第71章:お葬式当日(3)
・・・抱っこした茶太郎ちゃんを連れて行った部屋、
そこは、ちょっと殺風景な感じの、
床がコンクリートの打ちっぱなしで、比較的ガランとした、
広い部屋だった。
もう、
茶太郎ちゃんをのせるための、
セラミック製とおぼしき台まで、釜から引き出されていた。
どこか、粉っぽい、白い台の上に彼を優しく寝かせ、
本当の最後の「お別れ」となった。
でもぼくは、このときは泣かなかった。
・・・これまでに、さんざん悲しい涙を流してきたので、もう、すでに涸れてしまっている・・・といった状態に。
ぼくも・・・
そして、茶太郎ちゃん本人も、
この場所に来るまでに、すでに覚悟はできていたのだ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「・・・うさちゃん、おむつつけてますけど、このままでいいんですか?」
「ええ。この子も、向こうへ着いてすぐは、まだこのオムツが必要かもしれませんから・・・。」
「わかりました。では、最後のお別れをお願いします。済みましたら、奥の待合室でお待ちください。少々、時間がかかりますので・・・。」
ぼくは、写真に彼の最後の可愛い姿を残してあったので、
この釜へ入れる、セラミックの台の茶太郎ちゃんとのお別れは、
手短にしておいた。
・・・部屋を出て、扉が従業員に閉じられる、
わずかな時間・・・
ほんの数秒だったが、
扉の隙間から、こちらへ頭を向けた状態の・・・
台にのった茶太郎ちゃんの、最後の笑顔が見えた。
(・・・茂雄くん。いろいろと、ありがとね。じゃ、ぼく、いってきます。)
(うん。いってらっしゃい。茶太郎ちゃん、ぼくね、奥の部屋で待ってるから。
終わったら、また、すぐにここへ会いに戻ってくるから、そしたら、ふたりでお家に帰ろうね・・・。)




