扉の中に入る瞬間アルテアが、「アニエスちゃん!」と声を出しつつ手を伸ばしたが、指がふれあい掴もうとした時には強い力で引っ張られてしまった。

 

 私は何も準備をしていないまま、真っ暗な空間に引きずり込まれてしまった。

 想定外の状況だが、身体はふわふわとまるで浮遊魔法を使う時のような泳ぐ感覚に近い状態で、落下する事なく浮かんでいた。

 扉の中に引きずり込んだ後に何かされると思っていたが、攻撃もなければ、相手の姿も見えない、視点を動かしても何一つ見えない空間と音も聞こえない空間を漂っている。


 手を顔の前に持ってくると見える事から視界を奪われた事ではないが、両手を叩いても音が発生しない、大きな声で叫んでも何を言ったのか分かるだけで、耳から声が聞こえる事はなく、その不気味さは次第に恐怖に変わり、身体が少しずつ震えだしてしまう。

  

 次第に震えが強くなり、もう私はここから出れないのではと最悪の状況を考えてしまうが、両手で頬を叩き、頭を左右に振り、私自身に何とかするんだ!と喝を入れた。


 (何か、この空間から出る方法を見つけないと!!)


 私は心の中で決意すると、冷静さを取り戻した事で魔法を使ってみることにした。

 ラキアが外から中へと魔法を発動させた時は途中で消えてしまったが、この空間で発動させると、どうなるか試すことにした。

 魔力減衰を確認する為、ファイアボルトを使う事で距離を確認しようと思ったが、魔法が発動しなかったのだ。

 流石に発動はするものだと思っていたので、驚いてしまい心の中で変な声を出してしまった。


 (な、なんで!魔法が発動しないの!!落ち着け、アニエス…)


 深呼吸を行い心を落ち着かせると、体内の魔力が動かない事に気がついた。

 魔力は消えていない、体内に存在するのだが、固まっているようで動かない、無理矢理動かそうと力を込めても動かなかった。


 (何で魔力移動ができないの、これじゃあ魔法が使えないよ)


 魔力があっても消費できない状態、魔法が使えない原因はこれだろうと思ったが、解決策は思い浮かばない、魔力を移動させて発動する魔法以外なら!と思った私は収納魔法を使ってみることにした。


 (嘘でしょ…)

 

 いつもなら頭の中に浮かぶイメージもなく、発動しなかったのだ。

 魔法が使えない、これは魔力消費ができないというのが正しいのだろう、しかし、そうなれば、私の可能な手段殆どが封じられてしまったということになる。

 収納魔法も使えなければ、物を取り出して対処する事もできない、マジックチェーンに付けた魔法道具も試してみるが発動しない、この空間で魔法の行使はできないという事が分かったのだ。

 その事実で冷静なままでいる事は難しく、怖さで涙が出てしまい、誰か助けて…と音が届かない空間に呟くのだった。


 音が聞こえない真っ暗の空間、闇というべきだろうか、ラキアが狭間の空間と読んだこの場所は一人で耐えれるような場所ではなかった。

 

 (何で…音も声も聞こえないの…何で…魔法使えないの…寂しいよ…)


 孤独は怖い、このまま死んでしまうのだろうかと考えてしまう。

 音も声も聞こえない状態も怖さを増してしまう原因の一つだった。

 何で何でと考えていると、あれ?と気になる事を思い出した。

 それは扉の中から、あの男の声が聞こえていた事だ。

 音が聞こえない状態で外に声が届くだろうか、よく考えれば精神魔法も受けたはずだ。

 そうなれば、今私が置かれている状況に違和感を感じる。

 

 (何か変…違う…何もかもが変なんだ!)


 私は、ここが変というより、全てに違和感を感じた。

 ふわふわと浮かぶような感覚、見渡しても真っ暗な空間、音が聞こえない状況、魔法も魔力も何もかもが思うように動かない状態、それらを纏めると一つの答えに辿り着いたのだ。


 あり得ないと思いながら、それなら納得できる状況、それは夢の中にいるのではと思ったのだ。

 いつもと違う感じはするが、概ね真っ暗な空間は同じで、夢の中なら魔法は使えないのも説明がつくのだ。


 あり得ないと思ったのは、そんな兆候がない程、綺麗に繋がる記憶だ。

 扉に引っぱられる時から、その後まで全て繋がっているからだ。

 

 (もしかして…既にあの時から夢の中に居たって事なの…それならいつ…どうやって…)


 血の気が引くように感じる。

 記憶が綺麗に繋がり、仮にこの場所が夢の中なら、いつから夢の中に居たのかという事を考え始めると、身体が冷たくなるように血の気が引いたのだ。

 それを考えると呼吸が荒くなる。

 頭の中では様々な可能性を考えながら、あり得ないと否定していた。

 ゾワゾワを感じた時、あの時に何かの方法で意識が飛ばされたのがたどり着いた答えで、過呼吸気味に息をしながら、間違いないと強く思ったのだ。

 

 『アニエス、やっと気がついたの?』


 頭の中で響く声、私を知ってるように響く声はそのまま続けるように喋った。

 

 『あと少しだったのに、()()も助けてあげるよ』


 無邪気に喋っているようにも聞こえるが、知ってるような知らないような声が頭の中で響いて、それに問いかけようとするが、それよりも先に真っ暗な空間は霞がかかるように見えなくなり、ぐにゃりと視界が捩れるのだった。


 「貴方は誰なの!!あ、あれ…」


 私が大きな声で口にした時、目の前には真っ暗な空間ではなく、豪華な部屋が視界に入ったのだ。

 

 「ここは?玉座の間?あれ、私何でここに居るの…」


 私は辺りを見渡すと天井や壁は所々に魔石を使っているようで、奥にある玉座が視界に入り、そう言ったのだが、何故この場所に立っているのか、直前の記憶が曖昧で、私が口にした誰なのという言葉も何で大きな声で喋ったのか分からなかった。

 分かった事は気がついた時に感じた息苦しさと、大量の汗を感じた事だけだった。


 私は頭の中で?を並べつつ少しずつ直近の出来事を思い出し、皆は!と辺りを見渡した。

 大きな扉を開いた後、真っ暗な空間が広がり、ラキアが調べて狭間が広がっている事が判明した。

 その後に何者かの声が聞こえて、それ以降の記憶が曖昧で思い出せなかった。


 一度部屋から出て探そうと思った時に広い部屋の中で手を叩いた音、拍手が聞こえてきたのだ。

 

 「いやぁ、素晴らしい、これほど素晴らしいとは、おじさん思わなかったよ。自力で覚醒するとは思わなかったからね」


 先程一度見たはずの玉座から拍手と共に男の声が聞こえた。

 すぐに見直すと、片目にモノクルをつけて、中年ぐらいの年、奇妙な服を着た偉そうな男が玉座に座り、手を叩き拍手をしていたのだ。

 

 「初めましてと言った方が良いのかな?おじさんは知ってるけど、君覚えてないでしょ?」


 余裕のあるように聞こえる声、扉を開けた後に聞こえてきた声と同じで、本来座る事が許されない玉座に座り、意味深な言葉を私に言うのだった。


 「貴方、誰なの!皆を何処にやったの!!」


 色々と言いたい事はあったが、そう自然と口から言葉が出たのだ。

 玉座に座る男を睨みつけて、答え次第では許さないつもりだ。

 沈黙が少し過ぎると男はゆっくりと立ち上がり、服のシワを伸ばすと話し始めた。


 「少し落ちついてよ、君の仲間なのかな?今の所は無事だよ。誰か…何度か君に聞かれたけど、今思えば一度も答えてなかったね。名乗る名前が無いものでね、あえて名乗るなら、終焉の探求者と名乗ろうか、呼び方はおじさんと気楽に呼んで構わないよ、簡単に言うなら君達の敵だね」


 私に向かって男はそう言うのだった。

お読みいただき、ありがとうございます。


年内で王城の話を終わらせたいと思っています。

色々飛び飛びにならないように気をつけているのですが、読みづらい箇所は申し訳ございません。



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