ギアの毎日
人間とは。
ギアの朝は早い。
早く起きて、村の手伝いをする。
ジョーイなんて、そろそろほんとに腰が曲がって来てるから、畑のほとんどを、ギアがやってくれている。
種まきも、ギアが丁寧にやってくれるおかげか、最近、魔素が少し含まれる植物が手に入るようになった。
俺たちには、最高だが、ギアには、あんまり良くないだろ。
だから、ギアの食料は、街からセイラが買い集めた物と、森で作ったものを使っている。
相変わらず、ギアは大食いだが、食べる姿は眼福なので、どれだけ食べても気にならない。
そうして、村の手伝いをして、朝ごはんを食べたら、訓練をしている。
俺もヒグも、身を守れるくらいの強さを身に付けさせれば良いと思っていた。
いや、今も思っている。
だが、ギアは、俺とヒグの棒切れを打ったり、素振りしたり、という単純な訓練にも関わらず、どんどん強く、速くなっていった。
人間て、こんなに速く動けたの?
という俺やヒグの戸惑いをよそに、ギアは、素手で野グマを倒して担いで来ることもあった。
もはや、俺やヒグより、強くなってねぇか?
20mはある木を、易々と遥か上から飛び越えるジャンプ力。
キック1発で、ヒグ5人分位ある巨木もなぎ倒す。
あれ?人間て、こんなに丈夫なの?
俺たちは、人間を誤解していた。
あの勇者御一行を、人間の標準だと思っていたが、違ったのだ。
あいつらは、人間の中でも、驚異的な弱さだったのだ。
なんてこった。
ギアで標準的な人間を知ることになるとは。
俺たちは、本当に無知だった。
魔物とは。
ギアとは。




