第42話・大暴走<スタンピード>③
【1月17日10時00分――対策本部・ブリーフィングテント】
対策本部内に設置された大型テント。
分厚い防寒幕で囲まれた内部には、簡易机と椅子、そして中央にはプロジェクターと大型スクリーンが設置されていた。
この場に集められていたのは、諏訪尊に選抜されたBランク以上のハンター総勢30名。
そして、その中には――明らかに場違いな6人の高校生の姿もあった。
屈強なハンターたちが並ぶ空間は、明らかに異様な圧を放っている。
「……なんだろう。ここにいるのが、どうにも場違いな気がするんだ」
翔馬が、テントの隅で肩をすくめる。
「翔馬くん。そんなことを気にしてちゃダメだよ。選ばれたんだから」
真が小さく笑う。
「その通りだ。翔馬、堂々としていればいい」
二人のすぐそばで、腕を組みながら言う政美。
その立ち姿だけで、周囲のベテランハンターにも負けない威圧感がある。
「そんなこと平然と言えるの、政美ちゃんくらいだよ……」
普段なら軽口ばかり叩く巧ですら、今日は妙に静かだった。
漂う空気が、それほどまでに重い。
そんな時――
「世渡くん、諏訪くん」
聞き覚えのある声に二人が振り向く。
「「乃木さん!?」」
そこに立っていたのは、ハンタースーツに身を包んだ乃木しおりだった。
「久しぶりね。元気だった?」
「はい!」
しおりの顔を見て笑顔が溢れる二人。
「乃木さん、仕事は?」
「故郷の大ピンチなのよ。仕事なんかしてられないわよ」
「だ、大丈夫なんですか?」
「ふっ、大丈夫じゃないわね」
と苦笑いのしおり。
「今、新曲の振り入れとMV撮影で忙しいのよ」
「.....そんな重要なこと言っていいんですか?」
「んっ?大丈夫よ、曲名とかどんな曲か言ってないし.....たぶん.....」
最後は消えるような小さな声。
「「いや、たぶんって……」」
翔馬と真は同時にツッコんだ。
その時。
「皆、集まってくれたな」
尊が前へ立った瞬間、テント内の空気が一変した。
ざわめきが消え全員の視線が尊へ集中する。
「ここに集まった皆にはこれより特別任務に参加してもらう」
特別任務という言葉に固唾を呑む翔馬。
「映像を」
スクリーンに巨大狼型魔獣の姿が映し出される。
巨大な体躯。
岩のような四肢。
鋭く伸びた爪。
そして、獣とは思えない禍々しい双眸。
スクリーン越しですら、本能が警鐘を鳴らすほどの圧迫感だった。
「あの洞窟の奥に巨大狼型魔獣が発見された。我々はこの魔獣の殲滅を行う」
尊は静かに続ける。
「作戦内容はこうだ。1130に洞窟入口の瓦礫を撤去し溢れ出る魔獣との戦闘を再開する。だが、この対応は我々以外のハンターで行う。そして、我々は1145より洞窟内部へ潜入を開始。偵察部隊の先導により最短距離で最奥へと向かい巨大魔獣を殲滅する」
その後、詳しい内容を説明し一拍置き、尊は周囲を見回した。
「質問がある奴は?」
「……一ついいですか」
一人のハンターが手を挙げた。
「作戦内容は理解しました。ただ……なぜ高校生が参加しているんです?」
テント内がザワつく。
もっともな疑問だった。
だが、尊は表情一つ変えない。
「……そう言うと思って、映像を用意した。これを見てもまだ同じことが言えるかな?」
流れたのは、戦技祭決勝の映像だった。
6人が見せた、学生の域を逸脱した戦闘技術。
映像が終わる頃には、先ほどまで文句を言っていたハンターたちの口は、驚愕に閉ざされていた。
「……異論ある奴、まだいるか?」
誰も口を開かない。
尊はニヤッと笑った。
「よし。なら決まりだ。他に質問は?」
テントの中を沈黙が包む。
「それじゃあ、1130の作戦開始まで各自準備を整えるように」
「「了解!!」」
一斉に返事が響き、ハンターたちはテントを出ていく。
だが――翔馬と真は、その場に残っていた。
「翔馬くん。武器、どうするつもりなの?」
真が問いかける。
「ショットガン二丁じゃ、交換ユニットまで持ち歩くのキツくない? 洞窟内で走り回るんだよ?」
「……無理、かも」
今更ながら気づく。
「それじゃ、今から見に行こうか?」
声をかけたのはしおりだった。
「どこにですか?」
「武器保管庫」
三人はテントを出て、別の大型テントへ向かう。
中へ入った瞬間、翔馬は思わず息を呑んだ。
中には、無数の銃器と刀剣が整然と並べられている。
しおりは迷うことなく奥へと進み、一丁の銃を取り出した。
「これなんかいいんじゃないかな?」
それは、異様に長い銃身を持つ巨大ライフルだった。
全長はしおりの身長すら超えている。
「青葉城の逸品の一つ。対巨大魔獣ライフル【建御雷神】」
翔馬の目が丸くなる。
「対巨大魔獣って……いや、デカすぎません!?」
「そりゃ破壊力抜群だからね」
しおりが満面の笑みを浮かべる。
「今回の突入部隊って、接近戦特化の人が多いの。だから尊さん、多分翔馬くんには遠距離からの援護を期待してると思う」
「なるほど」
翔馬は恐る恐るタケミカヅチを受け取る。
ズシリ、と重みが腕へ伝わった。
だが――
「……あれ?」
不思議だった。
重い。
なのに、妙に手に馴染む。
翔馬はゆっくり構える。
長い銃身。
覗き込むスコープ。
肩へ伝わる重量感。
「……なんか、しっくりきますね」
初めて触れたはずなのに。
まるで最初から自分の武器だったかのようにしっくりきた。
しおりは満足そうに頷いた。
「これ持って走るのはキツそうですけど……これでやってみます」
その目には、先ほどまでの不安とは違う光が宿り始めていた。
「それじゃ、弾薬バッグとか予備装備も探そっか」
「はい!」
翔馬たちは武器庫の中を回りながら、迫る戦いへ向け準備を整えていく。
そして――決戦の時は、刻一刻と近づいていた
この度は読んでいただきありがとうございます。
更新遅くなり申し訳ありません。
この作品は、構成、文章を先に考え細かい描写等に関してはAIにて修正しています。
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