#22 またね
空一面に咲き乱れる幾多もの花火
その中から浮かび上がるようにあらわれた二つの影
「ぱぱ!」
嬉しそうに駆け寄っていく女の子
「優ちゃん・・・!」
こみ上げる嬉しさを瞳で訴える
両親に抱きしめられて目を細める
それを感慨深く眺める
「間に合った」
真由美と向き合って呟いた
「は・はは・・は・・・」
うまく言葉が出てこない
力が抜けてその場に座り込む
『無駄じゃなかった・・・』
そう心から思えた
「よう、やったな」
そんな優気の肩をたたいていう
その顔は普通の子供とさほど変わらず
無邪気な笑顔だった
「ぱぱ~っ」
女の子がこちらへ駆け寄ってきた
向こうで両親たちが深々と頭を下げている
「よかったな?」
頭を撫でてやる
「えへへ・・・」
目を細めて笑う
「ほんと、良かったぁ」
後ろから女の子を抱きしめる
「ぱぱ」
改めて呼ばれると少し照れくさい
「どした?」
「もう、いくね」
ちらりと向こうを見ながら言う
「そうか・・・」
「・・・・・・」
二人で女の子を見つめる
「ばいばい」
小さな手を揺らす
「違うぞ」
「?」
不思議そうに首をかしげる
「また、一緒に遊びたいだろ?」
「うん!」
その問い掛けに大きく頷く
「じゃあ、こう言うんだ」
『またね』
公園に、泣き声が響き渡る
偶然、見つけた一匹の子猫
私たちは、その子をとてもかわいがっていた
首輪が着いていることから
飼い猫だろうとは思っていた
だから、その子猫を飼い主の元へと返すとき
私は悲しくなって泣いていた
そしたら彼が言った
「また、遊びたいんだろ?」
「うぅ・・・」
ぐずりながら頷く
「だったら、こう言うんだ」
ゆっくりと私の隣でつぶやく
「またね」
「またね・・・?」
「そうだ、【またね】だ」
またきっと逢えるから
そう信じて約束する言葉
「またね」
子猫の頭を優しくなでる
飼い主も、優しくそれを見守っていた
私の中に残る思い出が
今また、同じように描かれる
「またね!」
女の子が大きく手を振っている
「またな」
「またねー」
二人で手を振って見送る。
三つの影は重なって
やがて光の中に消えていった
「間に合いましたね?」
「無理言ってもうてスマンね」
遠巻きに事の成り行きを見守っていた二人
「意外ですね?」
「言うなや・・・」
少し照れくさそうに口を尖らせる
「で、どうなんです?」
「ん?」
おもむろに尋ねる
「本来の目的は?」
「見つけたで」
真剣な表情
「どうするんです?」
「仕事はキチンとすんで?」
そのまま歩き出す
「そんときまで・・・」
ゆっくりと彼を見据える
「またな」
そのままその場を後にした
「優ちゃん」
「あん?」
空には既に星が瞬いている
「今日は、すごく優しかったね?」
「俺はいつもそうだっての」
少し照れくさい
「私も、迷子になろうかな?」
「何言ってんだよ・・・」
久しぶりに昔のことを思い出して
すごく温かい気持ちになる
いつまでも変わらない彼の優しさ
だれにでも変わらない彼の優しさ
だから、ずっとそばにいてほしい
ずっと変わらない優しさのままで
~とある場所で~
「いいです・・・」
机に突っ伏してつぶやいた
「もう、変質者でも良いから・・・」
腹の虫が鳴いている
「カツ丼食わせてください・・・」
涙を流し訴えるタケル
彼は、そのまま一夜を過ごしたという・・・・




