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前の世界で運営者に消されたNPC姉妹が新しい世界で生きて行く  作者: あいか
序章 この世界で妹と再会するまで
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22話 魔法訓練その3

いつもありがとうございます。


翌日、私はリディアに新しい魔法を教える事にした。

無詠唱でファイアボルトを発動できて、かつ命中率が高くなったので問題ないと判断したからだ。


「リディア、今日は新しい火の魔法をおぼえてもらうからね」


「新しい魔法?やったーで、どんな魔法なの?」


新しく魔法を教えてもらえるという事で、リディアは上機嫌ではしゃいでいる。


「ファイアボルトが使いやすくなった魔法で、ファイアアローだよ」


「ファイアアローって矢を出すの?ファイアボルトも矢出るよ?」


確かに矢という意味では一緒だが、魔法としては全く違うものだ。


「ファイアボルトは火の矢を出して飛ばして攻撃するよね、ファイアアローは弓矢と同じ事をする必要があるんだよ」


ファイアボルトは使うと火の矢そのものが表れて、狙った方へ飛んでいく。

この時の誘導は、発動前に指示する事になる。

その為、発動は早く敵に当てやすい。

魔力消費も少なく、扱いやすい点も下級魔法の所以となる。

マルチ魔法を覚えれば、一度に複数の展開をして攻撃もできるので多用面もある。


ファイアアローは全く違い、火の弓を出して弓を射る動作により、火の矢が飛んでいくのだ。

これの利点は、発動後に狙いをつける事ができる事と、ファイアボルトよりも距離が伸びる為、遠くまで狙えるし、魔力を込めれば込めるだけ威力も上がる。

使い方次第では、超高火力の火の矢を飛ばしたりもできる。

熟練者だと、一度に複数の矢を射る事や、地面に射る事で、火を辺りに広げる事もできる。

私はできるだけ簡単にリディアに伝えた。


「つまりは早い動作がファイアボルトで、狙いをつけて攻撃するのがファイアアローという事でいいのかな?」


「簡単にまとめるとそうだね。例えば昨日のゴーレムだと宝石が弱点なので、そこを遠くから狙ったりもできるよ」


「そうなると、しっかり覚えると強力な魔法をという事だね」


「練習はファイアボルトよりも必要だけどね」


弓矢を使う動作なので、唱えるだけではダメなのだ。


「私が使うから見ててね。詠唱はこうだよ、火の精霊よ、熱き弓をこの手に与え、灼熱の矢で敵を燃やせ、ファイアアロー!」


私がそう言うと、火の弓矢が現れて、射るように構えて矢を放つ。

すると鋭く早い火の矢が飛び、的に当たり燃やし尽くす。


「すごい…ファイアボルトとは全くの別物だね…ちなみに熱くないよね」


リディアは火で出来た弓という事で、熱くないか気になるようだ。


「魔法発動で出した物だから熱くないよ。でも、矢の先は熱いから注意してね」


念の為、注意しておく事にした。

この魔法のポイントは弓の形をしっかりとイメージできるか、と矢を射る時にどんな風に飛ぶかをイメージできるかの2点だ。

それを伝えてリディアに試してもらう。


「えっと、じゃあやってみるね」


そう言って深呼吸を行い集中する。


「火の精霊よ、熱き弓をこの手に与え、灼熱の矢で敵を燃やせ、ファイアアロー!」


しっかりと詠唱して弓を引こうとするが、一瞬弓が出て消えてしまう。


「あれ?出来そうだったのに失敗したよ」


ふむ、魔力が目視できないけど、おそらくの原因はわかる。


「リディア、弓がどんな物かおそらく理解しきれてないと思うけど、どうかな」


前に私が伝えたように詠唱ができても、しっかりイメージができないと発動は上手くいかない。

あくまでも詠唱はイメージをしやすくする為のキーワードにすぎないからだ。


「確かに弓自体はもちろん分かるけど、どんなふうになってるのかは、聞かれると思いつかないかも」


私はちょっと待ってて、と言って収納魔法の中を探す。

あった、これだ!

妖精の弓という武器を取り出した。


「ごめんね、こっちで慣れてもらった方が良かったかもね」


私はそう言いながら、リディアに妖精の弓を渡す。

この弓は魔力そのものを打ち出す弓だ。

サイズは使う人に合ってくれるので、子供から大人まで使える。

普通の弓との違いは矢ではなく、魔力を矢にして射るところだろうか。


これだけ聞くと強いように思えるのだが、威力がかなり低いゴブリン相手にも数で言うと10発は当てないと倒せないほどだ。

元々幼いエルフが弓矢に慣れる為の練習用として作られた、という物だからだ。


「わっ!大きさが変わった!凄いね!」


私よりもリディアは背が高いので、弓が大きくなったのだ。


「んとね、その弓は魔力を矢にするから魔法の訓練になるよ。使っていけばどんな風に弓は動作するか覚えれるはずだよ」


私はそう言って、使い方を教える。

とは言っても普通の弓とは違うので、弦に指をかけて弓を持ち上げて魔力を送り弓を引き離すと、魔力の矢が射られる仕組みだ。

本物の弓を使うなら他にも覚える事があるけど、今回はその目的ではないので慣れる為に覚えてもらう。


「えっと、こうかな、で、こう!」


リディアは私が教えた通りに動かした。

用意している的に射るように伝えて、どんな風に飛ぶかを覚えてもらう。


「わ!わ!うーん、狙った通りに飛ばしにくいね」


「簡単に扱えたら誰でも使えちゃうからね。訓練あるのみだよ!的にしっかり当てれる様になれば、射るイメージがしっかりつくと思うから続けてみてね」


そう言うと、リディアは返事をして頷いた。

がんばる、といって的に向かい集中している。

私はシャーリーの様子を見る事にした。

シャーリーには朝から別の事をやってもらっているのだ。


「シャーリー、どう?上手くいく?」


「お嬢様、なかなか難しいですね」


そう言って、鉄の剣に向かうシャーリー。

実際に戦う時は昨日と違い、武器を持っている事が多い。

ウォーターブレードを武器に付与させる事を訓練してもらっている。

ウォーターブレードとして扱うのは慣れてきたが、付与となるとすぐに消えてしまう様だ。


「うーん、これは何度もやっていくしか無いんだよね」


応用方法なので近道はなく、何度も訓練する必要がある。

それでも覚えてもらいたいのは、付与する事によって通常の剣に属性を与えれる点と、威力と剣を保護するので刃こぼれもし難いのだ。

前回のオークでシャーリーは、魔法剣を損傷している。

これが古代遺跡などになると、すぐ帰る事ができないので武器の状態を保つ事はかなり大切なのだ。


「剣に付与させると、直ぐに水になってしまうのですよね」


「これは魔力を一体に留める必要あるからね。コツとかあればいいだけど、こればかりは体で覚えるしか無いんだよね」


私はそう言って、訓練所の剣を持ちウォーターブレードを付与させる。

剣に水の膜ができて全体を覆う。

振ると独特の音が発生して、水の残撃となる。


「何度見ても流石としか言えません。しかし私に使いこなせれるか不安です」


「ウォーターブレードが使えるから間違いなく使えるよ。付与の魔法は通常よりも難しい分訓練が必要だけどね」


何度も繰り返し、どれぐらいの魔力を流し続けるか、を身体で覚えることが出来れば自由に使える。

各属性のブレード魔法を覚えたら、それらも付与できる様になるので確実に便利なのだ。


過去はあまり聞いてないけど、シャーリーは騎士団出なので繰り返し行う訓練も苦とならず続けている。

リディアはもうだめぇ、と言って座っていた。


私はゴソゴソと、収納していたお菓子を取り出す。


「リディア、お菓子食べて頭に糖分入れると多分頑張れるよ」


人それぞれなので多分と付け加える。

私はお菓子あれば頑張れるけど人によるからね。


「アニエスちゃん、ありがとう」


私からクッキーを受け取り、座って食べるリディア。

歳は上のはずなのに、小動物の様な動きで可愛く思える。

最近私は変なのかもしれない、前はこんな風には思う事無かったのに。


「クッキー、まだあるからゆっくり食べてね」


「ありふぁとう」


口に入れた状態で返事をしているので、発音が可笑しいがまあいいや。

私も座りクッキーを食べる事にした。

一歩ずつ確実に進んでいこう。

事を急ぐと、待ってるのは明確な死だからだ。

私はむしゃむしゃと食べながら、そう思うのだった。


3日経つと、シャーリーは付与させて暫く剣を振っても消えなくなり、リディアも妖精の弓を自由に扱う事ができる様になっていた。


「じゃあ、リディア、ファイアアローやってみて」


私がこういうと、深呼吸してリディアは答える。


「う、うん。火の精霊よ、熱き弓をこの手に与え、灼熱の矢で敵を燃やせ、ファイアアロー!」


前と違い、しっかりと魔法により火の弓が出ていた。


「そのまま、的に射って」


リディアの視線は的を見据え、魔法により発生している火の矢を放つ。

火の矢が的に当たると瞬時に燃やして消えた。


「リディア、おめでとう成功だね」


「や、やったー!アニエスちゃん、ありがとう!私新しい魔法使えたよ!」


喜び嬉しそうに飛び跳ねたりしていた。


「後は何度も繰り返して無詠唱でできたら、ファイアボルトとアローだけでも出来ることは変わるよ」


実際にアロー系の魔法は、魔法使いの大半が多様する程の便利な魔法だからだ。

少々難があるとすれば、ファイアアローは火力が高い所ぐらいだ。


リディアはよし!がんばる!と意気込み訓練を続けるのだった。

私はシャーリーの方に移動すると、剣に付与させたまま的を斬っていた。

特に問題はなく、付与は続いているので成功しているはずだ。


「シャーリーどう?扱いとか違和感ないかな」


「剣が付与前とは違い楽に的を斬れますね。これなら材質の良い剣ならば更なる強化が期待できます」


気に入っているみたいでよかった。

本当は身体強化の魔法を教えたかったけど、本人が魔法よりそのまま魔力を流すのが慣れてるようで、この応用になったのだ。

魔力が生まれつきある為、それを身体に作用させ強化する方法をこの世界の人達は行なっている。

私も結構使っているのだが、これが便利なのだ。


暫く2人の訓練を見た私は、手を叩き2人を集めた。


「さて、2人とも前と違い新たな力を手にしているからゴーレムリベンジだね」


私は意気込み手を上に上げるが、2人はあまり乗り気ではないようだ。


「アニエスちゃん、私強くなった感あまり感じないよ」


「新たな力試したい気もありますが、どこまで通用するのか不安ですね」


ふむ、前回負けた事で慎重になっているようだ。


「倒せないならいいけど、古代遺跡は付いて来れないからね」


寂しいが調査と素材採取は必ず必要なので、その分は他の人を連れて行くしかない。


「お嬢様、やって下さい!私は倒してみせます」


「わ、私も戦うよ!」


「無理にやらせたくないけど、本当に大丈夫?」


私がそう言うと、二人は大丈夫と言った。

実際二人の実力だと問題はないだろう、後は自信だけだ。

私はスクロールを投げて、前と同じようにゴーレムを出す。

ゴーレムが出たと同時に、シャーリーが走りながら剣にウォーターブレードを付与させる。


「リディア様、前回と同じように私が隙を作りますのでお願いします!」


「は、はい!頑張ります!」


短い期間で二人は結構良いコンビネーションをしていると思う。

今もシャーリーがリディアを狙わせないようにしてるし、リディアも隙を見て攻撃をしている。

二人は何か驚きながらも戦ってるようだった。


「この剣の付与…前と全然違い押し負ける事は無さそうですね!これなら!」


そう言ってシャーリーは力強く踏み込み、ゴーレムの腕を切断する。

やっぱりだ。

というのは、本など見ても載ってない事に気になっていたのだ。

それは剣技だけではなく、戦技全般がこの世界の人は無意識に発動させている。

今シャーリーが使ったのも剣技の強斬撃だと思う。

踏み込みから剣を振り下ろす時に一瞬光ったので、発動したのは間違いない。

私がいくら名前を言わずに使おうとしても、剣技等は発動できなかった。

体で覚えた新たな発動方法とでも言うのだろうか。

私が考えている間に戦況は変わっていた。


「トドメ!ファイアアロー!」


私はその声で我にかえり、目をやるとリディアのファイアアローがゴーレムの宝石に当たり砕けて倒れていった。


「お、おお!二人とも凄いね!」


どうやら腕を斬った後、片足を潰して倒れた所をファイアアローで仕留めたようだ。

二人とも確実に成長していた。


「や、やったー、アニエスちゃん!私上手くできたよ!」


「私も普通の剣とは思えない強度と斬れ味に驚きました」


「二人がずっと訓練したからだよ!確実に強くなってるからね」


二人が自信を取り戻せてよかった。

本当に嬉しく思えた。





お読みいただき、ありがとうございます。

ブクマやいいね、等ありがとうございます!


何か気になる事や、こうした方が良いのでは、とかここはダメという所など、あればコメント頂ければ幸いです。


ファイアアローは、一応中級魔法扱いです。

溜め時に魔力を送り、威力を変えることもできます。

妖精の弓は練習用の魔法武器です。

体に魔力を流せば瞬時に強化可能ですが、常に魔力を使います。

魔法なら発動時のみに使うので、両方に良いところがあります。


一旦特訓は終わりとなります。

今回省略も考えましたが、一応書く事にしました。

次回は仲間を探す予定です


お恥ずかしい話ですが、表記揺れが多数あるのを確認してます。

読みづらいかと思いますが、徐々に編集致しますので、何卒よろしくお願いいたします。

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