50話 ゴーレム完成と違和感
後の事を考えると、作り始めた方が良さそうだ。
「そろそろ始めたいと思います。お母様、今から起きる事の質問は受け付けません。後、途中で何か妨害されると、大変な事が起きるので、その場から動かないで下さい」
私はそう言うと、収納魔法からゴーレムの残骸となる魔力の宿った砂を辺り一面に撒き続けた。
魔法生物を作る時は錬成陣が必要になり、魂を宿しただけのマリーとは方法が異なる。そうなると5つの円と印が必要になるのだ。
さて、どうするか、お母様がいない時なら血を使ってもいいけど、魔力を注ぐなら、別のものでも良いかもしれない、皆には悪いけど、この機会にちょっと試させてもらおう
収納魔法で、私は錬金溶液を取り出した。
これは引き継いでる事もあり、かなりの量を持っている
もし、無くなっても作るのは簡単なので、魔力を通しやすさも問題ないし、使おうと思ったのだ。
少し垂らすと、魔力を宿した砂の反応なのか、色が黄色に変わり輝いた。
これなら、描いても見やすそうだね
「円…円…とても難しい…」
苦労しながら、液を垂らして、1つ小さな円を描いた。
1つ描けば、後はその円を中心にして、広い円を描くだけなので大丈夫。
一番外の円の内側に魔導結核っと…
その1つ内側に魔力結合剤の入った瓶を置いた。
さらに1つ内側に魔法コアを置く、これがないと魔法が使えないからね
後は、魔力を集めて錬成陣を発動させる媒体だけど、お母様が創世の杖を見たら、倒れる可能性を考慮すると、杖という名前がついてる指輪でも行けるよね…
クエスト用にまだあるし、1つ目の真ん中に1つ置く事にした。
錬金溶液を再度垂らして、各素材を特殊な印で囲むと、中央に集まり合わさるように魔法陣を4つ分、各円の中に書いていく、最後に一番外側の円から少し離れた場所まで液を垂らして、私の立ち位置まで繋いだ。
これで、この液を伝って、魔力を流せるようになった。
「それじゃあ、開始するから!絶対に動かないでね!巻き込まれると、どうなるか分からないからね!」
念押しで、動かないでといったから問題ないはずだ。
チラッとお母様を見ると、錬成陣をじっと見ながら顎に手を持ってきていた。
私の癖は、お母様譲りなんじゃ…
「魔法生物、錬成陣発動!」
私の小さな手を地面の砂につけて、魔力を流すと錬金溶液で描いた黄色の部分が赤くなり、光が強まった。
眩しすぎる!目の前で光ってるから、目を開けれない!
次第に変化が始まり、5つ目の円と印が光ると4つ目の円に合わさる、更に4つ目の円と印が光り、3つ目の円に合わさる、最後に3つ目の円と印が光り2つ目に合わさった。
これで、指輪が置かれた1つ目の円と、色々合わさって虹色に発光してる2つ目の円のみになったね
「魔法生物、生成発動!」
砂につけた手に再度魔力を流して、全てを混ぜ合わせる
2つの円が光ったので、私は巻き込まれないように、お母様が座る椅子の位置まで下がった。
「アニエス、後は待つだけなの?」
「はい、最初に使ったのは素材を纏めて合成する錬成陣を用いた魔法で、今使ったのは生成魔法なので、後は待つだけで、地面の砂を吸い込み完成します」
「このような魔法は初めて見たわ、錬成陣というのも興味あるわね、砂に垂らした液体も後で分けてほしいわ」
「わ、わかりました。後でお渡ししますので、とりあえず、完成を見守りましょう」
やはり、お母様の興味を引いてしまったようだ。
私があたふたしてお母様と話していると、リディアが軽く笑った。
「ごめん、アニエスちゃん。アニエスちゃんが動揺しながら話してるのって、新鮮に感じちゃったからつい」
ふむ、リディアには、後でお話をしっかりしなければならない様だね
そんな私の思考を察したのか、ブルブルと頭を横に振っていた。
「お母様、リディア、完成します」
全ての円が合わさりできた光の柱は周囲の砂を集めていく、そして丸みを帯びた姿へ変えながら変化する。下から作られるので、足、胴体、腕、頭と生成された。
分かってはいたけど、一旦丸くなって足も体も腕も四角のブロック状なんだね、そして頭は魔法コアを元に作られてるから、丸かった。
「凄い…魔法って、本当に凄いね!」
「アニエスの魔法を、この目で見たけど、まるで夢の様な出来事ね」
「適切な素材を適切な方法で、組みわせただけです」
二人に褒められると、嬉しさと恥ずかしさを感じた。
あのゲームでも、何だっけ…魔法は料理と同じで工程を守れば誰でも使えるだったかな…
曖昧だけど、そんな感じの事を言ってたプレイヤーが居たはずだ。
さて、このゴーレムを起動させようかな
「魔法生物、ゴーレム起動!」
『…マスターアニエス…起動承認…受諾…』
頭部の魔法コアが発光したので成功だ。
「魔法生物、ゴーレム、命令処理起動!」
『…マスターアニエス…命令処理…受諾…』
言葉で言えばいいかと思っていると、頭の中に様々な文字が現れた。
何これ!こんな事、プレイヤーはしてるの!?
使い方分かれば、かなり応用効きそうだけど、魔力感知、敵対者の排除、魔物以外禁止、頭の中で浮かんだキーワードから、この3つを選択した。
『…命令確認…適応完了…』
「これでいい、かな?」
ひとまずこれで、敵対行動を取ったり、アクティブモンスターの様に悪意や敵意を向けた者に攻撃を行い、魔物以外殺害禁止にしたので、ある程度は手加減をするだろう
「動き出したわね、これで完成かしら」
「はい、これで完成しました。通常のゴーレムとは違いますが、似たようなのです。各種魔法で反撃を行い、自身の腕も飛ばします。頭部の魔法コアに自身の魔力を集めて攻撃もできますが、殆ど人には使わないと思います。魔力は周囲から吸収するのと、破損損害時は砂を取り込み再生する為、活動場所に作成時の砂を撒いてほしいです」
収納魔法が容量制限ないとはいえ、かなりの量の砂が入ってるから放出したいと言う気持ちもある
「わかったわ、砂は後で兵士に任せましょう。それで、どの様に戦うのか見たりできるかしら」
「可能ですが、闘技場みたいな感じなのは、見れないですよ。魔物出しますが、これも秘密にして下さいね」
お披露目会みたいなものだろうか、低級召喚スクロールで迷いはしたが、レッサードラゴンを出した。
弱すぎると意味がなく、強すぎると周りを巻き込む可能性があるから迷ってしまった。
レッサードラゴンが現れると同時に咆哮を放つ
それに反応したのか、ゴーレムは動き出して近寄ると拳で殴る
レッサードラゴンは少し怯むが、尻尾をぶつけて一回転すると口から炎を吐いた。
ドラゴンの中で一番弱いと言っても力は強く尻尾が当たると、ゴーレムは後ろに仰反る
距離が空いたので、頭部の魔法コアが光るとウォーターアローが発動した様で、水の矢が飛びドラゴンを貫いた。
4発の矢に射抜かれると、ドラゴンは粒子となって消えていった。
ふむ、何というか、ゴーレムがアロー系使うと弓は現れず、矢だけ現れる事が分かった。
ボルト系と見分けが、発動距離以外分かりにくいのが難点かな?
「凄いわね、アニエスがドラゴン出した事もだけど、それよりも、このゴーレム確かに普通のゴーレムとは比べ物にならないほど強いわね」
お母様は常に魔力を見ているようで、目の色が変わっていた。
「戦う距離で使う魔法も変わります。4属性使えるので大抵の敵は問題ないと思います。魔物なら今の様に倒しますし、人なら生かします」
「アニエスちゃん、私が使うファイアアローよりもゴーレムのアローって、やっぱり強いの?」
「んーどうだろう、魔力とイメージはリディアの方が優れてるから、私的にはリディアの方が強いと思うよ。慣れて一回の発動で、複数本出せるようになればだけどね」
鍛錬は必要なのだ。
何処に配置するかを聞くと、村と商業街と王都を繋ぐ北の街道へと頼まれることになり、浮遊魔法で浮かせると、慎重に運ぼうと思った。
その時にお母様も一緒に配置する所を見たいと言って一緒に向かう事にした。
「あら?楽に飛んでいくのではないのね」
「はい、人は飛びませんからね」
そう言うと、リディアの視線が痛く感じた。
ゴーレムに乗って浮遊という手もあるけど、万が一の危険性を考えるとやめる事にした。
リディアは作る所だけで良いとの事で部屋に戻った。
お母様は1人メイドを連れて、歩きで行きたいという事になり、一緒に向かった。
街に一般の人がいないから良かったけど、空中に浮かぶゴーレムを見ると間違いなく騒動になるだろう、今も兵士や冒険者が見に来るほどだ。
お母様が運んでいると思われてるので、好都合だった。
重さの代わりに魔力の消費が多く、少し疲れたよ…
ゆっくりと北の街道に降ろした。
「素晴らしかったわ、私も水魔法で浮かせる事を試したけど、アニエスの魔法の方が便利ね!私にも教えてね!」
「洗う魔法と交換という事にしましょう」
私の知識で、安全な魔法は伝えるつもりだったから問題はない
自動で動くのだろうか、降ろしたゴーレムを見守ると頭部が光り動き始めた。
移動も調整できるのだろうか、あの文字いっぱいから操作は正直したくない、またの機会にしよう
「さて、お母様、これで大丈夫ですから、後は皆に先程の事を伝えて下さいね」
「ふふふ、勿論ですよ、まずは帰り際に冒険者組合に寄りましょうか」
やる気に満ち溢れている
おそらく未知の魔法やゴーレムを見たからだろう、私も知らない魔法を見たら同じ気持ちになると思うから、魔法使いは皆そうだろう
北門を通り街へと戻った。
北門を通る時に少し違和感を感じるが、少し進むとそれが気のせいじゃない事を確信させた。
その違和感にお母様も気がついたようで、辺りを見渡している
「アニエス、少し変ね、門の兵士も居ないわ」
「はい、誰もいませんね」
そう、誰も見当たらないのだ。
外周禁止とはいえ、人は歩いている、行きにも兵士や冒険者と出会っているが、誰一人も見当たらないのだ。
門を守る兵士すら居なくなっていた。
魔物や侵略者と考えるが、叫び声や争う声も無ければ、血の匂いや痕跡もない、まるで何もなかったかの様に人だけ消されていたのだ。
人を消す魔法…古代遺跡の転送罠は考えれるけど、人が使う魔法では思いつくものはない、転送罠も範囲が限られている事から可能性として考えれるのは、血を出さずに殺して死体を消失させたか、何かの手段で転移させた事になる、争った形跡があれば違う事も考えれるけど、情報が少なすぎるのだ。
「ミラルク、武器を構える事を許可します、アニエスを守り抜きなさい」
「はい、奥様、お守りいたします」
お母様はついて来ていたメイドに指示を出すと、細めの剣を取り出した。
あの人、ミラルクって言うんだね、黒い服の人って覚えてたよって、何処からあの剣取り出したのか気になる
細めの剣は斬ると言うより、突く事に特化してそうな見た目だった。
魔力眼を使い周囲を見るが、特に何も見つけれない
何もない事が1番の違和感なのだが、何も視認できないのだ。
空間転移?でも街だし…飛ばされる時のくらっとする感覚もなかったし…
顎に手を当てて現状を再確認する、見た目はいつもの街、人は一人もいない、魔力眼も特に問題ない、普通に街に戻っただけだ。
「立ち止まっても仕方がないわね、予定を変更して邸に戻りましょうか」
お母様がそう提案して、冒険者組合に寄らず邸へ慎重に戻る事にした。
静まり返った街、夜中でもないのに物音も聞こえない、人の気配も感じない気持ち悪い状態で空気も重く、1人なら逃げてしまうだろう、得体の知れない気持ち悪さを感じながら戻るのだった。
お読みいただき、ありがとうございます。
よければブクマなどいただけると、転がって喜んでます。
評価、いいね、ありがとうございます!!
モチベがもの凄く上がり、頑張る力が漲ります!
お母様は公私混同しないので、通常時はしっかりした口調で喋りますが、それ以外は崩れてます。
魔法生物の作成は地面に素材を広げて、それを融合させる感じです。
マリーは人形という素体を使ったので、その手順を使ってません。
作った本人が管理者となり意思疎通は脳内で直接カタコトの言葉が聞こえてきます。
ゴーレムは簡易的な命令を出せますが、プログラムを組む事でかなり自在に動かせます。
邸のメイドの名前をアニエスは殆ど知らないです。




