55話 再会
皆様、いつもありがとうございます。
シルフはどんどん速度を上げて、正直怖いほど早かった。
『エアロシュート!』
シルフは魔法範囲に入ったようで、魔法を発動させると、そのまま吹き飛ばした。
威力は抑えてるようだが、強力な風を受けた3人は後方へ吹き飛んでいった。
「ちょ、ちょっと死んでないよね…」
『うーん、多分?威力には振ってないから大丈夫だと思うけど、相手次第かな?』
威力に振る?魔力の供給の話だろうか、今はそれよりも大きな問題があるのだ。
「ねぇ!シルフ!加速しっぱなしじゃない?減速できるの?止まれるの!?」
攻撃を止める為に速度を上げた事で、かなりまずい事になっていた。
『マスター、僕の魔法だと減速出来ないかも、ごめんね!』
「えっ!えええ!!止めて!!!」
建物に直撃する!と焦りつつシルフは頑張って速度を落とそうとしているが、私は速度を抑える事を諦めて体で受ける事を考えた。
「シールド!ぶつかる壁にエアロシュート!!」
その直後に、もの凄く大きな音を発生させて直撃した。建物は倒壊してしまい人を巻き込んでないか揺れる頭の中で考えていた。
「まずい、まずい、まずいよ!この家の人、大丈夫?何処に居るの!」
『マスター、落ち着いて、元々生命反応無かったし、辺りを見てよ、血の一滴もないから留守だったみたいだね』
頭がグラグラ揺れ動く気持ち悪さを感じつつ、人を巻き込んでない事に安心した。
『マスター、それよりもね、さっき飛ばした3人をなんとかした方がいいかもね』
シルフから言われた事で、3人の事を思い出す、そうなると、この姿で話しても流石に聞いてもらえないと思うし、どうすればいいだろうかと迷ってしまう。
「おい!俺達を吹き飛ばしたやつここに居るのか!!出てこい!!」
「ちょ、ちょっと落ち着いてよ!あんな魔法使う奴はやばいって!」
「出てきた所を一撃必殺がオススメ」
建物に直撃して倒壊した事から、ここに居るのではと思われているようだ。
大きな声をした者、高めの声と最後に怖い事を言った声は幼く聞こえた。
『マスターって姿変えれなかった?』
焦る私にシルフが言った言葉でハッとなる、姿を変えて演じる事で乗り切ろうと思いついたのだ。
「シルフ、使うけど、あの姿の間は魔法が一切使えないから、サポートしてよね!」
闇属性のコピーチェンジを発動すると、私の姿は大人に変わる、姿はシャーリーに前見せたが、昔の私となり、声も変わる。
『懐かしい姿だね。1000歳ぐらいの時だっけ?』
シルフの言葉に少しイラッとしたが、瓦礫をシルフの魔法で吹き飛ばして宙に浮かせてもらい移動した。
本来は近くにいた方が話しやすいのだが、いきなり攻撃される可能性もある為、少し離れて宙に浮いた。
「飛んでる?って空から来たから当たり前だよね」
「降りてこい!お前の魔法なんて大した事ないぞ!怪我一つもなかったからな!」
「空飛ぶなんてあり得ない、撃ち落とす?」
大剣を構えた者が1人で後ろに弓使い、もう1人の姿が見えないが、先程の話から隠れてると推測できる。さてどうしようかと私は迷った。
怒ってる者は冒険者の風格を感じる。何故なら、どの武具店でも買える革装備に使い込まれた鉄製の大剣を装備してるので、何度も使うとなると大体冒険者のはずだ。その後ろの弓使いは装備品の詳細まで分からないが、腕は良さそうに思える。装備は軽さの為に胴と腕と足の一部のみ装備している様だ。
そうなると、危害を加えるわけにはいかないと思い、喋り方は昔のクエストの一部を再現して、何とか戦いは回避しなければ、それでも相手が攻撃するなら、その時はその時だ。
「先ほどの非礼は謝罪しよう、お前達があの卵を攻撃しようとしたから、止めさせてもらったのだ。こちらは争う気はないあの卵について知ってる情報がある、街の偉い者に会わせてほしい」
考えた事を噛まずに言えたので、少し誇らしく感じた。
「そんな話信じれるかよ!!あの卵の仲間で攻撃を防いだんじゃないのか!」
まぁ、そう言われるかもとは思っていた。
「はぁ、話す時間が惜しいな、先程の魔法は攻撃魔法じゃない、攻撃魔法を使っていたらお前達は即死だぞ、敵なら不意打ちで攻撃魔法を使うと思うんだがな」
大剣を持つ者の話もわからないわけではないが、次に攻撃をしようとする者が出る前に、この場を何とかしたいと思う、その考えは少し遅かったようで、大剣を持つ者が左手を上にあげると、物陰から矢が放たれて卵の方へ飛んで行った。
「馬鹿者が!!シルフ!!」
『この矢がマスター目がけて飛んでたら今頃僕が倒してたね』
飛んだ矢をシルフは冗談を言いつつ風の魔法で吹き飛ばした。
「アネスの矢が落とされただと!」
「うそ、私の矢が止められた?」
大剣を持つ者と恐らく攻撃した本人が、矢が落とされた事に驚いた。
時間の無駄だ、倒して他の人を探すべきかと考えるが、敵ではない者を害するのは流石に躊躇してしまう、そこでシルフに威嚇として空中で風を集めてもらった。
『いい感じに集まるね、今作った新しい魔法、エアロボールと命名しよう』
風を集めてとは言ったが、シルフは即興で魔法を作った様だ。
「先程も言ったが、敵ではない、敵ならこの魔法をそのままぶつけるからな、話も聞かずに攻撃をするような奴は、次はないと思えよ」
そんなやり取りをしていると、後方から大きな音が聞こえる、沢山の人が走ってる音に聞こえる。
目を凝らすと人の姿が見えて、全員騎士甲冑を装備している、先頭を走る者は頭部には装備せず顔は丸見えで見慣れた人物だった。
「お前達!何をしている!!」
大きな声が聞こえると、言葉遣いは違うが、その声で私は確信した。
「こ、これはシャーリーさん、俺達ですね…シャーリーさんの代わりにあの卵を倒そうと思いまして…そうしたら、あの浮いてる奴に攻撃で止められたんです…」
先程までの威勢は何処かに消えたようで、弱々しく質問に答えている、メイド服ではないが、やはりシャーリーで間違いないようだ。
「アレの攻撃は情報集めてからだと散々言っただろうが!浮いてる奴、ウソ、こんな所に、あり得ない事があり得るな…」
メイド姿ではないシャーリーは新鮮だが、やれやれと言った仕草で額に手を当てていた。
「シャーリーさん、どうしました?あの敵を倒す為に協力してほしいのですが、いいでしょうか」
ふむ、遠目からでもシャーリーは困惑してるように見える、様子を見るのも楽しそうだが、時間が惜しいので話を進める事にした。
「すまない、そこの騎士よ、私は偉大な魔法使いなのだが、後ろにある卵の情報を持っている。話し合いをしたいのだが、応じてくれるだろうか、そこにいる者達は話し合いを断り、矢を放ってきたが、貴殿は違うのだろ?」
偉大な魔法使いという言葉に反応したシルフは横で笑っている、後でお仕置き確定だなと思った。
「そういう事ですか、わかりました。私達が使っている作戦室がありますので、そちらで話を致しましょう」
私の意図を理解してくれたのか、話に合わせてくれた。
「シャーリーさん!!あんな正体不明の怪しい奴の言う事を信じたらダメです!後方にアネスが待機してるので矢を放たせます!!」
「私は卵へ攻撃する事を許可してなかった、勝手に独断で行動した挙句、相手を見極めないでの立ち振る舞いは許容できないぞ、それにあの者はこちらを害する気は全くない、もし敵意があれば瞬時に一面が吹き飛ぶからな」
シャーリーは大剣を持つ者に話をすると、体を震わせているのが分かった。
私はシルフにお願いしてゆっくりと近寄ると、シャーリーの前に降りる、直ぐに一緒に来た騎士が剣をいつでも抜けるよう動くが、シャーリーの合図で警戒を解いた。
「お手を煩わせましたね、再会の喜びよりも伺いたい事があるので、こちらへお願いいたします」
私だけに聞こえるように耳打ちをすると、その場から離れた。
『ねぇ、マスター、念話使えばもっと楽だったんじゃない?それとも芝居好き?』
シルフは笑いながらそう言うと、私は全く考えてなかったので、その通りだと少し恥ずかしくなった。
「もっと早く教えてよ…シルフ、シャーリーに念話を繋いで!」
シルフの魔力でシャーリーと繋ぎ念話を送る事にした。
『シャーリー、シャーリー、聞こえる?』
『はい、お嬢様、先程の非礼をお許し下さい。あの者達は、この街の冒険者で街を守りたい故の行動を行ったのです』
『私は怒ってないけど、卵を攻撃しようとしたから止めたの、あれ攻撃すると大変な事になるから対策考えるまで絶対させないでね』
まずは伝えたい事の攻撃をしてはならないと伝える事には成功したが、指揮系統がボロボロなのか、他の者も独断で行動する可能性があるので注意は必要だ。
「シルフ、悪いけどここに残って万が一攻撃しようとする者が居たら防いでもらえるかな?」
『うーん、マスターの頼みならいいよ、甘いお菓子追加ね』
甘いお菓子、いつも食べてるクッキーは甘みを抑えられている、この世界は甘味が高く出回りにくい、甘ければ甘いほど高くなり、貴族に愛されるが、一度食べた時、2度と食べたくないと思うほどの味だ、それで私用にクッキーが焼かれる事になったが、散々笑ったシルフにはとびっきり甘いお菓子をあげる事にしようと思う。
『お嬢様、足元をご注意下さい、ある程度瓦礫を退けていますが、戦闘の跡で所々危なくなってます』
暫く歩いていると、シャーリーから足元を注意する様に言われた。
私が最初に降りた場所は比較的に損害は無かったが、今進んでいる方は倒壊した建物が目立っている、それは街での戦闘を表していた。
『この感じは魔物が壊したの?』
『はい、後程お話しいたしますが、あの卵が現れる前にかなりの量の魔物が現れて戦闘になりました。その時に街の半分近くは壊されました』
それを聞き悔しさを感じる、1人で全てを守ることは出来ないが、私にも何かできたのではないだろうか、それを考えてしまうからだ。
『そう言えばマリーを先に送ったけど、到着してない?』
『マリー様は魔物と戦闘して破損してます。最後に回復モードに入るから暫く動けないと言った後は元の人形のように動かなくなりました』
私は動揺してしまう、何故ならマリーは私のできる改良を行い旅立った、そうなると戦った敵はどれ程の物だったのだろうか、マリーが回復モードと言ったなら魂の破損はないから暫くすれば動けるようになるはずだが、心配で確認したい気持ちでいっぱいだった。
暫く歩いた先は邸があり、そこが目的地だと思った。
冒険者、兵士、騎士が巡回や警備を行なっている。大きさはお父様の邸よりは小さいが、街の権力者の邸と言う事はわかった。
『お嬢様、この邸を今私達の拠点として使ってます。この街の領民も邸の中に避難してますので、現在生きてる者が集まってます』
『えっと、誰の邸なの?』
『街の長ですが、現在は生きていません、この事は後ほど話しますので、今は中へお入り下さい』
街の人が避難してる事はホッとしたが、大きいと言っても邸に入る人の数は限られる、それに街の長が生きてない、おそらく戦いに巻き込まれて死んでしまったという事だろう。
邸の門が開けられて中に入ると、同じ騎士甲冑を装備した者が出迎えをした。
「シャーリーさん、ご無事で何よりです。先程の音は何だったのですか」
「魔物などではなく、私達の希望そのものだったよ」
シャーリーに話しかけた者も周りの者も私も頭にハテナを浮かべてしまった。
「後ろの3人はあの卵を勝手に攻撃しようとした、冒険者の心得を再度教えてしっかりと反省させるようにしてほしい」
3人はかなりしょんぼりとしていた。
冒険者としては依頼人や人の命を守る必要もあるが、依頼内容や指示は明らかに変じゃない限り守る必要がある、それを守らない者は信頼関係が無くなるので、依頼そのものも断られる、様々な情報を知る機会がある為、人との信頼を失うと魔物狩りのみで生計を立てる事になるだろう
「此方に応接室がありますので、そこでお話しを伺います」
シャーリーも演技派だと思った。
私も承諾するとシャーリーの後を歩き応接室に向かった。
「ラルフ、誰1人もここに入れない様にして下さい!」
扉越しにシャーリーがそういうと、わかったよと声が聞こえた。
「ふう、これで一旦は大丈夫でしょう、お嬢様、お話を伺う前に変身を解いていただけますか?」
特に問題はないので、私が変身を解くとシャーリーは触れてもいいですか?と言ってきたので強く断った。
「今はそれよりも大切な事があるから話し始めるよ」
そう言って私は卵の話をしようとすると、その話ではなく、今ここにいる理由ですと言われてしまった。
短めに街の出来事、邸の出来事を話して心配で此方に来た事を伝えるとシャーリーは何か思う事があるのか、沈黙したまま考えていた。
「事情はわかりました、此方も卵が現れた経緯をお話し致します」
「ふむ、短期間でこんな事になってるとはね」
シャーリーはこの街に着いた後に起きた騒動を話してくれた。
簡単に騒動を纏めるとこうなる。
着いた当日に魔物発生、その後、ラルフと一緒に冒険者組合を纏めて、行方不明になった人の捜索、翌日に再度、魔物発生、大掛かりな巡回と掃討を行う、兵士詰所に向かい兵士町を倒して兵士を支配下に置き街の巡回をさせる、その間も行方不明が発生、怪しい場所を探す、その最中に攫われる現場を目撃、後をつけると街長の邸に入った為、兵士と冒険者で囲い込み乗り込む、邸の奥は魔物が沢山いて一旦撤退、マリー到着、マリーによる魔物の掃討、街長を地下室で発見、戦闘になるが、途中で黒い翼と鋭い爪を生やしてマリーを圧倒、屋敷から逃げる所、邸の中に落ちてた剣を投げつけたら街の中心で黒い泥に覆われる、その後卵が現れた。
深く聞く勇気が無かったが、地下室から攫われた人と思われる人達が見つかったらしい。
「お嬢様には大変助かりました。マリー様が援軍として到着しなければ私は2回目の死を覚悟しました」
「2回目って一回死にかけたの!!」
「はい、出立前に言われた通り、肌身離さず雷水晶を持ち合わせた所、相手から受けた魔法を受け止めて助かりました。それとマリー様が到着した時も大型の魔物に追い詰められていたので助かりましたね」
私の時と同じで、雷水晶による攻撃の無効化が発動した様だ。
「そうだったんだ…マリーの話を聞かせてくれるかな」
「マリー様はあの卵になる前の黒い翼と鋭い爪を持つ魔物に斬り刻まれて、その後、回復モードに入ると言って、動かなくなりました」
簡単にはダメージも受けない上、回復力もあるはずなのに斬り刻まれるなんて予想外だった。
「シャーリー、マリーを持ってきてほしい」
私がそう言うと外に立っているラルフにシャーリーは指示すると待っててくれと声が聞こえた。
「お嬢様、私が強ければこんなことにはなりませんでした。後で如何なる罰も受けますので、あの卵は何か教えていただけないでしょうか」
シャーリーの一言で元々話すつもりだった事を思い出して、深呼吸を繰り返すと話し始めた。
異界にある深淵の森に現れるボス級の魔物、一度でも攻撃が当たれば形が変化して三体の魔物に分かれる、外殻蟲、内殻蟲、核蟲となりそれぞれ異常な強さを持つ事、核蟲を倒さない限り、他の二体は倒しても蘇生する事、外殻蟲、内殻蟲に殺された者は魔力を吸われて核蟲に送られる、一定量集まると進化する事、進化すると殆ど太刀打ちできない事だ。
「そんなにも脅威があるとは…あの三人の攻撃が当たっていたらと考えると怖いですね、対処法はあるのでしょうか」
「今の私だと厳しいかもしれない、この姿を解除する必要があるから、もし人に見られるとお父様に迷惑をかけちゃうし、やるなら創世の杖を使った攻撃になるから、暴走すると街は消滅すると思う」
「そこまでの魔物なのですね…確かにここは他領なので情報の隠蔽は難しいでしょうが、このままにするわけにも…」
「最終手段はあるけど、動き出さなければ考える時間はあるから対策を練るよ」
そう言った時に扉がノックされて、ラルフが持ってきたぞと言った。
「ラルフ入っていいですよ」
「失礼するぜ、本当にアニエスお嬢様が来てたんだな」
シャーリーはラルフの喋り方を強く叱った。
「すまなかったな、俺は元々こんな喋り方なんだよ」
私が気にしないよと言って、ラルフからマリーを受け取ると損傷を確認していく、ローランが斬り伏せた真っ二つではないが、回復力が少なくなってそうだ。
「シャーリー、わかったらでいいけど、マリーは鎧着てた?」
「はい、銀色の鎧を着てましたが、爪に斬られた時に黒ずみ散ってしまいました」
(ふむ、黒ずみ散った…闇の魔力なのは分かるけど、侵食する系統だろうか、心当たりはないが回復力も少なくされてる事から間違いはないだろう)
「マリーはこのままで自動回復するから大丈夫だよ」
そう言うとシャーリーはホッとした様でよかったと言った。驚いたのはラルフも治るならよかったぜと言った事だ。
「一旦、ここまでにいたしまょう。お飲み物を持ってきます」
シャーリーがそう言うと、この場の守りをラルフに頼み部屋から出て行った。
正直喉が渇いていたので、助かったと思った。
「ラルフって邸であまり会ってないよね」
シャーリーがラルフと呼ばない限り確かに体は大きいのだが、この者がラルフとは分からなかった。
「ああ、その事なら、基本俺はロビン辺境伯について回ってるんだ、邸で何回か会ってはいるがな!」
思い返すと、確かにお父様の近くに大きな人が居たような気もしてきた。
「そうだ!盾って何処にあるの?」
感じていた疑問だが、シャーリーは魔法剣を装備しているが、ラルフはどこにも盾を持ってる感じがしない、何処かに置いているのだろうかと気になったのだ。
「アニエスお嬢様なら教えるんだが、俺の盾は魔法武器の1つで、この腕輪に入ってるんだぜ」
私の知らない魔法武器で、発動前は腕輪に入ってるとか欲しくなってしまう、ローランの鎧や魔法生物の装備みたいなものだろうか、作りたいと思った。
「ねぇねぇ!それ何処で手に入れたの!!」
「近い近い!腕にしがみ付かないでくれ!これは王都の近くにある古代遺跡の出土品だ!!」
新しい物を聞いたり見たりすると、私の心は燃えるのだ。そんなやり取りをしている所にシャーリーが戻って来た。
「私がお飲み物を用意してる間にラルフ、貴方はやっていい事といけない事も分からなかったのですか!」
テーブルに持ってきたカップを置くとラルフに向かって怒り始めたが、ラルフも私も頭にハテナを浮かべていた。
「おいおい、シャーリーは何に怒ってるんだ?」
「決まってるでしょう、お嬢様に私の許可なく触れた事です。私が戻ってきたので、どうぞ扉の前で待機して下さい」
よし、聞かなかったことにしようと、私は思考するのをやめることにした。
「はぁ、シャーリーのアニエスお嬢様好きは今回で散々わかったが、本人の前でその発言はどうかと思うぞ、それに俺の分もあるんだから飲むぐらいいいだろ」
一体この街にいる間、どんな話をしていたのか気になるが、怖くて聞けなかった。
「さて、飲み物を飲もうか…」
私はそう言って目の前に出されたカップを手に取った。
「シャーリー、誰かに淹れさせたんじゃ無いよな」
「勿論です、私が全て行ったので安全ですよ」
(何この会話、この街そんなに危険なの…)
久しぶりに飲むシャーリーが入れたお茶は、とても美味しく感じた。
「とりあえず現状維持と言う事で宜しいですか?」
「あの卵、放置しても解決しないし、王都も心配だから時間をかけたくない…」
(決めきれない、この選択で倒しきれなかったら、街の人を巻き込んでしまう、私に勇気を分けて欲しい、マリエルが居たら頑張れるかもしれない)
「確かにお嬢様の話で私も少しだけ心配ですが、旦那様は王城にいると思いますので、問題はないと思います。それに魔法協会があり、冒険者組合にはグランドギルドマスターが居ますので、過剰な心配は必要ないかと思います」
そう言われると、この国の戦力が結集してるような場所だから、そこまで心配しなくてもいい気がしてきた。
『マスター!まずいよ!誰も攻撃してないのに勝手に分動き出した!!』
シルフからの念話と同じタイミングで、大きな唸り声が聞こえた。
「な、なんで…まさか仕様が違うの…」
「お嬢様、私も聞こえました。あの卵が動き出したのですね。禍々しく、そして恐ろしい鳴き声ですね」
金切り声に精神ダメージがあるのはゲームと同じだ。
そうなると、内殻蟲の強力な毒もあるはずだ。
「アレは本当にやばい魔物だから外にいる人全員中に入れて!絶対に戦わせないで!外にも出さないで!!」
変身魔法を使う必要はない、すぐに魔法を使うからだ。人に見られてもいい、そんな事を気にしてる余裕がないからだ。なんとかしないと、一番まずいのは沢山の命が奪われて核蟲が進化する事で、それだけは何としても止めなければならないと、焦りを隠せないまま、私は邸から飛び出した。
お読みいただき、ありがとうございます。
宜しければブクマなどいただけると、転がって喜んでます。
評価、いいね、ありがとうございます!
モチベがもの凄く上がります!
エアロシュートで三人は凄い距離吹き飛ばされてます。
省略されてますが話が通じなかったので、街の兵士にシャーリーは力で従ってもらいました。
シャーリーは平常運転です。
違う話もあるのですが、機会があれば別の形で投稿したいです。




