闇金ウシジマくん(2巻か3巻まで):真鍋昌平(漫画)
久々に胸くその悪くなる、本当に後味の悪い作品を見たようなきがする。(いい意味で)
これは酷い。いや、作品としては十分楽しめるものでしたよ。作品の質が酷い、というわけではない。
しかし、作品に何の救い、希望もないことはもちろん、作品性も全くない。主人公の行動とか、とにかく作品の何かに触れて何かを得る、ということがないのだ。
作者も、あえてそこらへんを否定しているのではないだろうか。
人間性のある人物、共感できる人物、というのが一切出てこない。まるで作者が「共感できるものならしてみろ」とでも言わんばかりのえげつなさだ。
あるところに闇金「カウカウファイナンス」という会社がある。ここの社長がタイトルにもなっている丑島。タイトルと会社名のなんだか気軽そうな名前に反して、この闇金業者はトゴ(十日で五割)の金利を取る。
そう、トゴ。
よく聞くのは十日で一割の「トイチ」だろう。『カイジ』は借金の保証人を経てトイチの借金を肩代わりさせられ、それを返済するために様々なギャンブルに挑む。『ミナミの帝王』はモロにトイチの金貸し。丑島と同じ闇金の社長だ。様々な法律、経済の知識を駆使して金を回収していく。
これらの作品では主人公が貸した金を返したり、回収しようとする。
当たり前だ。貸した金は、回収する。
『ウシジマくん』も、一応回収する。するが、トゴである。それも借金をするのはギャンブル中毒やホステスに貢ぐやつ、働かないやつや見栄っ張りのOLなど、著しく計画性に欠ける人間ばかり。
当然、待ってても返してくれるわけがない。
そこで取立て、となるのだが、これがもう本当にえげつない。ほとんど恐喝と一緒。
むしろ恐喝のネタのために金を貸した、といった方が適切だろう。そういう意味では、丑島は闇金業者というより恐喝業者、というべきだろう。
暴力でもどうにもならない場合、丑島の人脈で女なら風俗、男ならどこかの現場労働(もちろん給料のほとんどを丑島にハネられる)へ送られ、以後死ぬまで丑島にとって都合のいい集金マシーンと化す。
『カイジ』の遠藤も最終的にはカイジから金を全額返してもらう、というのが目的だし、『ミナミの帝王』では法律知識を駆使してうまく金を回収し、最後には債務者にも救いのある終わり方になっている。そう、「生かさず殺さず」いかにうまく金を回収できるか。
丑島くんは「殺してでも奪い取る」。というより「最初から殺す気で奪い取る」。
丑島くんにも、この漫画に出てくる債務者にも聞きたいのだが、今現在の正確な借金の額を誰か一人でも把握しているのだろうか?
あと、丑島は意外なことに、家ではうさぎを買っている。そう、ラビットである。彼はラビットをたくさん飼っていて、それを愛でることで癒されているのだが、このシーンも「不良が雨の中の子犬を助ける」といった「悪役の中の善(意外性)」を見せるというより、ただただ薄ら寒い狂気しか感じなかった。もういっそのこと小動物を車で轢き殺すのが趣味とかにしといたほうがマシなくらい。
もしこの作品から得ることがあるとすれば、地底に堕ちた債務者の成れの果てを見て、反面教師とするくらいだろうか。
やっぱり真面目に働くのが一番幸せなんだなあ、ていうか今の状態が一番幸せで、変に「幸せ」を追いかけると悲惨な目にあうのかなあ、とも思ったりした。
でも真面目に働くだけの生活、て退屈だからどうしても「夢」を追いかけたくなるのが人間なんだよなあ。
もしかしたら、その「退屈」こそが幸せなのかもしれない。
レビューも後味悪いですねえ。
でもこの漫画は面白いですよ。




