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10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます  作者: 犬社 護
2章 家族からの別離(現世)

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20/30

19話 猫カフェ建築予定の土地を見学します

お父さん、お母さん、悠太、光希。


猫又のフリードが、私の従魔になってくれたよ。普段は少し怖い口調だけど、食事の時に限り、食レポのうまい芸人さんのような喋り方になります。見ていて愉快で面白い猫…又さんです。おまけに、ルウリと同じくらい強いらしいです。その事をベイツさんに報告するため、猫たちの教育を予定通りに終了させてから、フリードを連れて家へ戻っているところです。


「ベイツさん、只今帰りました」

「おかえり、咲耶。って、その黒猫…いや猫又は?」


玄関扉を開けると、ベイツさんも丁度帰ってきたところなのか、鞄をソファーの上に置くところだった。私はベイツさんに猫の溜まり場で起きた出来事を話し、フリードとルウリの関係性を話すと、彼は黙ったまま、フリードとルウリを見比べる。


「まずは、自己紹介だな。俺は咲耶の保護者兼教育者のベイツだ」

「初めまして、ベイツ。私は、フリードです。まさか、Aランクのベイツが咲耶の教育者とは、いやはや驚きですね」


ベイツさん、凄いな。

世界を渡り歩くフリードにも、名前を覚えられているんだ。


「なあ、フリード」

「なんでしょう?」

「ルウリと同格の強さというのは、本当か?」


さっき私が言ったことだけど、何故フリードに聞き返すの?


「実際に戦ったことはありませんが、まあ相性的なことも考慮して互角でしょうね」

「なんてこった」


ベイツさんは顔を天井に向けて、左手を顔の上に置いて呟いたけど、それはどう受け止めたらいいの?


「貴方の気持ちもわかります。幸い猫又の場合、鑑定されない限り、真の強さは計れませんので、戦闘する際も力を抜くのでご安心を」


「そう言ってくれると助かる。咲耶、よく聞くんだ」


ベイツさんは私に、精霊フェアリーバードと猫又の立ち位置について教えてくれた。フェアリーバードは精霊の中でも上位種に入り、怒らせたら1つの街を簡単に消し去る力を有している。フリードはそのルウリと同格なので、魔物の中でも上位種に入ると言われたのだけど、その実感が全然湧かない。私には、フリードが食レポの上手い猫又に見えるもの。


「咲耶、今後はルウリとフリードの強さのことを、きちんと理解してから行動方針を決めるように」

「わ、わかりました」


とりあえず、私はベイツさんの忠告に頷いた。2体の強さを実際に見ていないけど、それだけの力があることだけは、頭に入れておこう。


「あの、今日の昼食当番は私なんですけど、どうしましょう?」


ベイツさんと話し合っていたこともあり、今から準備すると、遅い昼食になってしまうよ。


「そうだな。皆で、ガブリに行こうか?」

「いいですね!! リットに、フリードを紹介したいです!!」


私たちは家を出て、定食屋ガブリへ向かう。

店に行くのは、3日ぶりかな。


今日で3回目になるけど、リットや彼女の両親とは、店の営業外の時に大通りで2回ほど会っている。リットの父親はアルドさん、がっしりした体格で豪快なおじさんかな。母親はミントさん、少し気の強い女性だけど、どんなお客さんに対しても、ハキハキと応対してくれることもあって、評判もかなり良い。前回、会った時、アルドさんに店名の由来を聞くと、『冒険者たちが、肉汁たっぷり肉厚のあるステーキを笑い声を上げながら、豪快にガブリガブリと食べてほしいため、店の名前を《ガブリ》にしたのさ』と教えてくれた。


「お、見えてきたぞ」


私たちが店内へ入ると、席は7割ほど埋まっており、お客様の全員が男性冒険者だ。ここは安くてボリュームのある肉を提供してくれるため、皆笑顔で美味しそうに肉を食べている。


「ベイツさん、咲耶、いらっしゃい!! 空いている席にどうぞ~~って、尻尾3本の黒猫がいる~~~」


リットは猫好きだから、黒猫のフリードに惹かれちゃったか。ここに来る道中、普段見かけない黒猫が歩いているせいか、フリードを見る人も結構多かったわ。


「こらリット‼︎ お客様なんだから、ちゃんと接客しなさい‼︎」


リットがフリードを触ろうとする直前で、ミントさんが店の奥から出てきて注意してくれた。定食屋の従業員なんだから、鳥や猫に触っちゃダメだよ。そもそも、お客が鳥や猫を店内に入れる行為もダメな気もするけど、この世界では怒られないんだよね。


「は~い、2人とも何にしますか?」


私たちがテーブル席に座ると、お店のカラフルなエプロンを身につけたリットが来てくれた。私は日替わり定食、ベイツさんはガッツリガブリ定食を注文する。


「僕には、小豆煮を頼むよ。ああ、いつも通り薄味でね」


ルウリ、この国の言語で話しているけどいいの?


「了解…って、ルウリは私たちと同じ言語を喋れるの!?」


ルウリ、人前では鳥語でしか話していないので、リットもかなり驚いている。


「猫又のフリードが仲間になった以上、僕だけ鳥語で話すのは、正直面倒だからね」


それもそうか。元々、目立たないよう鳥語で話していたけど、フリードがいる以上、どうしても目立ってしまうから、意味がないんだ。


「猫又って、もしかしてこっちの椅子に座っている黒猫ちゃんのこと?」

「リット、初めまして。私は、咲耶の従魔となった猫又のフリードと言います。私には、小魚の焼いた物をお願いします」


フリードもこの国の言葉を話したので、リットは呆然とする。


「フリードも、この国の言葉を話せるんだ」

「当然です、猫又という種は、自分達の住む国の言語なら話せるのです」


フリードは世界中を渡り歩いているから、全ての言語を使いこなせると言っていたわ。実際、ルウリの鳥語をスキルなしで完璧に理解していたもの。


「ほえ~最近の鳥と猫って凄いな~」


リットは驚きながら厨房へと移動し、アルドさんに私たちの言ったメニューを伝える。


「正確には、鳥じゃないけどね」

「私も、猫ではありませんね」


2人とも、今ツッコミを入れるのね。ベイツさんはその光景を見て面白かったのか、声に出さないよう笑ってから、私に1枚の紙を差し出してきた。


「咲耶、今のうちにこれを渡しておくよ。朝描いてくれたポインターのイラスト類と、商品の箱や説明書改良案に関する明細書だ。ちなみに、報酬は君の口座に振り込み済みだ」


「報酬?」

「この前と同じアイデア料さ。かなり喜んでいたぞ」


ベイツさんから明細書を貰い、中身を確認すると、私は声をあげそうになった。イラストの発案とポインターの企画案の報酬額が各々5万ゴルドとなっていたからだ。これで、私の貯金は約50万ゴルドになってしまった。


「ほう、これはこれは。咲耶、あなたもその年齢で中々やるじゃないですか」

「前世の知識から発案しただけで、合計10万だなんて…」


今後、猫カフェ関係のことでアマンガムさんに何か話すにしても、事前にベイツさんやルウリ、フリードに相談しよう。何の苦労もなく、大金を入手していくから怖いよ。


「彼から、猫たちの好む餌を作ってほしいとお願いされた。俺たちの方から言おうと思っていたことが、先に言われてしまい驚いたよ」


なんか、とんとん拍子に、話が進んでいく。両親のおかげで、モデルとなる餌に関しては大丈夫だけど、スキルがあっても、すぐには完成しない。


「期限はありますか?」


「猫カフェが完成してからも、色々と調整もあるだろうから、正式には決まっていない。その猫カフェなんだが、アマンガムさんによると、既に土地を押さえているし、外観や内装の設計もかなり進んでいるようだ。設計が完成次第、着工に取り掛かるから、早くて2ヶ月後にオープンだな」


2ヶ月後!?


以前、最短で2ヶ月と聞いてはいたけど、アマンガムさんの冗談だと思っていたわ。まだ設計図の段階なのに、本当に実現できるのかな? 猫たちの餌も、それまでに作り終えないといけない。


「咲耶、君の知る建築の知識は、地球の日本のものだ。あの世界では科学が発展しているけど、ここでは魔法が科学より発展している。魔法を利用すれば、建築速度も格段に速いのさ。しかも、スキルを使えば、建物の耐久性能なんかも1発でわかる。科学と違って、小難しい計算なんていらないのさ」


ルウリは神の御使い樣でもあるから、地球のことを知っているんだね。

スキルと魔法って、本当に反則だよ。


「咲耶、ルウリ、フリード。その土地なんだが、この後みんなで見に行かないか?」

「はいはい、見たい、見たい‼︎ お昼の混雑時間ももう少しで過ぎるから、私も行きます‼︎」


ベイツさんに返事をしたのは、リットだ。他のお客さんの注文を聞きながら、こっちの話を聞いていたのね。器用な女の子だな~。結局、アルドさんとミントさんに怒られながらも、リットは私たちと同行することになった。



○○○



私たち3人と2体は、猫カフェの建築予定地となる場所へとやって来ました。周辺には、喫茶店や定食屋などの飲食店がなく、洋服や宝石類を販売する服飾系のお店や、武具防具魔道具などを販売する店があり、人通りもかなり多い。その一画に、普通の家が2軒入るほどの空き地があり、そこに【猫カフェ建設予定地】と記載された立て札が掲げられている。


「広い」


その一言に尽きる。

建物がないせいもあって、異様に広く感じる。


「それは俺も思ったが、アマンガムさんは1階にお土産コーナーを設置して、2階を猫カフェにするそうだ。咲耶の提案した玩具や、猫専用の散歩道や住まいを十分に設置できる空間となると、この土地の広さが最適なんだ。彼はここを、人も猫も気軽に落ち着いて楽しめる場所にしたいと宣言していたよ」


アマンガムさんは、人と猫が共存できる世界を真剣に考えている。まだ、猫カフェ全体の設計図やイラストがないからイメージできないけど、完成が楽しみになってきた。


「咲耶、猫カフェ、楽しみだね!! 5匹の猫たちが、あの土地の中に集まってるよ」


リットに言われ、猫たちのいる場所を見る。

 

私が猫たちにこの国の言語を読めるよう教育しているし、猫の溜まり場には会話用の[小型キャットボード]を複数置いているから、それらを利用してここの場所を誰かに教えてもらったのかもしれない。


猫たちの方は下見を終えているのか、みんなが猫カフェのことを話題にして話し合い、互いに寛いでいるわ。今は土地内に誰も立ち入らないから、猫たちも過ごしやすいんだ。


「ほほほほ、周囲には上品な店も多いようですし、治安も良さそうです。まさに、猫たちにとって理想的な土地でしょうね」


フリードも、気に入っているようで安心した。猫カフェが完成したら、この一体が彼の縄張りになるのだから気にして当然だよね。


「地脈の流れもいいね。これなら瘴気も発生しないだろうし、猫たちが病気になることもない。よく、こんな一級品の土地を見つけられたもんだ」


ルウリも褒めてくれている。いくつかわからない言葉があったけど、褒めていることだけはわかる。


「咲耶、店が完成したら、あなたはそこで働くの?」


リットからの質問に、私は少し戸惑う。


「まだ決まったわけじゃないけど、私はアルバイトで働きたいと思ってるわ。成人したら、従業員になるのもアリかな」


この店の責任者にはなれないけど、働くことはできるはずだよ。でも、アマンガムさんに相談していないから、どうなるのかは正直わからない。今後、そう言った話し合いも必要だね。


「猫に囲まれた生活か~いいな~」

「リットも、私と同じアルバイトとしてなら働けるんじゃない?」

「そっか、その手があった‼︎ 募集されたら、速攻で応募しよう‼︎」


この世界は10歳からアルバイト可能と聞いているから、リットも大喜びだ。


この後、私たちは周辺を2時間程散策し、地理をしっかりと把握したところで、リットのいる店へと戻ることにした。彼女もフリードといっぱいお話しできたのが嬉しかったのか、『猫カフェが完成したら、お客様第一号になる‼︎』と宣言してくれた。

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