44話 頼み事
皆様、いつもありがとうございます。
朝日が眩しく感じる
清々しい朝だ、そんな風に目覚めたいけど、私は最近難しい問題が起きている
だんだん慣れてきたけど、今後の為、今度街でぬいぐるみを探してみよう
「フィリス、朝だよ、起きてよ」
くっついてるフィリスを揺するが、幸せそうなニヤけ顔をしている。どんな夢を見てるのだろうか、3日に1回ぐらいは早めに起きるが、それ以外は何をしても起きる気配はない。私はフィリスの腕を私から離して、ベッドから離れた。
元々、1人でも着替えれるから問題ないけど、ちょっと寂しく感じた。
「シャーリー、まだ戻ってこないのかな」
つい、言葉に出てしまった。
お父様と一緒に戻ってくると言ってたけど、様々な出来事が起きてるので心配してしまう。それと同じぐらい、いつも見守って助けてくれた人が近くにいないとこんなにも寂しく心細く思うとは考えた事なかった。
もしかして、フィリスは私が寂しくならない様に毎晩寝てくれてるのかもしれない
朝食を食べる為に食堂へ向かった。
お母様は…やはりもう居なかった。忙しいと言ってはいたけど、心配になる
そんな事を思いながら入り口に立っていると、ローランは朝食を食べ終わったようで、出て行くところだった。
「ローラン、おはよう、今日はいつもより早いね」
「アニエス嬢、おはよう、ちょっと冒険者組合に話を聞いてこようと思ってな、アニエス嬢も気になるだろ」
「あれ以上、魔物の発生がなければいいけど、確かに商業街の現状は知っておきたいから、聞いてくれると私も助かるかな」
流石、情報は武器と言うぐらいに素早い行動を起こせるローランは凄いと思う
私も素早く行動しなければ、と皆に挨拶をして朝食を食べ終わると、まだ来ないフィリスを起こす為に部屋に戻る事にした。
するとフィリスが慌てた様に部屋から飛び出して、急いで走ってきた。
「アニエスさん、おはようございます!どうして、起こしてくれなかったのですか!今日はメイド特訓がある日なのに!」
なんだろう、メイド特訓…少し気になる
「何度も呼んだり、揺すったりしたけど、全くフィリス起きなかったよ」
「ああ!メイドの仕事が!一人前になって着替えの手伝いが!」
声に出てるけど、多分反応したらダメなやつだと思った。
「遅れたら間違いなく、フィリス怒られると思うけど、頑張ってね。午前は訓練所に行ってるから、その後は部屋にいると思うよ」
メイド長は厳しいから、客人扱いでもしっかりと怒る、私も怒られるし、お父様も怒られたりする、そんな事ができる人って中々居ないと思う。間違った事しなければ、凄く優しく良い人だけど、フィリスには雷が落ちるだろう
「アニエスさん、絶対に内緒ですよ!ああ!早く行かないと!」
涙目になりながら走って行くフィリスを私は手を振りながら見送った。私が内緒にしても遅れたら怒られると思う、恐らく、走った事でも怒られるだろうなと思った。
「フィリスを起こす必要なくなったから、早いけど、訓練所に行こうかな」
それなら、いつかやりたいと思っていた、こっそり訓練所に向かうと、どうなるかを試そうと思った。
普通に向かうと確実に見つかる。訓練所への行き方は3つあり、1つはメイン通路を通る方法、私の部屋からはメイン通路の方が都合よく、いつもこの道を使う。2つ目は邸の北側から向かう通路で、遠回りになる為、基本使わない、3つ目は庭からも行けるのだが、庭には必ずどの時間も私兵とメイドの誰かがいる。そうなると、北の通路を使ってみよう、遠回りになるという事は見つかる可能性は高まるが、隠れて進むしかない!
音をなるべく立てずに北側へ向かうのだった。
「アニエスお嬢様、どちらに向かわれるのですか?」
北側に向かうと、無情にも私は捕捉された。
「…」
ふむ、透明になる魔法、ないのかな…
「訓練所に行く途中…でした…」
「本日は遠回りして向かわれる所でしたか、お呼び止めいたしまして、申し訳ございません」
シャーリーもそうだけど、気配を消して近寄るのはやめてほしい、私が知らないだけでメイドの必須スキルなのだろうか、そうなるとフィリスも…考えると怖くなるので頭を左右に振って、そこで止める事にした。
気を取り直して訓練所に着くと人はやはり居なかった。
しかし、私の目は誤魔化しきれず、つい先ほどまで使った様に感じる。何故なら、訓練所の地面が所々抉れてるからだ。通常、使用後は整備する決まりとなっている。私がやろうとしたら止められたけど、この感じは急いで空けたように思えて、申し訳なく感じてしまった。
まさか、あの声をかけたのって、私の行き先を聞くのではなく、訓練所を空けるための時間稼ぎだったのでは…メイド恐ろしい…
「はぁ、なんか疲れたよ…」
さて、気を取り直して朝の訓練を始めよう
最初は魔力の向上がメインで魔法中心だったけど、最近は魔法よりも体を動かすのがメインになっていた。武器を使い剣技の訓練、無手の状態での動き、問題は訓練相手がそろそろ欲しくなる事だね。全力を出したいけど、相手が殆どいない、上級スクロールがあれば、ある程度は出来るけど、場所的に難しい
「はぁはぁ、繰り返すことの大切さを感じるね」
体力と魔力はかなり伸びてる気がした。
遠隔でアイテム作成をしてない時は、完全に使い切るまでやる事も多いけど、今は下手に使うと作成が止まる可能性があるので、怖いからやってない、この感じだと、体力と魔力の回復が早いので、無くなるまで使う、回復するを繰り返せば一番だけど、正直一般的な自由さがほしい
気がつくと、かなり時間が経過していた。
体力や魔力は回復できるけど、汗のベタつきは何とも我慢しにくいので、お風呂に入る事にした。
「このベタつく感じは慣れないな、魔法で何とができればいいけど、思いつかないし、騒動終わったら考えてみようかな」
ある程度の知識はあるけど、自由度が高いと、組み合わせたり新しい魔法を作りたくなる。この世界も魔法研究してる人達も多いはず、それなのに魔法があまり発展してないのは気になる、それも含めて話しをしてみたいと思っている
そんな事を思いながら、軽く汗を拭き訓練所から出ると、廊下にメイドが待っていた。
「アニエスお嬢様、お疲れ様でございます。お風呂に入られますか?」
シャーリー居ないと、こんなにも他の人と接点が出てくるのか、悪い気分はしないけど、私が入ってからずっと待っていたのなら、申し訳なく感じるからだ。
「うん、汗で気持ち悪いから入ろうと思ってる」
「僭越ながら私が付き添いいたします」
「お願いするね、ちなみに、あの場所にいたのは偶然?」
聞かないとダメかなって思った事だ。
「いえ、アニエスお嬢様が訓練所をご使用なさった時から、お待ちしておりました」
「えっ…結構時間経ってるけど…ずっと?」
「申し訳ございません、冗談です。偶然通りかかった時に、アニエスお嬢様をお見かけしたので、お声がけをいたしました」
冗談に聞こえない、本当に待ってたような気がする。リディア達と約束をしてる時は合わない事が多いから、もしかして誰か私の行動を先読みしてる可能性もある
私はお風呂場に向かうと、一人でも問題ないが手伝ってもらいながら髪などを洗ってもらい、汗を落としてスッキリしたのだった。
その後は汗でベタつく服を着るわけにはいかず、用意された服を着させられた。
「アニエスお嬢様、お似合いです!今の気持ちを表現する言葉が見つからないほど、私は満足いたしました」
…
凄くメイドには助かってるし、シャーリーも気にかけてくれるフィリスも嬉しいけど、言動に怖くなる時がある。今も着させられた服は、ちょっと私に似合わないかなと思ってたピンク色の服だし、やはり着せ替え対象なのだろうか、私的には動きやすい冒険者がよく着る服の方がいいけど、言うとお母様に怒られそうだから、甘んじて受け入れる事にしている
「えっと、そんなにこの服、私に似合ってる?」
「似合うという表現以上の可愛さ、いえ、美しさです。趣味の人形コレクションに加えたいなとか、もっと可愛い服を作って着せたいな等は、一切思ってません」
「あ、ありがとう、後半の話は聞かなかった事にするね…」
私も女の子だから可愛いとか言われるとちょっと嬉しい、その後の聞いてもない話の分はマイナス点だよ。この邸のメイドって、どんな基準で集められてるのか気になってきた。それを含めても皆いい人だから、正直助かってるし、嬉しくも思う。だからこそ守りたいと、私は思っている。
「勿体ないお言葉です。アニエスお嬢様のその表情で、私は満足いたしました」
何故か可愛いとか言われると顔が緩む、あまり人には見せたくないと思うから気をつけないとダメだ。今の言葉でも勝手に顔が緩んでしまう
「アニエスお嬢様、何かございましたら、お呼びつけください」
部屋の前でメイドと別れて自室に入った。
そろそろマリーが戻るはずだが、まだ帰ってこない、その為、遠隔で作ってるゴーレムの素材を確認する事にした。
「えっと、日数的に半分ぐらいは出来てるかな…あれ?」
収納魔法で確認していると、経過日数では大体半分のはずが、殆ど出来ている、後1つで指定した5つ分の作成が終わるようだ。熟練度的な要素で早くなっているのだろうか、実際、魔法道具を作る時も早かった。
これなら、ゴーレムの製造を前倒しにして、私が直接商業街に向かってもよさそうな感じがする
「アニエス〜戻ったわよ!」
開いている窓から、マリーが声を発しつつ浮遊しながら戻ってきた。
「お帰り、ちょっと遅かったね、朝には戻ってくると思ってたよ」
「早く戻ろうとしていたのだけど、ちょっと予定外の事が起きたのよ。私が離れたのは、これの為よ」
マリーはそう言いながら、宙に黒い穴を開けて、小さな人形の手を入れたかと思うと、マリーの身長と同じぐらい大きな水色の宝石を取り出した。
「今どこから取り出したのって、それより何その宝石?」
アイテムを取り出す方法が、少しかっこいいと思ってしまった。
それよりも取り出した宝石が異質に見えた。反対側が透き通って見える水色の宝石、まるで水のような色合いと透明感だが、見ていると吸い込まれそうになる
「綺麗なのに怖い、水色なのに底がない真っ暗の闇、まるで深淵にも見える…」
ハッと気がつくと、私は何を言ってるのか分からなくなった。
確かに水色なのに真っ暗の闇が見えたのだ。
「取り出した方法は秘密よ、カッコいいでしょ!」
「うん、カッコいいけど、宝石の方が気になるよ」
「これは私が偶然見つけた物で、ちょっと厄介なアイテムなのよ、それで今まで隠していたのだけど、私の魔力与えてたら、変化しちゃったわ」
「ごめん、よくわからないから、経緯教えてよ」
「全く面倒ね、この宝石を見つけたのは、邸から飛び出して3ヶ月後ぐらいの時だったわ、この間の古代遺跡近くに湖があるのだけど、湖の中心に無造作に置かれてたの、凄く綺麗だったけど、移動させる事ができなかったわ」
あの周りに湖なんてあっただろうか、無造作に置かれる宝石ってまるでゲームのイベントみたいな話に思えた。
「重かったって事?」
「話に割り込むんじゃないわよ」
…
気になる事は後で聞く事にしよう
「重いというより、動かない物という感じかしら、触ると吸い込まれるように魔力を吸収されたわ、それからは度々、寄っては触れて魔力を送ってたのだけど、ついに魔力がいっぱいになって手に入れる事ができたのよ」
マリーは続きを話さず、黙ってしまった。
「終わり?」
「終わりよ」
「様々な疑問は、一旦置いておくとして、つまり数年かけて、魔力を注いだって事だよね」
「その通りよ、見つけた時は無色透明で、もう少し小さかったわね」
私の理解力が無いのか、聞いてもよく分からない、とりあえず眼に魔力を送り見てみる事にした。すると魔力が凝縮されている、さらによく見ると、あの球体の中から、もの凄く濃い魔力を感じる。強すぎる魔力は毒となる、仮にこの中に入ったら、私の体は魔力により拡散して消えるだろう
「奥の一番濃い場所は何だろう…」
球体の中心部に一番濃い魔力が見えたので、目を凝らして見ることにした。
「な、何これ!吸い込まれる!」
全体を直視した時と違い、飲み込まれそうになる感覚だ。
私は慌てて魔力眼を止めて、見るのをやめた。
飲み込まれる時、感覚が変に感じて、上下左右も分からず、自分が自分じゃなくなるような吸い込まれる感覚が怖かった。
「ちょっと、アニエス、大丈夫?、顔色悪いわよ」
眼が痛い、焼けるような痛みと熱さを感じる。おそらく、球体内の魔力が濃すぎて負荷がかかったのだろう、短時間でこの痛みだと、かなり危険な物に思える
「もう大丈夫…マリーは、なんともないの?」
「特になんともないわね」
「多分だけど、その宝石(仮)は所有者を選ぶ物だと思う。長く見れなかったけど、中にもの凄く濃い魔力が溜まってる」
物理的に動かせない宝石、魔力を吸い取り、大きさが変化して色も変わる。精神を吸い込まれそうになるほど濃い魔力の塊、普通の物ではないと思う、近いのは魂石だけど、魔力を吸い取る事はないから違うだろう
「アニエスなら何かわかると思ってたけど、アニエスも詳しくは分からないって事なのね」
「私の知ってる記憶だと、一致する魔法道具や宝石は無いね」
何だろう、知らない事が最近増えてきたようでモヤモヤする
「アニエス、少し触ってみる?」
探究心では触りたいと思ってる、万が一触る事で魔力暴走が起きたら、あの濃さだと街を飲み込むのは間違いないと思う
「やめておくよ、間違いなく、触ると何か起きると思うけど、良い事とは思えないからね」
「こんなに綺麗なのに、話を聞くと危なく感じるから、しまっておくわ」
そう言って、マリーは取り出す時の反対の動作で、宝石を宙にしまった。
「そうだ、さっき言ってた予定外の事って何?」
「湖で宝石に魔力を込めてたら、人に襲われたのよ」
!!
「マリー詳しく教えて!」
「いいわよ、昨日の夜の事ね、私の魔力探知内に何かが複数入ってきたの、最初は魔物と思ったのだけど人だったわ、3人が分かれて私を囲むと同時に攻撃をしてきたのよ。それで殺す気はないけど、追い払おうと思って、手加減して反撃したのだけど、全ての攻撃が届かなかったわ。結構な時間、攻め合ってたから、ここに戻るのが遅れたわけよ」
「その人達って、どうなったの?」
「私も意地になって捕まえるつもりだったわ、急に3人共バラバラに走って行って見失ったわね」
マリーから逃げきるなんて、本当に人になのだろうか、マリーの強さはかなりの高レベルだと思う、手加減をしていても逃げきるなんて難しいはずだ。マリーを魔物と勘違いして襲ったのか、そもそも違う目的なのか、あの宝石が目当てだったのだろうか、情報が少なすぎる
「ちょっと、アニエス黙らないでよ」
「ごめん、考えてたよ。攻撃が届かないって、魔法で防がれたの?」
「わからないわ、一応威嚇をする為、剣で軽く斬りつけようかと思ったのだけど、相手の近くで止まると動かなくなったわ」
威嚇目的で斬りつけるのは、明らかに過剰な気もするけど、近くで止まって動かなくなった…魔法なら風系の何かで防いだかシールド系だけど、魔法生物のマリーなら感知できるはずだ。
「相手の攻撃って、魔法?それとも離れてだと弓?」
「魔法じゃないわね、魔力は感じなかったわ、弓でもないと思うけど、見えなかったのよ。距離はずっと離れてたわね、私が近寄ると、一定の距離を維持して離れる感じね」
見えない攻撃は魔法なら沢山考えれるが、魔法生物のマリーが魔法じゃないと言うからには違うのだろう、距離をとりながらの戦闘を継続して行える技量となると、高ランクの冒険者だろうか
「マリーの直感でいいんだけど、その人達って危険性感じた?」
「私を襲った理由次第だけど、得体の知れない感じはしたから、直感だと危険ね」
見た目は呪われてるような人形だから魔物と間違えた可能性もあるけど、3人共マリーと互角なんて正直考えれない、そうなるとローランと同じ、それ以上の人が複数いるという事になる
私の直感だけど、今回の騒動に関係してそうに思える。そもそも街は冒険者や兵士以外、殆ど外出してないし、あの森は相当な理由がないと入らない、そうなると魔導銃の件と関係性があるように思える
「マリーのおかげで方針が決まったよ。それで1つ、マリーさえよければ、頼みたい事があるけど、聞いてくれる?」
「何よ、改まって、私の力を借りたいなら、そう言いなさいよ。内容は何なの?」
「ありがとね、商業街にいるシャーリーを助けに行ってほしい」
私はマリーに現在起きてる騒動と商業街の異変を話した。
ふらふら飛びながら考えてるようだ。
「大体わかったわ、少し考えてもいいかしら」
「勿論だよ、無理矢理は嫌だから、マリー次第でいいよ」
マリーが断るなら、ゴーレム完成後に私が向かえばいい、もしマリーが行ってくれるなら、ゴーレム完成後に領全域をシルフに確認してもらいマリーから逃げた人達が何処にいるかを探すつもりだ。
今すぐ確認して行動する事も考えたけど、マリーと同格なら魔力探知を感じとれるかもしれない、そうなると即行動できるタイミングが一番だと思っている
「さて、マリー!約束してた強化の時だよ!」
お読みいただき、ありがとうございます。
よければブクマなどいただけると、転がって喜んでます。
評価、いいね、ありがとうございます!!
多分GPSで管理されてます。
次元収納のちょっとした応用的な取り出し方をしてます。
言葉にしにくいですがイメージ的には、バキッて空間を破る感じです
何か気になる事や、こうした方が良いのでは、とかここはダメという所など、あればコメント頂ければ幸いです。




