#21 タイムリミット
空には大きな満月が輝いている
それを突き抜けるように飛ぶ旅客機
これから楽しいことが待っている
ワクワクして眠ることができない
パパが優しく頭を撫でてくれた
ママも小さな声で子守唄を歌ってくれる
飛行機雲が矢のように満月の前を通過する
ちょうど月の正面で大きな光が広がっていった
それは、あまりにも唐突だった
光が消え去る頃
そこにはただ、満月だけが輝いていた
うっすらと浮かぶのは、パパの微笑み
その手に残るのは、ママの温もり
目覚めると、遊園地にたったひとり
「ぱぱ・・・?」
あたりを見渡す
「まま?」
人ごみの中に二人の姿は見えない
途方に暮れていると
誰かに引っ張られていく
そのぬくもりは
パパと同じように
あたたかい
「優ちゃん・・・?」
真由美が不安そうに問いかける
「どこを探すの・・・?」
「親子で遊べそうなトコだ」
とりあえず思いついたのは、それくらいだ
残された時間は30分もないだろう
だったら、いくつかの場所を回ってみるぐらいしか方法はない
『メリーゴーランド』
『コーヒーカップ』
『イルカショー』
とにかく、親子で楽しめそうな場所だ
ぐっすりと眠る女の子を起こさないように
一箇所づつ見て回る
が、それらは既に閉鎖されていた
時間が遅かったのだ
「ダメなのか・・・?」
真由美と二人佇む
「他にないか?」
真由美にすがってみる
「・・・ごめんなさい」
泣きそうに目を伏せる
「時間切れ・・・やな」
いつの間にか死神の少女がそこにいた
「結局は、無駄足だったんや」
ため息を付くように言う
「・・・・・」
何も言えずに睨みつける優気
「でもな」
そんな優気に優しく声をかける
「嫌いやないで?」
手を差し出す
「悪いようには、せぇへん」
「ウチに任せてんか・・・?」
「・・・ぱぱ?」
女の子が目覚める
ゆっくりと女の子を降ろしてやる
「ごめんな・・・」
女の子を抱き寄せてつぶやいた
「ごめんね」
真由美も同じように抱きつく
「?」
自分がこれからどうなるのか
幼いこの子にはわからないだろう
悔しい
結局、俺には何も出来なかった
『ドーーーーン!!』
突然、豪音と共に空が明るくなった
びっくりして見上げれば
空には、幾つもの花火が輝いている
「ナイトパレード、やな」
この遊園地のキャラクター達が
楽しそうに行進していく
賑やかな喧騒が、すべてをかき消して通り過ぎていく
「ぱぱ」
嬉しそうに声を上げる女の子
「!」
一緒に視線を向けた真由美の表情が変わる
「優ちゃん!」
おずおずと視線を上げる優気の肩をゆする
三人の向けた視線の先に二つの人影が見えた




