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24 詰め込みすぎ?

「間に合って良かった〜!?」


 便座に座って、心からの叫びを上げてしまう。

 そして密かに頑張った自分を褒めてあげたい。


 何とかトイレと小屋を1つにまとめ、次は住居にくっつけようとした時、とうとう恐れていた事態になった。


 しかしここで焦ってはいけない。

 心穏やかに想像具現化を行わなければ、取り返しがつかなくなってしまう。


 私は頑張った。

 出来るだけ冷静に、住居用の小屋にトイレが付いている事をイメージしたのだ。

 この時、虹色魔石小を使って、トイレ内の自動洗浄機能まで付与した私。

 もう少しでちびりそうなくらい緊迫していたが、何とかやりきった。



「本当にギリギリの状態だった……」


 ホッと一息付いて、気がついた。


「紙が……無い……」


 慌てていて、忘れてしまった。

 しばし考え、持ち歩いていたアイテム鞄から枝を取り出し、ペーパーホルダーごと想像具現化。

 トイレットペーパーをコロコロ出しながら、心から安堵した。

 ホント素晴らしいスキルである。



 スッキリして部屋に戻ると、室内を見回してみた。

 古びてささくれも目立つ床板。

 硝子も無く締め切ると真っ暗になる窓。

 壁は隙間が所々あり、波打って見える。

 それに比べて、新しく出来たトイレのドアが他と違いすぎて異質に見えるのだ。


「ねえ、八重子さん。まだレベルが上ってないから家を大きくする事は出来ないんだけどね、家の見た目をもう少し良くしたいんだよ」


『暮らしやすくなるなら良いんじゃないかい?』


 八重子さんはあんまり興味が無い様子。

 だが、私には大問題である。

 だってそうでしょう?  

 部屋がこんな廃墟同然なんだよ?

 朝起きたときのテンションが変わるってもんだよね。


 そうと決まれば、レッツ・リホーム!!


 まずは窓をなんとかしないといけない。

 でも硝子ねぇ……。

 なんかのテレビ番組で、砂を使って硝子を作っているのを見たことが有ったな。

 ……砂と土って似たようなものじゃない?

 想像具現化なら出来ちゃうかも。


 そう思い至ったら試してみるべきだ。

 外に出て囲いの近くまで行き、土に手を当ててみる。

 思い浮かべるのは、窓ガラスになりそうな透明な硝子なんだけど、とりあえずは塊にしておこう。


「想像具現化」


 虹色の発光が起こって、手元に現れたのは半透明な硝子の塊。

 手を置いて想像具現化した場所がごっそり削れてしまったが、これで何とかなるよ。

 今後も考えて、余分に創っておこう。

 結構重たかったので、アイテム鞄に入れて小屋に戻った。


 外側も変えたいよね。

 ということは、中と外の両方を考えないとダメだ。

 どうせなら水道も中に入れて、キッチンを作った方がいいな。

 腕を組んでウンウン唸っていたら、八重子さんが声をかけてきた。


『うんうん唸って煩いね。そこまで大掛かりで想像具現化出来るのかい?』


「出来ると思うよ? 大きさを変えなければ、今ある素材で何とか足りる感じがするんだ」


『そうかい。それじゃあ、家の中にも結界を張るといいよ。許可無く入れないようにね』


 八重子さんの助言に従い中魔石を創ると、まずは窓を直す事にした。

 一般的なスライド式の腰高窓にしよう。

 窓板と硝子の塊に手を当て、さっさと想像具現化。

 木枠の割に開閉が軽く、硝子も厚みがあるが透明度の高いものになった。

 思いの外いいものが出来たね。

 でも、コレはカーテンを作った方が良さそうだ。


 続いて壁に手を当て、魔石を持つ。

 出来るなら真っ白なサイディングで、赤い屋根の家がいいんだけど、ちょっと無理っぽい。

 さすがにサイディングは無理なのかな?

 それじゃあ、ログハウス風ならどうだ?

 物質量は気にしない。

 出来るか出来ないかだけ。

 残念だ、駄目っぽい。

 しょうが無いから木目のきれいな厚めの板張りで行きましょう。

 結界付きでお願いします。

 外の水道も中に収納して、流し台もよろしく。

 何とかお願いする気持ちで想像具現化。


 結果、虹色に発光したので成功したようだが。


「さすがに疲れちゃった……」


 思わず呟いてしまう私だった。

お読み頂き有難うございます。ブックマーク・評価の方よろしくお願いします。



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