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10歳で記憶喪失になったけど、チート従魔たちと異世界ライフを楽しみます  作者: 犬社 護
2章 家族からの別離(現世)

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18/30

17話 ミケーネの頼み事

私はルウリとベイツさんと話し合い、日課となっている早朝訓練を中止することに決め、余った朝の時間を魔道具[ポインター]に関する商品ラベルや使用説明書用のイラスト描きに専念する。名称に関しては、ベイツさんからレーザーだけを消して、ポインターにしようと言われた。この世界には、レーザーという言語がなく、ポイントに関しては、商売上使用されているので、皆に覚えやすいよう、『ポインター』になった。


まあ、商品化の際は変更されるかもね。とりあえず、この世界のデザインセンスに関してはわからないので、私なりに子供にでもわかる商品ラベルと説明書を1時間ほどで仕上げる。説明書に関しては、製品化されるポインターの図自体がないので、使い方だけを漫画風にしている。


「咲耶、絵を描く速度が速いね。ラベルの方は、少しラフ感こそあるけど見やすいしわかりやすい。これだけで、最低限の効果がわかる。説明書に関しては、まだ製品自体もないから仕方ないけど、日本の漫画を参考にしているせいか、1つ1つが読みやすいよ」


「やった、ルウリに褒められた!!」


ベイツさんも、まじまじと私の書いたものを見ているけど、どんな感想を抱いたのだろう?


「こいつはたまげたな。実際に、咲耶の色付けされたイラストがラベル化された商品があれば、俺は間違いなく手に取るだろう。説明書にしても、順番通りに進めれば、多分子供でも理解できるぞ」


それ、私にとって最上級の褒め言葉です!!


「よし、早速これらのイラストを持って、アマンガムさんのところへ行ってくる。咲耶は猫たちの教育を施す時間だから、いつもの場所へ向かうといい」


「は、はい!! ベイツさん、いってらっしゃい」


ベイツさんとルウリに褒められたことで、私の絵描き能力にも、自信がついたよ。これからその力を、もっと上達させよう。アマンガムさんが、私の案やイラストを気に入ってくれるか気掛かりだけど、そこはベイツさんに全て任せよう。


「ルウリ、ミケーネたちのところへ行こうか?」

「そうだね、行こう。君のスキルについては、昼以降に調べよう。焦る必要はないよ」


そうだ、今世の私には、十分な時間がある。

まずは、目の前の仕事に集中だ。


ミケーネたちを待たせてはいけないので、私はルウリと共に家を出る。

目的地は、最初に猫たちと出会った空き地[猫の溜まり場]だ。


アマンガムさんからの指名依頼の期限は、猫カフェの開店日となっており、その日程に関しては現在のところ未定。最低でも2ヶ月近くかかる見通しのため、達成報酬はなんと10万ゴルドとなっているから驚きだよね。でも、その分彼の求める猫たちへの教育レベルは極めて高い。


猫たち自身が猫カフェの従業員となる以上、人に危害を加えてはいけないため、オープン5日前に店内での教育テストが実施される。アマンガムさん自身が、猫たちの容姿や人に対する接し方を見通すことで、最終的に15匹にまで絞り込む。


ただ、教育をさせるにあたって、重要なのが皆のやる気だ。途中で教育に飽きちゃう子だっているだろうから、猫カフェに対する全員の意志を強く持たせないといけない。そのために必要なのが、お父さんから貰ったおやつ類だ。


猫たちの数を考慮したら、全員に平等に与えてしまうと、数日で無くなると思う。猫たちには、このご馳走の貴重性を認識してもらいたいから、今後は教育日の最後に、優秀猫を1匹だけ選出し、その子にだけペロチュールやキャットフードを与えよう。最上級の味のはずだから、皆が教育に真剣に取り組んでくれるはず。それに、1日1回の教育で1匹にだけ与え続けていけば、餌の方だって全て使い切るのに、1ヶ月以上かかると思う。


『あ、咲耶、ルウリ。丁度良かったわ』


大通りを歩いていると、知ってる声が聞こえてきたので、振り向くとそこにいたのは三毛猫のミケーネだ。


「ミケーネ、おはよう。私の作った2つのキャットボードは、役立っているかな?」


指名依頼を完遂させるに当たって、私は最初にボス・ミケーネを教育した。彼女…というか猫は気まぐれだから、好き勝手に行動するもの。だから、私は《ミケーネが今何処にいるか》をアマンガムさんの屋敷に住む皆にわからせるよう、ミケーネの似顔絵付きの【居場所キャットボード】を作った。 《屋敷1階》《屋敷2階》《庭》《ご主人様の寝室》《ご主人様の執務室》《ベイツさんの家》《猫たちの溜まり場》、ミケーネ自身が自分の顔が貼られているマグネットをこれら各項目に設置させることで、自分の居場所をわからせるというもの。ボード作成中、文字の解読に関してもミケーネに教えたので、現在彼女は読みだけ理解できるようになった。私自身、記憶喪失だけど、この世界の文字の読み書きだけは覚えていたので助かっています。


現在、このボードをアマンガムさんの執務室の扉に設置しているので、殆どの人たちがミケーネの居場所を大まかだけど把握している。私の施したこの行為に、アマンガムさんもすっごく喜んでくれたよね。


『役に立ちまくりよ。詳細な位置までは、皆も把握できないけど、あれがあるだけで、皆の心の負担も少し軽くなっているみたいね。それに、メイドたちに持たせている小型キャットボードの文字盤を利用することで、コミュニケーションもかなり楽になったわ』


 やった!! 私の取り組みも上手くいってる!! 小型キャットボードには、この国の言葉一つ一つ(日本でいうひらがなやアルファベットのようなもの)が順に描かれている。それらを[指]または[爪]でなぞるだけで、双方のコミュニケーションが可能になるよう、小型設計したものだけど、こっちも上手く機能しているのね。


「喜んでくれてよかった。自作した甲斐があったわ」


お父さんの日曜大工を真似て実行したけど、我ながら上手く作れたと思う。


『ここで、咲耶と出会えて良かった。実はあなたに頼みたいことがあるのよ』


神妙な顔をしているミケーネ、この地域一帯のボスでもある彼女が、何を頼みたいの?


「どんなお願いなの?」


『昨日から街に来られた猫又様に、献上品を差し上げたいのだけど、何か持ってない?』


《猫又様》って何? 

ここのボスはミケーネなのに、何故そこまで下手に出ているの?


「咲耶、《猫又》というのは、魔物に進化した猫の事を指すんだよ。尾が3本となり、スキルと魔法に特化している生き物なんだ。一般的な強さとしては冒険者ランクCに相当するけど、長生きしている者は、僕に匹敵するくらいの力を持つ者もいる。舐めてかかると、痛い目にあうよ。普通の猫から見れば、猫又はスキルしか扱えない猫から進化した崇高な生物なのさ」


私の左肩に乗っているルウリの言葉に、私は驚く。


そんな凄い魔物が、この街に訪れていたんだ。限りなく猫に近いから、冒険者の人たちも気付いていないんだ。そんな高位の魔物だからこそ、ミケーネは猫又様に好かれるべく、献上品を差し出したいと言っているのね。


その気持ちはわかるけど、私の持っている物の中で役立てそうなものと言えば、日本から持ち帰ってきた猫用の餌やおやつくらいだよ。ついさっきルウリから教わった空間魔法《アイテムボックス》の中に入っているから、溜まり場に到着したら使ってみよう。このボックスの中は、時間も止まっていて、色んな荷物を収納できることもあり、私は日本から持ち帰った商品全てをこの中に入れている。


「あれなら、猫又様も喜んでくれるかもしれない。昨日ね、知り合いから猫カフェに置く予定の玩具や餌、おやつをもらったの。そのおやつの中でも、猫にとって至高の一品と言われるものがあるの」


『ニャニャニャ‼︎ 私たちにとって、至高の一品ですって‼︎』


「うん、どんな好き嫌いの激しい猫でも、このおやつには絶対に反応し、全てを食べ尽くすの。ただ、凄く貴重な物だから、数が少ないのよ。私の授かったスキルを利用して、自分で調理できるようになったら、猫カフェに置こうと思っているわ」


まさか、異世界にいる家族からもらったと言っても、絶対信じてもらえないよ。

猫又様か、どんな猫なのかな?


『猫又様に捧げる献上品だから、1個味見してもいいかしら? 咲耶のことは信じているけど、人様からもらった物である以上、毒味をしておきたいわ』


それは、当然だよね。

お口に合わなかったせいで、街を滅ぼすとか言われたくないもの。



○○○



『ちょっと咲耶、あなた、なんて物を貰ったのよ‼︎』


ミケーネに味見してもらった商品はペロチュール、私たちは人通りの少ない場所に移動してから、《アイテムボックス》から小皿を出して、そこに一袋全部載せたのだけど、初めこそ彼女は恐る恐るぺろっと舐めたけど、目を見開いた瞬間、一気に食べ出し、10秒とかからずに全てを平らげてしまったわ。日本から持ち帰ってきたものだから、少し不安だったけど、問題なく食べられるようでよかった。


「味は……聞くまでもないよね」


さっきから目を輝かせ、ペロチュールの箱をガン見しているもの。


「ダメだよ、この箱自体が6箱しかないの」


数の少なさに絶望したのか、ミケーネは目を潤ませているわ。


『う…少ない。咲耶、ペロチュールは最高なんだけど、量が少ないわ。あと2時間でお昼になるから、昼食に値するものはないかしら?』


そっか、もうそんな時間なんだ。

そうなると、高級缶詰や高級キャットフードがいいよね。


「大丈夫、昼食用としての食べ物もある。まずは、それを献上するね。それと、今日猫又様に献上するものは、いずれあなたたちにも進呈する予定よ」


そういった瞬間、ミケーネは目を輝かせる。


『それ、本当!?』


「数も少ないから、1日の教育の中で最も優秀だった猫1匹だけに1品だけを進呈するわ。そんなご褒美があれば、みんなも頑張れるでしょ?」


『ふふふ、いいわよ。俄然、私が有利だもの』


ふ~、納得してくれて良かった。


缶詰とキャットフードの味に関しては気に入ってもらえるか不明だけど、あれらもこの世界に存在しないものだから、きっと夢中になるわ。私のスキルで再現できたとしても、食べ過ぎで太ったりする場合もあるから、健康管理をきちんとしていこう。猫カフェが開店したとしても、毎日あげちゃうと堕落するかもしれないから、その辺りの教育も考えておかないといけない。


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