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第8話 :「過去に起こった(世界最終決戦)、と白き猫の受難」

 俺はしばらくの間、何も考えられずにその場で立ち尽くしていた。


 さっきの感覚は、ただの映像を“見た”だけじゃなかった。まるで――俺自身が、あの戦場にいたかのような、魂の底を揺さぶるほどの(共鳴)だった。


 ……一体、あれは何だったんだ?この剣……いや、この“聖剣”は、何者なんだ?


 《破損した錆びた聖剣:かつて(世界最終決戦)と呼ばれた戦いにおいて、聖女によって使用され、激闘の末に損壊した聖剣。鑑定結果――修復可能。修復方法:不明》


 ……な、なに……!?(世界最終決戦)……!?

 この世界……そんなにも危険だったのかよ!?


 俺はてっきり、また「魔族が世界征服を目論むから異世界人を召喚して倒してね☆」みたいな、よくあるテンプレ展開だと思ってたのに……!


 しかも……あの少女――あの“聖女”の意念の中で、さっきの狂気に満ちた男は、最強の敵ですらなかった。あれは……七つの(罪悪の化身)のひとり、たったひとつの罪――(傲慢)にすぎなかった……!?


 ……これは、本当にヤバい世界に来ちまったのかもしれない。


 女神様……ルナリア様……俺たちを転生させたのは、そういう“滅びの淵にある世界”を救うためだったのか……?


 なんなんだよ、それ……っ!


 ……でも、あの聖女の姿には……心を打たれた。


 凛としていて、揺るがぬ意志と信仰をその身に宿し、何十万という人々の想いを背負いながら、巨大な絶望に立ち向かっていく姿――


 ……めちゃくちゃ、かっこよかった。


 ……はあ。

 さて、聖剣の隣に、何か光るものが転がっているのに気づいた。

 ……宝石か?青く光るそれは、サファイアのような輝きを放っている。


「これ……なんだ?」


 《???の石:情報は暗号化されています。より高度な鑑定スキルが必要です。》


 ……はぁ!?まさかの“???”表示!?


 情報が暗号化って、そんなことまであるのかよ……

 そういえば、さっきの聖女の記憶でも、会話の中に不自然な“空白”がいくつかあった気がする。

 あんなに強い意志と感情が伝わってきたのに、なぜか一部の名前や情報が、完全に遮断されてた。


 ……この世界、何か隠されてる。

 敵の正体さえ、今の俺には読み取れないようにされてるってことか。

 真実を知るには――


 ……もっと強くならなきゃいけないんだな。


 とりあえず、この未知の宝石と、今は使えそうにない破損聖剣を《インベントリ》にしまっておこう。


 めんどくさいことは、あとで考えればいい。今は――


「……星野さんたちを、探しに行かないと」


 この部屋を後にして、俺はまた一歩、迷宮の奥へと歩を進めた。

 ________________________________________


 《迷宮の一角》


 《フレイムスピア》――。


 白猫のすぐ傍らに、燃え盛る炎の槍が現れる。その槍は、白猫に襲いかかったゴブリンへと向かって真っ直ぐ飛翔した。


 火炎に包まれたゴブリンは、断末魔の叫びもなくその場で消滅し、魔石だけを残して灰となった。


 白猫は無言でその魔石を拾い上げ、何の躊躇いもなく《インベントリ》へ収めると、振り返ることもせず、そのまま前方へと歩みを進めた。


「……急がなきゃ。立ち止まったら、罠か魔物がくる。この迷宮で一人って、本当に怖すぎる……!」


 少女――白猫は、幾つもの罠をくぐり抜けてきた。


 種族特有の機動性と、魔法による知略を組み合わせることで、なんとか無傷で通過してきたのである。


 だが――魔物との交戦は、彼女にとって未だに“恐怖”だった。だからこそ、戦闘では常に魔法による速攻殲滅を選択している。


 幸運だったのは、彼女が魔法に関して極めて高い才能を持っていたことだ。大抵の魔物であれば、一〜二発の魔法で撃破できた。


 ――しかし、その幸運は今、尽きようとしていた。


「……まずい……! さっきのゴブリンたち、罠だったの……!?」


 その瞬間、白猫は自分が罠に嵌められていたことに気付く。繰り返される小規模な襲撃により、無意識のうちに誘導され、


 彼女はいつの間にか“袋小路”に入り込んでいたのだ。唯一の出口――そこには、三十体以上のゴブリンが集結していた。


 その目には、明確な“捕食者”としての光が宿っている。白猫を、ただの“獲物”として見つめているのだ。その場に足を止めた少女の小さな身体に、絶望がのしかかる。


 ――ここで、自分は殺され、喰われるのか。


 だが、白猫は――諦めなかった。


 どれほど不利な状況であっても、彼女の中には、抗う意志が確かに存在していた。


 己のすべての魔法、すべての力を賭けて、この不条理な運命に抗う。そうすれば――もう一度、愛する人たちに会えるかもしれない。その願いを胸に、白猫の周囲に再び魔力が集う。


 ――燃える炎と、凍てつく氷の槍が、いくつも浮かび上がった。


 そして、彼女は――戦う覚悟を決めた。


皆さま、こんにちは!


またお会いできましたね!


僕の作品を楽しんでいただけておりましたら、とても嬉しいです。


ご意見やご感想などがありましたら、ぜひコメントでお寄せください。


今後の展開に活かせるよう、慎重に参考にさせていただきます。


今回の内容について、皆さまはどう感じられましたか?


ぜひあなたの感想をシェアしていただけると嬉しいです!


そう──今回はまさに「世界規模の危機」です!


地球で例えるなら、もう第九次世界大戦を経て、これは第十次世界大戦……というレベルの出来事なのです!


なぜこんなにも多くの世界戦争が起きたのか、そして敵の正体とは一体何なのか──


そのヒントは実は「作品のあらすじ」にも少しだけ隠されておりますので、


もし興味がありましたら、ぜひ皆さまの予想や考察をコメントしてみてくださいね!

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