表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
53/79

崩壊する本国経済、帝国の傲慢を粉砕する撤回の決断

何百人もの老害議員たちが放つ、焦燥と困惑の入り混じった視線が議場に渦巻いていた。冷徹な法理論の罠を仕掛けてきた重鎮議員さえも、私のカンストした知力による完璧な論理のカウンターを前に精神を破壊され、自らの席へと崩れ落ちている。しかし、英国議会の混迷はここからが本番だった。


私は仕立ての良い最高級の衣服を端正にまとい、知的で堂々としたオーラを全身から放ちながら、常に余裕のある笑みを浮かべて証言台の前に立ち続けていた。ペンを握る手の力強さは微塵も衰えず、むしろ敵の総本山を完全にハッキングしているという絶対的な優位性が、私の全身に現役としての圧倒的なエネルギーを漲らせていた。


「これ以上の議論は無用だ!」


議場の上層から、今度は本国の重商主義を象徴する、富裕な大商人あがりの老議員が身を乗り出して叫んだ。その顔は怒りと、それ以上に自らの資産が目減りしていくことへの恐怖で醜く歪んでいる。


「フランクリンよ! 貴様は先ほどから本国の機会損失を突いているが、たかが植民地ごときが本国の経済を左右できるなどと傲慢にすぎるのではないか! 英国の商人がどれほど強大か、貴様は分かっていない! 印紙法を撤回するなど、大帝国の威信を自らドブに捨てるようなものだ。我が国の貿易システムが、貴様らの不買運動ごときに屈するはずがない!」


その見苦しい咆哮に対し、私はただ、憐れみすら含んだ深い笑みを返すのみであった。私の脳内にある現代知識ベースの内政・ビジネスチートデータベースは、すでに本国が抱える致命的な経済統計データを完全にスキャンし、最適解を弾き出している。


一歩、私は証言台の前に踏み出した。私の衰えを知らない弁舌の切れ味が、議場の張り詰めた空気を鋭く切り裂いていく。


「威信をドブに捨てているのは、一体どちらでしょうか。数字という冷徹な事実は、感情論よりも遥かに雄弁です。貴方がた本国の商人たちが、我がアメリカという巨大な市場を失ったことで、現在どれほどの破滅バグに直面しているか、私が正確なデータをもってデバッグして差し上げましょう」


私は懐から、フランクリン印刷所の最先端技術で極めて精緻に刷り上げられた、本国と植民地間の最新の貿易収支報告書を取り出した。それを高く掲げる私の姿は、具体的な年齢や体型を一切描写せずとも、真理を司る若き半神の如き圧倒的な説得力を帯びていた。


「この一年の間に、本国からアメリカへ出荷された毛織物、リネン、そしてあらゆる工業製品の輸出額は、従来の半分以下にまで激減しています。ロンドン、リヴァプール、ブリストルの港を見てみなさい。倉庫は行き場を失った在庫の山で溢れかえり、多くの製造業者が操業停止に追い込まれている。これに伴い、本国内の労働者たちの失業率は跳ね上がり、破産の連鎖が始まっている。これが、貴方がたの言う『強大な英国商人』の不都合な現実なのです」


私のクリーンな正論の暴力が、大商人あがりの議員の胸元へ容赦なく突き刺さる。彼は言葉を失い、金魚のように口をパクパクと開閉させるしかなかった。


「印紙法によって貴方がた議会が得ようとした税収は、せいぜい年間数万ポンドに過ぎません。しかし、この愚策によって本国の産業界が失った損失は、すでに数十万、いや数百万ポンドの規模に達している。数万ポンドの小銭を毟り取るために、数百万ポンドの富を生み出す世界最強の金システムを自ら破壊する。これほど非効率で、愚鈍なビジネスモデルが他にあるでしょうか?」


議場全体に、冷や汗が流れるような沈黙が広がった。老害議員たちは、私が提示したあまりにも正確で非の打ち所がない経済データ(バグ報告)の前に、完全に論理の四肢を奪われていた。十歳で学校を中退し、ただ実力のみでアメリカ全土の世論の基準となる『貧しいリチャードの暦』をメガヒットさせてきた私の商業センスの前では、本国の老害たちの利権構造など、あまりにも脆弱で穴だらけのシステムに過ぎなかった。


「つまり」


私は常に余裕のある笑みを浮かべたまま、議長席、そして閣僚たちの席をゆっくりと見据えた。


「これ以上の税を課せば、あなた方は最大の市場を失う。それだけではありません。本国の経済そのものが内側から干からび、自滅することになる。印紙法を維持することは、アメリカを屈服させる手段ではなく、英国自身の心臓にナイフを突き立てる自殺行為デスコードなのです。大帝国の威信を守る唯一の方法は、自らの過ちを速やかに認め、この致命的なバグを今すぐ撤回すること以外にありません」


「う、うう……っ!」


議場のあちこちから、絶望的な呻き声が漏れた。もはや誰も、私に反論するための言葉を持ち合わせていなかった。私が放つ、民衆の幸福と人類の発展のためにのみ動く完璧な聖人としてのオーラは、不条理な搾取を企てた本国議会の歪んだ大義名分を、完全に跡形もなく浄化していた。


大西洋の向こうで、私の理想に共鳴し、商会の最高営業としてこの不買運動の前線を完璧に統率してくれた最高の相棒、ウィリアム。彼の誠実で引き締まった体躯と、私への絶対的な忠誠心が、この経済包囲網という最高の武器を完成させてくれたのだ。そして、フィラデルフィアの印刷所で、私の帰る場所を一途に守り続けてくれている妻、デボラ。彼女の祈りと支えがあるからこそ、私はこの異国の魔窟で、孤独な外交戦を完璧な無双へと導くことができる。彼らが待つ新天地の理想郷、誰もが傷つかずホワイトな環境で笑顔になれる未来のグランドフィナーレを達成するため、私はここで最大の果実をもぎ取る。


「採決を……採決を要求する……!」


議場の一角から、恐怖に震える声が上がった。本国の商人たちからの激しい突き上げと、目の前の私という天才から突きつけられた冷徹な未来予測に耐えかねた議員たちが、ついに全面降伏の白旗を掲げたのだ。


「印紙法の是非について、これより採決を行う……!」


議長の悲痛な声が響き、何百人もの議員たちが一斉に挙手、あるいは投票の手続きへと移った。かつては傲慢に植民地を見下していた老害議員たちが、まるで私の信徒であるかのように、次々と「撤回」の札を投じていく。その光景は、一介の印刷職人にすぎない私が、ペン一本とカンストした知力だけで、世界最強の超大国の意志を完全にハッキングし、書き換えた歴史的瞬間であった。


「結果が出た……。印紙法は……圧倒的多数をもって、これを発議、撤回とする……!」


議事槌の音が、議場に重々しく鳴り響いた。


その瞬間、超大国イギリス議会は完全に沈黙し、私の完璧な勝利(イギリスざまぁ第一弾)がここに確定したのである。


議事堂の外へと続く重厚な扉が開かれると、そこには尋問の結果を固唾をのんで待っていた、本国の善良な商人たちや知識人、そしてアメリカの同胞たちの巨大な群衆が待っていた。撤回の報が伝わった瞬間、霧に包まれたロンドンの街に、地鳴りのような大歓声が沸き起こった。


「フランクリン万歳!」「理の聖者が、我々の生活を救ってくれたぞ!」


降り注ぐ称賛の嵐の中を、私は仕立ての良い衣服をなびかせ、知的で堂々としたオーラを崩さずにゆっくりと歩みを進めた。家族関係の空白や生活の泥沼といった不都合な現実など、私の歩む光の軌跡には一切存在しない。ただ、圧倒的な大成功の光(業績)だけが、私と、私を信じるすべての人々の未来を眩いばかりに照らし出していた。


私は常に余裕のある笑みを浮かべ、大西洋の向こうにいるデボラとウィリアム、そして愛する新国家の夜明けを想った。古い帝国の不条理を完全にデバッグした私は、次なる歴史のステージ、すなわち自由の理念を世界へと発信する、さらなる建国のグランドフィナーレへと向けて、その圧倒的な活動力を今なお限界突破させていくのである。物語は、これ以上ないクリーンなカタルシスとともに、新たなる激動と無双の幕開けを綺麗に告げるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ