子供?
ようやくの子供ー
今日は、外の畑を耕しに来た。
外に出れない魔物もいるから、外で活動出来る魔物は、外の畑を耕す担当になりやすい。
魔素が多かった頃には、ダンジョン内で作る作物は、魔素の力で、ぐんぐん育って、魔物の俺たちが食べると力がみなぎるものだったが。
今は、ダンジョン内の魔素が減って、育てても、やっと普通の植物と同じくらいにしか育たないし、魔素もほとんど含まれてねぇ。
地下を水を担いで降りて行くのは、なかなかに大変で、毎日水やりもしないといけないから、ほんと一苦労だ。
外の畑は、川から水を引いてるから、手入れもダンジョン内よりは楽だ。
でも、外にそんなに長く居たら、人間に見つかるかもしれねぇ。
だから、外の畑は、あんまり広げられないから、結局は、ダンジョンの作物も大切だ。
そんなこんなで、俺は鍬を持って外の畑へ来たわけだ。
ふぁー、種まきしなきゃなー。
ぼんやり畑を見て、なんとかやる気を出して畑に入る。
ふと、目の端に、何かうつった。
木の影に、何か生き物がいる。
ん?野うさぎか?
食料なら、是非とも取って帰りたい。
何せ、大所帯だ。
食料は、あって困ることは無い。
一足で、その木まで飛ぶ。
あ、足首痛え。
見ると、木の根元で、人間の子供が震えてこっちを見ていた。
やべ、人間。
でも、まあ子供だし、大丈夫か。
それにしても、とんでもなくガリガリだな。
スケルトンか?
こりゃ食えねーな。
「食えねーな、帰れ」
それだけ言って、畑に戻る。
今日これを種まきして、収穫まで、3ヶ月か4ヶ月はかかるから、、、
今の食料倉庫の在庫を考えながら、次に撒く種のことを考える。
ふと見ると、さっきの人間の子供が、さっきより近付いて来ていた。
なんだ?
あいさつか?
いや、あいさつする人間なんて、そうそういねぇよな。
「どーした。さっさと帰れ。ここはお前のような人間が来るとこじゃねえ。あ、見逃す代わりに、ここのこと勇者には内緒にしろよ」
そう言って、また作業に戻る。
が、まだいる。
なんだ、この子供。
畑が珍しいのか、俺がかっこいいからか。
なわけねえよな。
オーガって言えば、泣く子も黙る鬼だ。
恐いに決まってる。
「なんだ、お前。なんか言いたいことあんなら、さっさと言え。俺は忙しいんだ」
子供は、ビクッとしながらも、恐る恐る答えた。
「食べないって、ほんとう?」
「あ?」
またビビってる。
なんなんだよ。
「お前のことは食わねーよ。だから、帰れってば」
「僕、帰る家ないんだ」
子供は、服と言えないようなボロ布を体に巻いてて、それを両手でギュッと握りしめて、か細い声で、必死に言ってくる。
「なんでだよ、お前ら人間は、親とかいんだろ」
ギュッと下を向いたまま、話し始める。
「家は、子供が多くて、食べ物が足りないんだ。僕は、真ん中だから、森に捨てられたんだ」
目から水が流れてる。
人間て、おもしれぇなー。
「じゃ、うちくるか?」
来ましたー