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星の軸を支える者――コイオス

星の軸を支える者――コイオス


天の星々が、まだ定まった道を持たなかったころ。


夜空は毎晩、形を変えていた。星は東から昇って西へ沈むこともあれば、気まぐれに空を横切り、互いの光を奪い合うこともあった。


「なぜ、星々は迷うのだろう」


ティタンのコイオスは、母ガイアに尋ねた。


大地は深く息をついた。


「空に、軸がないからよ。天を支える柱はあっても、星々が巡る中心はまだない」


コイオスは天を仰いだ。父ウラノスの広大な体の上で、星々は行き先を探して震えている。


彼は手を伸ばし、空の奥へと歩み入った。星の光が降り注ぐ深みで、コイオスはひとつの点を見つけた。どの星よりも暗く、どの星よりも動かない、小さな空白だった。


「ここを中心にすればいい」


コイオスはその空白に手を当てた。すると、見えない軸が天の果てから果てへと伸びていく。星々は軸のまわりを巡りはじめ、夜空に初めて秩序が生まれた。


やがて妻となったポイベーが、彼の隣に立った。


「あなたは、星を動かしたの?」


「いや。星たちが自分の道を見つけるため、中心を示しただけだ」


二人のあいだには、レトとアステリアが生まれた。ひとりは後に光の神々の母となり、もうひとりは夜空に輝く星々の名を受け継いだ。


しかし、時代は移り、ティタンたちはゼウスら新たな神々に敗れた。コイオスもまた、タルタロスの暗闇へと落とされる。


地上から星が見えなくなった夜、彼は闇の底で耳を澄ませた。


星々は、今も巡っている。


コイオスの姿がなくとも、彼が見つけた中心を忘れずに。



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