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暁を見守るヒュペリオン
暁を見守るヒュペリオン
世界に夜明けがなかったころ、空と大地のあいだには、深い闇が横たわっていた。
ティタンのヒュペリオンは、妻テイアとともに天の高みへ昇り、闇の向こうを見つめていた。彼の名は「高みを行く者」。けれど、どれほど高く昇っても、世界を照らす光は見つからない。
「光がなければ、命は目を覚ませないわ」
テイアの言葉に、ヒュペリオンはうなずいた。二人のあいだには、三人の子がいた。太陽のヘリオス、月のセレネ、そして暁のエオス。
ヒュペリオンは子らを呼び、東の果てを指し示した。
「世界は、誰かが照らすのを待っている。だが、光は一度にすべてを与えるものではない」
まずエオスが、闇の端に薄紅色の指を差し入れた。夜空がほどけ、山々の輪郭が浮かび上がる。
次にヘリオスが、燃える馬車を走らせた。大地に光が満ち、眠っていた草木が葉を広げた。
やがてセレネが夜空を巡り、暗闇にも静かな光を置いていった。
世界は昼と夜を得た。人々は働き、休み、星を見上げるようになった。
それでもヒュペリオンは、空の高みから見守り続けた。光を放つのは子らであっても、その道を見失わぬよう、父はいつも天を見上げていた。
そして今も、朝が来るたびに、東の空の向こうでヒュペリオンの眼差しが暁を見届けている。




