22 隠し事は出来ないよね?
八重子さんのご忠告をしっかり受け止めた後、ふとリンゴの木の向こう側を見ると。
「!?」
ここまで来たら、もう言葉も出ない私。
昨日植えた野菜畑。
分かるでしょ?
ええ、ええ、そうです。
しっかり育って、実を付けていますよ? トマトもとうもろこしも。
枝豆も食べ頃な感じだから、ジャガイモも間違いなく土の中で大きくなっているだろうね。
何が凄いかって、トマトだよ。
普通、倒れないように支えが必要じゃなかった?
八重子さんが作ってた家庭菜園のトマトは、棒を土にさし、ツルを紐で結んで支えていた気がするよ。
けどこのトマト、自分でツル同士を巻き付けあって、一本の木のように自立してます。
異世界のトマトって凄いんだね〜(遠い目)。
そして、お決まりなの? 実は二倍くらいの大きさだよ。
昨日は四葉だったんだけどね……。
「八重子さん、どうしよう。こんなに食べきれないよ?」
『アンタのアイテム鞄に入れておけばいいだろう?』
「え? 時間停止じゃなくて、時間極遅だから傷んじゃうよ?」
『その時間極遅だけどね、1日で1分しか進まないようになってるね』
「え、どうして……」
『どうしてバレたかって?』
「……」
『私はアンタのナビゲーションシステムなんだよ? 神眼だってアンタを通して使えるんだ。バレてないとでも思ってたのかい?』
そうか、神眼って鑑定みたいに使えるのか……。
コレは、やばい状況です。
本当は無制限に入って、時間が停止している鞄が良かったんだけど、魔石が小さすぎてここまでがやっとだったんだよね。
入る量を譲歩しまくったりして、やっと付いたのが時間極遅1日1分だったんだ。
しかし、八重子さん恐るべし。
昔から、八重子さんには隠し事が出来た試しが無かったのを、すっかり忘れていたよ。
『生活に必要なものだから、とりあえず見逃してやるけどね、程々にするんだよ?』
お小言を貰わなくて済んで、心の底から安心した私。
「うん、程々にするよ?」
一応素直にそう言っておくことにした。
『それじゃあ、収穫の前にトイレを何とかしようかね。そろそろ準備しておかないと困った事になるだろう?』
そう言われてみれば、トイレに行っておいでと言われたら出す事が出来る気がする。
小さいほうね。
「裏にある小屋ってトイレなの?」
『あれがトイレさ。お偉いさん専用だったんだろうね』
八重子さんの説明で分かったんだけど、この世界のトイレは穴の中にスライムを入れて、そのスライムに排泄物を分解してもらう作りだという。
臭いも無く衛生的らしいが、それはちょっと嫌だな。
だって、丸出しの下に蠢くスライムだよ?
想像したらゾワゾワしちゃった。
他の人達はどうしてたのか疑問に思って聞いてみると。
『囲いの外か、そのへんに穴を掘って済ませてたんじゃないかい?』
この中の何処かで用を足したわけ?
うわ〜っ、考えるの止めよう。
現代の日本生まれとしては、出来るなら水洗が良いな〜なんて思うわけで。
八重子さんにそう言ったら。
『想像具現化で創ればいいんじゃない?』
すんなり了承されてしまった。
でも、自分で考えるんだよと釘を刺されたのは言うまでもない。
それじゃあ、どうやって作りましょうか?
早くしないと、色々我慢できなくなっちゃうからね。
まず、便器は石で良いかな。
囲いの外にゴロゴロ大きめの石が転がってたしね。
問題は流す部分だ。
…………。
しばらく考えてみたが、いい案が思う浮かばない。
さあ困った。
私の身体のある部分が刻一刻と溜まり始めているぞ。
どうする私。
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