34話 28階層、アンデット?
皆様、いつもありがとうございます。
28階層に送ってもらってからです。
移動に殆ど衝撃もなく、時間で言うと1秒もかからず28階層に到着した。
降りるだけなら楽できそうだが、今後は協力してくれないだろう
「着いたよ、もう目を開けて良いし、手も離して良いよ」
「おお、ここが28階層なんだね。トニトルスありがとね」
「まだ少し痺れてるけど、大丈夫だよな」
「わ、私も勝手に体がピクピク動くよ」
リディアはそう言いながら、腕を持ち上げたりしていた。
痺れる感じは新鮮なのか楽しそうだ。
「肩こりとかには、すごく効きそうですね」
「皆殆ど耐性無いんだね。すぐに治るから大丈夫だよ」
そうトニトルスが言うと、皆も納得した様だ。
私は辺りを見渡して
「あれ?21階層から確かアンデットがたくさん出てくるエリアだと思ったけど、全然見当たらないね」
「まぁ、僕もアンデットはあんまり好きじゃ無いから、28階層に到着した時に近くの魔物は殲滅して、電磁バリアで近寄らない様にしてるからね」
「あ、ありがとね、そこまでしてもらえるとは思ってなかったよ」
「でもアニエス様、本当に大丈夫?エリアサーチした感じだと、アンデットかなり強そうだよ」
「え?トニトルスが言うほどなの…」
「今のアニエス様達を見てる限りだけどね。その剣士君は大丈夫かな」
「俺の情報を覗かないでくれよ」
フッ格好を付けながらローランは言ったのだった。
「誰にも秘密にしたい事はあるよね。トニトルスも勝手に見ちゃだめだよ」
「うう…ごめん」
「アニエスちゃん、火の魔法ここだと活躍できるかな」
「アンデットなら結構活躍できると思うよ」
「私も魔法剣は火の属性珠にしますね」
「皆頑張ってね。僕はもう精霊郷に帰るから電磁バリア解除するね」
そう言ってトニトルスは電磁バリアを解除したと同時に雷を落として消えていった。
電磁バリアが無くなると、辺りの死臭が漂い鼻を歪めてしまう。
「うぇ…凄い臭いで臭いだけでも、もう私ダメそう」
鼻から空気を吸うだけで、肺が拒絶してしまう程だ。
アンデットの巣窟って、こんな感じだったなんて知らなかったよ。
「私もこの臭いダメそうです」
リディアもダメそうだね。
「私は戦場で慣れてますね」
「暫くすると鼻が慣れるから大丈夫だ。アニエス嬢は知ってると思うが、アンデットの体液には、毒や状態異常にかかる事が多いから気をつけろよ」
鼻が慣れるなんて、本当にあるのだろうか
それ以外は、ローランが言った通りだ。
アンデットは作りそのものが違うので、気をつける事が多い。
素材としても特殊な物が取れて、大抵は錬金術や呪術に使う事ができる。
「えっと、生きた大剣って残り何個ある?」
「私は残り4つだよ」
「私も同じ数ですね」
「ふむ、ならここでは使わない方が良いかもしれないね。大盾は魔物に沢山囲まれた時に使って、それ以外は消費を抑えようか、流石に不意打ちは少ないと思うからね」
2人が返事をして、話を進める。
「シェイド、この階層とかって、闇の魔力濃いよね」
『うむ、かなりの濃さだな』
「なら、私達を本気で守れる?」
『闇の濃さが下がらない限りは可能だな。攻撃は全部防ぐが、範囲攻撃も必要か?』
「守りだけで、攻撃はしなくて大丈夫」
リディアの熟練度稼ぎをしたいからだ。
確実にここまでで、レベルが上がってると思う。
眼に魔力を通すとその人の魔力が可視化される為、今と後でどうなるかを比べたいと言う事もあった。
「アニエスちゃん、そのシェイド様の守りって、今までと違うの?」
『我が説明しよう。これまでは影から大盾が対処できない時だけ防いだり攻撃をしていたが、魔力消費がこの場だと軽減できる為、ほとんどの攻撃を防ぐことができるのだ』
シェイドの話を聞いて、皆が驚きの声を上げた。
実際は防げない攻撃があるけど、ここでは使う敵が出ないと思うから問題ないはずだ。
防御をシェイドに任せれば、階層を進めながら皆のレベル上げを行える。
「明かり付けるか?」
ローランが提案をした。
私は少し考えて、喋ることにした。
「明かり付けると魔物に居場所を知らせる事になるから、この暗さだと付けないまま進もう」
更に暗くなったら付けることにした。
松明を使うという手もあるが、この場合も光源が居場所を教えることになり、暗い場所では魔物を引きつけてしまうのだ。
「臭いも慣れて来たし、進もうか」
私が進む事を提案して、移動を開始するのだった。
先程の場所から少し進むと、ローランが立ち止まった。
「ここから見えるアレって、最近見た気がするんだが…」
ローランがそう言って、指を刺した。
私はそれをよく見ていると、んんー?あっ!と納得した。
「あれ前の階層で出てた、ウルフのゾンビ版だね」
もしかして、ダンジョンが食らった魔物の行き先ってここ?なのかな
でも、よく見ると素材として折った牙も生えてるし、うーんよくわからない
何故分からないかと言うと、私はあの魔物を知らないからだ。
やはり、知らない魔物も多そうだね
体が腐ってるのか、ドロドロになっている
まだウルフなら耐えれるが、あれが人だったら直視できなそうだ。
ゾンビ化して再利用してるのか、そもそもゾンビの状態で発生してるのか、古代遺跡の仕組みは謎が多そうだ。
「アニエスちゃん、こんな所でも考えてるね」
「あっ、ごめん。リディアありがとね」
前は考えると言う事を殆どしなかった為、この体では直ぐに考えてしまう
「じゃあ、こっちに来る前に倒しちゃおうか、リディア、火の魔法で倒してみて、他の2人は近づく魔物を倒してね」
「う、うん!やってみるよ」
リディアはどっちの魔法使おうか迷ってる様だった。
「リディア、使う魔法決まらない?」
「うん、まだファイアアローは完全に無詠唱とはいかないから迷ってる」
「うーん、本当は魔法使いは直ぐに判断して行動しないとダメだから、どんどん戦って早いうちに慣れた方がいいかもね。今回は魔物と距離があるからファイアアローの方が詠唱ありでもいいかなって思うよ」
「やっぱりそうだよね、アニエスちゃん、ありがとう!」
「アニエス嬢は良い所を突くな、冒険者も判断を直ぐ行わないと危険があるからな、こればかりは早めに判断力をつけた方がいいぞ」
「冒険者もそうなんだね」
よしっと気合を入れてリディアはアンデット化したウルフを視界に捕らえる。
アンデットになった弊害で今まではよく効いていた鼻や目も効かなくなっている。
その代わりに生者に向かって襲いかかるのと完全に倒さないと起き上がり襲い続けるので危険な魔物だ。
「ファイアアロー!」
リディアはしっかり狙ってアンデットウルフを火の矢で射抜いた。
矢が刺さると同時に火がつき燃え始めたが、それでも止まらずこちらへ向かって走ってくる。
「あっ!あっ!ああ!!こっち来る!た、助けて!」
リディアが壊れ始めてきた。
「リディア嬢、落ち着きな、俺が居るから安心していいぞ。元々魔法使いをカバーするのも俺の役目だからな」
「リディア様、そこの駄目剣聖のいう通りですね。私は皆様を守る為に付いて来てるのです。ご安心下さい。」
やっぱりシャーリーのそう言った所が、私は好きだなと思った。
そう言ってる間に近寄るアンデットウルフをローランが真っ二つに斬り伏せる。
「うわぁ…絵面が酷いことになってる」
リディアの前方で真っ二つになったアンデットウルフが絶命してるのにまだピクピク動いてるのが何とも言えない感じになっていた。
生命の力を感じるね
体半分でも動いてる様は、恐怖としか思えないけど…
「あっ、あっ、あっ…私もう駄目…」
リディアがそのまま座り込んで、やだやだ怖い怖い!と言い始めてしまった。
半分になってピクピク動いてるの見ると、そうなるよね…
「遠くだとあまり気にならなかったけど、もう直視できない光景だね。確実に言えることはリディア、絶対に座らない方がいいよ」
「そうだな、何が染み付いてるか分からん地面だからな」
ローランもそう言うと、直後にリディアは立ち上がった。
「ね!ね!ね!何も付いてないよね!」
うん、付いてないよ、と言ってリディアを宥めるのだった。
何というか目の前の残骸が、ドロドロのぐちょぐちょで、慣れてきた臭いより強く気持ち悪くなりそうだ
「リディア嬢、なんとかソレ火で燃やせるか?」
「うう、頑張る…」
そう言って、ファイアボルトが直撃して燃え尽きた。
アンデットは完全にバラバラにしてしまうか、燃やし尽くすかが一般的だ。
光属性が浸透してれば、光魔法で攻撃すると動かなくなるけど、今の世界では仕方がないね。
「燃えた灰を集めたら進もうか」
「灰なんて使えるのか?冒険者も集めたりしないもんだが、アニエス様が集めると言うと、使い道あるんだよな」
「うん、普通には使えないけど、錬金術や呪術に使えるね。後は魔法道具を製作する時に使ったりもするよ」
「そんなにも使い道あるのか、とは言ってもアニエス嬢しか活用できなそうだな」
「王都の技術レベル次第かな、魔法道具の普及見ると錬金術はある程度進んでそうだけどね」
そんな事を言ってると前方から急にアンデットウルフが複数出てきた。
少し慌ててしまいそのまま滑り石を弾いた。
アンデット化した体は簡単に石を通す為、散弾状の石が全てのアンデットウルフを貫き倒した。
「私がやっておいてだけど、ごめんね…」
通路が直視できないような状態になり、とりあえず謝る事にしたのだ。
「アニエス嬢、暫くその石を飛ばすやつ禁止な」
「お嬢様は後方から見守っていただければ大丈夫です」
「ううう…」
全て燃やし灰にした後、大人しく後方を歩く事にした。
確かにやりすぎだとは思ったよ
拡散した後リディアが震えてたから、コレまずいなと思ったけど、この古代遺跡が極端すぎるのが悪いんだよ
そんな事を心で思いつつ、足を進めた。
マップがあるので迷わないけど、普通に進もうとしたら間違いなく迷い、1階層進むのに下手すると1日はかかると思う、それぐらいアンデットの巣窟は迷宮と化している
「さっきから同じ様な光景ばかりだが、進んでるんだよな」
「マップあるから大丈夫だよ。同じ場所を見せ続けて精神的に追い詰めたりする構造だと思うね」
私はマップを見ながらそう言った。
そんな迷路を進みながらもアンデットを撃退していた。
「なんか出る魔物が変わって来たな」
「う、うん。さっきまでは腐ってる獣が多かったけど、今出たのってスケルトンだよね」
「ああ、アレはかなり厄介だ。頭の骨を砕かないと、一部壊したぐらいでは復活してくるからな。しかし、通常だとゾンビが出たりするんだがな…」
ローランが最後に呟いた言葉に、ビクッとしてしまった。
実際ゾンビとなった死体が朽ちて、骨に魂が定着したのがスケルトンらしいけど、ゾンビ…所謂、腐ってる人を見るのは、ちょっと嫌だ。
「ゾ、ゾンビは出たら私が魔法で視界に入る前にた、倒すからね」
「視界に入る前ってどうやるんだ」
「階層全域に魔法を使うとか?」
「やめてくれ、絶対俺達にも影響あるだろ、それ」
「ゾンビ見たくない。きっと怖い」
自分の体を抱きしめる様にしてブルブル震える私だった。
「お嬢様が怯えてるのもいいですね」
「ちょ、今はシャーリー変なこと言ったよね」
「全力でお守り致しますと申しました」
スッといつもの顔で一語も聞こえなかった言葉を言い出すシャーリー。
私はもういいや、なるようになれ!と自暴自棄になるのだった。
そんな私をリディアは抱きしめてくれた。
「リディア、ありがとね。落ち着いたよ」
「アニエスちゃん、私も怖いから大丈夫だよ!」
もしもの時は2人で逃げようね、と言って先に進んだ。
私達を襲い続けるのは殆どスケルトンで、偶にアンデットウルフが混じる程度のスケルトン祭りになった。
「流石にスケルトンが襲ってくる頻度高くないか?」
そんな事をローランは言いつつも的確に頭を砕き倒していく
実際、最初に出会ってから既に30体は倒しているだろう
そうは言っても倒さないと進めないので、的確に倒すのだった。
スケルトンが大量発生した通路を抜けると広めの場所に出た。
「アニエス嬢、あれはゾンビじゃないから大丈夫だよな」
ローランがそう言いった先には、スケルトンの強化版がいた。
全体は何処にでもいる様な骨だが、白色ではなく闇の魔力を含んだ漆黒となり、剣も無骨だが、魔法武器のようで微かに光っている
「うーん、あれは、スケルトンマスター?骨に出合いすぎて、よく分からなくなってきたよ」
魔法耐性もあるので、そこそこ強めの魔物だ。
私が知ってるのは普通の大剣持ちだから、魔法武器を持ってると言う事は成長しているのだろう
「あのスケルトンは、かなり強そうですね」
「接近前に倒しちゃう?」
「俺の我儘なんだが、俺達3人で戦わせてほしい。アニエス嬢は手出しせず、見てほしい」
20階層の戦い後から、ローランは過保護になっている
シャーリーと結託してるのか、私が前に出ると止めてくるし
皆のレベルが上がることを考えて、私はローランの話を了承して
私は眼に魔力を流し、戦いを見る事にした。
「ありがとな」
そう一言言って、敵に向かう
近寄りつつローランは剣を抜き、解放した。
正面から斬りつけると、スケルトンの持つ大剣で受け止められる。
一瞬だが、大剣と剣が触れた瞬間に、魔力が流れるのが見えた。
「剣に気をつけろ、触れただけで魔力を吸い取られた」
ローランは後ろに飛び、シャーリーと入れ替わる合間の隙をリディアが魔法で攻撃する
リディアは巻き込まない様、気をつけながらファイアボルトを放つ
直撃した所に入れ替わる様シャーリーが一閃を放つと、反対側からローランも斬りつける
かなりダメージが入った様で、最後はリディアのファイアボルトが頭部に当たり砕けて、その場でバラバラになった。
「アニエス嬢、俺達も強いから、だからこそ頼ってほしい」
「ローラン…」
伝え方なんて色々あるのに、ローランの考えがわかった。
恐らく私が傷ついてほしくないのだろう
そんな事を思っていたら、リディアが喜びだした。
「私の魔法で最後倒せたよ!私強くなってる!」
リディアは強い敵に、トドメを刺した事が嬉しい様で喜んでいる
それをシャーリーと背伸びをした私が頭を撫でて、ほんわかな気持ちになるのだった。
「巡回ボスなのかな、この魔法武器初めてみるよ」
黒く禍々しい魔力が見える大剣
呪われてないと思い、軽く触った。
すると、体の魔力が剣に吸われたように流れる感覚を感じる
何だろうか、この無理矢理抜かれる感覚が、好きかもしれない
調べる為だから、と自身に言い訳をしてツンツンすると、触るたびに魔力が抜けた
これダメなやつだ、癖になる
体から魔力が抜ける感覚が魔法を使うのと違うので、新感覚なのだ。
「お嬢様、ツンツンするのおやめ下さい」
「と、とりあえず私が収納しておくね」
魔力吸収武器は色々できる事が多いので後程、研究しようと決意した。
それ以降も様々なスケルトンが現れて、倒しつつ骨を集めながら進んだ。
「スケルトンかウルフしかいない、ゾンビ系出ないから気持ち楽だし、死霊系もいないね」
前方からゆっくりと歩く、スケルトンが出てきた。
ゆっくり歩く姿は強者の姿を連想させる程、強そうに思える
通常のスケルトンは腕が人と同じで2つだが、前方のスケルトンは4つある
4つの腕を持つスケルトンはかなり限られる為、特定する事は難しくない
「前方のスケルトン強そうだな」
「あれは、多分、スケルトンリッターだと思う」
「また俺の知らない魔物だな、戦ってみるか」
「本来は他のスケルトンも出るけど、今はいないから戦うなら即倒した方が良いかもしれない」
ボスまで行かないが、徘徊モンスターの中では強力な分類だ。
1対1なら危険度は低いが、取り巻きの数が多く囲まれて攻撃される事もある
本体も4本の腕全てに剣を持つ為、連続で攻撃されると攻撃する隙も少なくなる
「ローラン、4本の腕から剣が振られるけど、大丈夫?」
「たぶん大丈夫だな、リディア嬢は隙あれば、魔法攻撃をしてくれ」
そう言って、ローランは走りながら剣を解放させ斬りつける。
片方の2つある剣でローランの早い振り下ろしが防がれた。
防いだ瞬間に、もう片方の剣が横に振られる
それを脚力で避けると、そのタイミングでリディアのファイアボルトが命中した。
後ろに下がった瞬間を狙って、ローランが踏み込み剣を突く
決定打にはならないが、かなりのダメージを与えてるようだ。
4本の腕が同時に動き、前方のローランを攻撃するが、紙一重で避けるとそのまま頭を砕き倒した。
「中々だったな」
「ローランやっぱり強いよね」
最初は魔力の温存なのかと思ったが、解放状態で前に使った剣技は何で使わないのだろうか
使う為に条件が必要なのか、それとも別の理由があるのか
単に簡単に倒せるから使わないだけなのか
私も超級魔法を使えるからと言って、全ての敵に使うわけではないし、そんな所なのかな
「マップ見る感じだと、あと少しで29階層に降りれるからね」
そう言って進む、私達はスケルトンに遭遇しても、ゾンビには遭遇しないまま29階層に降りる事ができた。
お読みいただき、ありがとうございます。
ブクマやいいね等、ありがとうございます。
最近増えていきとても嬉しく、励みになります。
何か気になる事や、こうした方が良いのでは、とかここはダメという所など、あればコメント頂ければ幸いです。
予想していたゾンビパラダイスではなく、スケルトンラッシュでした。
皆のレベル上げを考えなければ、シェイドの取り込みで終わるというイージーモードも可能です。
お恥ずかしい話ですが、表記揺れが多数あるのを確認してます。
読みづらいかと思いますが、徐々に編集致しますので、何卒よろしくお願いいたします。




