勇者御一行様
オーガって、かっこよくないですか?
「おおーーい!勇者来たぞーー!!」
ダンジョン内に響くのは、ハーピーのピイの声。
すげーキンキンしてるけど、もう慣れた。
みんな、うんざりした顔で返事をする。
「なんだよー、早くねー?」
「前に来てから、まだ3ヶ月しか経ってないよ」
「あいつら、マナー無いから、ほんとやなんだ」
口々に勇者への愚痴を言いながら、持ち場へ移動する。
俺たち、ほら、職業が魔物じゃん?
畑とか家に被害が出ないよう、柵などで囲って、目くらましの術をかけて、その手前に陣取る。
「いたぞ!魔物だ!みな、油断するな!」
はいはい、来たよ、お決まりのパターンね。
ちなみにオーガの俺は、15階の中ボス。
俺の立ち位置も決まってるから、そこから皆の奮闘を応援している。
あー、最近、オークのクゥじいさん、腰痛めてるからなー。
戦士に斬られて倒れる時、めっちゃ腰かばってゆっくり横になってるじゃん。
インプのラリーは、こっそり壁際に立って、やり過ごしてやがる。
手ぇ抜いてんなー。
そんのことを考えてると、目の前に勇者御一行が着いた。
「この階のボスはオーガか!みんな、聖女を守って戦うぞ!」
オーやら、なんやら言いながら向かって来る。
とりあえず、すぐにやられとこ。
俺も最近、足首痛めてんだよね。
「ぐあああぁぁぁぁぁ!!!!!」
迫真の演技でバッタリと倒れる。
勇者は、ん?え?今、倒した?
ってなるけど、目の前の魔物が倒れてれば、案外みんな気にしない。
「手強いオーガだった。まだ奥があるようだ。慎重に進むぞ」
汗を拭って進む勇者たち。
この先には、15階のボス、中型ドラゴンのサーヤがいる。
恥ずかしがり屋の女の子だ。
この前は、恥ずかしくて、思いきり勇者に向かって火を吐いちまった。
おかげで、勇者御一行、全滅。
その結果、こうやってまたすぐに新しい勇者が派遣されて来たわけで。
俺たちは、適当にやられて、最下層の宝箱あけてもらうのが、一番平和に過ごせる期間が長くなることを知ってる。
そんなところから、始まりました。
誤字脱字、矛盾などなど、たくさんあると思います。
温かい目で見てやって下さいませ。