10話:一条家、次の街を目指す
翌朝。
一条家は早々に街を後にした。
そして現在は、次の街に向かう街道沿いを歩いていた。
「なあ、盗賊が出たらどうする?」
俺は盗賊が現れた時の心配をしていた。
父さんが口を開いた。
「殺すのには抵抗がある。でも元の世界に戻れないのなら、殺す覚悟を決めた方がいいのかもしれないな」
父さんの発言で、俺達は無言になった。
この世界での人の命は軽い。
「私には、人殺しなんてまだ出来ないよ……」
舞がそう言って俯いた。
「人殺しなんて慣れていいものではないよ」
「伊織の言う通りだわ。慣れてはいけないのよ」
「う、うん」
でもどうするか。盗賊が現れたら殺さずに倒せるのか?
いや、でも騎士達を無力化出来たのだからいけるだろう。
誰かに甘いって言われようと、それが俺達日本人だ。人殺しに慣れろって方が可笑しい。
「その時に考えればいいって思ったが、そうはいかないよな……」
「だな」
どうやら父さんも同意見のようだ。
「覚悟を決めないとね」
「そう、だね」
言うよりも、覚悟しなといけないのだ。
ここは地球ではなく、人の死がより近い異世界なのだから。
「まあ、覚悟するしかないのだろうけど……」
「そうだな。この世界で生きるなら必ず通るだろう道だ」
「そうね。家族みんなで助け合いましょう」
「うん!」
「「「「一人はみんなの為に、みんなは一人の為に!」」」」
何があっても一条家なら乗り越えられる。
そう言った意味も含まれていた。
昼食も食べ歩いていると、狼系の魔物が三体現れた。
初めて見る魔物に、俺は鑑定を使ってステータスを確認した。
名前:グレイウルフ
レベル:12
スキル:身体強化Lv2
称号:なし
「倒せそうだね!」
「そうみたいね」
「初めての魔物だ。気を付けて行こう」
「わかった」
舞、母さん、父さん、俺がそう言った。
みんなもステータスは確認したようだった。
「フォーメーションはいつも通りだからな!」
「「「了解!」」」
父さんの言葉に返事し、武器を構えた。
三体が同時に舞へと襲いかかった。
「父さんに任せろ! ――シールド!」
父さんが唱え、グレイウルフの進行方向に半透明の結界が現れた。
突然目の前に障害が現れ、グレイウルフの動きが止まった。
「ここは私と舞ちゃんの出番ね!」
「行くよ、お母さん!」
父さんが魔法を解除した瞬間、母さんと舞が突っ込んだ。
「一体は俺に任せろ!」
「分かったよお兄ちゃん!」
「任せたわ伊織」
俺は手をグレイウルフへと手をかざし、魔法名を唱えた。
「――アイスアロー!」
形成された氷の矢は、グレイウルフへと放たれた。
飛んで行った矢は、そのまま一体のグレイウルフへと当たった。だが、まだ仕留めきれていないので続けてアイスアローを放った。
今度はグレイウルフへの急所に刺さり絶命した。
「――〇突!」
母さんが放った牙〇は、グレイウルフの心臓を貫き倒すことに成功する。
残るは舞。
舞は聖剣を頭上に掲げ――
「――月〇天〇!」
光輝く斬撃がグレイウルフに直撃し真っ二つした。
そんな舞を見て俺は言った。
「父さん、どうやら妹が持つ聖剣は斬〇刀だったようだ」
「みたいだな。羨ましい……」
「それな」
正直俺も使ってみたい。
今度練習しておこうと、俺は誓うのだった。
「うっ……真っ二つ」
舞はどうやら自分で倒したグレイウルフを見て、口元を手で押さえていた。
「自分でやったんだろが」
「うっ、こ、後悔した……」
確かに見ていて良いもんではない。
俺はグレイウルフを回収する。
再び歩き出す俺達一条家。
「日が暮れて来たな。今日はここで野営だな」
父さんがそう言って、俺達は野営の準備に取り掛かるのだった。




