↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サクラとマサムネ異世界ほろ酔い漫遊記  作者: まほ。かんた。
PR
40/40

最終話『酒を呑んだらわかる』

酒豪達と禁酒主義者達の戦いは、ついに最終局面へ。

そしてマサムネ達の旅路は、思いもよらない結末を迎えます。

 まばゆい光が世界を包み込む。


 白。


 白。


 白。


 何も見えない。


 何も聞こえない。


 ただ光だけが広がっていた。


 やがて――


 どこか遠くから声が聞こえてくる。


 「マサムネさん」


 「マサムネさん」


 聞き覚えのある声だった。


 「もう閉店ですよ」


 その瞬間。


 意識が浮上した。


 マサムネはゆっくり目を開ける。


 見慣れた木のカウンター。


 居酒屋の暖簾。


 酒瓶の並ぶ棚。


 そして。


 目の前には呆れた顔の女性がいた。


 「やっと起きましたか」


 カスミだった。


 エプロン姿。


 店の制服を着ている。


 見慣れた居酒屋の店員だった。


 マサムネは辺りを見回す。


 酒場ではない。


 異世界でもない。


 見慣れた居酒屋だった。


 「……あれ?」


 思わず呟く。


 カスミは深いため息をついた。


 「また飲み過ぎたんですか?」


 「閉店時間ですよ」


 マサムネは頭を押さえた。


 少し痛い。


 二日酔いだろうか。


 妙に現実感がある。


 「俺……」


 「何してたっけ」


 カスミが呆れたように言う。


 「何って」


 「飲んで寝てました」


 「いつものことです」


 マサムネは黙った。


 頭の中が妙に混乱している。


 夜行列車。


 サクラ。


 ジャック。


 ジン。


 シャルドネ。


 ジロー。


 マジナノ。


 魔神シドウ。


 色々な記憶が浮かぶ。


 だが。


 どれも夢のように曖昧だった。


 その時。


 店の奥から声が聞こえた。


 「先輩」


 振り向く。


 そこにいたのはジローだった。


 禁酒教団の制服ではない。


 普通のスーツ姿。


 書類鞄を持っている。


 「帰り道気を付けてください」


 「かなり飲んでましたから」


 マサムネは目を瞬かせた。


 「ジロー……?」


 「はい?」


 「どうしました?」


 本人は不思議そうな顔をしている。


 マサムネは首を振った。


 「いや……」


 「何でもない」


 カスミが言う。


 「だから前から言ってるじゃないですか」


 「酒に溺れたら駄目ですって」


 「先輩、もう若くないんですから」


 「余計なお世話だ」


 マサムネは苦笑した。


 そして立ち上がる。


 会計を済ませ。


 暖簾をくぐる。


 夜の街だった。


 冷たい風が吹いている。


 見慣れた街並み。


 見慣れた道路。


 見慣れた現実。


 マサムネは空を見上げた。


 「夢だったのかな……」


 サクラ。


 酒豪達。


 夜行列車。


 全部。


 夢だったのかもしれない。


 そう思った。


 その時だった。


 遠くから大きな音が聞こえる。


 ブォォォォォン!


 大型トラック。


 猛スピード。


 こちらへ向かってくる。


 「……は?」


 マサムネが振り向く。


 次の瞬間。


 強い光が視界を埋めた。


 そして――


 再び目を開く。


 真っ白な空間。


 どこまでも広がる白。


 その中央に一人の女性が立っていた。


 見覚えがある。


 いや。


 忘れるはずがない。


 女神ヘーベだった。


 「ようこそ」


 ヘーベは微笑む。


 マサムネは頭を抱えた。


 「……夢なのか?」


 「現実なのか?」


 ヘーベは少し考える。


 そして。


 楽しそうに笑った。


 「それは――」


 答えは短かった。


 「酒を呑んだらわかる」


 マサムネは呆れた。


 「なんだよそれ」


 ヘーベは笑う。


 その笑顔の向こうで。


 どこか懐かしい桜色が見えた気がした。


 そして――


 物語は静かに幕を閉じる。


            完


最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。


『サクラとマサムネの異世界ほろ酔い漫遊記』はこれにて完結となります。


酒を愛する者達との出会い。

禁酒主義隊との騒動。

そしてサクラとして過ごした不思議な日々。


それらが夢だったのか、現実だったのか――。


その答えは、もしかすると酒を呑んだ時にわかるのかもしれません。


またどこかで、マサムネ達とお会いできる日がありましたら幸いです。


ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。