13 保養所係配属
「これは界魔さん。ご連絡は受けております」
ブオン係長は界魔さんと私を見た。
ブオン係長の瞳は紫色だ。
へえ、紫色の瞳かあ。角も尻尾も紫色だしあとでモンスター解析書でブオン係長の種族を調べてみようっと。
「こちらが新人の職員の美音さんです。美音さん、こちらはブオン係長です。保養所係の係長さんですよ」
「初めまして。美音と申します。種族はヴァンパイア族の亜種です。よろしくお願いします」
私は元気よく挨拶をする。
初対面の印象って大事だもんね。
「私はブオンと申します。なかなか元気そうな方でこちらも大歓迎です」
ブオン係長は牙が生えてて怖そうな顔だけど言葉も丁寧だし紫の瞳には優しそうな光が宿っている。
うん、大丈夫。この人が上司ならやって行けそうな気がする。
「では美音さん。お仕事頑張ってくださいね。ブオン係長、あとはお願いします」
界魔さんはそう言って帰ってしまった。
「では美音さん。まずは係の者を紹介します。まあ、でも大勢いるので美音さんが特に仕事を共有する職員だけを紹介しますね。他の者は追々覚えればいいですから」
「はい。分かりました」
ブオン係長はそう言って二体のモンスターさんを紹介してくれる。
「こちらは保養所係の主任のキョウカさん。彼女はベテラン職員だし美音さんと同じ女性だから何かと力になってくれるはずだ」
「初めまして。美音さん。キョウカと申します」
「よろしくお願いします。キョウカ主任」
キョウカさんは髪の毛が青くて燃え盛る炎のように立ち上がっている髪型をしてる。瞳も青い。
それ以外は人間の身体と変わらない。
すごい、髪の毛だなあ。
でもなんか綺麗な髪だな。
「それと彼は君の先輩になるミツールだ」
「よろしく、美音さん」
「よろしくお願いします。ミツールさん」
ミツールさんは空中をふわふわ飛んでる。小さい黒い羽がある。
それに耳は大きくて白黒の斑点のある毛皮に包まれた獣型モンスターだ。
でも手と足はちゃんとある。
ミツールさんの毛皮ってもこもこしてそうで触り心地良さそう。
触りたいけど勝手に身体に触ったら怒られるよね。
「美音さんにはまずはミツールが仕事を教えることになるから」
「はい。分かりました」
「ではミツール。ちゃんと美音さんに仕事を教えてあげろよ」
「はい。係長。分かりました」
ミツールさんは元気よく返事をする。
「まずはミツールから保養所の説明を聞きなさい」
「はい。ブオン係長」
「こっちにおいで美音さん」
私はミツールさんの後をついて行って椅子に座る。
ミツールさんは私の前の机に資料を置いた。
「このモンスターお役所の保養所は全部で四つある。名前はハコリン荘、カワジ荘、アツラ荘、ベル荘だよ」
資料にはそれぞれの建物の写真も付いてる。
ふ~ん、みんな自然が多そうな所にあるんだね。
癒しを求めるんだから自然が多いのは当たり前なのかな。
「まあ、各保養所の特徴などはこの資料にあるから後で読んでおいてね。具体的に僕たちの仕事はその四つの保養所の管理と運営の仕事だよ」
「管理と運営ですか?」
「そう。保養所の施設の維持管理とあとはぶっちゃけいろんな役人モンスターに利用してもらえる方法を考えることだよ」
「利用してもらえる方法ですか?」
「うん。保養所と言っても維持管理にお金がかかるし宿泊するモンスターもお金を払って利用する。でもその金額は安く設定されているから、その分利用してくれるモンスターを増やさないと赤字経営になってしまうんだ」
なるほど。保養所と言っても民間のホテル経営みたいなモノなのか。
「赤字になると保養所でのサービスの質を落としたり、食事も質素なモノになってしまうから、赤字経営はなるべく避けたいんだ」
「そうなんですね。勉強になります」
私は素直に頷く。
「それじゃあ。まずは今日は初日だからこの資料の保養所の特徴を読むのが美音さんの仕事ね」
「分かりました」
まずは保養所の施設の特徴を覚えることか。
頑張ろうっと。




