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いつか魔王になろう!  作者: Red/春日玲音
第一章 魔王になろう

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聖女 -7-

 「くッ、まだ追手は撒けないのか?」

 「ハッ、申し訳ありません。、相手もなかなか巧妙で……。」

 「聖女様との約束の場所は、もうすぐだ。しかし、そこまで、敵を連れて行くわけにはいかない。わかっているな!」

 「「「ハッ!」」」

 ソフィアさんと、その部下たちが何か焦っているけど……要は、追ってきてる人たちをやっつけちゃえばいいなだよね?

 「ねぇ、ソフィアさん。追ってきてる人達、やっつければいいんだよね?ボクがやるよ?」

 ボクは、ソフィアさんにそう伝える。

 はっきり言って、グズグズしてる暇はないの。

 今、ここに居ないけど、リズ姉なら言う前に飛び出して言ってるだろうなぁ……この前みたいに。

 「でも、ソラちゃんにそんな事させるわけには……。」

 「子ども扱いしなくてもいいよ。」

 みんなボクの事を子ども扱いする……最近はそれがとーっても不満。

 おにぃちゃんだって、ボクを子ども扱いして……おでこなんだから……もぅ……。


 「あいつら、やっつけないと、聖女様に会えないんでしょ?ボクは早く聖女様に会って、おにぃちゃんを助けに行きたいんだ。」 

 だから行くね……とソフィアさんに告げて、懐からワルサーを取り出す。

 おにぃちゃんが、ボクの為に作ってくれた武器。

 この引き金を引くと、ファルスの精霊力が力となって飛び出す仕組み。

 ファルスが言うには、ものすごく効率が良くなってるんだって。

 だから連射してもそんなに疲れないのよ。

 「ファルス、お願い!」

 ボクはファルスに声をかける。

 ファルスの力が僕の中に流れ込んでくる。

 ボクの背中から大きな翼が広がる。

 地面を軽く、トンっと蹴るだけで体が浮かび上がる。

 「じゃぁ、ちょっと行ってくるね。」

 ボクは、呆然としているソフィアさんに声をかけて、追手たちがいる方へ飛んでいく。


 しばらく行くと……あ、いたいた。

 木々に隠れるようにしながらボクたちの後を追ってきているみたい。

 でも、上には全く注意を向けていないなぁ……。

 いち、にぃ、さん…………7人かぁ。

 ボクは手前の一人に右手の照準をつけ、引き金を引く。

 キュィンッ!!

 光弾が胸に吸い込まれ……追手は、胸を押さえて倒れる。

 続けて隣の男に、左手の照準をつけて引き金を引く。

 キュィンッ!! その男も胸を押さえてうずくまる。

 「おい、どうした!」

 「何だ、なんだ!」

 近くの追手たちが倒れた男たちの方へ寄ってくる。

 そんな風に固まるなんて……バカなの?

 ゴブリンたちの方が、よっぽど手強いよ。


 ボクは、右手、左手、右手と続けて光弾を連射する。

 キュィンッ!! キュィンッ!! キュィンッ!!

 追手たちは次々と倒れていく。

 ここに来て、男たちはやっと自分たちが狙われていることに気が付いたようだ。

 慌てて木の陰に身を隠す。

 「遅いよ……それに丸見えだよ。」

 身を隠して前後左右へと警戒しているが、上から見たら丸見えだ。

 ボクは左右それぞれのワルサーの銃身を残った二人に向け、照準をつける。

 「この角度からじゃ胸元は狙えないね。」

 ボクは首筋辺りに照準をつけて引き金を引いた。

 キュィンッ!! キュィンッ!!


 最後の二人も崩れ落ちる。

 結局、追手たちは最後まで上空には気が付かなかった。

 「はい、終わりっと。帰ろ。」

 ボクはうずくまる男たちを放っておいて、ソフィアさんたちの所に戻る。


 「終わったよー。追ってきた人達、向こうで全員倒れている。……たぶん2日は動けないと思うよ。」

 さぁ、早く行こ?とソフィアさんたちを促す。

 「えっと……、あ、ありがとう……。」

 なぜか、ソフィアさんたちが固まってしまっている。

 ……強いのね、とか……天使だ……とか、何か小さな声で話してるみたいだけど……よく聞こえない。

 ……どうしたんだろうね?


 「はぁ、まだ、こんなところにいたんすか?探しましたよ。」

 その時、後ろから声が聞こえた。

 「リズ姉!」

 ボクは声のした方に振り返り、声の主の名前を呼ぶ。

 そこにはリズ姉と知らない女の人……ううん、知ってる人だ……が立っていた。

 「お姉さん……。」


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 「ねぇ、本当にここなの?」 

 ガシッ! ガシッ! ズシャッ!

 私は飛び掛かってきた双頭狼の頭にメイスを振り下ろす。


 「普通に進んでいたら、この辺りにいるはずなんす……けどっ!」

 キィンッ! ズバァッ!

 リィズちゃんは双頭狼の首を手にした双剣で刎ねる。


 ガキッン!

 「こいつらに……襲われたという可能性は?」

 双頭狼の牙を手にした剣で押さえながら、リーンが聞いてくる。


 キィンッ! ズバァッ!キィンッ!

 「それはないっすね。襲った後なら、こんなにお腹すかせてないと思うっすよ。」

 リィズちゃんは次々と、双頭狼たちを切り伏せていく。


 「先に行ったのかなぁ?」

 ガシッ!  ズシャッ!  ズシャッ!

 私は、片手間に双頭狼たちを叩きのめしながら考える。


  キィンッ! キィンッ!

 「だったら、すでに合流してるはずっすよ。」

 最後の双頭狼を切り伏せたリィズちゃんが言う。

 そう、合流地点からリィズちゃんがソフィアと別れた地点に向けて逆行してきたんだから、先に進んでいるなら、リィズちゃんの言う通り、すでに合流出来ているはずなのだ。

 

 「ってことは、もっと前にいることになるな。」 

 剣に付いた血糊を振り払いながら、リーンが近づいてくる。

 

 「それだと、ほとんど移動してないってことになるっすよ。」

 リィズちゃんが心配そうに言う。

 

 「そうだね、ちょっと心配かな。」

 私はリィズちゃんに同意するように答える。

 リィズちゃんがソフィアたちと別れてから1日半以上経っている。

 それだけの時間があって、ほとんど動いてないってことは、動けない何かがあったという事ではないだろうか?

 「あれくらいの追手なら、ソラ一人で十分って思ったんすけど……ね。」

 リィズちゃんは、自分の判断が間違っていたんじゃないかって思い始めてるようだ。

 「きっと大丈夫よ。ソフィアは結構のんびり屋さんだから、ゆっくりしているだけよ。私達の方から迎えに行きましょ。」

 私は努めて明るく言う事で、リィズちゃんを元気つける。

 「そう……っすね。」

 (リィズちゃん、今、ファルスの気配を感じたわ。ソラちゃんが精霊化した様ね。向こう……ここから2㎞程行ったところよ)

 エアリーゼの声が響く。

 「戦闘してるとは限らないっすけど……一応急いだほうがよさそうっすね。」

 

 精霊化というのは、リィズちゃんやソラちゃんの様に、中級以上の精霊と契約した精霊使いが、契約精霊の力を取り込み一体化することで力を引き出す精霊魔法の一種だそうだ。

 精霊化したときは外見に変化があるらしい……リィズちゃんの耳と尻尾も精霊化によるものなんだって。

 リィズちゃんの話によれば、ソラちゃんは歌ったりするときなど、結構普段から精霊化しているらしいから、今回も戦闘の為に精霊化したとは限らないらしいんだけど……念のため急いだほうがいいと言うのには賛成だわ。


 「先に行くっす。二人はここで休んでいていいすよ。……エアリーゼ!」

 リィズちゃんが、精霊の名前を呼ぶと、一瞬にしてネコ耳が、ネコ尻尾が生えてくる。

 精霊化したときの姿だ……可愛い!ギュってしたい!

 私がそう思っているうちにリィズちゃんは行ってしまった。

 「あぁ……行っちゃった。……リーン。」

 私はリーンを呼ぶ。

 「何ですか?」

 私は、近くに来たリーンの尻尾を逆なでする。

 「ひゃんっ!・・・・・何するんですかぁっ!」

 うんうん、リーンも可愛いなぁ。

 「私も先に行くね。リーンは隠れ家の方へ行って、受け入れ準備しておいて。」

 そう言って、私は「ブック!」と本を取り出す。

 「神速!」

 運命神ミィルの権能である「神速」

 傍目には瞬間移動したように見える、この能力。

 私が使うと、自分と周りの時間の流れが少し違うだけなので、体感的には実際の距離を走るのと何ら変わりがない。

 しかも、制限の所為で「瞬間移動」までの速さは出ない……それでも、常人が出せるスピードよりはるかに速いんだけどね。

 「ちょ、ちょっと、ナミ……、姫さまっ!」

 リーンが何か言っているが、今は時間が惜しい。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 「はぁ、まだ、こんなところにいたんすか?探しましたよ。」


 私がソフィアたちの所に着くのと同じくらいに、リィズちゃんも辿り着いたようだ。

 「神速」と同じぐらいのスピード出せるなんて、リィズちゃんのスペックって底知れないわね。

 リィズちゃんが、ソフィアたちに向かって話しかけると、翼を生やした小柄な女の子がこっちを見る。

  

 「お姉さん……。」

 あぁ、この子がソラちゃんね。

 名前が一緒だからもしかしたらと思っていたけど……。

 ソラちゃんは、何年か前に森の中であった子だわ。

 すごっくいい声してたからつい聞きほれちゃった覚えがあるわ。

 

 「お姉さん……お姉さんが聖女様?」

 「そう、呼ばれているわね。」

 「ボク……お姉さんの言う通り……だった。おかげで悩まなかったよ。ありがとう……ずっとお礼が言いたかったの。」

 「ソラちゃんは見違えちゃったね。お姉さんびっくり。」

 「エヘッ。ファルスのお陰なんだ。」

 出会った頃より、健康そうになったソラちゃんは、背中の翼の輝きも相まって、本当に天使に見える。

 

 「ソラ……和むのもいっすけど、一応言っとくっす。……その人が『あの聖女様』っすよ。」

 リィズちゃんが「あの」の所を強調する。

 それを聞いたソラちゃんの体がビクッとする。

 「そうだった……。」


 えっ、ちょっと、何、なんなの、その反応!

 「何?何なの?「あの」って何?」

 私は二人に聞くけど、視線を逸らせるだけで、答えてくれない。


 「まぁ、カナミが悪いわけじゃないのは分かってるんっすよ……ただ、複雑な気持ちなんすよ……ワタシもソラも……。」

 やがて、ぼそりとリィズちゃんが言ってくる。

 あ、そうか……センパイの事……。

 「あ、ううん、大丈夫よ。……私の方こそごめんなさい。」

 二人の気持ちを慮って、つい謝ってしまう。

 

 「ううん、謝るのはボクの方だよ……。」

 ソラちゃんがそう言ってくる。

 「ソラちゃんは悪くないわよ。」

 だから私はそういうけど……。

 「ううん、ごめんねお姉さん。……おにぃちゃん、ボクが取っちゃったから……。」

 へっ?今、この子なんて……。

 「コラ、ソラ!「ボクが」じゃないっす。にぃにはワタシのモノっすよ!」

 「そうだった……ゴメンね、お姉さん。おにぃちゃんは「ボク達」のモノだから。」

 ソラちゃんが、にこりと笑って言う。

 「カナミは良い人だと思うっすよ。だからにぃにの事で悲しませるのは忍びないっす……複雑な気持ちなんっすよ。」

 リィズちゃんも笑いをこらえながら言ってくる。

 ……こいつら……

 二人の顔は笑顔だけど、瞳には挑戦的な光が宿っている。

 「いいわ!受けて立つわよ!センパイは……レイにぃは私のモノよ!」

 

 「あの……状況が見えないのだけど……。」

 睨み合う私たちに、ソフィアが声をかけてくる。

 ……あ、ソフィアの事、すっかり忘れていた。


 私達は、今までの事、これからの事を話し合うために、当初予定していた合流地点である隠れ家に移動した。

 ソフィアの側近たちには、付近の警備と称して外を回ってもらっている。

 リーンには、その側近たちの動きを見張らせているので、ここには私とソフィア、リィズちゃんとソラちゃんの4人しかいない。

 「聖女様……いや、ナミ、彼らを遠ざける必要があったの?」

 「さぁ?」

 「さぁ?って、なんで……。」

 「リィズちゃんはどう思う?」

 私はリィズちゃんに話を振る。たぶん、一番冷静な判断が出来るのはこの子だろう。

 「私に言われても困るっす。正直言うと、ソフィアさんも疑ってるっす。」

 「えっ……なんで……。」

 言われたソフィアが目を丸くする。

 まぁ、今まで仲良く?やってきた子から「疑ってる」と言われたらそうなるだろう。

 仕方がないので、説明役を買って出る。


 「ソフィアはレイフォードさんに会ったんだよね?そして、レイフォードさんの話を聞いた……どう思った?」

 センパイとソフィアの関係、リィズちゃんたちがいる理由などは、昨晩、リィズちゃんからも聞いたし、ここに来るまでの道中でもソフィアから聞いている。

 それらを踏まえたうえで、私はソフィアに問いかける。

 「どうって言われても……それが本当なら早く伯父様……国王様に伝えないと……って。」

 「レイにぃの仮説が正しいとすると、それをされると困る人たちが大勢いるっていうのはわかる?」

 「それは……わかる……けど。」

 「側近の中に、その関係者がいないって言いきれる?」

 「それは……」 

 ソフィアが押し黙る……まぁ、側近を疑いたくない気持ちはわかるけどね。

 「加えて言うなら、ソフィアさん自身が賛成派の可能性もあるって事っすよ。」

 リィズちゃんが補足してくれる。

 「そんな……ひどい……。」

 「そういう可能性もあるって話よ。……まぁソフィアがどっち派でも構わないんだけどね。」

 「えっ?……どういうこと?」

 ソフィアが目を丸くしている。

 「リィズちゃんたちにとって重要なのはそこじゃないって事……まぁ、今となっては私もね。」

 結局のところソフィアはお姫様だから……国があっての立場の人だから、理解できないだろうね。

 

 だけど……これは困ったことになりそうだわ……。

 とりあえずお互いの立場を確認しておかないとね。

 「リィズちゃん、ソラちゃんはこれからどうするつもり?」

 「ワタシも、ソラも、ねぇねとにぃにを助けに行く……けど、それまではカナミと行動を共にするっすよ……安全が確認できるまでは……約束っすから。」

 ソラちゃんもリィズちゃんの言葉にウンウンとうなずいている。

 「リィズちゃんもソラちゃんも、とりあえず私と同じ方針でいいとして……ソフィアは?」

 ソフィア考え込んでいる……というより悩んでいるようだ。

 「ソフィアはどうしたい?ソフィアがどういう結論を出したとしても、エルファント領もしくは王都までは付き合ってあげるわ……友達だからね。」

 「王都までって、……その後は手伝ってもらえないのかしら?」

 ソフィアは、自分なりの答えが正しいかどうか判断が出来ない……という感じらしい。。さっきよりは力のある目の色をしているのだけが救いかな?


 「うーん、状況次第かな?さっきも言ったけど私たちにとって重要なのは、レイフォードさんだからね。」

 そう、ソフィアには悪いけど、センパイの存在がはっきりしたからには、国がどうこうとかどうでもいいんだよ。

 「センパイが神様と戦うっていうなら、たとえ女神さまでも敵に回すよ!」

 私はグッと拳を握る。……つい声が出ちゃったよ。

 (できればそんなことがないことを望みますが)

 突然、少し困った感じの声が響き渡る。

 「この声は……ミルファース?どうして?教会でもないのに……。」

 (ファルスがいますから、声くらいなら何とか届けられます。とはいっても、そんなに長い時間は難しいので、用件だけ伝えます。

 半年……半年の間はアルガード王国から出ないことを望みます。

 半年の間は、どこに行ってもレイフォードには会えませんので、どこにいても同じでしょう?)

 「半年たてばセンパイに会えるってこと?」

 (それはあなた方の行動次第です。今言えることは半年の間は、どうあがいてもレイフォードと会う事は叶わないという事だけです。ですので、その半年間は、アルガード王国からでないことを願います。)

 そう言って、ミルファースの気配が消える。

 現れた時と同じぐらい唐突だった。

 

 「いきなりだったね。……女神さまって、どうしてあぁも勝手なんだろうね?」

 私は笑いながら皆を見回す。

 「カナミが女神に喧嘩売るからっす。」

 リィズちゃんがバッサリと切り捨てる。

 「喧嘩売ったつもりじゃないんだけどね。」

 私がそう言うと、じゃぁ、それ以外になんて言うっすか?とリィズちゃんが言う。

 「じゃぁ、リィズちゃんは、センパイが神様と戦うって言ったらどうするの?」

 「女神を蹴散らすに決まってるじゃないですか。」

 何をバカな事聞くんすか?と、呆れたような目で私を見るリィズちゃん。

 ……それ、私と同じだよね?だよねっ?

 「ハーイ、ボクも、ボクも!天使でも神様でも悪魔でも……、おにぃちゃんの敵はボクの敵だよ!」

 ……私と同じこと言ってるよね?そうだよね?

  

 「あのぉ……そろそろ私の話も聞いてもらえるかな?」

 そう言ってくるソフィアはなぜか涙目だった。

 「あ……。」

 ……忘れてたわけじゃないからねっ。


 「とりあえず、私は王都に行って、王様に今回の事を報告しようと思う。その後の事は……これから考える。」

 「行き先は王都ってことでいいね。……まずは、ミンディアに向かいましょうか?あそこには教会もあるし。」

 私はソフィアの言葉を聞いて、この先の方針を決める。


 「じゃぁ、方針も決まったことだし、ソフィア……あとお願いね。私とリィズちゃんとソラちゃんは、ちょっと出かけてくるからね。」

 何かあればリーンに言ってねとソフィアに伝え、私はリィズちゃんとソラちゃんを連れだす。


 「さて……と、ここなら邪魔が入らないかな?……一応、エアリーズとファルスは周りを見張っていてね。」

 私が何も言わないのに、黙ってついてきた二人に向き合う。ついでに精霊さんたちにお願いもしておく。

 「そうっすね。ここなら、十分すね。」

 リィズちゃんの目が怪しく光る。

 「ん?お姉さん殺るの?」

 ソラちゃんがワルサーを取り出す……ちょ、ちょと、勘違いしないでね。

 ……意外と過激な子だよ。


 「ソラちゃん、違うからね……とりあえず、それしまってね。」

 ソラちゃんは、チェーと言いながらワルサーをしまう。

 センパイ、この子にどんな教育してるの?


 「ここなら、ちょっとやそっと大きな声出しても大丈夫でしょ。

 リィズちゃんは分かっているみたいだけど、二人をここに連れてきたのは……思いっきりセンパイの事話しましょ♪

 ソラちゃんも淋しかったでしょ。私に甘えていいからね。 

 私もこっちでのセンパイの事、どんなことでも聞きたいし。」


 「そうっすね、ワタシも昔のにぃにのこととか、カナミとの関係とか気になるっす。……ただ、現実を知って落ち込んでも知らないっすよ。」

 リィズちゃんが不敵に笑う。

 「リィズちゃんこそ、私とセンパイの深い絆を知って落ち込まないでよね。」

 私もリィズちゃんに笑い返す。


 何のことはない、私はただ、この二人ともっと仲良くなりたかっただけなのだ。

 たぶん二人も同じように思ってくれている……と思う。

 私が大好きなセンパイが大事にしている子達だからね。

 

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 「落ち込んでも知らないっすよ!」

 ワタシは目の前の聖女……カナミに挑戦状を叩きつける。

 「リィズちゃんこそ落ち込まないでね。」

 カナミは臆した様子もなく挑戦状を叩き返してくる。


 ソフィアとの話に一段落が付いた後、カナミは私達を誘ってここに来た。

 あまり他に聞かせたくない話をしたいのだろうと見当がつく。

 そして、その話の中心はにぃにの事になるに違いない。

 カナミとはまだ、2日程の付き合いだが、どういう性格なのかはよく分かった。

 そして、どれだけ深く、にぃにの事を想っているのかも。

 私たちはきっと仲良くなれるだろう。

 なんて言ってもカナミは、にぃにが「私達と同じぐらい大事な人」と言った相手なのだ。


 だからこそ……ワタシは負けられない。

 対等でいることをカナミも望んでいると思う。

 カナミも含めた皆で、にぃにを笑顔で迎えるためにも……負けないからね。

 覚悟しなさいよ、カナミ!

 

カナミ編です。

ソラ視点で始まりリィズ視点で終わっています。


……なぜだろう?カナミが絡むと、ストーリーが止まってしまうのは気のせいでしょうか?

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