第9話 戦闘訓練 実践演習 其の弐
新キャラv( ̄Д ̄)v イエイ!
ゾンビの第二波が押し寄せる。
湧水がごとく出てくる。
僕は魔法が使える訳では無いから瞬殺っていうわけにいかない。
かすり傷一つですら危ないだろうと思われる。
斬るのに躊躇いが無いわけじゃない。けどやらない訳に行かない。
居合斬りも奴らが集まると厳しくなる。
ナイフの出番なし。銃を持つわけにいかない。そもそもその暇、隙が無い。
「ふぅー、すぅー」
「俊介、ゾーンじゃないだろうな」
「ゾーンですね」
「やめておけ、第3波がきたらひとたまりも無いぞ」
「僕の持続時間は長いので。安心してください。無理はしません」
「・・・連れては帰らんぞ」
「骨は拾ってくださいよー!」
ゾーンの感覚は昨日覚えた。
遅くなる時間は動体視力を上げる。
体が最盛期に近しい僕なら影響は少ない。
が、無理も出来る事は気を付けなければいけない。
「それでは、行ってきます」
そう言って単騎突入する。
桜葉さんから見ると人混みから首が何個も跳ね上がっていることだろう。
「お前・・・お疲れ」
「お疲れ様です」
「戻るぞ」
「はい」
キャァァアアアァアアアアアアアアアアアアア!!
「・・・・?!」
「どうした?」
「多分生存者います」
「ほんとか」
「女性の悲鳴が・・・・ここから西南西に一キロ以内でいます」
ダッ!
言い切らずに翔ける。
なぜこうも急ぐのかというと、今の悲鳴が聞き覚えのある声だったから。
(間に合ってくれッ!)
2分もせずにその音源には着いた。
路地の隙間の方にゾンビが群がってる。
僕は壁を蹴りながら奥の方に行く。
「イヤッ!来ないでッ!」
女性は怯え切っていて、ガタガタと震えている。
僕が来たことに気づいたゾンビたちが僕に攻撃を仕掛ける。
僕は、ナイフとベレッタを構え、僕より後ろにゾンビを行かせない。
異形のナイフは、エッジが3つあり、それによって刃が3つの曲線を描いている。
向きを読んで巧くナイフを添えれば、攻撃は逸れていく仕様だ。
パァァン!グシャァ・・・ズパァン!グギャァァアア・・・パパパァァン!
・・・・・・-------------
「大丈夫ですか?」
「うん・・・・って・・俊君?」
「・・・・ん?」
「俊君」の呼び方で気が付く。
聞き覚えがあるのも当然だ。
「瑠香、だよね?」
「やっぱりだ!俊君だ!!」
「ちょ・・・ちょっと!」
抱き着かれるとドギマギしてしまう。
詩桜瑠香、彼女の名前だ。
僕の幼馴染で、子供好きで甘いものが大好きな女の子だ。
どうしてここに?という言葉は呑み込み、
「とりあえず、コレ、羽織りな?」
「あっ、・・・ありがとう」
僕の迷彩服を羽織らせる。
正直目のやり場に困っていたのだ。
夏らしい白いワンピースだったと思われるそれはもうところどころ破け、危険な状態だった。
「どうしようか・・・」
ひとまず、これで過酷な戦闘訓練は幕を下ろす。