第59章:茶太郎ちゃん天国へ(4)
思いきり泣いて・・・
気持ちが落ちついたぼくは、
涙をふいて、茶太郎ちゃんにゆっくりと語りかけた。
「・・・つらかったよね、茶太郎ちゃん。ケガしてからは、苦労の連続だったよね・・・本当に、今日までよくがんばった。半年間も、痛みに耐えてさ・・・。」
「はじめて君と、真岡のカンセキで出会ったことを思いだすよ・・・。あれから、もう9年以上になるんだね。なつかしいなぁ・・・。茶太郎ちゃん、初対面のぼくに、すぐになついてくれて、すすっと寄ってきてくれたもんね・・・あれは、うれしかったなぁ・・・。」
「この部屋、エアコンなかったから、夏は暑かったでしょ・・・? 冬は寒かったでしょう・・・? ごめんね、キツイ思いばっかりさせちゃって。よく我慢してくれたよね、不満もグチも言えないのに・・・。」
「高久コーポで、一年間、いっしょに暮らしたっけなぁ・・・。熊田君の倉庫でネズ公に襲撃されたとき・・・あのときは怖かったよね。大晦日の、あの恐怖の一夜、ふたりで脱出してさぁ・・・マジでやばかったよ。
ごめんね、ずっと怖い、嫌な思いさせてしまって・・・。」
「ときどき、すやすやと眠っている君を見て・・・本当に癒されたよ。それに、仕事で嫌なことあったりして、つらくて泣きながら話すぼくを・・・君の背中をなでるぼくを、じっと黙って、なぐさめてくれたよね・・・本当にうれしかった。ありがとね、茶太郎ちゃん・・・。」
そうして、背中をなでてあげると・・・
あの、ゴツゴツとした、山の尾根のような感触は消えていて、
かつて、健康だったころの・・・
あのふっくらとした、豊かな感触に戻っていたのだった。
「あぁ・・・元に戻ってる。痛かったよね、背骨ねじれちゃって・・・でも、もう痛くないよね、茶太郎ちゃん・・・。やっと痛みから、解放されたんだよね・・・よかったね、茶太郎ちゃん・・・。」
「茶太郎ちゃんのお耳・・・とってもあったかいよ。まだ、ぬくもりが残ってるんだね。それに・・・なんて、おだやかで、安らかなお顔なんだろう・・・」
茶太郎ちゃんのお顔は・・・
かすかにではあるが、
にっこりほほえんでいるように見えた。
ぼくに感謝しているような、喜びの笑顔のようでもあった。
「お耳、まだあったかいけど・・・えっ、まさか・・・!」
何かに、はっと思い当たったぼくは・・・
大急ぎで、
「おおるりペットクリニック」の尾形先生のところに、
ケージごと、茶太郎ちゃんを連れていった。




