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前の世界で運営者に消されたNPC姉妹が新しい世界で生きて行く  作者: あいか
序章 この世界で妹と再会するまで
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75話 決着の行方

皆様、いつもありがとうございます。


区切る場所を見誤った為、少々長くなりました。


 終焉の探求者と名乗った男、この国で見る事がない他国の服を着ている時点で敵と分かるが、本人も認めている為、確認する必要は無さそうだ。

 これまでの敵とは違い、会話が可能な分は運がいいのかもしれないと思い確認する事にした。


 「私一人をこの場所に連れてきたって事は、用事あるんだよね?何をしようとしてるの?」


 曖昧だった記憶だが、私一人玉座の間にいる事から何かの手段で入ったもしくは、連れてこられたと考え聞いてみると、「全員確保するつもりだったけど、君一人で十分に感じだから、他の人間は扉の前に置いてきたね」と男は答えた。


 言葉一つ一つに隠れる思惑は、何を考えているのか、想像も難しくどこまで本当の事を話しているのか分からなかったが、今話した事をそのままの意味で受けとるなら、皆は今の所無事で、私の方が危ない状態だ。


 「あぁ、君だけで十分という話は大袈裟な事ではないが、君が欲しい…違うな、正確には君の身体が欲しいと言うべきだろうか」


 何か聞けると思って聞いたが、返ってきた言葉に私は正直引いてしまった。

 

 「えっと…無理…何この人…」


 「そんなに拒絶されると心が痛むな、お詫びに一つ、さっき君が知りたがっていた事だが、やりたかった事は前に言ったと思うけど、ある物の回収、予定外な駒の消耗は少し痛手だったが、君のおかげで欠点も分かった。研究個体も調達できた事で、ある意味想定を超える結果と言っても良いだろう、その点は君に感謝をしなければならないね」


 どう言う事だろうか、何かを奪う目的で、これ程の事を行ったという事ならば、それに見合う物なら宝物庫の中にあった宝と思う。宝物庫は地下にあり、ウィンデーネの霧でも覗いていない。四方の壁がこの場所と同じなら入る事は困難だが、違うなら容易く入れるはずだ。


 もう少し踏み込んで、何を回収したかと聞くと、「例えば世界を救う力と言ったら信じるかい?君は敵に物事を聞きたがるようだけど、返ってくる言葉全てを信じる事ができるかね」と嫌味を言われてしまった。


 「色々聞きたいけど、もういいや…大人しくしてくれるかな?」


 言葉を交わすとイライラしてくる。相互理解が可能な対話を信じれるかと言われれば、この男の話全て信じる事ができないだろう。気になる言葉、駒と言ったのは昆虫種バグの事なのか、アルビネスの事なのか、欠点という言葉や研究個体と言った意味など、聞きたい事は沢山あったが、私はこれ以上の対話は無意味と感じて、まず無いと思いながらも大人しくするかを聞いたのだ。


 「敵対者に言葉は無意味、大人しくしろと言われて従う奴は居ないって事だ。それに試したい事ができたから、少し抗うことにしようか」


 男はそう言いつつ、服の内側に手を入れると、何かの瓶を取り出し、足元の床に投げつけた。

 止めようとしたが、距離があり一瞬の動作だったので、目で追うのがやっとだった。

 殺すと情報が集めれない為、下級魔法を放つと何かが飛んできて相殺されてしまう。この男は動作を行ってないのに何故?と思いつつ視点を動かすと、後方上部に歪みが発生して、その中から長い筒のような物が見えたのだ。


 「あの筒もしかして魔導銃なの!?でもどうやって使ってるの!」


 見た目は知らない形状だったが、一目見るとわかりやすい長筒は魔導銃と分かり、魔法を放つ事で私の魔法が相殺されたのだろうと理解した。


 「博識いや…違うかな、魔導銃はこの国にないはずだ。何故知っている」


 私が言葉にした魔導銃に反応するように男は喋りだしたので、何か話を聞くチャンスと思い領地で使われた事を話した。すると男は、「そういう事か…だがしかし、それでも魔導銃という名前や特性は分からないはずだが、まぁ今は良いとしよう」と一方的に話し、納得するように頷いた。

 

 名前が知られない絶対の自信、アルビネスと同じように喋ると死ぬように魔法が掛けられているのだろう、実際お父様から聞いた話と一致する。仲間を使い捨てるような事は聞いているだけでイライラする。再度、下級魔法を使うが先程と同じように止められてしまった。


 私が知る限り遠距離から操作はできないはず、まるで次元収納から取り出すような空間の歪みから出ている魔導銃は気になるよりも面倒に感じる為、中級魔法ならと使うが同じように止められてしまった。


 (何で私の魔法が通じないの!魔導銃は使う魔法を変えるには組み込んだ魔石を変えないとダメなはず、変えた様子が無いのに相殺した魔法は最初とは違った。やっぱり私の知らない何か別の能力が…)


 私は対処法を考えるが、範囲魔法や上位魔法を使うとなれば、この部屋が影響を受ける恐れがある。気にせずに使ったとしても周囲を形成する遺物のような壁が魔法を反射するなら自分も危ない為、情報もない今は使えなかった。


 男が右手を前に出すと、後方の魔導銃が私の近くに現れて魔力弾を放つ。魔法扱いの属性を付与させた魔力の塊、当たれば危険なので避けつつ、私は魔法で応戦した。

 本来不可能な遠隔操作は攻撃後、消えるように別の場所へ移動して死角を狙い魔力弾を放つ。厄介な攻撃は避けたり、避けきれない分を相殺するのが精一杯だ。


 「素晴らしい、子供には見えない洞察力にそれを裏付ける力、やはり倒せないか…想定通りかな?準備が終わった事だし、始めるとしようか」


 迂闊だった。何故、考えが回らなかったのだろうか、魔導銃は時間稼ぎで本命は床に投げつけて割った瓶だ。


 「動かす魔力が調達できなくて困っていた代物だ。魔力変換に時間がかかったが、せっかく手に入れた精霊の魔力だ…使わせてもらうよ」


 男がそう言うと魔力が膨れ上がり、部屋全体に広がり、収束するかのように床の割れた瓶に集まる。瓶を割る行為はアルビネスが行った酸の霧を発動させた時と同じだったが、中身がなく、割った後何も起きなかったので、私は魔導銃を使う条件と思い込んでいた。


 私は何をしたの?という疑問より、精霊の魔力と言った事で何にしても止めなければならないと感じた。


 「限定召喚、憎悪の塊、報復の一端よ、この場に姿を表せ!」


 男がそう言うと、散らばる魔力を帯びた瓶の破片が黒くなり、溶けるように液体に変わる。その液体は一箇所に集まると球体の形に変わったのだ。

 私は同時に魔法で相殺を試みたが、球体となった瓶の破片に吸い込まれるように取り込まれてしまった。


 「素晴らしい、力の一端だが呼び出す事に成功した!」


 黒い球体を力の一端と呼ぶと、子供がはしゃぐように喜びだした。

 私の魔法を吸い込んだ黒い球体、闇属性の何かを呼び出したと思い、光属性の魔法を使う事にした。


 魔力量で吸い込めるかどうか変わる可能性もあるので、リングから魔力を解放しながら発動させる。大量の魔力を使った事で、一瞬、身体がふらついたが、気にしている余裕はなく、嫌な感じがする球体とあの男を倒すことだけに集中した。


 私は一言「死なないでね!」と言うと、男から離れながら詠唱を開始した。


 「燦然と輝く星、聖星は天を覆う光、闇を消し去り煌きで満たし、光柱を作り彼方に立てよ、極光魔法、ジャッジメントピラー!!」


 天より降り注ぐ光柱が部屋の中に次々と現れ、明るい玉座の間が更に光り輝く、光柱は明るいだけではなく、柱から白い魔力の棘を飛ばして周囲を攻撃する。無差別に近い攻撃な為、皆がいる時には使わなかったが、私一人の今だからこそ使ったのだった。

 

 「何だこの魔法!何処から柱が現れたのだ!」


 急に光り輝く柱が現れた事で男は動揺しているように見える。天井を見上げて、「確かに上から落ちたように見えたが、穴も空いていないな、興味深い魔法だ!」と何やら興奮したような声で観察していた。

 そう、この魔法はかなり特殊なので、降る時点では攻撃判定はなく、可視化された魔力の塊に近いので、建物はすり抜け、床に当たれば天井まで光柱が実体化するのだ。

 玉座の間は特殊なので、うまく使えるかどうかは賭けに近かったが、仮にすり抜けず光柱を降らせれないなら別の手段も考えていたが、必要はなさそうだ。


 「裁きの柱は私以外の全てに罰を下すよ。その魔法、浮かんでる球体は何か分からないけど、危険だと思うから消えて無くなって!!」


 白い棘が飛び交い視界を白く染める。部屋の損傷を気にしない範囲魔法は四方の壁に当たると棘は分裂して更に拡散する。光柱は私以外の存在を許さず、敵を倒すまで飛び続ける光属性とは思えない魔法だ。

 制圧力が高く、常に魔力を本体に注がなければ自壊する為、発動中は他の魔法が使えない欠点がある。それを考慮しても威力や相手の攻撃も防げる為、強力な魔法だ。


 「嘘でしょ!!」


 驚く光景を見てしまい声が出てしまう。光柱は無差別に攻撃を行う残虐な超級魔法なのだが、黒い球体は後方に同じ色をした剣のような物を八本回転させながら翼のように生やすと、光柱の裁きの棘を受け流すように動いたのだ。

 一本剣が男の前に移動すると、飛び交う棘をまるで塵を吸引するように集めて砕けたのだ。

 ガラスが粉々に砕けて散るような周囲の光を反射させてキラキラと粉が舞うと黒い靄を発生させると球体に戻っていく、直後に砕けたはずの剣が球体の後方に現れた。

 

 「想定通りの動作だ…これで一端の力ならば解放できたら世界を救える!!しかし、召喚に必要な魔力問題が難問か…やはり、足りない分は人固有の力を…」


 男は黒い球体が思った以上に動いた事を喜び、まるで子供のようにはしゃぐと、戦闘中と言う事を忘れているのか、勝手に喋りだしたのだ。

 

 「私を無視して一人で話さないでよ!」


 私を無視して喋り、自問自答する男に対して、右手を前に出し手を広げ直ぐに「砕けろ!」と言いつつ拳を握る。男の周囲に生えた光柱はその動作と共に砕かれると、光の礫となり部屋の壁、床、天井に当たる度に跳ね返り全体を攻撃した。


 無視された事に対しての怒りから発動させたわけではなく、光柱の棘を防いだ回転する剣が気になり試したのだ。


 光柱の棘による侵食攻撃を受けると、触媒として使い捨てるように剣が砕ける。本来は棘に侵食された箇所から新たな棘が生えて更なる攻撃を行う。そのはずが剣は砕けて消えてしまい、その時点で効果が止まる。剣が無くなっても直ぐに再度現れる為、身代わり効果なら質量で勝れば受けきれないはずだ。


 魔力眼を発動させながら見ていると、礫が黒い球体や男に当たる直前で後ろで回る剣が砕ける。対象を中心に円の範囲を身代わりのように剣が砕けて消えると礫も無くなるのだ。

 棘は後方の剣が移動して吸引したが、礫はその場で砕けると周囲の攻撃は切り離したように消えてなくなる。棘は魔力攻撃、礫は質量を持つ攻撃、この違いで対処の仕方を変えているとしか思えないが、どうやって知らないはずの魔法に対応したのだろうか、一つわかる事はあの球体が確実に危険な物と言う事だった。


 「どう見ても世界を救うような物には見えないよ!」


 魔力眼で砕ける瞬間を見ると、周囲を黒い靄が現れて黒い球体に戻り、後方で新たに剣が現れる。闇が悪とは言わないが、禍々しさを感じる球体が世界を救うとは思えないので言い返したのだ。


 「見え方、感じ方が違うだけで、否定をするのか、ああ、前におじさんの目的を知りたがっていたな、目的は世界の救済だよ」


 本当に救うことが目的なら、これ程の虐殺は行わないはずだ。


 「王都を滅茶苦茶にして、王城内でも大量に人を殺して救済?ふざけないでよ!!」


 「やはり何か思い違いをしてるようだ。予定が狂って少し人は死んでしまったが、元は犠牲者が少なくなるはずだった。障害となる者を遠ざけて、最小限での行動、殺す目的なら皆殺しにすれば良いだけで、目的が最初から違うんだ」


 言葉を聞くだけでイライラしてしまう身勝手な言葉だ。

 仮に本当だとしても魔物を使ったり、無抵抗の人を殺したり、街を壊していい事にはならないはずだ。

 

 「逆に問おうか、相手を殺さなければ守りたい人を助けれないとしよう、君は相手を殺すのかい?それとも守りたい人を見殺しにするのかい?」


 「守るための戦いじゃない殺戮を正当化したいだけなんでしょ、そんな事を考える人が世界を救うなんてあり得ない」


 男はふふっと笑うと、「過程がどうあれ、最終的にたどり着く結果は同じだ」と言うのだ。

 危険な思考、戦いを終わらせたいが、攻撃が防がれてしまう。光属性の魔法を防げる黒い剣を何とかしたいが、壊しても再出現するので難しく、こちらの魔法は理解不能な方法で防がれるのだ。

 不可解なのは魔法を防ぐが剣で攻撃をしてこない、それだけではなく、黒い球体が現れてから魔導銃による攻撃も使わない事だ。

 

 (あの防御を突破できない!魔力消費も多いはず、ウィンデーネの魔力だけだと長く持たないと思ったのに…どうすれば良いの!)


 魔法剣ならどうだろうか、と考えるがおそらく防がれるだろう。解除魔法を使っても召喚魔法を使用した直後なら無効にできるが、召喚された後だと意味がない、そもそも瓶を利用した召喚は見た事がないので初見の対処は無理だ。

 精霊を呼び出しても魔力を奪われしまう可能性があり、物理攻撃扱いの礫が防がれる事から攻撃なら何でも防ぐのだろう、これ程強力な召喚は維持する魔力も膨大で剣を作るだけでも相当な魔力消費になるはず、魔力眼で見ても男から魔力供給は感じれず、むしろ魔力が無いように思えた。


 (この理不尽さ、ゲームなら批判されるよね…)


 私は、この世界の元となるゲームの事を考えてしまう。知らない事には意味がなく、考えても無駄に思い頭を左右に振る事で気持ちを切り替えた。


 「ねぇ、折角だから教えてよ?私を攻撃できない理由があるんだよね」


 まともな答えが返ってくるとは思えないが、無闇に魔力を使って消耗戦をするのは危険と思い話しかけた。


 「やはり、他の人間より君は賢しいな、何か探りたいのは言葉や表情から察する事が可能だ。理由は簡単、見極めをしたかったからだよ」


 男はそう言うと黒い球体に向かって歩き、体を重ねる。危なそうな見た目なので、触れることはしなかった球体だったが、まるで男の体に吸収されるような勢いで収まり、先程まで存在した黒い球体は消えてなくなったのだ。


 私は「取り込んだの…」と声を漏らすと男は「フフッ、取り込み…いや違う、これが本来の使い方だよ」と寒気を感じる笑いを交えて言うのだ。

 男の背後に黒い剣が現れると円を描くように回転し始める。球体の時と同じなら、魔法を防がれてしまうはずだ。

 どうすればと考える間に今まで攻撃しなかった男が目の前に現れる。油断したわけでもなく、見逃したわけでもない、瞬間移動したように現れたのだ。

 咄嗟に後ろへ飛びながら左手を前に出して、光柱を天より降らせる。私がいた所に降らせた事で、近寄る男に当たりそうになると黒い剣を消費するように砕き光柱も同様に崩れて消えた。


 「見るのと受けるのではこうも違うのか、想像以上の魔法だ。君は実に素晴らしい、だからこそ確実に手に入れる。戯れはここで終わりにしようか」


 私は言葉を聞いて、ゾクッと寒気を感じた。

 再度一瞬で目の前に男は移動を行い、私も避けつつ今回は周囲を囲むように光柱を降らせる。棘なら体の何処かで当たるのではと思ったが、同じように剣で対応される。横に飛びながら、右手の掌を前に出して握り、降らせた光柱を砕くが細かい礫も同じように対処されてしまった。


 理解を超える現状にあり得ないと思えてしまう。人の体で防ぎ続けるなら、魔力消費は凄まじいはずが、魔力眼でも男の体からは感じ取れない、その上厄介な瞬間移動、予備動作もなく、対処が難しいからだ。

 何度か避けていると男は「動体視力で見極めることは不可能なはず、なら天性の感で避けているのかね」と言いながら、今までとは違い剣が正面に移動した。

 円を描き回転する剣は鋒が私の体に向くと、飛ばして攻撃をしてきたのだ。


 早い剣の投擲、まるで魔導銃から放つように飛ぶ剣は一直線ではなく、意志を持つように避ける私を追尾する。左手を使い光柱を降らして止めようとしたが、今までの砕ける様子はなく、簡単に斬り壊される。砕けて相殺されると思った目論みが外れた。

 光柱は空の本体が壊れない限り、魔力を消費する度一定範囲なら自由に降らせれるが、限度もある。本来は防ぐ事はまず不可能な攻撃が防がれる異常さに考えが鈍り声に出してしまった。


 「どうして効かないの!」


 「簡単な事だよ、君の力が弱く、小さな物だからだ」


 挑発に思える男の言葉、しかし本当なのかもしれないと心の中では思ってしまう。本来の力からすれば1割程度あるかどうかという小さな魔力、魔法も本来は人が会得する領域の物が多く、特殊な魔法や精霊魔法は使っても実際の威力より低くなる。その為ある程度リングに魔力を送り必要な時に使っているのだ。


 剣の攻撃が鋭くなり、服の袖が少しだけ切れてしまう。肉体には当たってないが、動きの速さが増した事から今まで本気を出してない事が分かった。


 (いいや…その気なら魔力が無くなるまで相手するよ!)


 心の中で強くそう決めると剣が使えなくなるほど魔力を消費させると言う作戦と言い難い方法を取ることにする。今もよく分からない仕組みの剣を調べる上で、チェーンに入れてある小物入れから適当に普通の小石を取り出してぶつけてみたり、負担がかかるが、光柱を維持しつつ下級魔法を試したりできる事を行うことにした。

 光柱を維持している時に違う魔法の行使、下級魔法ですら頭がズキンと痛みを発する。強い魔法は維持するだけでも大変なので身体へのダメージは大きく、使える機会はすくないだろう。それでも何か隙や弱点を知りたい、知らなければ勝てない気がするからだ。

 

 剣による攻撃が始まってからかなりの時間が経過している。私は裏技に近い魔力供給で凌いでいるが、男も魔力は沢山あるのか、剣の生成も止まらず防戦となる。目論見では魔力枯渇で生成不能を狙っていたのに想定外の時間超過で、私はリングから発生する痛みと、鋭さが増す剣により傷を負っているのだ。


 気のせいだろうか、両手両足が少し黒ずんでいるように見える。魔力眼では相変わらず男から魔力を感じない、剣も破壊した時には黒い靄の様な魔力が見えるが、それ以外は普通の剣に見えた。


 「うっ…はぁはぁ…そろそろ、魔力無くならないの?…」


 私はズキズキと疼く痛みを耐えながら男に問いかけると、「それはおじさんの言葉なんだけど、君異常だよ?でもまぁ、これ程の魔力なら素体として有用だ」と言いながら左右に剣を回転させながら投擲した。


 剣は試してみたが、普通の攻撃や低級魔法では砕けず、光柱と同じぐらいの魔法を使わないと止めれない。長時間の戦闘で分かった事はもう1つあり、剣を砕かないと時間経過で投擲する剣が増える事だ。

 正直理解の範疇を超える現象、剣自体自由に操れるのか、避けても追尾したり、死角を狙うように背後から攻撃したり、引き付けて男を直接狙っても感知するように剣が戻り相殺する。他の攻撃をするのではと常に気を張っている戦いは疲れやすかった。

 

 分からないと言うより、理解ができない事がある。剣の仕組みと思う砕ける動作の条件が不明で、光柱が降った直後、可視化魔力から実体化した時、棘の攻撃が始まる前に剣が当たり砕ける場合と砕けず光柱を斬る時がある。他の攻撃は全て当てるように剣が飛ぶと周囲を砕けた瞬間に解除魔法を使ったような効果を発生させる。砕く時と斬る時の条件が対処法に繋がると思っても差がわからないのだ。


 (あれ?更に体が黒くなってる気がする…)


 黒ずんで見えた手足は確実に色を変えていた。

 魔力眼で見ると闇属性と思う濃い黒色が見え、普通じゃない現象は男の動きを鈍らせて鋭さの増した剣や移動は動きが遅くなったのだ。


 「時間がかかりすぎたか…一端の力では限界と見えるが、それに抗う君の力は何だ?魔力の底が見えん、まるで精霊のような世界から魔力を吸い取ってるようだな」


 完全に体を闇に飲まれたような状態になり、動きを止めると男はそう言ったのだ。

 気になっていたが、聞いたも無駄と感じた精霊という言葉、ウィンデーネの魔力を奪った方法もだが、知りすぎてる気がした。

 一方的に喋ると、「君を直接手に入れれないのは誤算だが、おじさんは負けを認めるとしようか、目的は果たした事だから未練はない、この身を喰らえ!空間(ディメンション)喰らい(イーター)!!」と叫び何かを行う隙も無いほど、男の体の真上に狭間のような空間が現れると、中から鋭利な歯がびっしり生えている大きな口が現れ、そのまま男は丸呑みされた。


 その出来事を見た私は、理解が及ばず「えっ?」と言葉を口にした。

 あれ程、光柱の攻撃を止めて、私を攻撃していた男が一瞬で丸呑みされた事に驚きを隠せなかったのだ。

 何故?どうして?魔力切れに近いから魔物を呼んで自害したの?様々な事を考えるが、答えは出ない。切り替えないとと頭を左右に振り、痛む体で状況を考えた。


 私はてっきり、あの男が狭間の空間を作り、扉を捻じ曲げていたと思ったが、それは違うようで、元々別にその役目を行った魔物が存在したのだ。

 ゲームでは未実装と言われていた表の世界と裏の世界を分け隔てた魔物、実装されたら強力なレイドボスになると言われていた魔物がディメンションイーターだった。

 見た事ないので、男が呼んだ魔物とゲームのディメンションイーターが同じとは限らないが、体の長さも口の大きさも異常な事は間違いなかった。

 今まで狭間に隠れていたのか分からないが、男を喰らった事で様子がおかしく、狭間に戻る事はなく、部屋の中を長い蛇のような体で蠢いている。時折、大きな口が開くと鋭い歯で光柱を齧ったのだ。

 棘を気にせずガリガリと齧り、近くの柱を砕いて礫を飛ばすが小石が触れた程度にしか感じていないのか、ピクリとも動かなかった。


 「最悪…今この状態であんな魔物相手にできないよ…侵食の棘が効かないって事はボス属性付いてるし、倒さないとこの部屋から出れなさそうだし…どうすればいいの…」


 絶望的な状況で諦めそうになり、泣き言を口にしながらペタンと諦めるように床へ座ってしまった。



お読みいただき、ありがとうございます。

いいね、ブクマ、評価等ありがとうございます。


場をかき回して消えただけのような気もしますが、表現が難しいです。

何も問題なければ明日投稿予定で、王城は終わるはずです。

後ほど編集時に話の長さは調整いたします。

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