54話 決意
皆様、いつもありがとうございます。
今まで悩んであえて行いませんでしたが、心の声を()で試験的に書くことにしました。その方が読みやすいと言われたので問題なさそうでしたら全話編集時に変えたいと思います。
ほとんど毎回ですが、解説的な説明がそこそこあります。
あの後、何も夢を見る事はなく気がついた時は、眩しい朝日が窓から入っていた。
「アニエスさん、おはようございます。あの後どうでした?」
「フィリスおはよう、多分何も夢は見てないよ。きっとフィリスが守ってくれたと思うよ」
そう言うと、いつものフィリスに戻ってしまった様で、それなら毎日抱きしめます!と言ういつものフィリスに戻ってしまった。
服を着替えると、二日間食事をしてないのでお腹が凄く空いている、待ちきれない私はフィリスを急かして食堂に向かう事にした。
「今日の朝ごはんは何かな?」
「えっと、確か胃に優しい食事にするって言ってましたよ」
フィリスの言葉で、私のワクワクは完全になくなった。前も食べた事があり、味が薄く食べ応えがない食事だと確信したからだ。
「フィリス、こっそりパンを貰ってきて、お願い!」
上目遣いでフィリスにお願いするが、ダメです、栄養とバランスを考えた食事なので、しっかり食べて夕食を待ちましょうと言われて諦める事にした。
食堂の扉をフィリスに開けてもらうと、フィリスはこの後、お仕事がある様でこの場から離れた。食堂に入るとお母様は食事を終えた後のようだ。
「お母様、おはようございます」
「アニエス、体は問題ない?」
大丈夫ですと力強く返事をすると、絶対に邸から出ない事を強く言われ、それを言う為に待っていたのか、私に伝えると街の防衛協力に教会へ向かうようで、直ぐ食堂から出て行った。
お母様に心配をかけたくないが、お父様もシャーリーも心配な私は助けに行く事を決意している。誰も欠けたらダメだが、特にお父様に何かあると来年には再会できるはずのマリエルに問題が起きてしまう。だからこそ私は行く事を決意したのだ。
「ふむ…味気ない…」
薄味のスープに柔らかくなったパンの様な食べ物、食べた気がしない、胃には優しそうだけど、本当に栄養があるのだろうか、夕食の時はここに居ないから食べれないし、何か食べないといざという時に力が発揮できないし、どうしようと悩んでいると、食堂にリディアが入ってきたので、朝の挨拶を言う前に駆け寄ってきた。
「アニエスちゃん!無事でよかったよ…また無茶したって聞いたから心配したんだよ!!」
「リディア心配させてごめんね。私もリディアの事が心配してたんだよ。手の届く所を守る為には今の私だと無茶しないと守りきれないからね」
今回は偶然と運が重なった結果、何もなかったが、何か一つでも間違うと誰かが死んでいたのは間違いない、それでもリディアには心配をさせたくなかった。邸の皆が無事なのかと、常に気になって、もしリディアが無惨な姿で倒れていたら、みんな殺されてたら、と最悪な事が戦ってる間、頭から離れなかったのだ。
リディアが後で部屋に行ってもいいかと聞いてきたので、勿論と答えた。今日予定している事で、リディアの協力も必要だからちょうど良かった。
味気ない食事を食べ終えて、私はすぐに部屋に戻る、時間を無駄に出来ないからだ。少し後悔をしながら通路を進んでいた。それは魔法道具の作成を昨日の間に行わなかった事だ。あの後から三日経過している事もあり、先延ばしはしたく無い、相手が強いなら時間が経過すればそれだけ危険度が増加してしまうからだ。
部屋に着くと作戦を見直すことにした。まずは、デコイ魔法で私の偽者を作る、リディアにも協力してもらう事で、私は邸にいると言う状況を作り続ける、シルフを呼び一番近い商業街へ向かう、シャーリーとマリーが苦戦してるなら手助けをしたい、魔物の発生もシルフなら広範囲の異常を検知できると思うから時間をかけずに解決できると思う、その後、王都に行く、怒られると思うけど、お父様の身が心配だからだ。シャーリーやローランは雷水晶を持ってるので、余程の事がなければ死なないが、お父様は違う、マリエルに再会する為にもお父様には生き延びてもらう必要があるからだ。
「遮断結界、これで覗き見はされないはずだけど、見られないよね」
やましい事はないが、お母様に報告されるのも困るので、遮断結界を使い部屋の中を外部から見えない様にした。
テーブルに収納魔法から羊皮紙を取り出して、魔術のスクロールを作成する事にした。シールド、マジックシールドをたくさん作った。攻撃魔法は私なら殆ど詠唱の必要がないのと、無詠唱で発動しても威力が高いから必要がない、作った理由は、ナイフ使いと戦った時に、考えて動いて魔法を発動するという3つの動作を行うと、隙が発生する事がわかったからだ。
リディアが来るまで収納魔法からクッキーを取り出すと、椅子に座り食べる事にした。
「食後にクッキー食べてる事がシャーリーに知れたら怒られるね、シャーリー…無事で居てね…」
食後にお菓子を食べると怒られる、食後以外も夕食前や寝る前も怒られる、隙を見て食べる事が多いのだが、大体バレて怒られる、シャーリーが出かけてる間、夜にクッキーを怒られずに食べれる事が嬉しく思ったのだが、今は寂しく感じていた。
敵対者がナイフ使いの様に襲ってきたらどうしよう、無力化できるのだろうか、魔物なら躊躇しないが人はどうだろう、覚悟をする必要もあるが、人を殺すのはどうしても抵抗が生まれる。殺したら人の重荷も背負う様に感じるからだ。一番怖いのは、人を殺す事に躊躇しなくなると、私じゃ無くなりそうだからだ。
「人と魔物の命は一緒か…」
つい口から出てしまう、あの時の言葉がずっと頭の中から消えない、この世界はゲームとは違う、そうなると魔物も生きている。確かに命という意味では一緒だけど、私は答えを見つけれなかった。
マジックチェーンに収納魔法から数少ないとっておきを取り出すと中にしまう、この世界では手に入らないと思う完全回復薬、ゲームではボス戦に必須の道具だが、この世界だと間違いなく反則級の道具となるだろう、1つしかないのと、強い薬には副作用がゲームでは設定されているので、使用する時はタイミングを見極める必要がある、効果は体力、魔力を最大まで瞬時に回復、一定時間は自動回復効果、受けるダメージを軽減、常に魔力増加となり、副作用は使用後に回復した数値のダメージを10分後に受ける、このダメージで体力が0になる事はない、ゲームだと死ぬ事がないので反動ダメージが発生する時、他の攻撃を受けない様に注意するだけで良かったが、この世界だと0になる事は無くても死ぬのではないだろうか、それが怖くて今まで使わなかったけど、念の為に取り出した。
使用する精霊は移動や範囲検知を考えるとシルフになる。かなりの頻度で呼んでるが、最善の選択だから仕方がなかった。超火力ならサラマンダー、回復ならウィンディーネ、守りならノーム、範囲殲滅ならシェイド、光のウィスプは特殊で通常の戦闘には向かない、各精霊の特徴を考えても今はシルフしか考えれなかった。
「アニエスちゃん!入ってもいい?」
私が考えていると、リディアの声が聞こえたので、いいよと返事をした。
「待たせちゃってたかな?アニエスちゃん、いきなりだけど、お願いがあるけど、いいかな?」
「ん?どうしたの?私のできる事なら叶えたいけど、何かな?」
「アニエスちゃんが、血まみれのボロボロで運ばれた時に胸が痛くなったんだよ。アニエスちゃんが部屋で眠ってる時に私も見にきてたけど、不安だった、だからね、安心させてほしいの!」
この展開は何回目だろうか、ふと頭にそんな事を考えながら、自分で言って恥ずかしがってるリディアを見つめた。リディアから次の言葉が出てこないので、私は何をしたいか予想できる為、了承する事にした。
「変に思わないでよ…アニエスちゃんがここに居るって抱きしめて確認するだけだからね」
恥ずかしがってる様だが、抱きしめるのはいつもされてる気がする、リディアにもフィリスにも…ゲームだとプレイヤーの国によっては挨拶だから、私は変に思う事はなかった。
ぎゅっと抱きしめられると、リディアの温もりを感じた。私の体温が低いからではなく、人の温もりだ。
「えへへ、ありがとうね、もう心配させないでよね」
「私こそ、リディアに助けてもらってるから、いつもありがとね。なるべく心配させない様にしたいけど、お願いがあるから聞いてほしいな」
私のお願いを聞いてもらう為ではないが、先程の了承した事もあり、リディアもいいよと言ってくれた。
「簡潔に話すと、私の偽物と一緒に過ごしてほしい、つまり、私がこの邸にいるという様に振る舞ってほしいかな」
「いいけど、それって…アニエスちゃんは何処に行く気なの?まさか…」
察し良く気がついたようなので、シャーリーとお父様に会いに行くだけだよと伝えた。
「だ、ダメだよ!危ない所に行っちゃうのはダメ!!アニエスちゃんが怪我すると私辛いから協力できないよ…」
「リディア、私を心配してくるてありがとね、私も同じぐらいに皆が傷つくのは嫌なんだよ、今回も邸に何かあったらと思ったらうまく体が動かなかった。シャーリーもお父様も私は大切に思ってるからどうしても助けたいの、それに今向かわないとダメって私の直感が行ってるから、リディアが断っても行く事は変わらないかな」
私は身勝手だと思う、お母様もリディアも心配してる事が分かってるのに向かおうと思ってるからだ。一番怖いのは動ける時に動かない選択で何かを失う時だ。そんな事になると、多分私は私でいる事ができなくなるだろう、私のできる事はやりたい、その選択で皆に心配をかけるが、それ以上に私は皆の事が心配だ。
「アニエスちゃん、それなら私も連れてってよ」
「ごめん、それはできない…」
「どうして!!」
「本当にごめん、私の考えが当たってるなら、かなり危険な相手がいるから、もしリディアに何かあったら私は私で居られなくなると思う」
「そんなこと言うの卑怯だよ…私もアニエスちゃんに何かあったら嫌だよ…」
リディアは涙を流してしまった。そんなつもりじゃなかったのに、リディアの目から流れる涙を見ると、心がぎゅっと締め付けられる気分になる。
「リディア、約束するから私は無事に戻ってくるから、信じて待ってほしいな」
そう言って、私の方からリディアを抱きしめた。私が皆の事を考えるように、皆も私の事を考えてる。心配をかけるつもりはないが、今までのことを考えると心苦しい、だけど後悔したくない、動ける時に動かないと私は後悔すると思うからだ。
「アニエスちゃん…わかった…信じて待ってる…私の師匠は世界一の魔法使いだから無事に戻ってくる事を信じる…」
久しぶりの師匠呼びに懐かしさを感じるが、今の言葉で私は負けないように思えた。私は世界一の魔法使いだ、昔の力が出せなくても私が負ける事はあり得ないんだ。強い相手と直近で戦ったこともあり、弱気になっていたようだ。
「リディアありがと、私思い出したから大丈夫だよ。私を信じて待っててね」
そう言うと、リディアは頭にハテナを浮かべた表示をしていた。
リディアに偽物の注意とお願いを伝える。このデコイは簡単な命令は聞くが、魂があるわけではないので受け答えはできない、そこでリディアには誰か接触してきた時に仲介をお願いしたいと伝えた。
「私にできるかな…」
「大丈夫、例えば歩いてほしい時とかは、アニエスデコイ、真っ直ぐに歩いてと言ったりすれば従うからね。必ずアニエスデコイって言う事を忘れなければ大丈夫だよ」
「もしかして、アニエスちゃんデコイだと反応しない?」
反応しないよ、と伝えると呼び捨てはできないよと言われた。私じゃないから呼び捨てじゃないよと何度も伝える事で最終的にリディアは了承した。
「注意として、魔法や攻撃をデコイに当てると消えるから起きる事ないと思うけど、覚えておいてほしいな、後は大抵の命令は聞くけど、生きてないから自分で考えて動く事はないよ、何が言いたいかと言うと、的確な命令を出さないと、動かないって事ね」
選んでとか、選択させる命令は機能停止してしまう、なんだっけ、ラジコン?みたいな操縦して動かす感じだけど、私も詳しく知らないし、この世界には存在しないから説明は難しかった。
「難しそうだね、私にできるのかな…」
「大丈夫だよ!じゃあ作るから待っててね」
私はデコイ魔法を発動させた。前にも使った事はあるが、リディアは初めて見るので驚いていた。私と同じ姿をした複製体、正確には魔力で形を再現してるだけなので、鑑定スキル等、情報を確認する方法を使えばすぐにわかる。会話の受け答えもできないので、話しかける事でも判断ができる。その為、リディアに協力をしてもらう話をした。
「す、すごい、アニエスちゃんが2人になったよ」
「形だけだよ、あっ、一つ言い忘れた事があった!今着てる服がそのまま複製されてるけど、着てる服も魔力で見せてるだけだからね」
「うん?つまりどう言う事?」
「簡単に説明すると、服を脱がせるとデコイとの繋がりが無くなって、すぐ消えるって事だね」
この世界には殆ど関係はないが、装備品を奪う事や借りる事を防ぐ為、本体から離すと魔力のつながりが消えてしまう。ゲームだと最初に実装された時は装備品が複製されてアイテム増殖に使われたとか、その後にデコイが消えたら消滅するようになったが、販売やトレード詐欺が行われて、最終的にデコイ本体から離すとすぐに消える仕様になったと記録している。
「体から離すと、離した物は残らないで消えちゃうって事なんだね」
リディアが理解したので、動かす手本を見せる事にした。
「アニエスデコイ、正面に3歩進め」
私がそう言うと、デコイはそのまま言われた通りに3歩進んだ。
「動き方不自然だね、なんかカクカクしてる感じなのかな?」
リディアの感じた違和感は、進む為に両足しか動かないので感じだと思う。歩く時に足だけ動かす人は中々少ないと思う。本人は動かしてる感覚がなくても体や腕が無意識に動くからだ。
「今みたいに動かせるけど、見ると違和感を感じるから、なるべく部屋から出ない事をお勧めするかな」
リディアにフィリスは夕方戻ってくる事や、お母様が来た時の対処方を話した。夕食もフィリスに言えば、一応部屋で食べる事もできる。その際、お母様に見つからないよう持ってくる必要はあるので注意として伝えた。
「アニエスちゃん、聞き忘れてたけど、私はどのぐらい一緒にいたら良いかな?」
「なるべく早く戻るけど、多分2、3日ぐらいかかると思う、フィリスと交代してもいいけど、説明してないからリディアから伝えてね」
「えええ!フィリスちゃんに説明してないの!?」
「夕方まで戻ってこないし、なるべくバレるのを防ぎたいからね」
フィリスがうっかり他のメイドに言ってしまうと、即お母様にバレてしまうからだ。夕方以降はフィリスも知ることになるので、2日目以降はバレてしまう恐れがある。
「リディア、変な事聞くけどいいかな?」
「うん、何?」
「リディアは敵を殺す事できる?」
「敵って…魔物の事かな…」
「魔物もだね、そこには人も含まれるよ」
「人…悪い人でも私はまだそんな勇気はないよ、冒険者は将来的に盗賊の討伐とかもあるけど、なるべく殺したくないよ。でもね、それが原因で大切な人が傷つくなら、私は迷わないと思うよ」
冒険者は冒険以外に様々な依頼があり、悪人の討伐も行う。他にも警備や護衛等、魔物相手だけではなく人と戦う事もある。リディアは人を守るためなら迷わないと強く答えた。
「ありがと、最後に1つ変な事聞くけど、魔物と人の命って同じだと思うかな」
「難しい話だね、全部悪い魔物って事は無いと思う、人も悪い人や良い人もいるから、そういう意味では同じと思うかな、答えになってるかな?」
「リディアの考えはしっかりと答えになってるよ」
明確な敵と分かる場合は魔物も人も同じなのかもしれない、ゲームと違いやり直しはできない、躊躇するぐらいなら私は敵意を持つ者は排除しようと思う。私も守る為に戦う、これは自分への言い訳だ。
「リディア、本当にありがとね。私頑張るよ!」
私が創世の杖を取り出していると、リディアは私のデコイを操るのが楽しくなっているのか、様々動かして試していた。
「創世の杖に宿る、我が契約精霊よ、呼び声に答え顕現せよ、風の精霊シルフ!」
創世の杖に付いている珠が光ると、風と一緒にシルフが現れた。部屋の中は風を受けた事で悲惨な状態になった。リディアも風で転がってしまったが、デコイがクッションになって大丈夫の様だが、使う前に言ってよと怒られてしまった。。魔力眼でシルフを確認すると、少し拗ねてる様でそっぽを向いていた。
『マスター、最近僕、激務なんじゃない?』
「シルフ、ごめんね、でもシルフが一番適なんだよ、今度お菓子あげるから手伝ってね」
精霊は人種と違うので食べ物に執着を持つ者は少ないが、シルフは別で甘い食べ物を好む為、お菓子をあげれば協力してくれる。
『お菓子貰えるなら、それで僕は何すればいいの?』
私はシルフに軽く話をした。今置かれてる現状、これからしたい事を伝えると、シルフも考えていた。
『僕達もマスターが街に入った後、感知できなくなったけど、そんな相手と戦っていたんだね。確かにマスターが気にしてる様に早めに動いたほうがいいかもね。飛び立つ前に精霊界へ連絡するからちょっとだけ待っててね』
精霊魔法で何やら伝言を伝えた様だ。発した言葉が伝えたい精霊の元へ届く魔法、問題があるとすれば、相手がいる場所が特定できないと使えないという事だ。
「リディア、ちょっと行ってくるから、後の事お願いね!!」
「うん…まずは部屋を片付ける所からかな…色々触るけどいいかな?」
「危ない物はないからリディアに任せるよ」
「アニエスちゃん、気をつけてね。シルフ様、アニエスちゃんをよろしくお願いします!」
リディアはうっすらとしかシルフを認識できないので、若干位置がずれている状態で話していた。
『この子は本当にいい子だ。あの時に出会ったのは運命だったのかもしれないね。心細そうだし、出かける前に抱きしめてあげたら?僕の準備は整ったよ、いつでも窓から飛び立てるからね』
シルフは半分茶化していたが、確かに言う通り運命だったのかもしれない、リディアがいるから私は少なからず頑張れた気がする。リディアに抱きつくと驚かれた。その後、シルフの精霊魔法が私を包み込むと、窓を開けてシルフと一緒に空を飛んだ。
『マスター、確認だけど、契約精霊は主人に敵意を向けたら例え人であっても倒しちゃうから、了承して呼んだって事で良いよね』
「うん、私覚悟を決めたから、大丈夫。後は敵の戦力によってはシルフも現界してもらうかもしれないからね」
『良いけど、現界する時の服装って精霊界にいる時のだよね』
精霊体の状態でもある程度は戦えるが、使える魔法は限られてしまう。本来の力を使う場合は私の魔力を使って現界、地上に降りる必要がある。その場合は精霊界の体を下ろす為、服装などはその時の状態となるのだ。
「うん、何か問題あった?」
ハッキリしないシルフは精霊界で恥ずかしい服でも着ているのだろうか、古い記憶にはなるが、ゲームの世界だと確か、男性用の服を着ていた気がする。動きやすい服装が好きだったはずだ。
「それにしてもかなり速い?凄い速度で飛んでる気がするんだけど…」
(風の抵抗受けないけど、速すぎで怖いよ!!)
『マスターの魔力はそれなりに消費するけど、今の魔力量なら問題ないし、早く着きたいんでしょ?』
凄くありがたいのだが、本来であれば人が耐えれない速度なので、止まれるか不安になってしまった。
『さっきの話だけど、マスターは一度死にかけたんだよね』
「うん、雷水晶の魔力が無くなってるから間違いないよ」
『うーん…悪い意味じゃないんだけど、外見はともかく能力は今のマスターでもかなり高いんだよね、その状態のマスターを害せる敵は、そんなに居ないと思うんだよね』
自分では能力値を確認できないので、シルフが言うなら間違いないのだろう、ここまで動いてる子供は正直いないと思う、本来なら動き回れる体力はないはずだからだ。
「そうなると、やっぱりこの世界の事改めて考えないとダメそうだね」
神様が言った言葉で、この世界のレベルは低いと決めつけていた。魔物の襲撃、古代遺跡の強さ、魔導銃、知らない魔法や魔法道具、予想を上回る敵の強さ、直近だけで異常と思えるほどの出来事があり、私の認識を上回る事となった。今の状況もその一つとなる。そう考えると、何か知らない事が動いてそうに思える。やはり神様に会って聞く必要がありそうだ。
シルフの飛行速度で当初より早く商業街に着きそうだ。空高くからなのでよく見えないが、村を通過している。確か村を通過したら、商業街に近づくはずだ。
『ちょっと大変なことになってるかもね。マスター、あれ見える?』
シルフに話しかけられて目を凝らして正面を見るとまだ遠くのはずが、大きな卵のような物が見えてきた。街の建築物よりも大きく黒い半透明の卵、辺り一面に闇の魔力を垂れ流し、魔力が見えない者も異質さを感じるだろう。
「嘘でしょ…シルフあれって本物かな…」
『近寄らないと分からないけど、多分本物だね、予想外の出来事が起きてると思うよ、僕も本気でいかないとダメかもね』
「本物…シルフ、急げる?あれが動くとまずい!」
私は焦りを隠せなかった。何故なら、この表側にあってはならない卵だからだ。裏側にある高レベル用の狩場、深淵の森に出現する大型レイドボス、深淵の落とし子という卵と瓜二つだからだ。
『うわー、近づくと凄い闇の魔力を感じるね。マスターあれをどうにかできそう?』
「本当に深淵の落とし子なら難しいかも、本来何十人と集まって戦うボスだからね…幸にもまだ卵が割れてない、これなら考える時間はありそうだね」
プレイヤーの話で言うなら、複数のパーティーを組み、攻撃や防御、支援を行い時間をかけて倒すボスとなる。昔の力が発揮できれば、私はNPC用のプレイヤーよりかなり多い能力値を持つので倒す事もできるが、今の私でどこまで戦えるか不安だった。
『まずいよ!人間が攻撃しようとしてる!!』
(バカなの?魔力が見えなくても禍々しさと近寄るだけで恐怖のデバフ撒き散らしてる巨大な敵を攻撃するなんて、ありえない!!)
「シルフ、止めるよ!!」
深淵の落とし子は攻撃を受けるとアクティブ状態になり、辺りを攻撃し始める。逆に攻撃をしなければ、近寄って受けるデバフを除き、脅威は少ないので無闇に攻撃をしてはならない魔物だ。
『3人攻撃しようとしてるから、風で吹き飛ばすけどいいよね!』
私はシルフに風で飛ばしても良いと許可を出した。私の魔法だとほとんど人に当たれば死んでしまうが、シルフなら風で飛ばすだけに調整ができるからだ。
「攻撃する前に防がなきゃ!!間に合え!!」
シルフと共に攻撃を阻止する為、急いで向かうのだった。
お読みいただき、ありがとうございます。
宜しければブクマなどいただけると、転がって喜んでます。
評価、いいね、ありがとうございます!
モチベがもの凄く上がります!
アニエスの魔力眼では、シルフは緑のふわふわした人っぽい形に見えてます。
卵と表現してますが、イメージ的にはカエルの卵みたいな感じです。
次なる戦いは商業街へ…
私自身読みづらいと感じるので、読みやすいように努力します。
投稿ペースを上げるよう頑張りますので、よろしくお願いします。




