表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
前の世界で運営者に消されたNPC姉妹が新しい世界で生きて行く  作者: あいか
序章 この世界で妹と再会するまで
21/218

2人の戦い

いつもありがとうございます。


アニエスが森の奥に行った後のシャーリーとリディアの話です。

なので、視点も変わってます。


アニエスが森に入っていくのを見届けるシャーリー。

そして、アニエスがいない分も、頑張ろうと決意した。


「しかし、倒しても倒しても、どんどん出てきますね」


誰に聞かせるわけでもないが、シャーリーはそう呟いた。

その間も森からハイオークが襲ってくる。

手で持つ剣で一閃。

炎を含めた斬撃で燃え散るオークだった。

あれから、どれだけ経つか地面に横たわるハイオークの死体が増えていくだけだった。

次第に拠点の敵は少なくなり、シャーリーに注目が集まる。


「あんた、凄いな!」


「あんな簡単にハイオークを倒すなんて!」


兵士はシャーリーの事を知っているが、他の雇われ冒険者は知るはずもなく、メイドが戦う姿を見て声を漏らす。


「口を動かさずに、手を動かして下さい。左からハイオークに抜かれてます」


そうシャーリーは言いながら、ハイオークを斬り倒す。

そうしていると、魔法剣に付けた属性珠の魔力が切れたようで、纏った炎が消えてしまう。


「このタイミングで、魔力切れですか。支給品の珠は後2つ…温存しましょうか」


騎士団で支給されている属性珠は貴重な為、数は少ない。

先程はアニエスを安心させる為に使ったが、今後どうなるかわからない今、温存することにした。


拠点の防衛をしている兵士もかなり強く、領主ロビンが騎士団を辞める時に集まった猛者だ。

その為、騎士団で使われる戦術を使用する。

2人1組で盾役と攻撃役に分かれて、堅実に戦っていくやり方だ。

拠点内の掃討が終わったようで、シャーリーの元に兵士が集まる。


「お待たせしました。シャーリーさん、ここはお任せください」


「我々が一体も通さずに抑えますので、団長いえ、領主様の元に向かって下さい」


大楯を持つ男と、両手剣を軽々扱う兵士が、シャーリーにそう言った。


「敵の侵入を防ぎ、ここを守る事を頼みます」


いつもの口調ではないシャーリーが、2人へそう言った。

2人はお任せをと言いつつ、攻めてくるハイオークと交戦する。

この場を離れるシャーリーを見ながら、大楯持ちが呟いた。


「流石、戦鬼だな。腕が全く衰えてない。俺らも負けれねぇな!」


「お前ら!死ぬ気で防げ!拠点抜かれたら、街まで一直線だ!」


両手剣を持つ男が、大きな声でそう言うと他の兵士も剣を天に掲げて、大きな声が辺りに響く。

兵士の纏まりに圧倒された冒険者達も気持ちを引き締め、防衛を続けるのだった。


少々、シャーリーは焦っていた。

ロビンの強さを知ってるので安心はしているが、ここ最近、通常では考えれない魔物が多く出ているからだ。

そんな事を思っている時にシャーリーに声がかかる。


「シャーリーさん!ここに居たのですね。無事でよかった」


そう言いながら、リディアが走ってきた。

リディアはあの後、待機をしていたが、誰も来る気配がなく拠点内のハイオーク討伐を手伝っていたのだ。

魔法使いの役割で敵を他の人が押さえてる後ろから、攻撃をするを繰り返して手伝った。


その度に周りの者は、その歳でこんなに強いとはスゲェなとか、一緒に冒険者をやろうとか誘われたりもした。

本人はアニエスのおかげで、魔法をうまく扱えるようになったので、アニエスの為に危険だとしても、一緒に戦いたいと思っている。

その後も何度かハイオークと戦闘を繰り返して、シャーリーを発見したのだ。


シャーリーは、リディアを見て、怪我なく無事な事を安心した。

アニエスの友人には怪我などしてほしくなかったからだ。


「リディア様、ご無事で良かったです」


「アニエスちゃんは、どこですか?」


リディアは辺りを見てもアニエスがいない事に気が付きシャーリーに尋ねた。


「お嬢様は、先に向かいしました。私もここを任せたので、向かうつもりです」


シャーリーがそう言うと、リディアも私もいくと言うのだった。


「リディア様、私だと守りきれない事もあります。危険なので、こちらでお待ち下さい」


「私もアニエスちゃんの力になりたいです。待ってるだけじゃ嫌なんです」


リディアの言葉にシャーリーは何かを思い出したようで少し笑ってしまう。


「失礼しました。リディア様の事を笑ったのではなく、昔の自分の事を思い出してしまっただけです。わかりました、一緒に行きましょう」


「ありがとうございます!」


リディアは、シャーリーが言う昔の自分というのが気になったが、聞くのはやめた。

人には様々な秘密がある事を知っているからだ。

では急ぎましょう、とシャーリーが言ってリディアも頷き森の中へ走っていく。

森は大きな木々により薄暗くなっており、常に注意しないと不意打ちを受けてしまう危険な場所だ。

2人は気を付けつつ足を進める。

その時、危ない!とシャーリーが言ってリディアを押した。

先程、リディアがいた場所に矢が飛んできたのだ。


「危なかった…シャーリーさん、ありがとうございます」


「怪我がなくて良かったです。しかし、いつの間にやら、囲まれましたね」


先程まで気配もなかったはずが、弓を持つオークが辺りを囲んでいた。


「左右で分かれて倒したいのですが、任せても宜しいですか」


シャーリーがそうリディアに話した。

リディアは自分が信頼されてる事に、喜びを感じつつ承諾する。

2人はほぼ同時に地面を駆け、オークを倒す行動に移った。


リディアはオークと数回戦ったが、一体に魔法を2回は当てないと倒しきれなかった。

上手く体を動かして、狙いを付けさせないように木々で矢をかわす。

アニエスに教わった詠唱後に、魔法を溜めて放つ方法を木に隠れながら行う。

目の前で詠唱して攻撃するのでは、矢の的になるからだ。

得意のファイアボルトを使い、確実に1体ずつ倒していく。


3体ほど倒した時には、魔力をかなり使用して呼吸も荒くなっていた。

私にもっと力があれば、そう思いながら戦っていると死角から矢が飛んでくる。

ダメだ!と思った時、シャーリーが反対のオークを倒し終わり飛んでくる矢を斬り落とす。


「気を抜いてはいけません」


そう言いながら、オークに走り斬っていく。


「あ、ありがとうございます。シャーリーさんがいなかったら私は…」


矢で射抜かれかけた事で、リディアは恐怖を感じてしまった。

恐怖は人の行動や判断を鈍らせる。

一度感じた恐怖はなかなか払う事ができない。

足がすくみ魔法を打つ事ができず、シャーリーがオークを倒すのを待つだけだった。


「オークはこれで全員ですね。リディア様?」


シャーリーがそう言って振り向くと、リディアの異変に気がついた。

足を震わせて泣いていたのだ。


「シャーリーさん、私怖いです。もっと戦えると思ったけど、実際は全然弱くて、このままだと死ぬんじゃないかって思ったら、矢が刺さる瞬間が頭に浮かび、体が動かなくなり…」


そう言いながら言葉が続かなかった。


「リディア様…」


そうシャーリーは言うと、リディアを優しく抱きしめた。

リディアは抱きしめられた事で、少し安心して足の震えは止まった。


「リディア様、誰もが戦いでは怖さを感じます。しかし、それに飲まれたら、判断を鈍らせて死に繋がります。戦ってる最中は常に生き延びる事を考えないといけません。時には背を向けても、逃げてもいいのです」


優しくリディアにシャーリーは話す。

リディアは、それを聞き涙を流すが、恐怖からの物ではなく、シャーリーの優しさに対して流していた。


「シャーリーさん、ありがとうございます。私もう少し頑張ります」


「恐怖を知らないで戦う者は、早く死にます。怖さは判断を鈍らせますが、逆に強さにもなります。これからも怖さは忘れずに、でも負けないで下さい」


シャーリーは、リディアの事だけではなく、自らも含めてそう話した。

リディアは、今日感じた恐怖を忘れずに、成長する事を決意する。


「私のせいで、時間取っちゃいましたね。もう大丈夫です、先進みましょう」


「リディア様、貴方は十分にお強いですよ。間違いなくその歳の私よりも…」


シャーリーは、そう呟いたが、歩くリディアには聞こえてなかった。

2人は先を急ぎ、走っていると木々の隙間から天が光り、その後凄まじい音が聞こえるのを感じた。

天空から神が裁きを下すような稲光だった。

光を見て、音を聞く2人は、放心して足を止めていた。

天を見つつ、リディアから言葉が漏れる。


「あれは、アニエスちゃんの魔法だよね…」


「おそらくですが、規模が桁違いですね。それにあんな魔法、見たことありません」


2人は再度、アニエスの強さを痛感する。

とりあえず、見た事ない魔法や考えにくい現象は、全てアニエスが起こした事と認識するようになっていた。

短期間で見たアニエスの事が、それだけ異質だったのだ。


2人は我にかえると、魔法が発動したという事は、戦っているという事になるので、止めていた足を動かし走っていく。

アニエスの事は強いと2人は認識しているが、年相応の体の為、それが心配だった。


「リディア様、止まって下さい。何かいます」


「う、うん。私も鋭い何かを感じたよ」


そう言って2人は、背中を合わせ辺りを見回す。

何かいる、そう感じてはいるが、姿が見えない。

それは、精神を蝕んでいくのだ。

少しの異変も見逃さないように、ずっと神経を尖らせて辺りを見回した。

リディアは、何もない所から、魔力を感じた。


「そこにいます!火の精霊よ。熱き火で敵を燃やせ。ファイヤーボルト!」


そう言って先手を取る為、ファイアボルトを放つ。

何もないはずの所に、ファイアボルトはぶつかり隠れていた者が、姿を現した。


「何故!こんな所に!インビシブル•マーダーが!」


シャーリーは、冷静さをなくし焦りと動揺で声を大きく上げた。

リディアは、聞いた事がない名前でピンとこなかった。


「リディア様、あれはかなり危険な魔物です。姿を消して獲物を殺す事を楽しみ、同じ魔物ですら楽しむ為に殺す程、残忍な魔物です」


それを聞き、リディアはごくりと唾を飲む。

幸いにも先程、リディアの放ったファイアボルトがぶつかり、透明化が解除されている。

この好奇を逃すものかと、シャーリーは魔法剣を構え走る。

体勢が崩れている隙を見逃さず、剣が素早く振り下ろされた。

そのまま斬られる事はなく、魔物自身の武器となる爪で防ぎ、剣がぶつかる時のような音を出す。


「くっ、防がれたか!このまま、押し切る!」


一度行動を許せば、透明になって襲ってくる事は明白だ。

させない為に連続で剣で斬りつける。

かなり強い魔物で、ハイオークと比べ物にならないぐらいシャーリーの剣を受け流している。

リディアは、魔法詠唱しながら発動タイミングを見極めていた。


「シャーリーさん!左に避けて!ファイアボルト!」


リディアの言葉で、シャーリーは左に避けつつ斬ると言う行動をする。

魔物はシャーリーの斬撃を弾き対処するが、リディアの魔法は直撃した。

魔物は聞き取れない声を発しながら、後ろへよろめいた。

一瞬の隙を見逃さず、シャーリーの剣は魔物の首を刎ねる。

魔物はそのまま後ろに倒れて、動かなくなった。


「リディア様、助かりました。あのまま撃ち合っていたら体力の関係上、私は恐らく怪我もしくは死んでいたでしょう」


そう肩で息をしながら、シャーリーは話した。

それだけの強敵だったと言う事だ。

シャーリーは息を整えて、魔物の足を持ち引きずるように連れて行く。


「うわぁ、シャーリーさん、その魔物どうするのですか?」


直視できないような状態の為、リディアは目を伏せながら話した。

シャーリーが言うには、インビシブルマーダーの爪は武器に加工できるぐらい強くて、体内の魔石は上質な物が取れるらしい。


何より、通常では特定の場所を棲家にしてるこの魔物が現れた事を、調べないといけないそうだ。

なので調査の為に、運ぶ必要があるらしい。

首を刎ねられて、血は辺りを赤く染めていた。

首には興味がないらしく、貴族によっては家に飾る者はいるらしい。

見た目は、左右にツノを生やした人の様だった。

重さはそこまでない様で引きずり進む。


「もうすぐ森を抜けます」


そうシャーリーが言った時に再度、森の隙間から光が漏れていた。

2人は急ぎ走り抜ける。

森から出ると、広場のような所へ出た。

あたりに様々な方法で倒されたハイオークと冒険者、兵士がいる。

メイドの姿で、片手に首がない魔物を引きずり現れた事で注目を集めていた。


「おい、あんた何やってんだ」


1人の冒険者風の男にシャーリーは声をかけられる。

手に持つ魔物を離し、男に尋ねる。


「急用で参りました。この場の指揮官はどちらにいらっしゃいますか?」


「中央にいるが…その魔物はあんたが倒したのか?」


「その話は後で、先を急ぎますので、失礼致します。」


そう言ってシャーリーは足速に真ん中へと向かう。

その後をリディアが付いていく。

戦場だった地にメイドと子供が走る光景は中々珍しかった。

先へ行くのを止めようとする者がいたが、近くの兵士が肩に手を乗せそれを止め、話しかける。


「やめておけ、あれは戦鬼だぞ。俺らよりも強いから大丈夫だ」


「戦鬼って、あの敵を1人残らず皆殺しにして返り血で鎧を赤く染めているという、あの騎士団の戦鬼だよな…なんでそんな人がメイド服を…」


それを聞き他の者も後退り、声をかける事をやめるのだった。

殆どの者が知っている戦場を歩く、血塗れの戦鬼は差し止めをされたが、本に載った事もある程、有名だった。

騎士団の関係者はもちろん知ってるが、いつも騎士甲冑(フルプレート)を纏っているので、顔を知ってる人は少ないのだ。


シャーリーは、領主ロビンを見つけると走っていく。

それを後ろから頑張って追いつこうとするリディアだった。

近寄るシャーリーにロビンは気がついた。


「シャーリー、こちらに来たと言う事は、拠点は大丈夫なのだな」


「はい、敵をほぼ倒しましたので、問題ありません。お嬢様はどちらにいらっしゃいますか。先にこちらへ向かったはずなのですが…」


手に持つインビシブル•マーダーをロビンの前に置いた。

街の近くに居ていい魔物ではない為、ロビンも珍しさを感じ魔物を見る。


「珍しい魔物だな、こんな所に出るなんて…。被害が出る前の討伐感謝する」


「後で調査をと死体を確保したのですが…ではなく、お嬢様はどちらに、ご無事ですか!」


「ああ、アニエスはな…寝てるよ」


そうロビンが言って指をさす。

指の先は治療院の者が囲んでいる場所を示した。

アニエスの身の安全を気にしていたシャーリーはそれを見た瞬間に走っていく。

リディアも頭を下げてシャーリーの後を追っていく。


「シャーリーは、いつの間にか守りたい事ができたのだな。少々寂しい気分にもなるがな」


そう言うと、シャーリーが走る姿をロビンは優しく見続けていた。

治療をしてる者の側に来るとシャーリーは話しかけた。


「お疲れ様です。アニエスお嬢様は大丈夫ですか」


「はい、問題もなく、疲れからの睡眠かと思います。怪我も擦り傷と少し口を切ってるぐらいですので、すぐに治ります」


それを聞き安堵するシャーリーとリディアだった。

リディアはアニエスの隣に膝をつけて座り、アニエスを優しく抱きしめた。


「アニエスちゃん。無茶しないでっていつも言ってるのに、でも本当に無事でよかったよ」


そう言いながら涙を流していた。

幾度も戦闘を行ったのとアニエスが無事だった事で、緊張が緩み涙が出てきてしまう。


それをシャーリーは見届けるとロビンの元へ向かい、これからの話をするのだった。

死傷者の確認と手当て、魔物の魔石や武器、防具を回収と同時に辺りを探索。

得られる物はあるが、失う物もあるのだ。

幸いにも街に被害は出なかったが、それは命懸けで守った者がいるからだ。


様々、やる事がある為、アニエスが寝ている間はシャーリーもメイドではなく、テキパキと指示を出す事にした。

日が沈み、長い1日が終わっていくのだった。

お読みいただき、ありがとうございます。

よければブクマなど頂けると転がって喜びます。

評価、いいね、ありがとうございます!


シャーリーは元々、強キャラです。

魔物は細かい設定などあるのですが、機会があれば載せたいと思います。


何か気になる事や、こうした方が良いのでは、とかここはダメという所など、あればコメント頂ければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ