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45 首都星防衛艦隊VS星魔

まえがき



 首都星防衛"軍"司令官と首都星防衛"艦隊"司令官は別人です。

 今回は、防衛艦隊を直接指揮する、防衛艦隊司令官の視点となります。



 それと小説のタイトルですが、『大賢者の塔の3人兄弟 魔王の孫で、魔王よりヤバい大賢者の息子だけど、世界征服も世界破壊もしたくない。マジで。』から、『異世界転生したら魔神王だった 魔王よりヤバい魔神たちの王だけど、世界征服も世界破壊もしたくない。マジで。』へ変更しました。

(2019/10/19)

「こちら防衛艦隊司令、指揮権の譲渡を確認した」


 私は首都星防衛艦隊司令官。

 首都星防衛軍司令官より、首都星防衛艦隊の指揮権を譲り受けた。


 防衛軍司令官は、防衛艦隊のみならず、首都星の地上軍の指揮権も有する職である。

 だが、首都星において国家存亡レベルの危機が発生した場合、防衛艦隊より地上軍の指揮を優先することになる。


 実際、防衛軍司令官が指揮を執る場所は、母星グレーの地上にある司令所からなので、地上のことを優先するのも当然だろう。

 対して、私がいるのは防衛艦隊の旗艦となる。


 そんな私がいる防衛艦隊の旗艦からも、地上に出現した巨大な黒い影の姿が見て取れた。

 あの影が、そこにあった地上施設をすべて呑み込んでしまったという。

 巨大な闇が我々の母星を食らっているように見えて、何とも薄気味悪い姿だ。


 だが、私は首都星防衛艦隊司令官。戦うのは地上でなく宇宙空間だ。

 星魔と呼ばれる、星を食らう化け物が母星への針路をとっている以上、私は宇宙での戦いに集中しなければならなかった。



「全艦隊、星魔迎撃ポイントへ到達」


 オペレーターからの報告がもたらされ、艦隊の移動が完了した。


 このまま戦端を開きたいが、その前に一つだけ確認しておくべきことがあった。


「味方戦艦部隊の惑星破砕砲再使用までの時間は?」

「どれだけ急いでも2時間はかかります。発射直後であるため、砲のクールダウンが必要になり、通常時より再使用に時間がかかります。またエネルギー再充填の間は、戦艦の主砲が使用不能。さらにシールドも通常時に比べて、弱体化してしまいます」


 ろくな状況でない。

 惑星破砕砲さえあれば、星魔ごとき一撃で屠れるだろうに、先の触手生命体との戦闘によって、それもままならない。

 だが、惑星破砕砲を用いなければ、触手生命体が母星へたどり着いていただろう。

 あの時の防衛軍司令官の指示は、決して間違っていたわけでない。



「全艦、味方戦艦部隊の惑星破砕砲発射までの時間を稼ぐことに全力を注げ。戦艦部隊は艦隊最後尾にて待機。宇宙生物である星魔に関しては、過去に接触例があるものの、生態や戦闘能力に関しては、ほぼ未知数である。だが、惑星を食らうような化け物相手では、通常兵器で片を付けることはできまい。なんとしても、惑星破砕砲発射までの時間を稼げ。これは、我らの母星を守る戦いである」


 私は味方に指示を出し、そして鼓舞する。


 星魔がこのまま直進を続ければ、惑星破砕砲が使用できる頃には、母星と近づきすぎている。

 少しでも戦闘で注意を引き、星魔の足を鈍らせておく必要があった。



「では、全艦攻撃を開始」


 戦端を開き、我々は母星防衛戦の第2幕を開始した。


 私の指揮する防衛艦隊から、レーザー砲が放たれ、次々に光子魚雷が発射される。

 まるで宇宙に新たな星が生まれたかのような光が発生し、宇宙の闇と同化した星魔へ向かっていく。


「星魔の周囲に黒い闇が発生」

「報告は正確にせよ」


 オペレーターが要領を得ない報告をしてくる。


「未知の現象のため、正確な報告は不可能です。星魔周辺に発生した闇が、急激に範囲を拡大。約10万キロに渡る領域に展開されました」

「闇の展開に合わせて、レーダーにジャミングが発生。闇の中にいる星魔本体の位置を、把握できなくなりました」


 ムウッ。

 敵は対レーダー戦闘が可能という事か。

 レーダーを妨害してくるということは、こちらの目を潰しに来たと言っていい。

 先ほどの触手生命体より、星魔の方が手強いと考えていい。


「レーザー兵器、星魔の展開した闇によって、拡散しています。無力化されました」

「光子魚雷が星魔本体到達前に、自爆しました。推測ですが、闇の効果によって、光子魚雷の信管を誤作動させられた可能性が高いです」


「な、なんだと」


 惑星破砕砲の再使用まで時間を稼がなければならないが、こちらの攻撃がまるで通じない。

 レーダーだけでなく、こちらの攻撃まで無力化するとはとんでもない相手だ。


 レーザー兵器はまだしも、火力に優れた光子魚雷まで無力化されては、こちらとしては戦いようがない。



「闇の外周部に変化。闇を形作っている物質が集まり、複数個所において質量が急激に増加しています」

「……質量兵器による攻撃と考えられる。全艦迎撃態勢」


 直後、闇の一部が質量兵器となって、我らの艦隊へ向かって飛んできた。


 過去においても、現代においても、巨大な質量とはそれだけで凶悪な武器になる。

 質量とは、単純に言えば重いということ。重いということは、それだけで相手を踏み潰せる武器になる。


「星魔よりの質量兵器、尖った形状にて艦隊へ襲来!」

「各艦、迎撃を開始……迎撃率40%……60%……80%……撃ち漏らしが飛来します」

「損害多数……大多数は艦の装甲を削る程度で済んでいますが、大破以上の艦艇も存在します」


 単なる質量兵器でなく、形を変化させることで、銃弾や砲弾のようにして飛ばしてきた。

 ただし大きさが銃弾や砲弾サイズでなく、こちらの軍艦に匹敵する大きさだ。


 軍艦の装甲は戦いを前提にしているため、強固であるのは当然だが、それでも巨大なものをぶつけられれば、ただでは済まない。



 しかしマズイ。

 こちらの武器はレーザーと光子魚雷がメインで、この二つの兵器が星魔に無力化されている。

 ならば、質量兵器で対抗するという手が浮かぶが、防衛艦隊に質量兵器は配備されていない。

 我々にとって、質量兵器は既に時代遅れの兵器扱いで、今更必要ないと考えられていたためだ。


「クッ、星魔に対抗すためには、こちらも質量兵器が必要だったか……あまりにも武器の相性が悪すぎる」


 どうやって戦えばいいのか、私は頭の中で算段をつけるが、いい方法が思いつかない。


 そうしている間に、さらに星魔が行動する。


「星魔周辺の闇が、再度質量を増しています」

「再度迎撃。星魔本体への攻撃が通じぬ以上、迎撃に徹せよ。最悪、戦艦部隊のみを守り切ればいい」


 こちらの攻撃が通じない以上、残された手は惑星破砕砲による攻撃しかない。

 だから、防御に徹するしかない。


「敵、質量兵器発射!」

「……緊急報告、質量兵器の投射先が、我が艦隊でなく惑星グレーになっています」

「い、いかん。奴め、我らの母星を優先して攻撃してきたか!」


 艦隊の防御に気を取られ過ぎた。


 星魔は、我々が母星を守らなければならないと分かっているうえで、艦隊でなく、母星へと攻撃の矛先を向けてきた。


「敵の質量兵器を打ち落とせ!なんとしても、母星への攻撃は防がねばならん!」


 悪辣な敵だ。

 こちらの弱点を理解した上で、攻撃を仕掛けてくる。


 質量兵器の迎撃に、艦隊からレーザーが次々に放たれるが、迎撃を漏れた一部が、母星の大地へ降り注いでいく。


「惑星地上部にて被害発生。被害規模は……」


 オペレーターからの報告が届くが、それに構ってばかりいられない。


「仕方がない。艦隊を母星と星魔の間に展開させよ。敵弾の迎撃効率を少しでも上げろ」


 母星には、数多くの民間人がいる。

 軍人としては、民間人を守る盾になる必要があった。


 しかし艦隊の前面に星魔という強大な敵を抱えたまま、背後に母星を持つことになる。


 戦術的な行動範囲が狭められてしまい、我々としては不利な要素がさらに増えてしまう。



「惑星破砕砲、再発射予定時間まで60」


 そこで、オペレーターの1人が注意喚起してきた。


 我々は劣勢な状態で戦わされている。

 だが、こちらも惑星破砕砲さえ使えれば、星魔ごときに遅れを取はしない。

 今は、敵の攻撃の迎撃に全力を挙げるしかないだろう。


 そう思い、私は歯噛みしつつも、反撃の時を待とうとした。



 だが、敵は私の考えなどお構いなしに暴れまわる。



「し、司令官、惑星地上部分より高エネルギー反応。雷撃です、強力な電気エネルギー兵器が、我が艦隊の背後から発射されました!」

「しまった、宇宙にばかり気を取られていたが、地上にいる敵のことを忘れていた!」


 敵は、眼前にいる星魔だけでなく、惑星上に現れた不気味な影も存在した。


 艦隊の背後にあるのは、我らが守るべき母星だと思っていたのが間違いだった。

 その地上には、現在敵の1体が存在しているのだ。


「艦隊背後からの攻撃により、味方戦艦部隊の被害甚大!」

「シールド性能が低下した状態であるため、敵の攻撃に対する耐性が著しく低下しています」


 こちらの切り札である惑星破砕砲を搭載した戦艦部隊が、次々に落とされていく。


 クッ、私はヒドイ判断ミスを犯してしまった。

 なんという無能だ。


 だが、無能であろうとも、ここですべてを投げ出すわけにはいかない。


「艦隊の陣形を変更。敵からの挟撃を避けるために、こちらの艦隊を2つに分け、星魔の左右に展開させる」


 艦隊を2つに分けた際、星魔と本星の間を遮る部隊がいなくなってしまう。

 敵に対して、本星が無防備な状態になるだろう。

 結果星魔の放つ攻撃が、次々に母星へ降り注ぐことになってしまう。


「それでは本星と星魔の間を遮るがことができなくなります!星魔からの質量兵器の迎撃効率が悪化し……」

「そんなことは分かっている。だが、我々の切り札である戦艦が全滅すれば、星魔に対する反撃手段を失ってしまう。奴に、母星を食われるわけにはいかん。ここは、戦艦部隊の壊滅回避のために行動する」


 部下が反論してきたが、無能な私には、本星を危機にさらしても、反撃のための手段を失わせるわけにはいかなかった。


「りょ、了解しました。司令官の判断に従います」

「ああ、そうしてくれ」


 私とて、本星を無防備な状態になどしたくない。

 しかし、私に取れる手は、これしかないのだ。


 なんとしても戦艦部隊を守り、惑星破砕砲の発射時間を稼がなければならない。




 しかし、そこで状況は再び急変することになる。


「……司令官、星魔と地上の影との間で、攻撃の応酬が繰り返されてします」

「なに?」


 艦隊を2つに分け、星魔の左右に展開したが、なぜか宇宙の敵と地上の敵の間で、攻撃の応酬が始まった。


 星魔は質量兵器を地上にいる影に投射していき、対して地上の影は宇宙にいる星魔に、強力な雷撃を放って攻撃する。


 星魔の質量攻撃が命中するたびに、地上の影に赤い亀裂が入り、ひび割れる。

 対して地上の影が放つ雷撃も、星魔が発生させている闇を吹き飛ばし、星魔本体にまで攻撃が届いていた。


 星魔の体の表面がわずかに削られ、球体に歪みができる。


「奴らは、味方同士ではなかったのか?」


 攻撃のタイミングから見て、触手生命体と星魔、地上の影は、3者とも味方同士であったはずだ。


 だが、そんな連中が同士討ちを初めて、互いに被害を増加させている。


「このバカ野郎!なんで俺の体を攻撃しやがった!」

「うるせぇ、お前がでかい体を晒して地上にいるのが悪い!」

「なんだと、やるってのか!」

「とっくにやり合ってるだろうがー!」


 唐突に、私の頭の中で罵声浴びせ合わせる声が聞こえた。


 今回の一連の戦いが発生する前に、触手生命体がテレパシーを使って我々に話しかけてきたが、その時と全く同じ事態だった。


 ただし、連中が話しかけているのは、我々ではないようだ。



「……よく分からんが、味方同士で同士討ちをしてくれるならありがたい。今のうちに有利な位置に艦隊を移動させる。星魔が発生させていたジャミングも吹き飛ばされたようだし、惑星破砕砲にて敵星魔を確実に殲滅する」

「ハッ、了解しました」


 幸いなことに、敵が同士討ちをしてくれたことで、時間も稼ぐことができた。


 残された戦艦の数は少ないが、複数の惑星破砕砲を効率よく叩き込めば、星魔を屠ることができよう。


「艦隊移動完了。惑星破砕砲、発射準備整いました」

 そうして敵が互いの足を引っ張り合っている間に、こちらの準備が完了した。


「よろしい。惑星破砕砲、敵星魔に照準。私の合図とともに、一斉射にて敵を仕留める」

「……各艦より照準完了の報告を受けました」

「撃て」


 私は戦艦部隊に対して、惑星破砕砲の発射命令を下した。


 開戦前から比べれば、戦艦の数は片手で数えられるほどに減ってしまったが、それでも星を破壊する威力を持った兵器だ。

 この攻撃を前にすれば、いかに星魔とて耐えられはすまい。


 私は必勝を確信した。

 いや、私だけでなく、この戦いに参加している防衛艦隊の誰もが、同じ考えを共有しただろう。



「敵星魔の周囲に巨大な重力反応を検知」

「最後の悪あがきか?」

「いえ、この反応はあまりにも強力過ぎます。我々の想定を超えた、重力変動が発生しています」


 どういうことだ?

 そう思っている私の前には、敵星魔へと直進していく惑星破砕砲の光があった。

 それも複数の方向から、星魔へと発射されている。


 だが、その光が突如曲がったかと思うと、全ての惑星破砕砲が、星魔のいる位置とは全く違う方向へ飛んで行った。


「わ、惑星破砕砲命中しませんでした」

「星魔周辺部に強力な重力空間が形成されたことで、惑星破砕砲の軌道を歪められてしまいました」

「惑星破砕砲、再発射まで2時間は必要です……連続使用により、戦艦2隻の惑星破砕砲が使用不能になりました!」


 し、信じられん。

 我々が持つ最強の切り札が、あっさり無力化されてしまった。


「敵星魔より、さらなる重力反応を検知……我々の艦隊へ向けて、重力波が発射されました。質量兵器ではありません。強力な重力兵器です!」

「迎撃は?」

「不可能です。我々の技術レベルでは、重力兵器を無力化する方法がありません」

「なんと……」


 次の瞬間、星魔の放つ重力波によって、艦隊の多くが重力の力に捕らわれ、軍艦が潰されていく。


 まるで我々の母星で使用されている飛行自動車を、スクラップ工場で鉄くずの塊に変えるように、宇宙で戦う軍艦が、ただの鉄くずへと変えられていく。

 中には、軍艦の持つ膨大なエネルギーが暴発し、爆発して光となって吹き飛ぶ艦もある。



「一体、どうすれば勝てるというのだ」

 最初に星魔が放った質量兵器は、こちらの実力を試す程度の、加減した攻撃でしかなかったのだ。

 いや、実力を試すどころか、単に遊ばれていただけかもしれない。


 しかし、こちらが惑星破砕砲を使ったことで、星魔も遊ぶのをやめた。


 我々では太刀打ちできない重力兵器を用いることで、本気でこちらを潰しにかかってきた。


「……敵が重力兵器を使う以上、我々に残された手段は一つしかない」

「司令官?」


 そう、持ちうる手の中で、たった一つだけ、惑星破砕砲を上回る兵器がある。

 だが、その兵器を用いるとなれば、母星との距離が問題になる。

 今のこの場所でこの兵器を用いれば、確実に母星に対して甚大な影響をもたらすことになる。

 禁じ手としかなりえない兵器だ。


「まさか、使用されるつもりですか?」


 そして、たった一つしかない禁じ手に、オペレーターの考えも行き着いたらしい。



「あの化け物を野放しにしておけば、いずれ母星だけでなく、我らが築き上げた10の植民惑星にまで襲い掛かる可能性がある」

「し、しかし、この場であの兵器を使えば、母星に対する被害は甚大……計算によれば、重力の変動によって母星が公転軌道を離れ、死の星と化す可能性が大です」

「……」



 我々の母星が死の星となることを覚悟して、あの兵器を使用するべきか。

 それとも、まだ何かしらの手がないかと、知恵を絞るべきなのか。


 だが、時間は待ってくれない。


「艦隊の損耗率が、7割を突破。既に集団としての秩序を維持できません」

「味方艦隊、命令を無視して戦場より離脱を開始しています」

「既に組織的な抵抗限界です。我が艦隊は、事実上の壊滅です」


 オペレーターたちが、防衛艦隊の惨状を伝える。


 さらに、星魔の放つ重力攻撃によって、私が乗る旗艦に不気味な振動が襲い掛かった。

 命中はしなかったが、旗艦が落とされるのも、時間の問題だろう。



「既に政府主席より使用許可が出ている。旗艦に搭載されている重力弾の照準を、敵星魔へセット。発射準備を急がせろ」


 重力で攻撃してくる星魔に対して、我々が持ちうる禁じ手の兵器は、同じく重力を用いた兵器。


 これは対惑星兵器である惑星破砕砲よりもさらに強力だが、同時に広範囲に影響をもたらすことになる。

 使用すれば、戦場の近くにある母星が、死の星となってしまうだろう。


 だが、あの化け物をこのまま生かしておくわけにはいかない。

 このまま、何も手を打たなければ母星は食われるだけ。

 そして今からでは、母星の住民が逃げる時間すらない。


「許してくれ」

 母星で生きている同胞のことを思いながら、私の口からはそんな言葉が出てきた。


「司令官、重力弾の装填、及び照準が完了しました。本当に、発射するのですか?」

「あの化け物を殺すには、これ以外の方法がない」

「……」

「命令だ、重力弾発射」


 私の命令の後、不気味な振動が司令室に響いた。

 重力弾が発射された振動で、司令室だけでなく、旗艦全体に振動が走ったのだ。


 そうして発射された重力弾が、敵星魔へ向けて直進していった。

 重力弾が星魔に命中する時、星魔の命は確実に失われるだろう。


 そしてその余波で、我らの母星にも強力な重力の影響が及び、公転軌道を外れてしまう。

 太陽からの位置が大きく変わり、我々の母星は凍てつく凍土になるにしろ、灼熱の大地になるにしろ、生命が存在するためには不適格な星となるだろう。


 200憶を超える、同胞を巻き込んで。


「こんなことなら、軍人になどなるのではなかった」



 次の瞬間、重力弾が星魔の付近で爆発した。


 強大な重力が、星魔の球形の体を押しつぶして破壊する。

 そして強大な重力の余波が発生し、それが戦場の周囲へ襲い掛かる。


 その力が我らの母星にも襲い掛かり、母星を公転軌道から押し出す力を与えてしまう。


 もっとも、その姿を最後まで私が見ることはない。


 なぜなら重力弾によって発生する余波は、私の乗っている旗艦にまで襲い掛かるのだ。

 惑星の軌道を変えるほどの力だ。


 旗艦とはいえ、たかだか全長1キロ程度の大きさの宇宙船など、強大な重力の前では、抗うこともできず、簡単にペチャンコにされてしまう。


 星魔と同じで、私の乗る旗艦も重力によって潰され、そこで私の人生も終わった。

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