誤解や行き違いは誰にでもある
「いやっいやいやいやでもでも…次にこう書かれてます!!!。」
「『『大事なモノを奪われたさみしがりのパン泥棒には代わりに大きなデニッシュを食わせてやった。』これは説明するまでもないでしょう。』って」
「大事なモノってなんの……=3」
「信仰だそうです。。。。」
「「「「信仰?」」」」女性陣は偶然にもハモッた。
落ち着いて考えれば教会のお偉いさんだったら言いそうだと理解したが、なんでメルロにまで当てはまるのかが理解できなかった。
「………えと、もっとわかりやすい部分があるんです。まってください!」
「んと『蛇食女は男性の機能を物理的に奪うのだろう』と書かれた後のところなんですが。」
「えーと、えと、あ、ここだ。『「我々は女人禁制ではない教会も持っているが、基本は女人禁制の教会だ。そして、男性だけにある唯一絶対のものを、物理的に奪われたら、それこそが信仰を奪われることになるんだ!。」』つまりチ●●ですよね!?」
((((…そうきたか…))))
反応を見せない女性陣にあせってメルロは畳みかけるように話す。
「でもでも信仰や信仰心って僕はよくわからないのですがぁぁぁ!!」
「信仰や信仰心ってところをチ●●に置き換えると理解しやすくなるとこがたくさんあるんですって!」
「えとえとえと……」
「あ!ここ、『一人が笑いながら「まあまあ、冷静に考えましょうよ。もし蛇食女の邪魔をしたとしても、我々の何が奪われるっていうんですか?大事なものって何ですか?教会の宝物でもありますか?」』」
「これに対してガスさんって人が答えてる部分を置き換えると『もうお気づきの方もいらっしゃるんじゃないのでしょうか。我々の大事なものとは『チ●●』そのものです。』」
「『つまり!!。ここに隠されているメッセージとは!!、『お前たちの『チ●●』を奪ってやる!』という蛇食女から教会に対する挑戦状なのです!!!』』」
聞きながらメイド3人はゆっくり等間隔に離れ互いに干渉しあわない距離をつくった。そして少し上下に揺れていた。
フレデリカは鬼の形相で何かに耐えていた。それにメルロは気が付いてびびり、焦りながらも続ける。
「『私たちは、『チ●●』によって結ばれているのです。それを脅かされることは、私たちにとって何よりも大切なことです。だからこそ、このメッセージを真剣に受け止め、蛇食女を倒すために行動しなければならないのです!』」
3つ目からはもうだめだった。
メイド3人は後ろを振り向き、肩を上下に震わせていた。エレナは肩を震わせながらも何かに耐えつつ何かをメモしていた。
「えぇぇとえぇぇと。あ、ガスさんとジェームズ牧師が聖騎士団を呼ぶか呼ばないかで争っている部分についてもぉ」
「『ジェームズ:待ってくれ、ガス。蛇食女を倒すというのは大変危険なことだ。我々は神の御託宣を説く者たちだ。暴力を振るうことは許されないことだ。』ってこれ対してガスさんはぁ」
「『ガス:でも、ジェームズ。蛇食女は我々の『チ●●』を脅かす存在なのだ。もし放っておけば、教会は滅びる運命にあるかもしれない。それを防ぐためには、手段を選ばなければならない。こういう時の為の聖騎士団ではないか。』ってほら、わかるでしょう?」
4つ目でフレデリカは肩を震わせながら天を仰いだ。其の顔は見る人が見れば悲しんでいるかのようにもみえた。
後ろの3人は肩を激しく震わせ立ってられなくなり膝を折った。エレナはメモとペンを持ったまま肩を震わせ書くのをやめた。
ものすごい破壊力だった。
まじめな議事録のハズなのに1つの単語を変えるだけでこうも違ってくるのかと。
「メルロ………お前ちょっとまて…」ハンスが口をはさんだ。
「昨日だってお前、厠へいったろ?…その時にほら……確認できただろ?」と、この場でもっとも大事な事を聞くハンス。
「………はい。しましたね。」
「ん??………………えっと……その時はぁ…どう思ったんだ?…ん?」様子がおかしいと思いつつも回答を促すハンス。
フレデリカや他の3人も少し落ち着いたようで深呼吸をしながらメルロに顔を向けてきた。
「………先週、ピーターと畑仕事をしてたときの事なんですけど………」と切り出すメルロ
「ん……先週の事が今関係するのか?」とハンス
「はい。………ピーターがトカゲを見せてくれたんです。でもせっかく捕まえてくれたトカゲをにがしちゃったんです。」とメルロ
「ただ、なんで逃げられたのかわからなかったんです。しっぽをしっかり握っていたのにって。」
「そしたらしっぽは握られたままだったんです。しっぽが切れてしまったんですね。僕びっくりしちゃって。」
「トカゲにとんでもない可哀そうな事をしちゃったって言ったらピーターは『そういうものです。また生えてきますから大丈夫ですよ。』って言ってたんです。………………」
「うん。………………で?」ハンス
「自分の『チ●●』もあっという間に生えてきたのかなって」
メイド3人も即後ろを振り向き、土下座でもするかのようにうずくまって大きく震えていた。
怒っているとアピールするの為に腕を組んでいたフレデリカは、手のひらで顔を見られないように覆い再び天を仰いで震えた。
(ずるい。うしろの3人ずるい。私だけなんでこんな至近距離でくるしまなければならないの?)
(『あっという間に生えてきたのかなって』ってなに?、いくら記憶喪失だからってこれは卑怯よ!)
「そういう事か、…………メルロ、お前のそれは大丈夫だ。食われちゃいない。」いつになく優しく説明するハンス
「え!っそうだったんですか?。でもあのジェームズ牧師が心配してくれていたんで僕はてっきり取られていたんだと思ってました。」とメルロ
「誰にだって誤解や行き違いはある。多分、今回もそうだ。第一そこが痛いとかいう事もないんだろ?。じゃあ大丈夫さ。」
「さすがアニキ!!」
((((何がさすがなのかわからない))))
落ち着きを取り戻した4人は再び顔をメルロとハンスに向ける。
「よし、夕飯を再開しよう!。メルロ、ジェームズの様子を見てきてくれ。ついでにもう心配ないはいらないって教えてやれ。」とフレデリカに代わって仕切るハンス
「わかりました。あ。でもあと2つあったんですよ。理解できそうなところ」
「ジェームズさんの『チラシをよく読んでくれ、パン泥棒は粛清されたが命は取られていない。確かに我々に取って『チ●●』を奪われるという事は死ぬことに等しい。が、かといって相手の命を奪ってよいものか?皆よく考えてくれとそして別の道を考えようじゃないか。』とか」
「ガスさんって人の『「ジェームズ、君の言う通りだ。我々は命を奪うことはできない。しかし、この蛇食女の真意を考えた時、もしかしたら彼女自身もまた『チ●●』を重んじる人物かもしれない。そうであれば、彼女と対峙し、説得することができるかもしれない。何もせずにいるわけにはいかない。』とかとても分かりやすいんです。」
「もういい!もういい!」ハンスはこれ以上は危険と判断してジェームズのところへ連れて行った。
4人は一斉に顔をそむけて耐えていたがこらえきれず声がもれでていた。