#119 ボーイ・ミーツ・ガール 3
「わたしは、優ちゃんが好き」
これは、変えようもない本当の気持ち
だけど、これまでの楽しかった日常を変えてしまうのは
わたしに・・・わたし達にとって、失いたくないもの
もし、全ての日常が変わってしまったら
これまでのわたし達の気持ちは、どこへ行くのだろう?
わたしは、嫌な子だ・・・
同じ想いを持つ、『蘭ちゃん』『月乃ちゃん』
そして『ゆうきちゃん』
みんな私の想いは知っている
だから、もしかしたら諦めてくれるんじゃないかと
期待してしまっている
結局は、自分が傷付くことを避けたいだけなんだ
「はぁ・・・」
ベッドの上で、膝を抱え込んで考え込む
コツン
不意に、窓ガラスに何かが当たる音
「?」
よく見ると、そこにはゆうきちゃんの姿があった
「ど、どうしたの!?・・・こんな時間に?」
時計は既に、深夜を超えた時刻を指している
「ごめんね、急に・・・」
何かを口ごもる彼女を部屋に迎い入れる
「眠れないの・・・?」
「そう、だね・・・」
彼女の笑顔は、どこか寂しげだ
「じゃあ、おはなししようか?」
彼女の隣に座りなおす
「・・・・・」
やっぱり、寂しそうな笑顔で応える
「みんな・・・みんな、優気のこと大好きなんだね」
あの、温泉での出来事を思い出して笑う
「ゆうきちゃんも、でしょ?」
彼女も、同じ想いを伝えた筈だ
「そうだね」
ふと、窓から照らされる月を見上げる
「でも私は、みんなの事も好き・・・」
こんな自分を、受け入れてくれたみんなの事が
「わたしも、そうだよ」
同じように、月を見上げてつぶやく
「みんなの事も好き」
「だからこそ・・・決められないのかもしれない」
思わず、拳を握りしめる
「大丈夫だよ、みんなも同じだよきっと・・・」
それは、勝手な希望なのかもしれない
だけど、そうすることでしか
自分の気持ちを正当化することが出来ない
「でも、優ちゃんは誰を選ぶんだろう・・・?」
彼は、優しい
わたしだけではなく、彼に関わるみんなにも
だからこそ、不安になる
「自信を持っていいと思うよ」
私の不安を、見透かすように言う
「だって、みんな知ってるもの」
「自分の気持ち、みんなの気持ち・・・」
おもむろに立ち上がって振り返る
「ありがと、ね」
そう言いながら再び、自分の部屋へ戻っていくゆうきちゃん
「ううん・・・わたしも、ありがとう!」
そんな彼女を見送る
「バイバイ・・・」
消え入りそうな声で、彼女はつぶやいた




