ナナミの備忘録6
本稿は麻雀コラム&次回予告になります。
本編のネタバレを含みますので、気にされる方は本編からお読みになることをお勧めします。
「こんにちは! ナナミです! ナナミの備忘録の時間がやってきました! 今回も特別ゲストのアズキさんとお送りしたいと思います!」
「『栗山あずきの独り言』シリーズでおなじみの、星愛女学院高等部1年D組、アズキでーす!」
「えっと、サナちゃんと仲良しみたいですけど、実はわたしとあんまり接点ありませんよね?」
「そうだねー、あたしの話にナナミちゃん出てこないし。――って、それよりも! あたし、前回のナナミの備忘録で友情出演宣言しといて本編に出てないよね!? あれって詐欺!? それとも、このコーナーに出るってことだったの!?」
「す、すみません。プロットにはアズキさん出てるんですけど、本編では採用されなかったみたいです」
「いやいや、おかしいでしょ! プロット通りに進めてよ!」
「プロット作ったけど、途中からキャラがひとりでに歩き出す、小説書いてる人あるあるですね」
「読み専の人に伝わらないあるあるネタ引っ張り出さないでよ! だいたい、メタすぎる裏事情漏れすぎでしょっ!?」
「それはさておき、今回はリーチの上手なかけ方を紹介したいと思います」
「ちょっと! 勝手に話進めないでよ!」
「まずリーチをかける時に考えたいことは、大きく分けて『リーチの種類』、『上がり牌の種類と枚数』、『リーチのタイミング』です」
「えっ? リーチにそんなにたくさん種類あるんですか?」
「リーチの種類は以下の四種類に分類できます。
1.リーチ(普通のリーチ)
2.フリテンリーチ(フリテンの時にかけるリーチ)
3.カラテンリーチ(上がり牌が残っていない時にかけるリーチ)
4.ノーテンリーチ(テンパイしていないけどかけるリーチ)
作中では3.カラテンリーチや4.ノーテンリーチを駆使した戦術が登場しますけど、基本的にカラテンリーチやノーテンリーチはしない方が無難です」
「当たり前でしょ! カラテンリーチやノーテンリーチなんて、そうそううまく決まらないって!」
「問題になるのは、2.フリテンリーチですね」
「フリテンって、上がり牌自分で捨てたからロンできないって状態でしょ? リーチしない方が無難なんじゃない?」
「そうですけど、場合によっては効果的なことがあります。例えば、ベタ下りや回し打ちの技術がある人と打つ時は、基本的にリーチはツモ狙いになります。上がり牌が牌山にたくさん残っていそうであれば、ツモ上がりを期待して、リーチをかけて得点を伸ばしに行くという戦術が選べます」
「あーなるほど。親だったり高い手張ってそうな気配があれば、リーチかけられたら防御に回りますもんね。そうすれば、リーチした人にとってはターチャの上がりを遅らせるわけだから、自分もツモ上がりしやすくなるんですね!」
「……アズキさん、サナちゃんより飲み込みいいですね」
「えっ? そう? 考えたら分かりそうなものだけど」
「次に、上がり牌の種類と枚数を考慮した方がいいです」
「作中によく『良形』とか『愚形』とかいうあれですね?」
「そうです。上がり牌の種類や枚数が多いテンパイを良形テンパイ、上がり牌の種類が一種類だった梨枚数が少ないテンパイを愚形テンパイと言ったりします。リーチをかければ、それぞれ良形リーチ、愚形リーチですね」
「そりゃ良形リーチの方がいいんだろうけど、具体的に良形とか愚形ってどんな感じなの?」
「明確な基準はありませんが、リャンメン待ちや多面張は良形、カンチャン待ち、ペンチャン待ち、タンキ待ちは愚形と分類されることが多いです。シャンポン待ちやノベタンなどは、種類が多くても枚数が少ないので微妙ですね」
「じゃあ、リャンメン待ちになったらとりあえずリーチすればいいのね!」
「ちょっと待ってください。リャンメン待ちでも、すでに上がり牌が何枚も河に捨てられていたりすると良形とは言えません。場合によっては上がり牌を変えた方がいいですね」
「なるほど、自分の手だけじゃなくて、場の状況もしっかり見た方がいいってことね。愚形の時も良形になるまで待った方がいいの?」
「良形になった方がツモ上がりはしやすくなります。でも、出上がり狙いの引っ掛けリーチは別ですね」
「引っ掛けリーチって、スジを使って出上がりを誘うリーチですよね?」
「そうです。例えば、こんな手を見てください」
ナナミ
一萬 二萬 三萬 一筒 二筒 九筒 九筒 一索 三索 五索 七索 八索 九索
ツモ:三筒
「きれいなジュンチャン、サンショクですね! 五索切りでリーチをかければ引っ掛けリーチになります!」
「リーチ宣言牌になる五索のスジである二索で待つ典型的な引っ掛けリーチです。このような一、三、五索のように一つ置きの数牌でできる二つのカンチャン待ちの形をリャンカンと呼びます。このリャンカンは、リーチ宣言牌のスジで待つ、いわゆるモロ引っ掛けを仕掛けるのにうってつけな形です」
「逆に言えば、守る側としてはリーチ宣言牌のスジは注意した方がいいですね」
「……やっぱりアズキさん、飲み込み早いです」
「えっ? そうかなー?」
「最後に、リーチのタイミングです。何巡目のリーチなのか、他にリーチ者がいるか、ということにも気をつけたいですね」
「やっぱり、リーチって巡目が早い方が有利だよね?」
「基本的にはそうなります。ただ、早すぎる巡目の愚形リーチ、例えば四巡目なんかのカンチャン待ちリーチは考えものですね。しばらくはヤミテンで回して、良形テンパイになってからリーチをかけた方が効率がいい、ということもあります」
「配牌でテンパイだとダブリーとかしたいですけど、ダブリーのみの愚形テンパイだったら、少し冷静に回してみるのも手なんですね! でも、具体的に愚形を良形にするってどうするんですか?」
「じゃあ、次の例を見てみましょう! 四、六索のカン五索待ちからこうなりました」
ナナミ
二萬 三萬 四萬 六萬 七萬 八萬 二筒 二筒 五筒 六筒 七筒 四索 六索
ツモ:七索
「あっ! 四索を切れば五、八索のリャンメン待ちになりますね!」
「次はどうでしょう? 二索、西のシャンポン待ちです」
ナナミ
四萬 五萬 六萬 一筒 二筒 三筒 七筒 八筒 九筒 二索 二索 西風 西風
ツモ:三索
「これは二索切りで一、四索のリャンメン待ちになります!」
「そうです。この二つの例では愚形から良形になるだけじゃなくて、ピンフもつくので手役としても高くなるので、早い巡目であれば愚形リーチは見送って、良型になるのを待った方がいいですね」
「でもこれって、前回のナナミの備忘録でやった裏スジとまたぎスジですよね? 四索切りからの五、八索は裏スジ、二索切りからの一、四索待ちはまたぎスジです! だから、守る側としては裏スジとまたぎスジが危ないんですね!」
「さすがアズキさん! よく覚えていましたね!」
「まあ、あの時はあたしが説明しましたし。台本見ながら。それはともかく、何巡目くらいまで様子見ればいいんですか?」
「一概には言えませんけど、十巡以内の良形テンパイはツモる確率が高いので、それくらいまでは待ってもいいと思います」
「なるほど、中盤から終盤に入る前まで、ですね!」
「あとは、他にリーチ者がいるかどうか、ですね。リーチ者がいない時のリーチは先制リーチ、他二リーチ者がいる時は追っかけリーチと呼びます」
「できれば先制リーチを仕掛けたいですね!」
「そうですね。追っかけリーチは点棒状況、誰が親なのか、ということも考えないといけないですからね。ハネマン以上の高い手の時や生きている牌の多い多面張、先制リーチ者の現物が上がり牌である時なんかは追っかけリーチを検討してもいいと思います」
「なるほど、相手のリーチの現物牌で待てば、先制リーチ者に振り込まないように下りている人から出上がれるかもしれないですね!」
「リーチはシンプルな戦術ですけど、とても奥深いです。今回の話を参考に、自分なりのリーチの基準を作るのが一番だと思います」
「確かに。リーチを使いこなして勝利を目指そう!」
「次回は、初心者でも分かりやすい多面張の基本について語ろうと思います」
「今回のリーチの話も取り入れれば、鬼に金棒だね!」
「さて、次回の『ナナミ -The Gifted Challenger- ~天才少女の麻雀戦闘記~』は?」
「ついに、夏休みですね! ひと夏のアバンチュールがテーマですか?」
「『NANA☆HOSHI』のメンバーがプールサイドに集まり、熱い戦いを繰り広げます!」
「なるほど、お約束の水着回ですね! ビジュアルイメージがないのが残念です!」
「果たして、活動停止の『NANA☆HOSHI』が見出した打開策とは!?」
「分かりました! 熱い麻雀バトル小説から、ちょっぴり大人なゆるふわガールズ日常系小説に路線変更するんですね?」
「次回、『第7半荘 なつだ! ぷーるだ! だついまーじゃんだ!』をお楽しみに!」
「ってちょっと! それR18規定に引っかからない!? 大丈夫!? 大丈夫だよね!?」
「アズキさん、次回こそ本編に出てくれませんか?」
「えっ、……遠慮しようかな」
「以上、ナナミと」
「アズキでしたー! またねー!」
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
以上で第6半荘の終わりです。
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次回の第7半荘の投稿まで今しばらくお待ちいただけると幸いです。