#118 ボーイ・ミーツ・ガール 2
夢を、みていた
その夢の中で
私は自由だった
どこへでも行けるし
誰とでも笑える
他の人たちにとっては
ありふれた自由
そんな自由でも
私にとっては大きな夢
そう、全てを投げ出して逃げ出した私には
有り余るほど大きな夢
私は気付いた
その夢が『嘘』だという事に
そして、その夢は
いつか覚めるという事に
「久しぶり・・・元気してたかしら?」
深紅のスーツを、身に纏う女性が一人
その愁いを帯びた瞳が、優気を見つめる
「か、母さん・・・?」
思わず硬直してしまうほどの出来事
その人こそ誰であろう『月真優気』の母親にして
世界屈指のファッションデザイナー『YURA』
その名を『月真優良』
「きゃぁぁぁ~っ!?」
「暫く見ないうちに、イイ男になっちゃってぇ~!?」
見た目の優艶さと裏腹なテンションで、優気に抱きついて頬擦りしてくる
「ちょっ・・・なに・・・」
必死にあがく
「ささ!『おかえり』の、ちゅーを頂戴!」
言いながら、唇を近づけてくる
「するか!!」
思わず叫ぶ
「が~ん・・・!?」
よろよろとその場に膝を付く
「優ちゃんが・・・優ちゃんが・・・」
ほろほろと涙を流す
「優ちゃんがグレたぁぁぁ~っ!!」
電柱にしがみつきながら叫び散らす
「なんでだよ!?」
あまりにも過保護な、優気の母親
溺愛ぶりがそのテンションに現れている
「てか、親父は一緒じゃないのかよ!?」
彼の父親もまた、世界を股に駆ける『考古学者』である
あまりにも斬新な切り口から、解明されてきた歴史的貢献は
世界中から、講演を頼まれるほどの権威である
「真白さん・・・?」
彼女が、その名をつぶやくと同時に空気が変わる
「あんなロクデナシ、知りゃしないわ!!」
仮にもアンタの旦那だろう
「一緒に帰る約束も、すっぽかして・・・」
「家族よりも、仕事が大好きなのよ~っ!」
怒りから一転、子供のように泣きじゃくる
「おい!おい!」
確かに奴は、のめり込みすぎることもある
「心配しなくても、きっと帰ってくるって・・・」
ここまで言って、ふと思う
「帰ってくる・・・?」
抱きついてきた母親の頭を、適当に撫でながら考える
「なんで突然・・・?」
二人が、突然帰ってきた
これは偶然なのか?
「優ちゃん!」
彼女の声が、優気を現実に戻す
「一体、何をしに来たんだ?」
疑問をそのままぶつける
「選びなさい」
突然、真面目な声
「私と来るか、真白さんと行くか」
突然の選択に、意図が理解できぬまま固まってしまった




