表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

20/79

第18章:短かったが、壮絶だった『倉庫暮らし』の日々(3)

 除染の仕事仲間に、「稲枡いなます」というおじさんがいた。


 当時のぼくより、10個ほど年上。


 その人が、ぼくの話を聞き、強力な粘着力のある、業務用のネズミ捕りシートを何枚もくれた。


 「・・・これをな、ネズミの通り道に仕かけておけ。壁沿いのはしっこのルートとか、うさぎのケージの載っかったテーブルの真下にでも置いておくんだ。きっと、ヤツラ引っかかるはずだぜ。」


 と。


 だが・・・


 ネズミの頭の良さ、用心深さ、ずるがしこさは、けっして甘くはなかった。


 まったくといっていいほどワナにかかる気配がない。


 そして、そうこうしているうちに、ついに大晦日の夜を迎えた。


 茶太郎の餌には、ネズミの食した形跡があった。


 ケージの中の茶太郎の餌に目をつけ、茶太郎が攻撃してこないのをいいことに、侵入したあげく、ずうずうしくも、つまみ食いしたものと思われる。


 しかし、「チモシー」という牧草のみを固めて作られたペレットの餌を、いかに雑食といえども、


 ネズミの彼らが食べられはしない。


 そしてその夜・・・。


 ネズミの「うたげ」は、最高潮に達した。


 「う・・・うるせえッ! だまれだまれだまれ!! しずかにしろ、しずかに!! もぉ、どっか行けよ、てめええらぁああ!!!」」


 ぼくが怒鳴ろうがわめこうが、壁や床板を叩こうが、


 ハッカのスプレーをまこうが何しようが、


 「宴」は、まったくやむ気配すら見せなかった。


 手も足も出ないぼくと茶太郎を、無数の小さな悪魔どもが、あざ笑っているかのようだった。


 ぼくはたまらず、茶太郎をケージごと車の後部トランクに押し込め・・・


 着の身、着のまま、命からがら、


 ふたりで倉庫を脱出した。


 (ふざけんじゃねえ・・・こんなところに、たとえ1秒だっていられるものかッ・・・!! 熊田君よぉ、おめ、なんてヒデェところに俺たちを招待したんだい・・・。恨むぜ。) 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ