色々考えてしまう、秘密基地ごっこ
それにしても、この作品も初掲載から八ヶ月、第五話です。時間が経つのは結構早いんだなと思うこの日頃。
さて、この作品は変った人物が多いです。魔女の優に除霊師の闇代。退魔師の一片に、前回出てきたあの兄妹。しかし、そんな中で狼君だけ普通だなとは思いませんか? あれ、思わないんですか? まあそれはそれとして。今回は、狼君も大分変っちゃいます。どう変るのかは読んでからのお楽しみということで。それでは、『クインテット。ナイツ』の第五話、始まります。
ここはM県Y市の地下を流れる下水道。そこから続く長い道の先、下水の深奥とも言える場所に、何やらごつい扉がある。そしてその扉の先には、異様な、としか表現できない光景が広がっていた。怪しげに点滅を繰り返す謎の電子機器。不気味な色彩を放つ液体と、それで満ちた試験管や巨大な水槽。その傍らに設置されたパソコンには、『W―PROJECT』との表示がある。その表示の下には、何語ともつかないような文章が続いていた。それらを照らす照明は、機器のランプとパソコンのディスプレイだけで、空間そのものが非常に薄暗かった。
「チーフ」
そんな空間にも、人というものはいるようである。白衣を着た女性が二名、パソコンの前で会話している。
「彼らの報告にあった『WOLF SERIES』の成功体の件なんですが。調査の結果、本物である可能性が極めて高いです」
「本当なの、それは?」
「ええ。出自出生不明。密かに採取したDNAからもカモフラージュが検出できましたし、オリジナルデータも成功体のもので間違いありません」
「……そう」
チーフと呼ばれた眼鏡の女性は、その眼鏡を外し、もう一人の女性に指示を出す。
「早急に捕らえなさい。もし万が一目撃されたら、それも一緒に連れてくること」
「目撃者もですか?」
「ええそう。もし私たちのことが世間に知られるようなことがあってはならないしね。その目撃者も、次の実験の贄にすればいい」
「分かりました。では、そのように指示します」
女性が立ち去り、この場にはチーフが一人だけとなった。
「……さて、小宮間静琉のせいで頓挫した計画が、やっと再開出来るわ」
そして彼女は、ただ不気味に微笑むだけであった。




