「知るキンディ」開発秘話㉗
※1 のところで以下のBGMを聞きながら読み進めますと、少しアップテンポな日常風景を想像する助けになるかも知れません。
Big Shot!"寂"
https://www.youtube.com/watch?v=gVLbmqd038I&t=14s
「……カワイィィィィ!!」
「「!?」」
会議室が静まり返った。
ガン!!
ホトケダ・サトシが三本の飲み物をテーブルに叩きつけた。
静かに、しかし確かな力を込めて言った。
「カワイ……。」
「は、はははは、はい。」
カワイ・クリコは震えながら答える。
「……君の趣味についてとやかく言うつもりはない。」
「は、は、はい。」
「……ただ、一つだけ聞いてくれ。」
「は、はい。」
ホトケダ・サトシはカワイ・クリコをまっすぐ見た。
「……イズミ・マネージャーと自分は、清い関係だ。」
「「>(D+゜-゜)<ロギングしました。」」
ホトケダ・サトシはため息をついてから続けた。
「……ある憩い場がある。まあ、アイドルと言っていい。そのファンが集まる場だ。イズミ・マネージャーとはその縁で親しくなった。それだけの話だ。」
「は、はい。」
「……限定グッズはその場でお世話になった感謝の気持ちで渡した。それに感激してくださったイズミ・マネージャーがその気持ちを抱き着くという事で表現した。そういう経緯だ。」
「は、はい。」
「……呼び名は、二人の間で自然に生まれたものだ。業務上の関係を超えた信頼の表れだ。それ以上でも以下でもない。」
「は、はい。」
「……自分たちの純粋な思いを、その汚れた目で見ないでもらえるかな!?。」
「「>(D+゜-゜)<ロギングしました。」」
ホトケダ・サトシはまだ続けた。
「……それだけではない。」
「は、はい?。」
「……君は今日、仮にも上の立場の人間を、意図的にいじくり倒そうとしていたな。」
「は、はい……。」
「……どのようにいじくり倒そうとしていたんだ?。……言ってみろ。」
「は、はい……。……ストレッチの話をされていたので。」
「……ストレッチの話をされていたので?。」
「……た、単なるストレッチじゃないよなぁと思い返したので、その、飾り付けられるこ、言葉を引き出し集めました。」
「ほーう!?。それが!?」
びくっ!
「……あ、愛称で呼び合いながら抱き合うストレッチと言う名の遊びと……」
「ほーう!?。それ正確か!?」
びくっ!
「……て、『定期的に暗い会議室で二人きりで愛称で呼び合いながら抱き合うストレッチと言う名の遊びをされているんですね。』って言いました。」
「他には?」
「は、はい……。……ストレッチからラジオ体操と言い換えてきたので一体何番にそういうのがあるのかと聞きました。」
「それから?」
「……ラジオ体操からオリジナルと言い換えてきたので、オリジナルの抱き合う体操という遊びと言い換え……。」
「ふむ?……ボディランゲージと言えば肢体と言い換え、乱交などという言葉まで使った。」
「は、はい……。」
「……あれは意図的にやっていたな。」
「「>(D+゜-゜)<ロギングしました。」」
カワイ・クリコはしばらく黙っていた。
「は、はい……ごめんなさい。」
「……そうか。」
ホトケダ・サトシは一息置いた。
「……自分はな、カワイ君。」
「は、はい……。」
「……君の仕事ぶりを、かなり高く評価している。」
「は、はい……。」
「……だからこそ言う。」
「は、はい……。」
「……イズミ・マネージャーは、この会社でお世話になっている上の人間だ。その方を、趣味の延長でいじくり倒そうとするのは、許せない。」
「「>(D+゜-゜)<ロギングしました。」」
会議室が静かになった。
カワイ・クリコは涙目のまま、小刻みに震えながら頷いた。
「は、はい……。」
「……判ってくれるか。」
「は、はい……。」
「……よし。」
ホトケダ・サトシは静かに息を吐いた。
カワイ・クリコは涙目のまま、また小刻みに震えながら頷いた。
イズミ・マネージャーはその姿を見て気の毒に感じていた。
◇
※1
社員食堂の隅のテーブルに三人が座っていた。
フジミ・ノゾミは解放されたカワイ・クリコを不思議そうに見ていた。
タケノ・コマリは腕を組んでいた。
カワイ・クリコは説教された時の気分を引きずりテーブルに付していた。
「……で、なにしたのよ?カワイ。」
フジミ・ノゾミが身を乗り出した。
「……内緒だよ?。」
「……うん。内緒にする。」
「……絶対、内緒だよ?。」
するとタケノ・コマリも近づいてきた。
「……ミーティングのために会議室に行ったら。」
「……会議室に行ったら?。」
「……暗い会議室でホトケダさんとイズミ・マネージャーが。」
「……ホトケダさんとイズミ・マネージャーが?。」
「……抱き合ってた。」
「「……ええ!?」」
「シッ!……もっと声抑えて!!。」
「いや、だって……」
「ねえ?」
フジミ・ノゾミとタケノ・コマリは互いに目くばせをして頷きあう。
「これヤバイって思って見なかった事にして逃げた。……そしたら。」
「……そしたら?。」
「二人が血眼になって追いかけてきた。」
「「お、おう……」」
しばらく沈黙した後、タケノ・コマリが口を開いた。
「……それで?。……捕まった後、どうしたの?。」
「……ホトケダさんに説明してもらいました。」
「何て?。」
「……清い関係だそうです。」
フジミ・ノゾミが少し止まった。
「……清い関係。」
「はい。……あとは、ある憩い場のファンが集まる場で親しくなったそうです。」
「憩い場のファンが集まる場。……ある種の出会い系かな?。」
「はい。」←※無責任
「……それで暗い会議室で?。」
「……限定グッズを渡して感激した気持ちを抱き着くという形で表現されたそうです。」
フジミ・ノゾミはしばらく黙っていた。
「……カワイ。」
「はい。」
「……それ、確定じゃない?。」
「……ですよね!?、さすがに疎い自分でも判ります。……ホトケダさんが真剣な顔でおっしゃっていましたので。」
タケノ・コマリが口を開いた。
「……まあ、でも、色恋沙汰だったとしても清い関係なんじゃないの?。普通に考えて。」
「お、出た。スケパン刑事タケノコ・マリの名推理が冴えわたる!。」
「スケパンじゃねぇよ!。スケバンだろぉ!?って名推理ってなに!?コロ●ボ見たいに言うな!!って、そういう事じゃねぇよ!!ああ!!もう!!」
フジミ・ノゾミがタケノ・コマリをいつも通りいじり倒す。
「……でも、ホトケダさんってその手の人じゃないと思うけど。」
「どういう人よ。」
「……真面目な人。仕事に一直線な人。」
「だからこそ!。」
「だからこそ何よ。」
「堕ちるときは一瞬なんだってパターンもあるじゃない!。」
「「>(D+゜-゜)<ロギングしました。」」
二人のやり取りを聞いた後、カワイ・クリコは水をひと口飲んだ。
「……フジミィ。」
「何?。」
「私……純粋な思いを汚れた目で見ないでもらえるかと怒られました。」
フジミ・ノゾミの動きが止まった。
「……純粋な思いを。」
「はい。」
「……汚れた目で見るな、と。」
「はい。」
「……カワイに言ったの?。」
「はい。」
「「>(D+゜-゜)<ロギングしました。」」
フジミ・ノゾミはしばらく黙ってから呟く。
「……なんか。」
「何?。」
「……なんか、ちょっと、胸が痛い。」
タケノ・コマリが噴き出しフジミ・ノゾミに言う。
「ほら、やっぱり清い関係じゃない。」
「……清い恋人関係って事よ!?。」
「ええぇ?。」
「判らないの?。プラトニックな関係って事でしょ?」
「……ホトケダさんがそう言ってますし、そうなのかもしれない。」
「……其の上で、純粋な思いを汚れた目で見るなって言われたら。……なんか、こう、ぐさっと来るじゃない。」
フジミ・ノゾミは少ししょんぼりしながらカワイ・クリコの後に続いた。
「なんでアンタがダメージ受けてんのよ。」
「「>(D+゜-゜)<ロギングしました。」」
「だって!自覚あるもん!!すぐにくんずほぐれつを想像して!!ワタシの趣味は汚れてるって……。」
フジミ・ノゾミはテーブルに突っ伏した。
「傷つくんだったらやめればいいじゃなーい?……。」
ため息交じりでタケノ・コマリが指摘する。
「それができれば苦労はしない!!……あの日あの時あの場所で、この道に一歩踏み込んだ時からこうなる運命だったのよ……。」
「何が苦労、運命よ?普段から喜んで突き進んでる癖に……。」
「わっかる~?♪。」
「判らいでか!!。」
「でも口にされると傷つく!!。」
「だったらやめろぉ!!。」
「ヤダ!!。」
「「>(D+゜-゜)<ロギングしました。」」
アップダウンの激しいフジミ・ノゾミのリアクションの後
カワイ・クリコが静かに言った。
「……フジミさん。」
「何よ。」
「……ホトケダさんは、イズミ・マネージャーとの関係について、業務上の関係を超えた信頼の表れだとおっしゃっていました。」
「……業務上の関係を超えた信頼の表れ。」
「はい。……それ以上でも以下でもないと。」
「……か、確定じゃない!!どう考えても!?。」
タケノ・コマリがため息をついた。
「……いや、その手の話じゃないんじゃないの?。」
「……でも暗い会議室で愛称で呼び合って抱き着いてたじゃない。」
「ん?んんんん…………。」
「……そういう関係じゃないのにそんな事する?普通?。」
「「>(D+゜-゜)<ロギングしました。」」
カワイ・クリコが静かに言った。
「……フジミさん。」
「何よ。」
「……私、その筋の人に逆切れされて堂々と純愛宣言された上、泣くまで説教されたのって初めてだよぉ?」
「……うん。それは私も経験がない。」
「……慰めてくれよぉ。」
フジミ・ノゾミはテーブルに突っ伏したままのカワイ・クリコの頭をなでる。
「よしよし…………。」
「……しかも幻魔空間をワタシの趣味って勘違いされてたしぃ?。それ大好きなのフジミィなのにぃ。」
「んーとそれは間が悪かったね…………。」(否定はしない)
「……人に口止めされたのだって初めてだし。」
「いや、喋ってるじゃん。」
タケノ・コマリが静かに突っ込む。
「……二人だから喋ったの!。内緒だからね!?絶対だよ!?」
「ハイハイ。」
「判った。判った。」
カワイ・クリコの誤解は解けるどころか、確定情報として3人の共通認識となった。
「……ちなみにぃ。」
「「うん?」」
「……二人の裏切りは一生胸に刻んで置くからね?。」
「「ゲッ!?」」
「し、心配してたのは本当だって!」
「そうよそう、結局、金一封貰えなかったんだからチャラよチャラ!お願い!チャラにして?」
「あ、アイス食べよ!奢っちゃうよ?ここのパフェおいしいんだよね……だから見逃して……」
「あ、ズルい!アタシも奢っちゃう!何がいい?カワイィ?。」
ハイスペックな復讐を恐れたタケノ・コマリとフジミ・ノゾミは何とか回避しようと焦った。
「……奢らなくていいから、もっと慰めてぇ。」
※2
奢らなくてもいいという破格の条件に、二人は一瞬顔を見合わせテーブルに突っ伏したままのカワイ・クリコの頭をムツゴ●ウさんのようになでまくった。
「「よ、よーしよしよしよしよしよしよし、いいこだねぇ…………。」」
※三人の間で交わされる幻魔空間とは一般的なやおいとは一味違う。イケメンではない登場人物(男)同士のからみについての事であり三人の間でだけで通じるワードである。
※2 のところで以下のBGMを聞いて読み進めますと、仲良し3人組の空間を想像する助けになるかもしれません。
おいしい給食テーマ
https://www.youtube.com/watch?v=xMdLyc-OUOc&list=PL4UMlWGx1pf680UO47Ew4GSHtshLCtHrY&index=7




